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エキスパートレビューアー2025

女性renachiさん

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計のトラウマと潮のこわいもの

本編の時間軸に沿ってあのころの話と分かるものから、いつでもこんな日々を過ごしてそうに思える何気ない日常話、他にもパロディなど盛りだくさんの一冊。前作「OFF AIR」より少々切なさ成分多めかな。皆お元気そうで何より。

特に好きだったのは「ばらいろポップ」。他のとこでもうっすら見えてはいたけど、潮がいなくなったあの朝が、計のトラウマになっているのがハッキリ分かる。酔って理性を失くしてしまわないと表に出せない計が可愛い。

国江田家の父母二人と潮の交流も好き。なんだか心がほっこりするような。潮は錦戸と絡んでも皆川と絡んでも温かみを感じる。こういう人の特別になれた計って実はめちゃくちゃすごいのでは、と今さらながらというか改めて思った。

最後の書き下ろしは、二回目のお話。計に無視された潮が、素直に怖さや焦りを表に出していて、ちょっと感動した。いつも余裕に見える潮にこわいものができたんだ、となんだか嬉しかった。まだ計が潮にとって未知の存在に近かった頃のお話で、二人の雰囲気に懐かしさを感じた。

本編のさまざまな場面の間にぴったりはまる内容で、空いた時間や人物像が補完されていくようで心地良かった。読み返したい短編が詰まった一冊。

大切に読みたい一冊

かなり満足度の高い総集篇だった。特に「なんにもいらない」は本編に入っていてもおかしくない内容じゃないかな。なんでもない日常の二人からカップルイベントまで、さまざまなお話が読めてとても楽しかった。

「なんにもいらない」は、もちろん国江田家への彼氏紹介が印象的なお話だけど、個人的には病気になったときの潮の様子が心に残っている。本編で潮の過去が語られた際に意外だと思っていた事柄が、こういうキャラなら納得と腑に落ちた。潮というキャラクターの理解が深まった気がして、嬉しかった。

他に気になったのは、竜起と計のバズり写真をぜひ見たい。それから、一巻で辞典が重要な役割を担うことになった裏側、潮視点の掌篇の最後三行がとても良かった。あと『うろたえてはいけない国江田アナ』まとめ動画も見てみたい。

最後の書き下ろしは、静かにじんわり終わらせてくれる感じが良かった。いつからか、計が大口叩くシーンから虚勢を感じなくなった気がする。かといって自信というほどの温度も感じない不思議。

好きなとこだけちょこちょこ読み返して楽しめるし、大切に読みたい一冊。

弱みになり、強みにもなる

シリーズ前二冊を読み、そろそろ計が潮を助けるターンが来て欲しいと思っていたので、希望にぴったりの三巻目だった。潮の背景が思いの外しんどく、潮の中の計の存在の大きさがしっかり分かってとても良かった。

計と潮の仕事も生活も、簡単に奪ってしまえる政治家の親を持つ潮。弱みを握り、圧力をかけて操ろうとする、なんてイメージ通りの汚いやり方。計を人質にされたに等しい潮の苦悩が辛い。ホテルでのお別れ前夜は切なくて泣けた。

初めて語られた潮の生い立ちは、実は複雑だった内面がはっきり見えてくるようで、納得したり意外だったり。唯一頼れる親族である祖母にさえ、学生時代から最低限しか頼らず、心も開かず生きてきた。潮にとっても、計というかオワリとの出会いは奇跡だったのかな。

軟禁に近い状態にあった潮を助ける方法が、計にしかできないやり方で笑った。仕事で培った人脈を使い、人生をかけて被り続けた仮面も利用し、その成果で得た知名度と評判が強迫の材料になる。なるほど、政治家にとって最も怖いものを良く知っている。

お互いがお互いの弱みになり、強みにもなるという、二人が二人でいる理想を見せてくれるシリーズ。これが国江田計に至っては、最強にもなり得るというワクワク感。潮の包容力も群を抜いてるし、何度読んでも楽しめる大好きな作品。

そのままの自分で二人になる

続編では計が嫉妬を覚え、ストーカーのように追いかけていく姿まで見られる。字面で見ると少々怖い気がするが、計に限ってはこれも成長と思えてしまう。潮視点で、その誠実さと包容力を実感できるパートもあり、とても良かった。

計のお仕事中心で見る日常は、計の中で潮の存在があまりに大きくなっていて驚く。竜起とは表面的でない付き合いが続いてるけど、それでも計は潮がいないと、本音を晒して生きていけないだろうことが分かる。

で、ついには仕事に悩んで涙まで見せられるように。潮の前で素直になる行動の一つ一つが計の成長を表しているようで、見守りたい応援したいと思わされる。かと思えば立ち直る瞬間は、全てを圧倒して一人で立っている。さすが国江田計。

潮の寄り添い方も計専用の対応で、計が計でいられる方法を誰よりも分かってる感じが良い。潮視点パートでは、計が半分になってしまったら?という究極の問いへの答えが描かれる。潮の率直な言葉と苦悩する実直さで、魅力的な人柄が見えた。

最後まで計は計で、潮は潮で、そのままの自分で二人になる、という唯一無二の関係性が前巻から変わってなくて嬉しかった。ついでに竜起がカッコ良くなっていたように感じたけど、竜起も竜起で元から頼れるキャラだったのかな。

私にとっては、やっぱりこれが一番の神シリーズ。大好き。

一番好きなBL小説

なんだかんだで、やっぱりこれが一番好きなBL小説。何が刺さったかって、なんといっても計と潮の唯一無二の関係性。計の素直になれないところや、潮の包容力といった魅力はもちろんのこと、二人ともが自立して生きてるとこが好き。

自身のピンチに思わず弱気になった計は潮を頼るが、潮は分かりやすく助けたり支えたり、何かを与えるようなことはしない。それでも計は潮の存在を感じることで自分を取り戻し、一人だけど一人じゃない状態で困難に立ち向かう。

計は差し出されたものを受け取るというより、勝手に奪っているように感じる。必要なら勝手に潮を支えにするし、勝手に精神的な助けにする。潮はそんな計を魅力的だと思っているんじゃないかな、と。

竜起が現れ、ぐらつきながらも計は潮を選ぶ。素を見せられる(家族以外の)唯一の人じゃなくなっても潮が良い、というところまで描かれている完璧さ。カップルとしての今後に何の不安もなく、安心して読み終えられる。コミカルなおまけ掌編も最高。

一番好きで自分の中では神超え作品だけど、エロシーンは苦手。導入部に流れる不自然な空気。やたらと修飾が多くなり、一文のリズムが変わる書き方の癖。一穂作品は毎回そこで躓く。でもそれでも好きな気持ちに変わりなく、何度でも読みたいと思う。

たぶんこの二人が究極の理想形を見せてくれた感動なのかな。大好き。

扱いの差に違和感を覚える

フルール文庫版未読。角川文庫が初読みで、ジャンルとして非BLのつもりで読んだため、BLならこれで良いんだろうけど……とモヤる作品だった。個人的に介護家族と性的少数者の組み合わせを、こういう形で描いて欲しくなかった。

目を覚まさない弟を、誰にも言えない罪悪感もあって、働き盛りに仕事をセーブしてまで介護に励む泉。そんな泉が出会ったのが弟にそっくりの容姿を持つ宗清。宗清は出会ってすぐにゲイだと明かし、つかみどころのない印象。

宗清が性指向を明かすシーンでは、言ってはいけないことや言い替える単語まで指定された性的マイノリティ配慮のコンプライアンスが語られる。
それに対し、意思疎通のできない要介護家族を持つ若者というマイノリティの泉は、追い詰められてもおかしくない言葉を複数人から浴びている。

泉に反発させるでもなく、心理描写で何を言わせるでもなく、他者の無配慮を受け入れさせるのは腹立たしい。ゲイへの無配慮は許さない姿勢が見えるからこそ余計に。

ゲイにのみ寄り添うのもBLならいつものことで、もうそういうジャンルだと思ってる。が、一般で出して両者のマイノリティの扱いに差がある、差を容認しているようだと違和感を覚える。大幅改稿ってどの部分なんだろう。

自分が普通だと思ってる言動で傷付く人もいる、というセリフがある。“傷付く(かもしれない)人”はゲイだけではない、それを忘れてはいないか。

ストーリーは偶然の多さもひっくるめて面白いし、人間の厚みが見える描き方はすごい。とはいえBL中心に読むのは難しく、レーベル的に非BLなのでこんな感想。
こういうテーマにしては作者の思想がぼやけている不思議な作風な気がした。

ラストシーンの一言で神作品になった

よく分からなかった、何が刺さったのか。読後に泣いてしまって、でもその理由が頭では理解できなくて、なんでだろうと不思議。ラストシーンの栫の目覚めは、生誕のようだと思った。何度も読み返したくなる一冊。

現代ものながら設定は盛り盛りだけど、終始静かな雰囲気。嵐の心理描写を中心に、栫という強烈な存在が浮き彫りになっていく。嵐自身は芯がグラ付きすぎで心配になる。とはいえ、こう在らねば栫のそばにはいれないわけで。

栫は生い立ちの複雑さが描かれていたが、あの性質は後天的なものなんだろうか。確かに何かが欠けている印象で、実際に双子の片割れを失っている。でも元より栫の中にあるもので、禄朗がいたとしても、変わるのは表出のされ方だけなんじゃないかと思った。

最後の嵐の決断は、栫を引き受けたとか無償の愛とか、そういった捉え方をされないよう、嵐自身の言葉できっぱり否定していたのが良かった。思われなくても思い続ける、そこに他の誰の意思も、栫でさえも介在させない強さが見えて泣けた。

興味を惹かれたのは、嵐も手伝っていた砂時計屋の仕事。ガラス管から手作りしてる工房なんて、ちょっと憧れる。創作物の設定としても初めて読んだかも。
あと結城が別作品のキャラとは知らずに読んだが、栫が気に入る性格なのは伝わってきた。スピン元?の作品も読んでみたい。

BLとして見ると、恋心は嵐からの一方通行で、栫から何かが返ってきたと感じたのは最後の一言が初めて。嵐は栫が目覚める理由になれたのか、と感慨深い。この一言で、私の中で神作品になった。
伝わらないかもだけど「Hello, world!」と聞こえそうな感動があった。

ほんとにめちゃくちゃ≪Forever≫

相も変わらずラブラブなカップルの日常話。ディックはユウトしか見えていない溺愛ぶりだし、ユウトはディックに見惚れ続ける毎日。そしてしきりに伝わってくるのは、こんな日々が永遠なのだということ。安心できる最終巻でとても良かった。

今回の大きな出来事は、二人で引っ越しを決めることかな。きっかけはディックの嫉妬で、そこから発展したのはディックに趣味を持って欲しいユウトの想いがあってのこと。賃貸だけど、雰囲気的にはここが終の住処になりそうだと思った。

この一連の流れの中でも、最後に収録されている短編でも、この先もずっと一緒にいる決意のようなものがセリフやモノローグからあふれ出している。ここまで来たんだなあと感慨深く、始まりの「DEADLOCK」全三巻を読み返したくなった。

少々気がかりなのは、ロブとヨシュアの不安が取り除かれる結末を見れないまま終わってしまったこと。ロブ推しなのでこれは辛い。問題なく続いていくであろう確信は持てるが、やっぱりこの二人も最後は笑顔であって欲しかったかな。

タイトル通り≪Forever≫を感じられる短編集。幸せすぎてちょっと泣けた。

BLとしては刺さらなかったけど

精神的に追い詰められておかしくなっていく凛の、鬼気迫る心理描写がとても良かった。ヒステリックに愛を乞うシーンは読んでいてしんどいが、そこに愛憎だけでない、歌手としての焦燥が加わり激しくなっていくさまに読み応えがあった。

凛とエリアスの関係は、アーティストとパトロンもしくは不倫夫と囲われる愛人のよう。途中からは凛もエリアスのパートナーの存在を知ったうえで関係を続けており、エリアスに愛を求める姿はただただ痛々しい。

割り切りや弁えもなく正妻の座を欲しがる不倫描写は、切なさが足りず、気持ちが盛り上がらない。次第にヒステリーを起こし始める凛を見ているのもキツい。もう少し歌手としての危機感が深刻になってからヒスってくれると読みやすいと思った。

とはいえ共感できなくても、切羽詰まった様子や心が壊れていくどうしようもなさは伝わってきて、ぐいぐい引き込まれてしまう。主人公が好きになれなくても、BL以外に惹かれる要素があれば楽しく読める。なので前半は面白かった。

二人が別れてからは、エリアスの後悔が見どころなのかな。最初からエリアスは“そういう人”として見てたので、意外というか違和感というか。まさかの攻めザマァな定番オチ。ここまでの描写がすごすぎて、賛否ある尖った終わり方を期待してしまった。

個人的に、エリアスの独特の倫理観を理解して受け入れていた当初の凛が好きだった。貴族として仕事に生きるエリアスのありのままを尊重する愛し方。でも多くの読者はそれに耐えられない凛に共感するわけで、エリアスを変えるしかないんだろう。残念。

凛の人生として見るととても面白かったが、BLとしては刺さらなかったのでこんな感想。ハピエンというより、これから二人で過ごす穏やかな余生の始まりを見た気がした。(電子は挿絵なしで200円値引きしてくれるのも好印象)

二人が急激に成長していくお話

東屋の初登場時の印象が最悪でどうなることかと思ったが、すぐに内面を晒してくれ、読みやすくなった。怜王と東屋がお互いに影響を受け、急激に成長していくお話。本当に急激に人が変わっていく様子に、ちょっとびっくりした。

前半は怜王視点で、見た目から生き方までみるみるうちに変わっていく。かつての仲間と空気が合わなくなっていく描写がリアルで良い。東屋と身体の関係込みの同棲のような関係になったのは、ただただ怜王の頑張りによる感じ。

で、ふとこの二人は付き合ってたっけ?と思ったところで同じように怜王が悩み出し、まあそうだよなあと。なので終わりを決めるまでは納得の展開だったが、何も言わずに消えるのは自己完結の度が過ぎる気がして、怜王の行動が疑問だった。

そこから東屋視点に移ると、今度は怒涛のような反省の数々。正直これはやりすぎに思えるし、あまりに東屋が(書き手に)責められすぎているようで、読んでて辛い。攻めザマァ系や後悔攻め作品でよくある書き方だが、これだと受け優遇に見えてしまう。

東屋へのヘイトが溜まっていれば、後悔する姿を見て溜飲を下げ、ハピエンを応援する、という読者心理を煽る手法。個人的には、東屋がそこまで酷いことをしたとは思えず、ただただ気の毒になってしまった。最初に東屋はそういう人と自己紹介があったし、問題は双方にある。

と、後半はモヤりながら読んだが、お互いが良い方向に変わっていく姿は心に刺さったし、タイトルの「ベターハーフ」ですとんと腑に落ちる感覚があり、読後感は良い。嫌な事件も起こりそうで起こらないので、穏やかに読める。良かった。