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いたいけな弟子と魔導師さま

itaike na deshi to madoushisama

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表題作いたいけな弟子と魔導師さま

ギスラン、魔導師、214歳
リシャール、ロンバート王国の第一王子、16歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

殺されるなら、せめて死の恐怖を感じないくらい幼くなりたい――冤罪で国を追われ、樹海に捨てられた王子リシャール。
哀れに思った精霊の魔法で、少年から5歳児になってしまった! そんな彼を偶然拾ったのは、森で一人研究に勤しむ美貌の魔導師ギスラン。「僕を弟子にしてくだしゃい!!」生き延びるため、身分を隠して懇願するリシャールは「ガキの子育てなんか冗談じゃない」と拒絶され!?

作品情報

作品名
いたいけな弟子と魔導師さま
著者
水無月さらら 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009310
3.6

(44)

(12)

萌々

(14)

(11)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
9
得点
152
評価数
44
平均
3.6 / 5
神率
27.3%

レビュー投稿数9

真の主役はギスランでは?

イラストや挿絵も素敵ですね。
このお話の主人公はどちらかというとリシャールよりギスランなのでは?

リシャールはいたいけな健気で働き者で臆病でひたすらギスランを愛する美しい元王子です。ファンタジーにぴったりですね。

そのリシャールを拾った魔法使いのギスランがとっても複雑な内面を持っていて。
話の中で存在感がリシャールを食ってるというか。

男も女も聖獣も構わず睦み合ったり、家の中はぐちゃぐちゃでホコリだらけで。リシャールを拾っても子育てなんか無理だと孤児院へ預けようとしたり。
いわゆるファンタジーの美男な魔法使いのお約束から外れてて。そこが面白いというか妙というか。

正しく精悍で弟子に厳しくでも溺愛で逞しくて、迷う弟子にビシッと示したり、弟子に恋慕われても深く配慮して…というのがなんとなく理想な魔法使いな気がしますが、ギスランは全然違うのです。

リシャールにほだされて可愛がり愛してしまうのですが、これまでに自分を通り過ぎてきた人達や孤独な長い年月、最後のたった一人の魔法使いとしての覚悟などなどあり、なかなかリシャールに応えてあげられません。
女性とのエッチ場面を見られても平気な顔で。

リシャールはとても優秀な魔法使いになって、意外とあっさり敵を退治して。
魔法使いとして青年として成長していくのも読み応えがありましたが、ギスランにエッチをねだってばかりなのがひっかかりました。

1

イラストが幻想的で素敵

魔導士の弟子になった美少年の物語。
魔法使いの話は、苦手なのですけど、表紙絵が素敵なので、惹かれて選んでしまった。

樹海の老木に助けてもらってから起きる不思議。リシャールは、怖いと幼児に退行する。
Hな場面を見ると成長して大きくなる。変な魔法がかかっているリシャール。

少しHでずぼらだけど、いじわるじゃない美男子の魔導士ギズランの弟子になり、
ファンドランドに招かれて、国難を魔導士の弟子として対峙する物語。

ふわふわしたスポンジケーキのようなおとぎ話でした。甘い。
絵が素敵だったので、神評価。
この類は苦手。挿絵が無ければ読了できなかったと思う。yocoさんの絵は、ホントに素敵。

1

ショタだけどショタじゃなーいっ!

『受け』リシャール
金髪に青い目 美しいことこの上なしっ。
品がありおっとりしていて。
だって大国の王子様なのだもの。
『攻め』ギスラン
最後の魔法使い。
目鼻立ちぎょっとするほど整っていて、黒髪は長くてくしゃくしゃで赤青緑銀が混じってる。
右目が紫で左目が緑・・・あぁなんて美しい。
また言葉遣いが良いのよ。
なんともいえない『べらんめぇ』調で。
上手いなぁ!
200才を軽く超えちゃってるけど、30そこそこにしか見えないし、自分の欲に素直だし。
でもそれはとても辛い事を経験していたからで、樹海の森の奥で誰とも関わらずひっそりと人生を終わらせようとしている…。

そんな二人の出逢い(いや、出会いだよな)から物語は紡がれて行きます。

リシャールは全てに奥手で、家庭教師からも「失敗する事を先に考えるな」な事を言われ続けていているのだけど、継母から生まれた弟に常に遠慮し、また弟の明るい前向きさに自分は常に一歩引いている。
そんな折り、父である王からいきなり、謂れのない罪を押し付けられ、信じていた家庭教師達に(決して生きて帰れないバケモノ達が住む)樹海に放逐されてしまう。
リシャールはせめて死が恐ろしく無いように古木に頼み、何も怖くない幼子にして貰うのです。
この『幼子』ってぇのが、めっちゃ上手いキーワード!
今後怖い事があると、あっという間に幼子になっちゃうのー!
もぉ可愛いったらありゃしない♡✧。(〃>ᴗ<〃)。✧♡

魔法使いにユニコーンやドラゴン、妖精にニンフ、もぉファンタジー好きならたまらないっ♡♡
しかもリシャールはただの『王子』じゃない事も分かって行くのよ!
この継母の企みから大きな戦争へと発展しそうになり、リシャールも大きく成長します。でも直ぐにちっちゃくなっちゃうけど 笑。
この時のギスランのセリフがサイコー!!是非とも味わってください。
ちょっと今までにないキャラよ。

本当に素敵.:*・゜な物語です。
二人の愛もステキ(〃∀〃)ゞ❤︎
ラストの、森の中に天蓋付きのベットを出しちゃうなんて、キャーっ(//›ヮ‹//)

ぜひこの素晴らしい世界にあなたも浸ってくださいませ。

最後に…
イラストがね、なんとも大人で魅力的なのよぉ。
ホォッ♡〜٩(´͈︶`͈)۶〜♡

2

いたいけすぎて萌えた

受けのリシャールが可愛いくて可愛いくて、読んでて悶えまくりました。あらすじは他の方が書いてくださっているので省きます。

幼児から少年、赤ちゃんとリシャールの精神状態で姿がポンッて変わるんです。そのタイミングがまた面白かったです。元々は金髪で青い目の麗しい王子なので、赤ちゃんの姿は天使なのです。

魔導師のギスランにとって可愛い弟子が、特別な存在になって行くのも分かる気がしました。リシャールにとってギスランは一目惚れだったと思います。無垢故にギスランに迫るリシャールに萌えました。

動物達や妖精達と話が出来て、初めから魔法の才能もあったリシャールの生い立ちの秘密に納得しました。ドラゴンがリシャールとすんなり契約したのも当たり前でした。

弟の戴冠式の後のパレードを見ていた、赤ちゃんリシャールとギスランのキスシーンにはクスッとなりました。リシャールが小悪魔になって来たというギスランに同意しました。

1

ユニコーンとドラゴンと妖精と魔法使いでしゅ。

父王から義母との不倫を疑われて魔獣の棲む森に捨てられた王子の物語。

優しかった父や家庭教師にも信じてもらえず悲しみの中、せめて死の恐怖を感じないくらい幼い子供になりたいと願い、霊力の宿った樹の魔力で子供の姿になった少年の物語。
思惑とは違い姿は幼くとも精神も記憶もそのままだったのですが…。

小さくなった王子は森で出会った動物やユニコーンの助けで魔法使いの弟子として森で修行することになりました。
魔法使いは見た目は30くらい、実際は250歳の女ったらしで調子よくいい加減なところもあるけれど優しくて実は可愛いもの好きでした。

王子を気に入った魔法使いでしたが、なんとなくいつかはここを出て行くんじゃないかという思いが恋してはいけないと歯止めをかけてしまうので、保護者と幼子の域を出ません。
そして好きなのに受け入れてもらえず苦しむ王子の苦悩。

弟子として修行を積むうち驚きや恐怖でちっちゃくなったり大きくなったりするところがかわいらしかったです。
魔法使いのちっちゃくて可愛いものを愛でたい気持ちと恋人にしたい感情のせめぎあいが面白かったです。

自分を魔獣の棲む森に捨てた王家や国を助けるために立ち上がるところは、それでもやっぱり王となるべく育てられた王子なのだなと思いました。
きっとみんなを守れる強くて優しい魔法使いになることでしょう。

2

大人になることの寓話

それほどたくさん読んでいるわけではないのですが「水無月さんのお話の主人公ってあまり『男』を感じないなぁ」と思います。
っていうか、そういう主人公を据えたお話を私がいたく気に入っています。
『教養小説』と言うか『成長物語』と言うか、それを説教臭くなく、それも楽しく可愛らしく書いてくださる。これが非常に私のツボにはまってしまうのです。『コバルト文庫のあの感じ』とでも言ったら、古の姐さま方には通じるでしょうか……
今作もそんな感じで、大層好みでございます。

リシャールはロンバート王国の第一王子でありながら、魔物の住む森に捨てられてしまうのです。それも身に覚えのない義母である王妃との性的関係という嫌疑の所為で。
身の毛もよだつ方法で魔物に殺されることを恐れたリシャールは、声をかけてくれた老木の精に「恐れを感じないくらい幼くなりたい」と願い、叶えられます。
その後、清らかな心を好むユニコーンに拾われ、森に隠遁する魔導師のギスランの弟子になることに。
ちょっと世を拗ねているようで、女好きで、べたべた甘やかしてはくれないけれど、実は暖かく、優しく、能力が高いギスランにリシャールはどんどん惹かれて行きます。

これだけ書くと「どこかで読んだことがあるなぁ」というお話。
でも、このお話のキモは、幼子に変わったというリシャールの魔法を解いたはずなのに『彼が怯えると何故か幼くなってしまう』というところ。
これ、無意識に自分で自分に魔法をかけているんです。
晩熟のリシャールは恋愛がらみでも、ビビった瞬間に『子ども』に早変わり。
これがね、可笑しくも可愛らしい。

でもねぇ、途中で気づいたんですよ。
これ、私たちが大人になる過程の寓話なんだってことが。
私みたいなおばさんでも、生きることは怖いことの連続です。
「子どもの頃に帰りたい」と思うこともままあります。
でも、それを経験したから味わえる喜びがあることも知っているんです。
リシャールが立ち向かったり、受け入れたりしながら成長していく過程を必死で応援しましたよ。
これが気持ち良いのなんの!

水無月さんが私たちにくれた応援歌のようなお話だと思いました。
若い姐さま方は自分のこととして、薹が立った姐さま方は微笑みながら過去を振り返るために、とても素敵な物語だと思います。

あ、あと、幼子のほっぺたに愛を感じる姐さま方は必読の書です!

3

捨てられた王子の成長と恋



ファンタジー映画のようでした。

<あらすじ>
ロンバート王国第1王子のリシャール(受け)は王妃である継母へ懸想したという冤罪を着せられ、生きては帰れないという魔の森へと捨てられてしまいます。
17歳を前に生きることを諦めたリシャールは、木の精にせめて死の恐怖から逃れられるようにと幼児の姿へと変えてもらうのです。
魔獣に襲われ喰われそうになったリシャールは一角獣に助けられ、彼の主人・魔導師のギスラン(攻め)のもとへ連れていかれます。
ギスランの魔法に感銘を受けたリシャールはギスランに弟子にしてもらもうとするのですが幼すぎるからと断られます。

課題をこなし弟子にしてもらった後、
リシャールが魔法をかけられていることを知ったギスランによって、その願いは解除されますが、リシャールが無意識に自ら魔法をかけているらしく本来の姿に戻りません。それどころか、恐怖を感じるとその度合いに応じて年齢が上下するのです。徐々に自信を取り戻し本来の年齢を戻ったと思ったら、再び恐怖で退行してしまうのです。
この状況がシリアスになりがちな展開を少し軽くしてくれたように思います。
年齢に応じて思考も退行するのも面白いし、きちんと話ているつもりでも「戻ってきましゅ」とか「ここに置いてくだしゃい」とか言葉をうまく操れない姿が可愛すぎます。
一番驚いたのは、ギスランといい雰囲気になったのにギスランのものを見たとたんビビッて赤子まで退行してしまったときです。
目の前の少年が赤ちゃんになってしまったギスランの気持ちや如何に・・・
最後のラスボスとの戦いでもそれは発揮されてしまい、感動のシーンがちょっと楽しいシーンになったような気がします。

幼児(中身は16歳としても見かけが)へのキス(濃厚なやつ)のシーンも何度かあるので苦手な方はお気を付けください。

ただ、リシャールの告白後もはじめギスランが受け入れられないと思うのは年齢差やらなんやらでわからないでもないのですが、リシャールが悲しむのがわかっていて女性のところへ行くのはなんとかならなかったのかと思いました。
これさえなければ、神評価にしたんですが・・・

1人前になるための冒険をこなし2人がやっと恋仲になった頃、火山噴火や戦争の匂いがしたりとロンバート王国の周辺がきな臭くなってきてしまいます。

この話は王族が魔法使いを自分たちの都合で使い捨てした結果の悲劇でした。
その怨念が悪魔を呼び寄せ、複数の国を巻き込んだ騒ぎになったことは間違いありません。
リシャールの困難のきっかけとなった継母の王妃も、初めはちゃんと継子を愛そうと思っていたのに、自分が愛されないと思い込み絶望してしまわなければ、こんなことにならなかったと思うと本当に切ないです。

とはいえ、一角獣や妖精、ペガサスなどがでてくるし、ドラゴンに乗って戦ったり、とイラストの美麗さもあいまって、どこかのアニメ映画のようでした。

孤独だったギスランが残りの長い生涯を一緒に生きていける相手が見つかって本当に良かったと思いました。

冒険あり恋あり成長あり戦いありのとても素敵なお話だったと思います。


電子特典のSS
「麗しき弟子と魔導師さま」

全てがおわり、弟が王位について数ヶ月。
ロンバート王国は騒ぎは収まったとはい課題は山ほどあります。
魔導師の弟子でいることを決めたリシャールも会議に出席していました。
長い長い会議のあと、まだリシャールを
王に推す弟や家臣達に何かあれば直ぐに駆けつけるからと帰っていきます。

もう帰ってこないかもと弱気になっていた(妖精たちによる告げ口)ギスランと重責を弟に押し付ける形になっても早くギスランの所に帰りたかったと語るリシャールのちょっと立場が逆転した二人が良かったです。

3

もちもちぷりぷり赤子

表紙買い。とんでも話を書かれる印象の水無月先生でしたが、今回は割合王道ではないかと思います。魔法、妖精、ユニコーン、ドラゴンありの超ファンタジーなお話、「本編270P超+先生のあとがき」です。攻め受けの様子が軽妙でクスっと笑えるし、国の興亡話でドキドキするし、受けの凛々しさが好きだったので萌2にしました。

お話はロンバート王国第一王子であるリシャールが継母に言い寄った疑いにより、魔獣の巣窟である樹海に追放されるシーンから始まります。森の中に放置され、一人涙していたら、哀れに思ったのか背後の古い木が何か願いを叶えてあげようかと申し出てくれたため、「死の恐怖を感じないくらい幼くなりたい」と願い・・・と続きます。そしてちっちゃくなるんですが、それがもう可愛くて♡たどたどしい言葉遣いが好きな方にはたまんないかも。

攻め受け以外の登場人物はサブキャラいっぱい。攻めさんの家にいる妖精二人(♂♀)、黒猫、犬、一角獣、ドラゴン等。あと受けさんの父親(現王)、継母、弟、臣下のものなど。人外のものはみんな役割があって、映画を観ているようです。yoco先生が1枚リシャールと妖精(♀)を描いてくださっていて、おおうティン〇ーベル・・と感動でした。妖精好き。

**以下は楽しかった軽妙な雰囲気等について

リシャールが赤ん坊~2、3歳?~8歳、10歳~17歳など大きさ七変化なんです。幼くなった時は「僕を弟子にしてくだしゃい」「お願いでしゅ」と舌足らずなしゃべり方だし、攻めが「ふっわふわのすべすべー♡」などと嬉しそうに幼いリシャールを可愛がる(性的な意味はない)ものですから、こっちもニマニマです。赤ちゃんの可愛さって格別♡大きさが色々変わるのがとても楽しかったです。

びびり故に大きさが変わるリシャールですが、なんとか攻めの家に置いてもらおうと「はじめての魔法、ワン・ツー・スリー」(笑)を読んで試行錯誤してみたり、与えられた試練をこなすべくドラゴンの鱗をもらいに行こうとしたり、前向き頑張り屋さんなのも嬉しかったですし、とどめは国の事を思う王族たるべき王子であったことも大変嬉しかったです!いいわ。やっぱこうでなきゃ。

リシャールの性格が好きだったところと、「オレのために命を惜しめ」と心配しながらも試練に向かう受けの背中をちゃんと押す攻めさんがカッコよかったでした。王道ファンタジー万歳です。

2

色々な意味で、すごく可愛い。

タイトルとyocoさんの素敵表紙につられて購入。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






主人公は16歳のリシャール。
ほぼ彼視点でストーリーは展開していきます。

継母との関係を実父に疑われ、牢に入れられ、挙句の果てに魔物が住むと言われる樹海に捨てられることに。
もちろん継母と関係を持ったことはない。なのに今まで信頼してきた周囲の人にも信じてもらえず、そして死を待つばかりのリシャール。そんな彼に声をかけてきた「もの」が。その声の持ち主は、長い時間、その森で生きてきた木の精霊。捨てられたリシャールを気の毒に思ったその精霊は、リシャールの最後の願いを叶えてあげるという。

その精霊の思いに応えてリシャールが望んだものは「死ぬことが怖くないくらい、小さな子どもに戻ること」。

あっという間に幼児になったリシャールは、その森にすむ小動物たちと遊んだり食べ物をもらって楽しく過ごすが、一匹の魔物に襲われ…。

というお話。

魔物からリシャールを助けてくれたのは一頭のユニコーン。
リシャールの澄んだ心を気に入ったそのユニコーンは自分の主人が住む家に連れていってくれますが、その主人が、イケメンの魔導師のギスラン(攻め)。

親から捨てられ帰る場所がなくなってしまったリシャールは、ギスランに頼み込んで魔導師(魔法使い)になろうとする。

魔法使いや妖精、ユニコーンがこれでもかと登場する、ファンタジー要素満載のお話でした。

リシャールが捨てられた理由。
リシャールが初めからそこそこ魔法を使いこなすことが出来た理由。
長い年月、一人ぼっちで暮らしているギスランの過去。

そういったものを軸にストーリーは展開していきますが、この作品の大きなキモは、

恐怖を感じると、リシャールが幼児になってしまうこと。

なんです。

魔法使いになる特訓をしているとき、あるいはゾンビや魔物に襲われたとき。
そして、ギスランと良い感じになって、ギスランのおっきな息子さんを見たとき(このシーンが爆笑☆)。

様々な「恐怖」がリシャールを襲うのですがそのたびにちびちゃんになってしまう。

これがさ、
めっちゃ、

可愛い…!

怖さの度合いに応じて幼児化も進みます。
怖さが大きい時ほど、小さくなってしまう。
口調も「そうでしゅ」になっちゃうとか…!可愛いが過ぎる…!

もうすぐ17歳、というもともとのリシャールも可愛いのですが、ちびちゃんになってしまったリシャールもすっごく可愛い。ビジュアルも可愛いのですが、リシャールの本質がとにかく可愛い。素直で、まっすぐで、相手を傷つけることを良しとしない。そんなリシャールのまっすぐさと可愛さにギスランが少しずつほだされていく過程に激萌えしました。

そして一方のギスランも。

有能な魔導師で、ビジュアルも最高。
そんな彼が、家族も作らず、動物たちに囲まれて一人で暮らしている。

と書くと、物静かで大人な男性をイメージしがちかと思うのですが、このギスランという男性は品行方正なだけではない。

色々な女性と関係を持ったりするし、家事や片づけは苦手だし、ちゃっかりしている部分もある。
が、そんなところが、彼の魅力の一つでもある。

さらに、見た目が気に入れば誰彼構わず関係を持ってしまう倫理観の低さでありながら、リシャールの「これから」を思って手を出さない。はじめは仕方なく赤ちゃんのリシャールの世話をするようになったギスランですが、リシャールのことを本当に大切に想っているからこその大人の分別に萌えが滾りました。

恐怖心を感じると幼児化してしまうリシャールですが、リシャールのギスランへの想いが強いせいか身体の接触はそれなりにあります。キスくらいではありますが。

合法ショタ、って言っていいんじゃないですかね。
でも見た目は完全に子どもなので、そんな子どもに手を出すのはちょっと…、と思う方は微妙な気持ちになるかもしれません。が、本当に身体が幼児化している時はセックスはしないですし(当たり前)、早く大人の身体に戻れ~、と念じるギスランが、なんか可愛かった。

リシャールが家から追放された理由も後半で描かれていますし、その過程で彼の出生の秘密や亡き母の遺品の謎も解けていくので、ストーリー自体非常に面白かった。

恐怖心を感じると幼児化してしまう。
見た目もですが、リシャールは優しいがゆえに中身も子どもっぽいところがあった。

そんなリシャールが、ギスランの手を借り、ドラゴンの協力を得て、そして成長していく。

育成ものでもあり、ファンタジーものでもあり、恋愛ものでもあり。
数多くのバックボーンを抱えながら、それらがうまくミックスされている。さすがベテラン作家さまだなという構成力抜群の1冊でした。

そして特筆すべきはyocoさんの挿絵。

yocoさんの描く動物たちも、イケメン魔導師ギスランも、ちびちゃんのリシャールも大人のビジュアルのリシャールも。

とにかく素敵。yocoさんの挿絵で、萌え度は確実に上がりました。

そして表紙。
読後にじっくり見直すと、その素晴らしさが分かります。

色々な意味で、非常に可愛らしく、そして面白い作品でした。

14

この作品が収納されている本棚

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