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こじらせまくった長い長い恋の話

kojirasemakutta nagai nagai koi no hanashi

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表題作こじらせまくった長い長い恋の話

宇喜多義春、大地主の次男坊で予備校講師、27
入江学、男子校教師で宇喜多とは10年来の親友、27

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

親友の宇喜多に口説かれ続けている教師の入江。男同士なんて不毛だと躱してきたけれど、キスされ押し倒されて本気を思い知らされ…。

作品情報

作品名
こじらせまくった長い長い恋の話
著者
水無月さらら 
イラスト
マミタ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829626559
2.5

(10)

(0)

萌々

(2)

(3)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
4
得点
20
評価数
10
平均
2.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

モダモダ、ジレジレと進む恋

作家買い。

水無月さん作品て執着攻めって多い気がしますが、この作品の攻めさんも相当な執着攻めさんです。タイトル通り、「こじらせまくった」「長い長い」片想い、のお話。







主人公は高校教師の入江。
綺麗なビジュアルを持つ彼には、宇喜多という高校時代からの親友がいる。入江は「男同士」の恋愛を受け入れることはできずにいるけれど、宇喜多はずっとずっと入江一筋。常に愛をささやき、彼の全ては入江のために存在している。

その想いに便乗する形で、入江は宇喜多を良いように使うことも多い。

そして宇喜多は、入江のためなら何でもする健気さん。
自分の想いが通じずとも、入江に傅き、彼のためなら何でもできる。

と書くと、横柄で傲慢な入江(受けさん)と、健気なわんこな攻めさん、といった構図が思い浮かぶかもしれませんが、彼らの内面は全く異なる。

ハプニングに弱く、常識から外れることを良しとしない小心者の入江と、入江に良いように動かされているように見えて、実は手のひらで入江を転がし続けてきた宇喜多、というのが正しい構図である。

入江に好意を持つ人物(それが男だろうと女だろうと)に対しては威嚇し、時には自分に好意を寄せるよう画策し、すべて追い払ってきた、という過去がある。しかも現在進行形。

一途な攻めさんであることは間違いないのだけれど、わんこというよりは狼、だと思われる。

そんな宇喜多に惚れられてしまった入江くん。
「宇喜多は自分に惚れているから」と思っているのは彼だけで、実は宇喜多の思うように動かされていることに気づかない、ちょっと天然くんでもある。

めっちゃ可愛い設定でツボではあるのですが、個人的に入江くんがいまいちツボに入らず。

お酒で失敗すること多数。けれど断酒することはせず。
自分に向けられる好意に無頓着。
宇喜多に対する扱いが粗雑。

天然、を通り越して、ただのアホな子、に見えてしまうからかも。

彼のことが可愛いと思えるか否かで、この作品の評価は変わる気がしました。

宇喜多くんのほうはまごう事なきスパダリさん。
イケメンで、お金持ちの御曹司で。彼のそういったバックボーンがあって、初めて入江くんへの執着心を賄うことが出来たのだと思うのです。

宇喜多くんは予備校教師。
そして入江くんは高校教師。

という事で、彼らと関わる人物たちは高校生がメインなのですが、その「高校生」が、入江くんと宇喜多くんの気持ちを代弁し、そして彼らの行動を通して、入江くんは男同士であるという禁忌を乗り越え、そして、自分の気持ちに素直になる。

高校生たちを介して、「恋」をし直し、成長している、と感じました。

その手法が、非常にお上手で惹きつけられました。

宇喜多くんは常に入江くんとあんなことやこんなことをしたいと願ってはいますが、でも、入江くんの気持ちを最優先にしている。そのため、濡れ場はあまり多くありません。

が、その分、思いが通じてのセックスシーンはエロくて、優しくて、そして温かかった。
入江を大切にしたい。
そんな宇喜多くんの愛情に満ち溢れているのです。

途中、入江くんが女性を抱こうとするシーンがあります(最後までは致してないですし、そこまで濃い描写もありませんが)。女性との絡みが苦手な方は、ちょっと注意が必要かもです。

この作品は入江くんが宇喜多くんの愛情を受け入れるか否か、ではなく、入江くんが自分の感情に気づけるか否か、がメインに据えられている作品なので、モダモダ、ジレジレする内容です。

主人公たちは27歳という良い大人ではありますが、彼らがなぞっているのは高校生のような、青く、若い恋。

甘酸っぱい恋を、どうぞ満喫してください。

6

可愛かった

表紙に惹かれて購入。攻めがいじらしくて可愛くて萌2より萌。さすが水無月先生、おそるおそる手に取ってみましたが、わーおという箇所のあるお話でした。高校時代の同級生の10年?こじらせ恋話で、本編240P+あとがきです。小説charaに2003年に掲載した作品で、思い入れあったため今回大幅加筆したとのこと。女性が受けに絡んでくるのと、女性関係でわーおなシーンある為、BL読み始めたばかり★というようなフレッシュな方にはあんまりおススメしにくいと思いました。

付き合っていた彼女にプロポーズした入江。受け入れてもらった安堵感か、いつも行く店に彼女を連れて行って酔っぱらってしまい、うーんと考えた末に高校時代からの友人、宇喜多に電話して彼女を紹介しようと思いつき・・・と始まります。(ここ読んだ時は「どうしてくれよう、このくそ甘ったれぼんぼん」と思いましたww)一旦OKもらってたはずなのに、結局その話は無かったことになり、またもやその店でバーテンさんに愚痴っていたら、ぼうふらのように宇喜多が湧いて出てきて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
バーテンさん(実は宇喜多の教え子)、受けさんの元婚約者、攻めさんの知り合いのセックスボランティア(♀、ある意味素晴らしい)、受けさんの教え子(高校生)等々。

**好きだった箇所

遊び人風であり、威圧感あるようなところもあり、資金的にも問題ないようで、我が道まっしぐらという感じの宇喜多ですが、入江が好きで好きでどうしようもないというように感じられて、きゅんとしたんです。途中、手に足を乗せ、指一本一本にキスをするという記載があるのですが、長い間求め待ち焦がれていた思いがこもっているような気がして、ここもきゅーん。その表情が一番最後の挿絵にも表れていて超キューン。可愛い・・健気だ・・

受けさんが長らく抵抗していたのは、どちらかというと理解できるので(すんなり男性好きとなる方が違和感ある)、この二人のグダグダには納得感ありました。最後の方、宇喜多の予備校生たちの前での会話(入江美人説+ウッキー可哀想説等々)で、入江が吹っ切れた様子だったのがめちゃ嬉しかったです。そこが効いたからか読後感は嬉しく楽しいものでした。
同級生の期間長いぐだぐだ話をお好きな方でしたら是非。

1

作者さんの感覚について行けませんでした

こちら、タイトル通り、拗らせた長い長い恋物語です。

元々、10年愛と言うのが大好きでして!
いい年した男二人がずっとモダモダやってるのに、個人的にめちゃくちゃ滾るのです。
あと、無防備な受けに煽られまくりながらも懸命に手を出すのを我慢してたりだとか、周囲を牽制しまくり、影で色々画策したりだとか。
受けを好きで好きでたまらない攻めが、涙ぐましい努力を重ねてるのに萌えて仕方なかったりするのです。

で、こちら、設定だけで言うと大変好みなのです。
10年もの間、冗談に紛らせながらも、ずっと口説き続けている攻め・宇喜多に、ノンケでごくごく常識人の為、彼の求愛を断り続けてきた受けの入江。

自身が欲望の対象となってる事を自覚せず、攻めの前で散々無防備な姿をさらしちゃう受けにニヤニヤし、攻めが裏で、受けに近付く不届き者を蹴散らしてるのに、これまたニヤニヤする。

あと、入江がノンケの為、これまでは意識的に宇喜多の想いと言うものをスルーしてたんですよね。
が、しびれを切らした宇喜多から強引に触れられる言う出来事を境に、初めて自身の気持ちや「男も恋愛対象となりうる」と言う事実を意識する。
そしてオロオロする。
何ともたまらないです。
こういう、恋愛をひたすらじっくり書いてある部分なんかはとっても面白く読めました。

が、これはちょっと根本的な所になるのですが、主役二人の感覚自体が違和感を覚えると言うか、感情の動きや変化についていけないのです。
何だろうな・・・。

そもそも入江ですが、彼は27歳の高校教師。
いい大人です。
が、やってる事が非常に幼稚と言いますか・・・。
酒に弱いくせにいつも酔っぱらっては宇喜多に介抱させみたいな、好意に胡座をかいた態度が鼻につくんですよ。
考え方や行動自体も、浅はかさが目立つし。視野が凄く狭い印象と言うか。
で、やたら大げさな反応なんかがギャグみたい。
これ、高校生とかなら違和感無いと思うんですけど。

こういう10年愛ものって、キャラの人格に深みが欲しいのです。
明るく元気なラブコメなら入江みたいなキャラが生きると思うのですが、10年にも及ぶ恋愛だと彼のキャラは軽い! 軽すぎる・・・!!
私は受け贔屓ですが、入江に関してはやたらイライラします。
もう少し大人になって欲しいし、思考が(私にとっては)突拍子も無くて感情移入出来ない。
あと、コンビニ店員からバスの乗客、教師の同僚に生徒達、いくら入江が艶っぽい雰囲気を漂わせているからと言って、皆が皆、欲望の眼差しでギラギラみるなんてありえるかい!
明らかに盛りすぎと言うか、不自然過ぎるよ。

それと、これは個人的な感覚になってくると思いますが、なんか登場人物達の言動が古いです。
今どきの27歳は、「フレッシュなチェリーボーイ」だと「舌なめずり」しない気がする。
失礼ながら、全体的に漂う雰囲気自体が古臭い。
もうちょっと現代的な感覚で書いて欲しい。

そんなワケで、設定なんかや大筋自体は萌えるのですが、どうにもノリについていけませんでした。
単純に、合わないと言うやつだと思うのですけど。
なんか抽象的で申し訳ないのですが、この「感覚」自体が作者さんと合う方は、とても面白い作品じゃないでしょうか。
私も設定自体はとても好みで素敵だと思ったので。





5

鈍感というよりは…

マミタさんのイラストがあまりにも麗しいし
更には“十年間親友に口説かれ続けている”設定、
つまり受け視点だけど攻めは口説き続けている状態という点に惹かれました。
ところが、受け(になる)の入江は
自分が同性に性的な目で見られることや
攻めの宇喜多の気持ちに鈍感で……。
鈍感というより無神経な印象を持ってしまいました。
そもそも酒に弱いくせにいい年して自分の許容量を把握出来ていないとか
親友という言葉を盾にして宇喜多を呼び出したり
教師のわりにはしっかりしていない気がして
ちょっと序盤から自分の中でわくわくの波がスーッと引いて行ったのです。

それでも高校の頃はまだまだ子どもだったね、と
回想シーンは微笑ましく思えたものの、
いくら自分の気持ちを確かめる為とはいえ宇喜多に女性を呼ばせるって酷くないかな。
そういう事に興奮出来る性癖だったら楽しめたかもしれませんが
生憎そんな気持ちにはなれませんでした。
宇喜多も自分が関係したことのある人で抵抗とか無いのか…。
宇喜多は飄々としていそうで心は入江に一途でも
結構たくさん遊んで来たようなのでいまいち誠実さに欠けるような。
そりゃ、宇喜多ほどの色男は周りが放っておかないでしょうけども。
どうして入江じゃなきゃダメなのか私にはわかりかねました。
でも、入江にキスさせてもらえなくて禁煙した宇喜多は可愛かったです。

長い片想いが実って宇喜多おめでとう!ですが
それはちょっと…というエピソードが色々ありましたので
中立評価とさせていただきます。

3

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