高校時代の先輩後輩が大人になって再会、しかも今度は同じ職場の上司と部下になるという、すごい偶然のもとで始まっていくお話。
すばると二戸島は犬猿の仲だったのかな?と思わせるようなあらすじなんですが、
どうやらそんなわけではなさそうだな…?というのが再会したあとのふたりのやり取りから伝わってきます。
表面上ではこの先交わりそうにないくらいふたりの関係は良くないけれどそこからどんな風に恋愛へと発展してくのか、そしてお互いに嫌っているから意見が合わないわけではないその理由がどう明かされるのか?
ふたりが再会を喜んでいないぶん、逆にわくわくした気持ちにさせてくれるようなストーリーだったなと思います。
『王子様キャラ』に隠されたツラい過去や一人きりで抱えてきた苦しみは結構重たくて、歪みきった思考を持つすばるがとても痛々しく映る場面もありましたが。
すべてにおいて一直線な二戸島の単純さに良くも悪くも救われて、苦しみに引っ張られることなく受け止められました。
そして。王子様の仮面を外したすばるの清々しいほどのドSっぷりもめちゃくちゃ良かった…!
精神的バリタチなのにガッツリ受なセックスシーン、最高でした。
不思議な雰囲気のハコイチさんがすごく良かったです。
ビジュアルも振る舞いもパンチがきいているのに、でも中身はほんわか癒し系っぽいキャラなのがツボすぎる…!
そして主人公である小菅がクズすぎるのもあって、人間としての格の違いをナチュラルに見せつけてくる感じがめちゃくちゃ好きでした。
ふたりの距離が近付けば近づくほどにハコイチさんの傷が暴かれていく、その単純なようでとても繊細なストーリーに釘付け。
気持ちが交わる"だけではない"恋を存分に楽しませてもらいました。
不器用な優しさを裏付ける切ない過去のエピソードもめちゃくちゃ良かった…!
ただ主人公である小菅のことがどうしても好きになれなくて、話が進んでいくほど苦い気持ちに。
借金も大学のことも未来への不安もすべては自分で蒔いた種なのだと気付いているのに、それでも逃げる選択をしたのが残念すぎて…。
最終的には丸くおさまるけれども最後まで彼のことは好きになれないままで、なんだかモヤっとしてしまったのでした。
他にもたくさんキャラが出てきますが、こちらスピンオフはないのでしょうかね?
個人的には花村さんと逆井の関係がめちゃくちゃ気になりました。
新聞社シリーズ4作目。
ボリューム的にはそうでもなく読みやすいページ数だったのだけど、
このシリーズのどれよりも重たいテーマで本の厚さの倍くらいの読み応えがありました。
お仕事BLとしての一面と、心の奥を暴いていくような展開が本当にすごい。めちゃくちゃ引き込まれました。
冬悟と望、どちらの気持ちを考えても辛い部分がたくさんあるので
さくさく読み進めるには苦しいところもあります。
何も知らされないまま望とはもう二度と会えないと知った冬悟の独白がもう…
ツラくて悲しくて胸が締め付けられました。
でもその苦しみも込みでいいところに辿り着くその着地点が素晴らしすぎます。
BLだけど『BL』と一括りにはできないストーリーだなと感じて、一穂先生の作品やっぱり好きだなぁ。と改めて思ったのでした。
「off you go」で何度か名前が出ていた西口が今作のメイン。
政治部記者の彼と国会速記者の碧とのお話でした。
お互いに相手の存在を認識していて、深く関わり合う前から意識もしていた西口と碧。
これまでは接点が無かったから交わることなくいたけれど、ひょんなことから話すようになって距離が近づいていくなかで
最初はうっすら見えていただけだった好意が少しずつ濃度を増していく様子がたまらなく良かったです。
彼らの日常はその職業柄ごくありふれたソレとは少し違うけれども、でもふたりの関係において劇的な何かが起こるわけではないので、
ふたりなりの"何気ない日常"の中で積み重ねられていく想いが尚更尊く感じられた気がしました。
明確な理由やドラマチックな始まり方ではないからこそ、ふたりの恋は輝いて見えたのかもしれません。
そして。恥ずかしながら「速記者」という職業を私はこの作品で初めて知りまして。
新しい知識を与えてもらいながらしっかりBL展開も楽しませてもらえるという、2倍の美味しさを味わえたのも嬉しかったです。
前作で恋人として良いところに着地した大我とリオン。
そんな彼らの"その後"が見れるなんて大歓喜…!
大我の熱量の低さは相変わらずだしリオンに対してもちょいちょい塩気味だけれど、
そのわかりにくい言動の中にたっぷり愛を含んでいることを前作で教えてくれていたので、
今作での彼らのやり取りもただただ微笑ましく見守ることができました。
大我の友達やリオンの職場の先輩など新キャラが登場してちょっぴり賑やかになりますが、ストーリーはすごく穏やか。
前作のような切なくて苦しいシーンはなく、そんなところからもふたりのお付き合いが順調なのが伝わってきてほっこり。
何より、リオンが元気いっぱいになっていたのが本当に嬉しかったです。
大我の愛をまっすぐに受け取って(わかりにくいけど笑)少しずつ本来の姿を取り戻していったのだな…と、なんだかジーンとしてしまったのでした。
これからもふたりは自分たちなりの幸せを求めながら、穏やかに日々を重ねていくのでしょうね。
そんな未来までもが見えるようでした。
大きな波やドラマは無かったけれど、ふんわり心があたたまるようなとても素敵な続編でした。
『ドラマ』でのあのラストから、
6年経った日々を描いたお話。
お互いに強く想い合っていたけれど、
一緒に居る選択をせずに別離の道を歩んだふたり。
そして6年という月日を経て再会、胸熱展開に高まる期待…!そんな気持ちで読み進めました。
ですが、その再会から幸せ一色な流れにはならず…。
でもそこが本当にふたりらしいな。と、しみじみ。
回りくどくてめんどくさい、でもそこがすっごく良いんです。
ぐちゃぐちゃに絡まるほどにそれぞれの愛を感じるんです。
裕次も拓人もありのままの自分でまっすぐに相手を想っているのが伝わってきて、引き込まれずにはいられませんでした。
海の言葉を受け取った拓人の、『生きる』決意をした姿が見れたのも幸せでした。
そして同時収録の拓人のマネ・黒井のお話もすごく良かった…!
生きることにも恋愛にも不器用な様子にはハラハラさせられましたが、無事に良いところにおさまって一安心。
でも個人的には筒井さん推しだったので、彼が幸せに辿り着くところまでしっかり見届けてみたかったです。
ボリュームたっぷりで読み応えがあって大満足な一冊でした。
朝丘先生の作品は歳の差カップルのお話が多いですが、
こちらのふたりも32歳と17歳という結構な歳の差です。
その年齢を数字だけで見ればギョッとしてしまう部分もあるけれど、読み進めるほどに年齢差は気にならなくなる不思議。
ひとつの作品を共に作り上げる同志として近くなる距離、演技を通して深く繋ぎ合わせていく心。
そこに"恋人役"の枠をこえた感情が芽生えていく流れがとても自然だったからだと思います。
そして彼らの過ごす時間が甘いだけのモノではなくて、芸能人ならではの自由のなさがほんのりビターな空気感を滲ませているのもすごく良かったです。
好きという気持ちだけではずっと一緒に居られないことをお互いそれぞれに受け止めて、
別々に歩むことを選択した彼らの強さに感動。
ハッピーエンドではなくても、愛があればラストシーンはこんなにも輝くものなのだなとしみじみ感じたのでした。
このふたりが今後またどう交わるのか?『ラジオ』も楽しみに読みたいと思います。
密かに憧れている人の恋人(と思われる相手)と
偶然の事故をきっかけに入れ替わってしまった!というファンタジー色強めな冒頭部分から、
ストーリーもがっつりファンタジーであり得ないことが次々起こるような感じかな?と思いながら読み進めましたが、ふたりの恋愛はしっかり現実的。とっても読みやすかったです。
入れ替わりのところは「そんなことある!?」っていうツッコミどころはもちろんありましたが、そこも違和感なく受け止められる展開で。
櫂生を想う蒼依の気持ちを追いながら櫂生の心境の変化も感じられて、少しずつ心の距離が縮まる様子にめちゃくちゃキュンとしたのでした。
ロキとの入れ替わりが元に戻り、そこからすんなり恋人同士にならないっていうのもすごく好きでした。段階を踏んでステップアップする関係、素敵ですね。
そこでまさかまた入れ替わりが起こるなんて思いもしませんでしたが、入れ替わりがあったからこそ実ったふたりの恋を見守れて幸せでした。
ファンタジー要素はたっぷりなだけど現実的な恋のお話、大満足でした。
天国ホテルにたどり着く前の現実の部分から既にゾクゾクがとまらないストーリー…!
ものすごくひき込まれました。
康と春希との熱を感じるやり取りや、
もうこの世には居ない月彦への春希の想いを知る中で、『生とは、死とは』ということをものすごく考えさせられて。
一括りにファンタジーだとするにはあまりにも深い、生きることに対しての意味を改めて探りたくなるような展開だったなと思います。
康と春希のそれぞれの揺れる気持ちに胸が締め付けられますが、それでも少しずつ状況も心も動いていく様子に釘付け。
月彦はどこまでもフラットな立ち位置なのがちょっぴり寂しかったけれど、皮肉にもそれが非現実的な天国ホテルでの唯一の現実なんですよね。
なんだかなぁ…。と思いつつ、最後には月彦がふたりを助けてくれたのには感動でした。
春希視点、康視点と交互に描いてくれているので
不思議な時間を過ごす彼らのことを深く知りながら読むことができました。
ゾクゾクしながら感動もできて、ものすごく大満足な一冊でした。
囲碁のことだけを考えて生きてきた阿久津は
最初から最後までずっと"少し様子がおかしい人"で、そこに驚かされながらも面白いと思わせてくれるテンポの良さはありましたが…
あまりにも変人でどこまでも不思議ちゃんなので、だんだん受け止めきれなくなってしまいました。
ツッコミどころが多すぎて、面白いを通り越して冷静になってしまう感じ。
世間知らずになるくらい囲碁だけを見つめて生きてきたのは伝わりますが、これでどうやって妹の親代わりをしてきたのか謎すぎました。
さんざん振り回していた三池への恋を自覚するのも唐突、そこからの空回りもちょっぴり痛々しい…。
阿久津のキャラにハマることができなかったのでストーリーも刺さることなく読み終えてしまいました。
コウキ。先生のイラストはとっても素敵でした!