ひとりとひとりの恋愛のお話という流れではないので、先輩の気持ちも幸一の想いもすんなり受け止めるのがとても難しくて。
一緒の時間を過ごすふたりが求めるモノや、
辿り着きたい場所が違うのが本当に切なかったです。
先輩を守りたいと思う気持ちは本物で、でも久美を突き放すこともできなくて。
ふたりの人間の間でただただ揺れている幸一にモヤモヤしたけれども、人との繋がりの中ではすんなり決断することだけが正しいとも限らないのだろうな…と、考えたり。
先輩がもっと幸一を欲しがっていたら、幸一がもっと先輩への想いを強くしていたら。
ふたりの未来は全然違うものになっていたのだろうなぁ。
同時収録の『ヒカル』で先輩はしっかり幸せになってくれるので結果オーライなのでしょうが、
個人的には先輩が救われた二度目の恋の熱をもっと感じたかったです。
とはいえ、複雑ながらもしっかり満たされるものがあって。
じんわり余韻に浸りたくなるような一冊でした。
理由もわからぬまま攫われて妃への献上の御品にされそうになるという…
どんな時代あってもあり得ないようなことがテオに身に起こるところから始まるのでかなり戸惑いましたが。
その後森のなかに赤獅子が登場し、それが呪術師に呪いをかけられた王子だったりカラスが喋ったりと次々にトンデモなことが起こることで、がっつりファンタジーとして逆に割り切って読むことができたかなと思います。
恋になんて発展しそうにないふたりだったけれど気持ちが動いてしまえばその距離が縮まるのはあっという間で。
テオだけではなくカイルが激チョロだったのがなんだかすごく可愛かったです(笑)
離ればなれになるところもハラハラするようなそんなでもないようなふんわりした展開だったけれど、ふたりの想いが伝わるには十分なエピソードだったかな、と。
結局天の子は何なのかわからなかったしテオが本当にソレだったのかも明かされぬままなのはほんのりモヤりますが、甘くて幸せなファンタジーを摂取できて幸せでした。
行きがかり上パン屋を営むことになった太一の
やる気のなさがすごく気になって、
こどもたちのことも自分の人生さえも諦めモードな部分に何度も「うーん…」となったけれど。
お話が進むにつれパン屋としてはもちろん人間として成長していく姿が見れて、とても嬉しい気持ちになりました。
恋愛要素は薄めではありますが、長谷部がいたからこそ太一が変わることができたのはしっかりと伝わるので物足りなさはありませんでした。
ただ香恵とのやり取りには何度となくモヤっとしたし、亜美とも結局どうしたのかハッキリしないままだったのもかなりモヤモヤ。
女性との絡みが嫌なわけではないんですが、このふたりの存在がなんともしっくりこないところがあったなという印象です。
でも全部が丸く収まるので彼らの関係にはモヤモヤはナシ!です。読んでいると無性にパンが食べたくなる一冊でした。
ザ・漢!という感じの拓司と、きゅるんきゅるん可愛い睦生。
見た目も言動も正反対だけども相性は抜群なふたりなので、
あまあまで幸せなオーラたっぷりな表紙通りな恋が繰り広げられていくのかと思いきや、
まさかの『アゲ尻』によって結ばれることになって驚きました。
でも半ば勢いでふたりの関係は変わったわけですが
拓司は重たい事情を抱えているので笑えるような展開になることはなく、
アゲ尻エピソードを盛り込みつつふたりの気持ちがしっかり伝わってきて、
『アゲ尻』という字面のインパクトに引っ張られずに読むことができたかなと思います。
ただどうしても気になったのが拓司が睦生を「てめぇ」と呼ぶこと。
お前とかおめぇならここまで引っかからなかったと思うのだけど、てめぇってなんか愛がない気がして…。
そこさえなければもっと萌えられたなと思いました。
望が千影のもとにやってきたその経緯を
知れば知るほどに苦しくなってしまって、
彼の恋心をすんなり応援する気持ちになれるだろうか…?と、
こわごわ読み進めたところがありましたが。
めちゃくちゃ不憫ではあるけれども望がしっかり救われる展開となっているし、
とにかく千影が望のことを何よりも誰よりも
大切に想っていることがよく伝わってくるので
苦しさを引きずることなく読めました。
望は心に大きな傷を負うことになったけれども
家族と暮らすよりも"人間らしく"生きることができて、結果だけではなくその日々も満たされたモノになっていたのが本当に良かった…!
そして恋愛部分が変に入り組んでいないのも読みやすくて◎でした。
微妙なすれ違いはあるものの拗れることはなく、
同じ気持ちのふたりが収まるところに正しく収まる感じで、ハラハラせずに見守れました。
がっつりツラいけれどもそのぶんしっかり甘くて、うまい具合にバランスのとれたお話だったなと思いました。
朝丘先生の作品といえば。という感じの
年の差カップルさん達でした。
年上である志郎さんのほうがなんとなく奔放で、年下の雅がしっかり者。という構図のなかで
時折年相応な関係になるのがすごく素敵なふたり。
気持ちが交わる前の店長とバイトとしてのやり取りも、恋人同士になってからの想いが重なっていく日々にもふんわりした優しさがあって癒されました。
ただ長瀬さんとのいざこざには「うーん…」と思うところがあって、ちょっぴりモヤっとしてしまったけれども。
自分たちの思うようには進んでいかない日常も受け入れていく大人な考えを持つふたりを見て、
改めて彼らが惹かれ合った意味がわかった気がしたのでした。
だいぶ前の作品なのでゲイであることに生きづらさを感じているツラい描写が
その時代を映しているところがあり、なんとも遣る瀬無い気持ちにもなりましたが。
そういう部分もあってこその彼らの物語なんだなと感じた作品でした。
家同士は犬猿の仲だけれどもその軋轢に負けず
親友として過ごしてきた瑛人と昴流。
そんなふたりの関係が思わぬカタチで変わっていく様子を描いたお話でした。
お見合い回避のための瑛人の提案には少し驚かされましたが、その時点で「もしかして瑛人って…?」と想像できる流れにはなっていたかなと思います。
でも昴流がどうやって変化するのかはわからなかったので、先が読めてもドキドキ感は損なわずにふたりを見守れました。
『新婚さんごっこ』の日々の中、瑛人に対して少しずつ恋愛感情を持っていく昴流の気持ちがとても自然で。
わりとスルッと恋心に気付くけれどもチョロい感じではなく、自分自身の意思で瑛人を求めた部分にめちゃくちゃ萌えました。
そしてふたりの見た目からのイメージと内面の役割が逆、というのもギャップがあってすごく素敵です。
周りの友達のあたたかさもじんわり沁みて、すごくほっこりできたお話でした。
たまたま居合わたバーでお互いにいいなと思えたそのタイミングを逃さず、多少強引に身体の関係を持ったところまでは
衝動的だけど運命的な出会い、キター!という感じだったのに…
まさかの『セックスがヘタクソな攻め』という爆弾投下に驚きつつも笑ってしまいました。
イケメンな上に仕事にも一生懸命、そして性格もすごく良い恒生。
でもセックスだけは自分本位でヘタクソだなんて…
"それだけ"がダメなのが一周回って可愛い気がしてきますが(笑)
でも奏との付き合いの中で色々と成長していくので、その過程を知る楽しさはあったかなと思います。
ふたり揃って多忙なので、会う時間も限られていたりすれ違いまくったりと
焦れったくて面倒くさいやり取りが繰り広げられていきますが。
当て馬や本気の別れの危機なんかはなく、とても平和な気持ちで見守れたふたりでした。
幼い頃からの憧れの存在だった清光を
追いかけて追いかけて、
ただひたすらに想い続けた侑志。
高校時代、一緒に青春を過ごした時間の中に
散りばめられたキラキラの恋心が眩しくて、
でも叶わない恋だとわかっているからずーっと苦しい。みたいな…
この甘酸っぱさと焦れったさと切なさが入り混じった感じ、めちゃくちゃツボでした…!
気持ちを伝えるつもりはなく危ういバランスをギリギリ保ちながら、
ただずっと"友達として"そばにいたかったのに。
その平穏を失うことになる出来事が起きてから
ふたりの関係は変わり、そばにいるという選択肢を捨てた侑志の片想いの日々はなんと8年も続きます。
諦めようと思っても恋心はなくならず、むしろ清光への『好き』を募らせていった8年を思うと胸が締め付けられましたが。
大人になって再会、その後色々ありながら
離ればなれになったからこそ辿り着けた場所があったんだな。というところに着地してくれるので、ものすごく救われた気持ちです。
距離がグッと近付いたかと思えばあっという間にすれ違ったり、恋を知らないアホの子と化した清光にイラッさせられたり(笑)
ほんっっとにヤキモキしまくりだったけれど、全部がふたりには必要な時間だったのだなとストンと納得できました。
これからも『親友で仲間で恋人』という素敵な関係のまま、ずっと幸せでいてほしい…!
心からそう思えるふたりでした。
名前も知らない一目惚れ相手を半年間密かに眺めて想い続け、ひょんなことから話すキッカケができて距離が近付いて…
と、トントン拍子に進んでいく序盤は
恋に浮かれる高良の高揚感がダイレクトに伝わってきたのとそれがあまりにも真っ直ぐな想いだったのもあって、自然と彼の恋を応援したい!という気持ちになっていたのだけど…
環紀の人物像や恋愛観が明らかになっていくたびになんとも言えぬモヤモヤが募りました。
性に奔放だった過去はある程度仕方ないとしても。
そのことで一度高良と衝突して自分自身『変わった』と言っているのに、なぜ宇津木のことは突き放せないのか。
そしてどうしてその部分こそを"変える"ことができなかったのか。本当に解せなかったです。
病気だからとか昔お世話になったからとかそんなこと言っていたらキリが無いし…
高良と幸せそうにしておきながらそんなことをしている環紀に裏切られた気持ちでした。
心が伴っていないセックスだからノーカン、みたいな発言にもがっかり。
最後の最後、宇津木に突き放され、高良に諭されなければ自分自身を見つめ直せなかった環紀にはもう言葉もありませんでした…。
人それぞれの価値観があると思うし、結局はふたりの問題なのでお互いに納得していたなら良いのでしょうけど…
本当にふたりの未来に幸せはあるのかな?という疑問は残ったし、どうにもうまく噛み砕くことができませんでした。