恋をしていたころ

koi wo shiteita koro

恋をしていたころ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神57
  • 萌×230
  • 萌11
  • 中立1
  • しゅみじゃない3

54

レビュー数
13
得点
439
評価数
102
平均
4.3 / 5
神率
55.9%
著者
安西リカ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
尾賀トモ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525292

あらすじ

建築事務所で働く一葉には、生涯でただ一人、同性の恋人がいた。その彼、仁科からある日七年ぶりに連絡があった。実は仁科は事故で軽度の記憶障害を患い、一葉のことも別れた理由も思い出せないのだと言う。仁科とは大学院で出会い、その情熱に巻き込まれるように恋に落ち、才能溢れる彼の隣にいるのが辛くなって別れた――。かつての記憶はないのに仁科の瞳に今も一葉への好意が見え、心が揺れる一葉だが……?

表題作恋をしていたころ

仁科智之、IW施行設計事務所の建築士
永森一葉、建築設計スタジオWの建築士

その他の収録作品

  • 帰る家
  • あとがき
  • 一緒に散歩を

レビュー投稿数13

お互いしかいない!再会もの

記憶をなくしたのに昔をなぞる元カレと、今でも忘れられない自分との狭間で揺れ動く一葉。
しかも隣に引っ越してきてしまった元カレ、仁科。

はちみつ、という雑種のワンちゃんが良い仲介役になってます。

記憶を無くしてるがために、何故別れることになったのか、そして一葉のことだけ思い出せないのか、仁科は悩みつつも、現在の一葉に惹かれてしまいます。
一葉の方は、仁科が別れの際に引き止めなかったことをトラウマに感じており、そんなに好きじゃなかったからだと誤解したまま。でもこちらも現在の仁科に惹かれていってしまう。

あーーっ、焦れったい。
こういうストーリーは安西リカさんのお手のものですね。仁科が思い出せなかったのは、大事な人はみんな自分を置いて去ってしまう、一葉もそうやって去っていった、だから縋って追いかけられなかった事がわかり、一葉も学生時代の若いプライドで仁科から離れたことが伝わって、お互いに必要な相手だったことが分かってめでたしめでたし。
いやぁ、萌える。地味な感じで波風立たないけど、じわっと萌えがきます。そんな落ち着いた関係にちょっかいを出した従兄弟をビシッとやらかす?一葉ですが、唐突とはいえ、きっと仁科はめちゃくちゃ嬉しかったんじゃないかなぁって思いました。

昔、名前を呼ぶ人は去っていくからと名前呼びを嫌がった仁科も、最後は一葉から智之と呼ばれ、呼ぶことを望んだ、ってのもいいエピソードでした。

0

若かったあのころ

あの頃は若かったんだね。大人になった今ならわかる。そんなお話かな?

「恋をしていたころ」
あらすじのお話です。
自分から別れたのに、一葉がすっかり傷ついて被害者っぽく考えてるのがひっかかり。
仁科には一葉がすべてだったのに、一葉は与えてもらってばかりで返すこともあまりなく、勝手に比べて卑屈になって…。

再会してもやっぱり仁科は一葉を好きになって。あの頃言った通りですね。

隣人として淡々と過ごしながらも、やっぱり好き、でももう…と。
一葉の葛藤もわかるけどなあ、なんかなあ。
全然仁科のことを知ろうとしてなかったね、あの頃。
はちみつは鎹ですね。

「帰る家」
仁科視点です。また恋人になって一年半、休暇を仁科の家の別荘で過ごそうとなって。
この頃の一葉はまるで別人ですね。もともとはこんな感じだったのかな?そして今は仁科に惜しまず好きと伝えて。

別荘で仁科の従兄弟、優に怒ってくれた一葉。こうやって仁科は気が付かない間に傷ついてきたんだなあ。

こちらの仁科もまるで別人ですね。とにかく最優先は一葉で。いつまでもドキドキして。
一葉が小悪魔で男前です。

院時代は仁科が与えるばかりで、再会してみればあの頃のことが冷静にわかってきたり。
君らエッチばっかりしとったんかい?と突っ込みたくもあり。

最後は仁科が一葉以外何も要らないくらい満たされてるような、腑抜けなような。
良いお話でした。

0

MVPはわんちゃん


建築家の卵が出会い恋をして別れてキャリアを積んで再会する。


他の方のレビューで私が思ったことを100パー書いてくださっているので改めて書くことはないのですが、一言で言うと出会うのが早かった。


相手は好きだけど劣等感でいっぱいになり別れを告げてしまった受けも、初めてに恋人に愛することに夢中になりすぎて拒絶されることが怖くて追いかけられなかった攻めも2人とも若かった。

大学院の研究室で出会った一葉(受け)と仁科(攻め)。
仁科の一目惚れから始まり、仁科の熱い奔流に流され溺れるような付き合いをしていた一葉がふと我に帰った瞬間、仁科の才能に嫉妬してしまった時、それを飲み込めるほど人生経験を積んでなかった。

もともと女性としか付き合ったことのない一葉が男と付き合い受ける側になることを仁科がもう少し理解していたら、自分の話をもう少ししていたら、色々原因はあったと思うけど、
そして、それら飲み込むには2人とも若かった。
仁科にはキツかったかもしれないけど、一葉には一旦仁科と離れて自分を確立する時間が必要だったのだろう。


記憶喪失にならなければ再び連絡を取ろうなどと思わなかっただろうし、一葉の愛犬のはちみつがあんなに懐かなければもう少し違っただろう。
別れている時間は2人にとって必要な時間だった。


後半は仁科の従兄弟登場によって仁科の幼少期からの両親含む親戚からの無関心というネグレクト(生活面は面倒見てもらっていたのがせめてもの救い)のせいで人格形成に歪みが生じたのがよくわかりました。
一葉がちゃんとわかってあげられて良かった。一葉は仁科のことわかってる。

友好的な仮面をつけて、一見わかりにくい悪意をぶつけてくる従兄弟にはすごくムカついたけど、ちゃんと怒った一葉は偉い。
スルースキルを磨いた仁科は完全にスルーしているから余計にやめられないのかもしれなかったけど、傷ついてないわけないと相手に言い切る一葉。
謝らないといってたけど結局謝ってしまった一葉の人の良さが窺えるけど、従兄弟くんはもっとちゃんと反省して謝って欲しかったな。反省はしたんだろうなとは思うけど。

前半は一葉が足掻いていたせいでなかなかくっつかない2人でしたが、後半は2人がお互いを理解し存分にイチャイチャしていたのがとても良かったです。

1

神評価です

後で書こうと思って書評を書き忘れていたみたい。
再読して、評価を神にしようと開いたら、時効切れ?・・気づくのが遅かった。

7年前に仁科と別れて郷里に戻った一葉。
一葉をいちはと呼ぶ唯一の人から、7年ぶりにメールを受けて再会。
「雪の上に転がる木の実に一目ぼれ」と言っていたのに仁科は、一葉はを覚えていなかった。
事故の後遺症で一部の記憶を失ったという。

好みのタイプのいちはについて、何故一切の記録がないのか、
記憶を失った仁科に問われて、思い出しながら答える一葉は凄く辛かったと思う。

別れを切り出したのは一葉から、理由は、彼に感じる劣等感。
 「愛されれば愛されるほど みじめになる」
二人は同じ業に席を置く者同士、同じ世界で才能を競い合う者しかわからない才能の差。
高村光太郎と智恵子の関係と似て、一葉は壊れてしまいそうになる。

天才が無意識に振るう見えない才能の剣に当てられてしまった一葉の選択は、別離。
仁科の家に赴き、鍵を返すとアッサリ受け入れ、一葉の期待は外れる。
一葉が期待する友人関係にもなれない。
仁科が求めるのは「恋人のいち」だから。
 ・・一葉は、仁科を芯から理解していなかったことが分かる場面。

記憶を失った仁科と一葉が再会、近くに転居してきた仁科と、恋のやり直しはできるのか・・・?。
一葉が返し忘れたお揃いの指輪の存在が大きい。
一葉の揺れる気持ちが読んでいて辛くなる展開。
心理描写が素敵で、一葉の苦しみと、一葉の苦しみを理解しても解消できなかった仁科の苦しみが、なんとも言いようなく悲しい。仁科は、生い立ちが理由のトラウマを持つことを知る一葉。

どこかにこんな二人が居そう。身近なようで、遠いファンタジー。
心が震えた。

じっくり場面が進む展開、心理描写を楽しめる人向けで、情交シーンは少な目です。

2

盛り上がらなかった……

ぴれーねさんも書いていらっしゃいますが、私も「何度でもリフレイン」が大、大、大〜好きでして、それと同じ香りのするこちらの作品の電子化を、前のめり気味で待ってました。

「恋をしていたころ」というタイトルだけでなんか泣きたくなっちゃうというか、もうこれは神でしかないでしょ!!と鼻息荒く読み始めたのだけど、心が大きく揺り動かされることなく終わってしまった……。

どーしたの、自分。
なんでさ、自分……って感じ。
本当に自分にがっかり。

何でかなぁと考えたのだけど、記憶喪失ものの切なさを期待してたけど、切なさが足りないというか、そもそも受けに感情移入できなかった……。

かつてあんなに愛し合ったのに、今や赤の他人同然で攻めの気持ちはわからないけど、やっぱり攻めのことが忘れられない……という記憶喪失再会ものなら大好物なんですが、攻めの気持ちがこっちむいてるの分かっていて、再び恋をするのもあくまで受けの気持ち次第というところが切なさ半減というか。

受けが別れを告げた理由は、すごくわかるし、まさに男同士だなぁという感じで、ここは好きなんです。

なんだけど受けは、別れを告げた時にすんなりと承諾し、一切の未練を見せなかった攻めの態度が心のしこりというか傷になっているので、再び恋をする事が怖い。
自分から別れを告げておきながら、「あんなに簡単に切り捨てられるとは思ってなかった」とか逆ギレめいた被害者感情を抱いている受けの姿に、こいつは今も昔も自分のお気持ちばっかりだなーと。
そして今も昔も、ただただ攻めが不憫すぎるわと。

まぁそんな受けの成長物語として読めばいい感じだったけど、そこに萌えは感じられませんでした……。

あと、元恋人同士の再会ものという点でも、なんか物足りないというか。
攻めは、付き合ってた当時から男として完成してるんですね。
それが悪いというわけではないのだけど、同じ元恋人同士の再会ものである「何度でもリフレイン」は、かつて恋愛初心者同士が試行錯誤しながら付き合った初々しい恋人同士の再会もので、当時の攻めは無邪気な甘えん坊だったのに、再会したらすっかり落ち着いたいい男になっているんですね。
そこが年月の流れを感じるとともに、過ぎ去った昔のキラキラ感尊い…みたいなところが特別な感傷をもたらして泣けるし好きなんです。

それに比べると、この攻めは初エッチ時からセックスが熟練してて、院生でありながら数多くの賞を受賞&建築家としてのデビューをしてる凄い男です。
だから七年後に再会してもますますご活躍で……とは思うものの、あぁ…変わったな…あの頃とは違うんだな…みたいな感慨がないので、琴線に触れなかった。



でも攻めの「艶々な木の実」はジンときた。こういうとこ、好き。

5

感情決壊シーンが好きすぎた

再会復縁に記憶喪失をプラスしたもの。題材の合わせ技で主人公の心にグサグサ切り込んでいくやり方が上手いなあと思った。おかげでうっかり一葉に同期してしまうとしんどい。

天才と凡才の付き合いは、表面上は距離を理由に、本当はコンプレックスのせいで終わってしまう。七年後の一葉は、実績を糧にその点だけは乗り越えられそうなのに、それ以外(建築絡み以外)の部分は学生時代から時が止まっているように見えた。
付き合っていた頃の記憶が色褪せることなく浮かんでいて、内に秘める悩み方は変わっていない。失敗を経て大人になっているのは確かなのに、七年の間に、恋愛面で成長したり変化したりする出来事が何もなかったのだと分かる未熟さ。
一葉の中の仁科があまりに特別すぎて、もし仁科が記憶喪失にならなかったら……?と勝手に考え勝手に泣きそうになったりしていた。

仁科のことは、一葉視点だと分かり辛いところがある。特に再会後の仁科は、一葉自身がまっすぐ見ていないせいでこちらに伝わってこない。

やっと景色が変わるのは、ふとしたきっかけから。怒涛のように流れ込む過去の記憶と感情と。素直な気持ちを叫ぶ一葉がとても良かったし、弱さ脆さを見せる仁科に泣いた。このシーンが好きすぎる。

攻め視点に変わってから、やっと仁科のことがよく分かる。誠実さの見える語り口やお話は面白く、攻め視点そのものはとても好き。ただ、仁科から一葉への矢印はもっと一葉視点で受け取りたかったと思う。そうした上での攻め視点なら神だった。
構成に組み込まれた両視点は萌えるが、補足のように使われる視点変更はただの納得になる。今作は精神面において後者寄りに感じた。

読後感が良く、浸りたくなる幸せがじわっと広がり癖になる。毎回これで安西さんの次作も読もうと決意する。
タイトルや帯の文言、表紙もとても好き。題字フォントも大好き。

8

置いていく

先生買い。雑誌掲載部分は凄く好きだったんですけど、後半部分、ちょっと得意じゃないなと思う所があったので萌にしました。本編130P弱+その続き80Pほど+あとがき。

地方都市で設計事務所に勤める一葉(かずは)。ある日業務用メールに大学院時代に付き合っていた仁科から「そちらに行く用事があるので、食事でもご一緒できないか」との連絡が入ります。地元に戻るべく別れを告げた時に引き止められもしなかったのに、会いたいと思ってくれたのか・・?とつづきます。

攻め受け以外の登場人物は
綿貫(2人の友人)、はちみつ(受けの飼い犬)、優(攻めの従兄弟)ぐらいだったと思います。優が苦手。

++良かったところと苦手だったところ

攻めさんが記憶を少しぶっ飛ばしてしまって、どうしても気になる受けさんのところへ「思い出したい」と訪ねてくる、というお話でして。

攻めさんは才能あふれていて、うっかりすると俺様?と思われそうな方。受けさんは地道ながらも、クライアントに寄り添うタイプの設計士さんという感じ。攻め受けのすれ違った経緯や心模様がゆっくり書かれていて、前半はきゅんきゅん、めっちゃ良かったんです。攻めが「俺を置いていく」と呟くところは、もう泣きそうになりましたよ。

ただ後半。攻め従兄弟とのちょっとした確執めいたものが書かれていまして、そこがやや苦手だった。攻めの事を思って、受けががつんと一発やらかすのですが、個人的に波風たたせるのは得意ではないし、勿論しれっと気付かない程度にヤなことを仕掛けてくる奴も嫌い。

攻めのことを守る強い受けというように考えて、好きだわ!と思う方もいるかもしれませんが、私はちょっとダメだったです。

個人的には前半をめっちゃ推したい一冊でした!

4

こんな記憶喪失ものもいいな(^-^)

記憶喪失ものって、まぁいろいろ読んできましたけど、なんとも穏やかだけど情熱的でもあるお話で、いいなぁ、と読ませてもらいました。


受け様は個人住宅等を手掛ける建築設計士の一葉。
攻め様は世界的に活躍する建築家の仁科。

大学院で出会い、一目惚れだと率直に好意を示す仁科を、一葉が受け入れる形で恋人同士となる2人。


ところが、同じ建築を志す者同士として、能力や立ち位置の差に、一葉は仁科に引け目を感じるようになり、そんな自分が嫌になっていく。

1度は別れた2人の再会ストーリー。
記憶喪失の攻め様が、元カレって立場なのが新鮮。

一葉の事を思い出せなくても、今でも好きを隠さない仁科への一葉の気持ちが、とても丁寧で繊細。
だよね〜と思ったり、いやいやそんなんじゃないって、とアドバイスしたくなったり。
ちゃんと好きだった、と一葉が自分の気持ちと向き合うとことか、好きだなぁ(*´ω`*)

7年経った今だからこそ、の再会ロマンスにきゅんきゅんしっぱなしでした。

一葉の愛犬はちみつがまたかわいかったです。

恋人になるまでが受け様の一葉視点。
書き下ろしのその後が攻め様の仁科視点。
恋人になってからの攻め様の溺愛ぶりが知れるので、この構成、大好きです(^^)d

恋人になっても、心のどこかで一葉がいなくなる不安を抱えている仁科。
別荘で、仁科の従兄弟とのやり取りを目の当たりにして。
2人が帰る家を建てよう、との一葉からの提案。
仁科は、一葉がいたら心の安寧を保てるね。

昔も今も、これからも恋をして育んでいく2人に、ほっこりと幸せな気持ちにさせてもらいました(*´ω`*)
何度も読み返したくなる1冊です(^-^)


イラストは尾賀トモ先生。
表紙の日常モードな2人がいいですね。
はちみつもかわいい(´∇`)

6

繰り返し読める、よき再会もの

ディアプラス掲載時に読んだときも文庫化されて読み直しても、どの角度から読んでもめちゃくちゃいい…と萌え震えました。

建築科の学生だった一葉(受)と、才能豊かでカリスマ性のある編入性・仁科(攻)の恋は、仁科の一目惚れから始まり、仁科の圧倒的な熱量と気持ちに圧され気味だった一葉が、就職という現実を目前にして、前途洋々とした男の傍にいることがしんどくなり、一方的に別れを告げ地元に帰るわけですが、もうこの置き去りにされる仁科が不憫すぎて。(仁科、ぜんぜん悪くないよね!(;;))一方、色々な面で自分よりも優位な男に対して、恋愛関係においてだけは自分の優位を確信していた一葉は、別れをあっさり受け入れられたことにずっと傷付いていて(実は性格悪いなって思ってしまったw。でも、こういう人嫌いじゃないし共感できる。)、どちらのしんどさもわかりやすくて、とても切なくなりました。

別れから7年後、事故で記憶障害を患った仁科と一葉が再会するのですが、“あんなに俺に夢中だったのに、俺のこと忘れやがって!”と一葉がモヤっとする心理(実は未練ありまくりという…)がいいです。2人の思い出を忘れてしまった仁科から、改めて好みどストライクと熱視線を向けられても、素直になれない一葉の態度が歯がゆくて焦れ焦れしてしまいました。仁科が一葉に対する想いについて、「雪のなかを歩いていたら艶々な木の実が落ちてるのを見つけたよう」と表現するんですが、これが心に刺さりまくりました。おそらく、他の人だったら踏みつけるとか、気づかないとかそのまま歩き続けてしまうかもしれない足元の木の実だけど、仁科にとっては特別な、見つけて拾わずにはいられないくらい魅力的に艶々してんですよね、木の実(=一葉)。当事者同士にしかわからない特別な感情、恋に落ちるということの偶発的な必然性(?)を上手く表してる名言だと思いました。

仁科の記憶がよみがえる雨の場面が好きすぎて、何度読んでもウルウルします。車の中においてきた一葉の愛犬をやたら気にする仁科の言動から、彼の心の傷にやっと思い至る一葉。そこから、過去、愛されることに甘んじて、あまり仁科のことを理解しようとしなかった自分の至らなさに気づき、全能のような仁科の弱さを知ることで、改めて彼と素直な気持ちで向き合えるようになるのですが、ここからは怒涛の愛の時間でした。私も読みながら浄化しました…。

描き下ろしは、その後の2人についてですが、攻(仁科)目線でした。この攻・受両視点を1冊で読めるのって有難いです。雨降って地固まり、隙あらばいちゃいちゃな2人のバカンスに、仁科の過去からの闖入者(従兄)が現れるのですが、第三者を通して2人の新たな関係性と強い信頼関係が伺えるところが面白いです。
仁科はそんなに変わってないけど、一葉の変化と成長が著しいんですよね。そしてそんな彼の迷いのない気持ち、これから先もずっと2人で生きていくという決意と希望のみえるラストに、なるほど“帰る家”ねと、じんわり温かい満ち足りた気分になりました。

おまけペーパーは妹視点で幸せそうな兄の姿、あとがきの後の掌編は、愛犬・はちみつはシニアか?論争とほのぼのしかしないやつでした。

9

萌が詰まった作品でした♡

最近の安西先生の作品は当たりが多くてとても嬉しいです。そして今回も大当たりで、萌えまくりました。

記憶喪失ものですが、それよりはすれ違いものの側面の方が強かったと思います。

2人が離れていた期間は7年間でしたが、それは一葉に関しては必要な時間だったと思いました。

一葉の事だけが思い出せない理由にしても、想像通りでしたがソコもとても萌えた一因でした。
記憶が無いのに一葉との距離を詰めて来る仁科に、ドキドキしてとてもときめきました。
そして仁科が記憶を取り戻した場面も、無理がなくてとても自然で良いのです。
その後の2人が気持ちを確かめ合うシーンも素敵でした。

この作品の魅力は、なんて言うか攻めの仁科が見掛けによらず可愛いんですよ。
こんな攻め大好きです。


それに読んでいてテンポもとても良くて、雑誌掲載の表題作の他に書き下ろしの「帰る家」が収録されているんですが、一葉の仁科に対する愛情にガツンとやられてしまいました。

ここには仁科の従兄弟の優という人物が登場するんですが、優の行動や言動がとても不快なんです。「え?これってそういう事だよね?」って思った所で一葉が反応するんですよ。

読んでて一葉の行動と仁科の反応にギュンと胸が締め付けられて、そしてスッキリしました。

萌どころが満載で読んだ後にかなり満足感を覚えた一冊でした。

9

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