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ネタバレする前に、
兄弟モノがお好きな方は
新しい切り口を楽しんで頂けると思います!
三角関係がお好きな方は
十二分に苦しんで頂けると私は思います(笑)
さて、ネタバレ行きます!
兄弟、と言うよりもほとんど三角関係のお話と言っても過言では無いと思います。
兄弟の話は他のお姉様方にお願いするとして、私は式見君という第二の、いえ…
もう一人の攻め君
についてちょっぴり語りたいと思います。
私は彼を当て馬、などという枠には絶対に入れるべきでない存在だと感じました。
当て馬とは、グーグル先生によると
『優勢な者を牽制する目的で推し立てられた者』
いやいやいやいや!!
そんなポイと投げて寄越されたような存在では全くないんですよ!
優しくて、心が強くて、愛する者の全てを受け止められるような広く深い心を持っている彼に受け君は、硬く歪んでしまった心を解きほぐされ、お尻の穴も使い物になるよう、しっっかりと蕩かしてもらうのです…。
そうして最後には、潔がよすぎる程にあっけなく、最後まで本当に優しいまま、男らしく受け君から離れていきます。
切なくて仕方がなかったです…。
牽制するどころか、お兄さんには弟君を守る為の忠告を与えて、弟君の心を包み支えて、下半身の開発までしてあげてるんですよ!?
めっちゃくちゃいい人じゃん…!!
お名前は槐(えんじゅ)君。
なになに、えんじゅは、幸福を呼ぶ縁起の良い木…
彼は天使にちがいない!!!!
私は式見君に感情移入しそうになるたびに
兄弟の定理だから…
兄弟がメインなんだから…
希望をもってはだめよ…
と自分に強く言い聞かせながら読んでいました。
辛い終わりを迎えた彼ですが、縋る思いで先生のあとがきを拝見したところ、式見君のお話を書いて下さる予定だとか…
ヤッッッターーー!!!
普通の兄弟ものでは決してないので、ぜひ沢山の方に読んで頂きたいです。
式見君の事ばかりお話ししましたが、一度は分裂しそうになった二人の兄弟が最後にはしっかりと再結合出来たことを本当に嬉しく思っていますよ(笑)
さあ、次は式見君が幸せになれる日を待ち望む事に致しましょう!
作家買い。さらに笠井さんが挿絵を描かれていると知って、発売されるのを心待ちにしていました。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公はスタントマンの要斗。
表紙の、向かって右側の黒髪の男の子です。
彼には医師の兄・聰一郎がいるが、要斗は子どものころからずっと聰一郎のことが好きだった。けれど、兄弟という禁忌に耐え切れず、想いに蓋をして生きてきた。
要斗がスタントマンになったのは、仕事で怪我をすれば、兄に診てもらえるから。
だから、時に生死にかかわる怪我をしても、兄に仕事を辞めるように言われても、スタントマンを辞めることが出来ない。
そんなある日、仕事仲間でもある人気俳優の式見に告白され…。
というお話。
「兄弟」である、という枠が、この作品のキモになっています。
早々に、要斗と聰一郎が、両片想いだというのは透けて見えてくる。
けれどお互いに恋愛感情はあるものの、「兄弟」という枷が彼らを縛る。
が、見た目、性格共に全く似ていない彼らは、本当に血を分けた兄弟なのか…?という部分も見え隠れしている。本当の兄弟ではないのかもしれない、という展開がこの作品の奥行きを広くしているように思えてなりません。
美しいビジュアルに、医師として優秀な聰一郎。
完璧に見える彼の内に隠した孤独と、その孤独を増幅させ、けれど癒しもしてくれた「弟」である要斗の存在。
要斗だけではなく、聰一郎のほうも「兄弟」という枷に縛られている。
血の繋がりが全てではない。
けれど、兄弟、そして家族という枠も捨てられない。
そんな彼らの葛藤に、めっちゃ萌えます。
彼らを引っ掻き回す当て馬くんとしてストーリーを引っ張るのは、要斗に告白してきた式見。
彼の要斗への想いは紛れもなく本物ではあるのですが、若干歪んでいる。
要斗に快楽を与え続ける、といった展開なので、エロ度は高め。玩具や手錠を使って攻め抜く描写はかなりエロいです。
でも、式見が要斗に触りこそするものの挿入まで至らないのは、彼の要斗への深い愛情ゆえ、なので、これもまた萌える。
挿入こそないですが、性的な接触はそれなりに多いので、攻めさん以外との絡みが苦手な方は若干注意が必要かもです。
要斗と聰一郎。
彼らが選ぶ道は、「家族」か「恋人」か。
彼らが自身に課した枷を少しずつ外し、そして恋人同士へと変化していくさまに、激しく萌えました。
名前の呼び方とか、ちょっとしたしぐさとか。
そういったところで彼らの感情の機微が読み取れるところはさすが沙野さんといったところか。そういった細やかなところもぜひ注目していただきたいです。
それと。
笠井さんの挿絵が、
めっちゃ神。
とにかく美しい。
けれどそれだけではなく、彼らの性格なんかも表情とかしぐさから読み取れるんだよな…。
で、ですよ。
tnkの修正が、ちょっと甘くないかい…?
エロい。
エロ過ぎる…!
大変美味しゅういただきました☆
すっっっごく面白かったですね!
もう最初からグッと引き込まれるストーリー運びで、ページをめくる手を止める事が出来ませんでした。
私は元々兄弟ものが好きで、攻めは弟で超執着していて欲しいとか妙なこだわりがあるのです。
が、そんな私の固定概念を軽く吹っ飛ばすと言うか、全然兄弟ものとしては好みの設定では無いはずなのに、圧倒的なパワーで読ませてくれると言うか。
兄弟ものはたくさん読んでるのですが、これまでに無い予想外のストーリーがとにかく圧巻でした。
内容ですが、医者で一人だけ血の繋がらない兄・聰一郎×スタントマンの弟・要斗による超拗らせの兄弟ものです。
兄に想いを寄せる要斗と、弟に愛憎入り混じる複雑な気持ちを抱く聰一郎。
俳優である式見が要斗に近付いた事により、二人の危うい均衡が崩れ始めー・・・と言うものです。
で、とにかく要斗の健気過ぎる想いが切ないのです。
要斗がスタントの仕事をする理由ですが、怪我をすれば兄に診てもらえるから-。
が、実の所、診てもらえると言う単純な理由だけでは無く、なんとしても家族の絆を無くしたくないと言う強い思いからなんですね。
要斗が怪我をして兄が面倒を見る事で、父が聰一郎を頼りにして二人の絆が深まるのです。
兄の聰一郎ですが、家族の中で一人だけ血が繋がってないのです。
その事に強い孤独を感じている聰一郎ですが、要斗の面倒を見る事で「長男」として頼りされ、家族の一員としての自信を持てる-。
そんな聰一郎の気持ちに気付いた要斗が、自身が不自然でなく怪我を出来るスタントの仕事を続けるようになった・・・。
聰一郎の要斗への思いは愛憎入り混じる複雑なものです。
弟としての愛しさも確かにあるのに、両親の特質を間違いなく受け継ぐ彼に妬みも抱いてしまう・・・。
なんかもう、聰一郎に実際会えばワガママばかりの態度をとりながら、ひたすら一途に兄弟としての絆が切れないよう願い続ける要斗が切なくて切なくて。
で、そんな二人のギリギリで保たれてる均衡を、危うくするのが俳優の式見。
彼はその鋭い観察眼で、要斗の兄への許されない想いに気付きます。
で、それを脅しのネタにして要斗に手を出す-。
最初は、要斗をどんどん追い詰めてゆく式見に、腹が立って腹が立って!!
が、読み進めるうちに、彼は彼で本当に要斗の事を思っているのだろうと分かってくるのです。
散々要斗を(エロ方面で)いたぶってはいるのですが、決して最後まではしないんですよね。彼は。
実のところ、彼の事は読み終わった今でも理解出来ない部分があるのですが。
式見の登場により、要斗を性的対象として意識し始める聰一郎。
そして、兄弟としての「枠」を外れてゆく事に、ひどく追い詰められてゆく要斗。
要斗にとっては兄弟と言う絆は絶対的なもので、それを無くした時に二人の繋がりは切れてしまうと言う強い焦りがあるのです。
このへんの要斗の心情なんかがとても深く掘り下げられてまして。
もう読みながら痛くて痛くて仕方ないのです。
で、答えを探してひたすらもがき苦しむ二人-。
この後、二人の出す結論はぜひ読んで確かめていただきたいのですが!!
まぁ個人的には、そこに戻るんだと驚く結末。
しかし、二人がもがき苦しんだ分、この結末に心を打たれました。
いやもう、私の知ってる兄弟もののセオリーを軽く超えてくる物語。
圧巻でした。
シリーズ三冊一気読み。まとめて読書メモ。
どちらかというと、絵師買い。笠井先生の絵が綺麗。
シーリズでも、下記の通り登場人物は全部別。
展開傾向と絵師が同じであるだけ。
挿絵が内容を盛り上げて、ドラマチック。
何れも二人の間に第三が入る三つ巴。
①兄弟の定理 :2018/11/10 津向總一郎,32歳x津向要斗,26歳
⓶天使の定理 :2021/03/10 貞野弦宇,27歳,x式見 槐,29歳
③隷属の定理 :2022/08/10 乃木映爾,40歳,x瀬戸佳槻,30歳,
まず最初に感想を一言で。
「沙野風結子さんの本はとても頭を使う」。
「まぁ、いいじゃないの。そんな感じで」という曖昧なまま、緩くまとまってしまうことを許さない。
登場人物達がとても潔癖だと思うのですよ、いつも。
いや、行為はいつもぶっ飛んでいらっしゃるのですけれど(毎回、異なる濡れ場を考えてくださって、その工夫に感心いたします。こっそり『当代一のエロティック・チャレンジャー』と呼び、尊敬の念を抱いております)心がそうじゃないんですよ。
納得のいかないことを許さない。
なので、どんなことをしていても、沙野さんの物語の中で生きる人たちは、とても高潔で品がある。
そして、大変知的だと思います。
だから、考えてしまうのです。
「どうすれば彼らが最善の道を歩めるのか」について。
あまり良くない頭をフル回転させて読みましたとも!
愛情には色々な形があります。
人と人との関わりが様々ですから当然のことですよね。
で、私たちはそれを『家族愛』であるとか『友情』であるとか『同志愛(こんな言葉あるのかしら?イメージで理解して欲しい)』であるとか『恋愛』であるとか、便宜上、分けて言葉にしています。
でも、これ、デジタルで分けられるものではないですよね?
人の感情ですもの、かなりグレーな部分があって当然だと思うのです。
相手に肉欲を感じてしまったことで「これは恋愛だ」と自覚するというシチュエーションは、今までも何度も読みました。
でも、恋愛をしてはいけないモラルの縛りがあって、それを背徳的な喜びと感じられない場合は「どうすりゃいいのさ」ということなんです。
この部分にここまで真摯に向き合った物語を読んだのは、私、多分初めてじゃないかな。
相手を好きになるというのは、それまでの経験から好きになる訳ですよね。
だから、今までの全てを『なかったこと』にはできない。
いやー、こりゃ大変だわ。
「力業で解決するのかなぁ。でも、それって沙野さんっぽくない」と思いつつ、後半部分をかなりドキドキしながら読み進めたのですが……
美しい。
幼い要斗が守ろうとしてきた聰一郎の『ある表情』で終わる、見事な終焉。
エロチャレンジャーにしてモラリストという沙野さんの面目躍如を、またしても見せつけられました。
自分の力量以上に頭を使ってしまったので、萌えている余力がなかったため、評価は『萌×2』ですが、ゾクゾクするほど知的なスリリングさを感じさせていただきました。
読んだ方がいいよ、この本!
ここから蛇足です。
『観察するに値する対象が好き』という当て馬さん(名前が槐というのですけれど、意味深だよねぇ……)が出てくるのですが、この人が大層面白い。
徹底した観察眼を持つ槐には『あばたもえくぼ』はあり得ない訳ですよね。
でも『恋は盲目』のはず。
ある意味『最も恋から遠い男』である彼の作品も書いてくださるとのこと。
「うわー、とってもとっても楽しみ」としか言えません。
また、知的な冒険に引き込んでくださりそうな期待にわくわく、わくわく。