長野まゆみ作品は何作か読みましたが、ファンタジー要素が無かった物は初めてでした。
主人公は女装しなくても従姉と間違えられるような容姿を持つ凛一です。←この辺り、ファンタジーと言えばファンタジーなんですけどね。
従姉の省子の代わりに出かけた先で、省子の彼氏(?元カレ?ただの男友達?なのかが曖昧で正確な関係は分かりませんでした)享介と出会い恋をします。
享介はノンケですが、凛一の気持ちを知った上で関わりを断とうとせず、付かず離れずの友人関係が続きます。
凛一を気にかけて、自分が出るアメフトの試合に呼んだり、凛一が入院したら見舞いに行ったりしますが、付き合うというわけでもなく、曖昧な関係が続くのです。
物語の終盤、凛一と従弟・正午のキスを見た享介は嫉妬心を持ち…凛一→→→→享介だったのが凛一→→→←享介になった?
しかし享介は恋愛に関しては頭で考えてから行動せずに、その時の気持ちで決めたいという、場当たり的な恋愛観の持ち主のようで。
凛一に好かれるのも嫌じゃ無いから、男は無理と思わずに成り行きに任せる的な考えなのでしょうか…。
ちょっと不安を感じちゃいますね。
作者さんのファンタジー作品は男性同士の絡みはあれど、あまり気持ちの部分に触れられているものが無くてそこが残念に思っていたのですが、こちらは凛一の気持ちを直接的ではありませんが読者に伝わるように表現されていて、胸が痛んだり浮きたったりが共感できて良かったです。
凛一の他にも、叔父の千尋、従弟の正午など男性に恋する登場人物が出てきます。
千尋と凛一の亡き父親の関係も切ないです。
シリーズの続きも読みたいと思います。
とっても癒されました〜。
そして私も『◯くんの恋人』というドラマを思い出しました。
あのドラマのラストはどうなったっけ?元に戻れなかったんだっけ?失念してしまいました。
小さくなった田中課長と部下の山田の日常を綴った1Pの作品がまとまって一冊になったものだそう。
手乗りサイズになった課長が今まで通りに仕事を遂行しようとするのが可愛いです。
クールでちょっと雑な山田がお世話をするというのがミソで、あまり細やかなケアをされない課長がこれまた可愛い。
寝床がスリッパーーー。
私もそんな小さい生き物を世話したいっ!
リカちゃんの家に住まわせたい。
BL的には心の触れ合い、絆の深まりはあっても身体の触れ合いはありません。まあ無理ですよね。
チューくらいはあっても良かったかな?
まだお互いへの好意、信頼止まりなので、出来たらLOVEに発展するお話も見たいなぁと思ってしまいます。
1巻より一層面白かったです。
2巻は多分、初Hに重点を置くのかなと想像していましたがそれだけじゃなくて、人を好きになる事、そんな1人に出会えた幸せがしっかり描かれていて、なんかいいなぁって心から思えました。
多喜の祖父母と囲んだ食卓の温かさ、その温かさそのままの多喜を特別に思うようになっていったというきっかけもとても好きでした。
初めて作った料理を褒めてもらえて、それから料理をするようになったというエピソードも自然で良かったです。
初Hの際に多喜への思いを伝えながら涙を流す佐久間にこちらも鼻の奥がツン。
「絶対離してやれない」もキュンでした。
エロさは1巻の方でも書いたのですが、アングルがエロい(お尻からのアオリ)割に絵にエロスを感じなかったかな…非常に惜しいです。
同窓会のエピソードに意外性があって私的には興味深かったです。
女子からの逆恨み…現実にはあまり無いかな、とは思うのですがオリジナリティを感じました。
多喜の女子に対するセリフもすごく多喜らしさを感じて、スッと入ってきました。
多喜が周りに愛されすぎるのが怖い、自分だけの物にしたいという佐久間の執着はやっぱり良い♡
多喜も佐久間に同じ気持ちを抱いてるのですが、佐久間の方が余裕がないんだよなぁ。
そんな所も含めて、良い執着でした。
ぽわんとしてる風で実は芯の強い多喜も良い奥さん(?)だなぁ、と。
教会での2人だけの結婚式が素朴なんだけど、ドラマチックでジーンとしました。
当て馬の澤田くんもいい恋に出会って欲しいな、と思います。
試し読みで止まらなくなり、購入に至った作品でした。
毛皮をまとった男との逃避行から、ヤクザの世界に迷い込んでしまった勇の話から、徐々にメインはヤクザの兄弟の話に移っていきます。
この誠と相の兄弟の関係性が非常に複雑で、興味深いです。
お互いに向ける感情はこの時点ではまだよく分からないですが、ただの憎しみや嫌悪ではないなというのは分かる。
半分だけど血のつながりのある弟への兄弟愛。
自分が手に入れる事が出来なかった母の愛情を一身に受けて育った相への嫉妬。
愛されず育った誠への哀れみ。
自分が母親も父親も奪ってしまったという罪悪感。
身体を繋げた事から生まれた何らかの感情。
きっと複雑な思いが渦巻いているんだと思う。
勇を使って裏切り者に仕立て上げられてしまった相がどうなるのか…怖くもあり、楽しみでもあります。
また彫り師にデザインを頼んだという和彫りの全体像を早く見たいなぁ。
BLにハマってすぐくらいに読んだ作品です。
新入社員の高梨が入った会社の上司がゲイだった…という攻め目線で始まるお話です。
徳永が古谷社長を好きであることや、周りの社員たちも徳永がゲイである事を知っていて普通に接していることに始めは戸惑いのあった高梨でしたが、気づけば徳永を目で追ってしまっていて…な展開。
指導係という立場から、2人で居る時間も自然と多くて古谷に誤解されてしまい、徳永が古谷に告白する流れになってしまいます。
傷心の徳永に高梨は好意を伝えますが、明らかなノンケの高梨が何故自分を好きになるのか、自分も失恋してからそんなに経ってないし…などの考えが邪魔をする。
ノンケに恋をしてしまうのに、ノンケに自分の気持ちが分かる訳ないという徳永の臆病さがよく描かれています。
それに対して高梨の潔い態度、言葉は直球で気持ちが良かったです。
攻め目線だけでなく、受け目線でのお話もあるのでお互いの気持ちがよく分かるのがいいです。
お初のときのドキドキを、まっさらな雪の上に1番乗りで足を踏み入れるのと同じと表現してるのがなるほど!となりました。なんだか神聖な感じがするのですよね。
古谷社長の過去のお話がめちゃくちゃ切ないお話でした。
古谷の言葉を誤解したまま亡くなってしまった友人…ホントの意味を伝えたくても伝えられないのが悲しい。
だから徳永と高梨をみていると微笑ましくなるんでしょうね。
いつか会って話せたらいいな。
まだ子供の頃から父親の借金の返済のために男娼として生きてきたシロが、付き人として雇われた信虎と出会って、殺していた心を思い出し始めるという展開の切ないお話でした。
過去にシロをこの世界から連れ出そうとしてくれた人との別れから、シロは心を殺して客をとるだけの毎日を過ごしていて、自分にはそれしか出来ないと思っているのが悲しい。
期待してまた無くすのが怖いのに、信虎のまっすぐさに心が動かされそうになり逃げてしまいます。
散々男と寝てきたのに、信虎と結ばれた時が初めて好きな男に抱かれたシロが不憫で、でも幸せで泣けました。
前途多難かもしれないけど、幸せになって欲しいなぁ。
スピンオフは未読なのですが、読みたい作品のひとつ。
虎×シロの話に続きはないのだろうか。ちゃんと2人で生活できているのか心配で。
題名の意味がわからないままいたのですが、初読み時から1年くらい経ってやっと分かったという…。
作者さまのDK作品集でした。
表題作は日本史の教師と男子校生のラブなのですが、授業中やテスト中に生徒をくすぐるような目で見る教師…エロい!
リア充っぽい攻めと、堅物眼鏡の組み合わせも良くてですね、非常に萌えました。
生徒×先生ものでよくある卒業してからなどというまどろっこしさなく、学校内で尺ってしまう早急さも検温なく読めてしまいました。
眼鏡に掛かるアレがまた…。
あとは新入生×留年してる20歳のDKや、幼なじみDKなど、いづれも可愛くて初々しさの残る恋愛模様が描かれています。
巻末の『カオス』は表題作のも野田先生の同僚、白川と卒業生壬生谷の話なのですが、白川が高校生時代に振られた教師と同じように高校生を振るんですね。
大体の高校生はそれで終わるのですが、壬生谷という生徒は成長してまた白川に会いに来る…というお話。
壬生谷が自分の二の舞になる事を恐れてるのですが、壬生谷は"カオス"だったんですね。
髭面を見られたくなくて、壬生谷より絶対に早起きしてる乙女な白川が可愛かったです。
草間さかえ先生お得意の年下ワンコやメガネが様々な設定、シチュエーションで拝める作品集です。
表題作は戦中から終戦にかけての時代物。
舞台はどこか南方の島。表紙もきっとその海岸なのでしょう。目の覚めるようなブルーが眩しい。
当時を見てきたかのようなリアリティがあり、ゾクゾクします。
隊長としての威厳を保たせるために、自分を殴らせる早川。
早川と2人になりたいがために、一芝居打つ竹内。
2人の関係性がなんとも言えないものがあります。
竹内を水浴びさせた時の、ノータッチ射◯!
それまでがどれだけ禁欲的だったかが表現されていて、萌えが滾りました。
続く『パラダイムシフト』は2人が日本に帰ってからの話になります。
早川の家族が探していたのを知っていて、自分の家に衰弱した早川を連れ帰った竹内が、良心と執着の狭間で苦しみ一緒に居られた戦地に思いを馳せるという心理描写がさすがだな、と感心させられました。
他に、子供の頃に男×女装男子がやってるところを見てしまい、女性にもアレがついていると思い込んだまま高校生になってしまった哲男と、その女装をしていた男・正良の話や、哲男の同級生で執着ドS世話焼き眼鏡・三ツ矢とバツイチ元ノンケ鶴田のお話も面白かったです。
三ツ矢の見た目も執着も好き。
巻末の短編の着物眼鏡受けが色っぽくて良かったです。高校生ワンコとの組み合わせが意外なようで、案外刺さりました。
お初の作家さんですが、表紙買いしました。
何となく仄暗いお話なのかなと思ってたんですが、様々な設定の短編集でした。
作画がなんか懐かしい。
昔読んでた少女漫画と少年漫画の中間のような?絵柄。
だから、作品内でスマホなどが出てくると「⁉︎」ってなってしまいます。そんなに昔の作品じゃないのに、漂うノスタルジーがすごい。
どれも面白いのですが『電幻』と『雑音』が良かったです。
本来苦手なメリバっぽいトーンなのですが、短編だからかあまり気にならず、むしろ心に残りました。
別の意味で心に残ったのは『犬恋』ですね。
犬BL!笑ってしまいました。
でも飼い主のせいで会えなくなった2匹を思うと、切なくなっちゃいますね(T . T)
バドエンなお話も、そこまで後味悪くないですが短編なのでやや物足りなさはありますね。
『マッチ売り』続編の『やぎさん郵便』の続き。
表紙は澤ですが、廣瀬×花城と澤×有原の2つのカップルについてのお話です。
本作の私的見所は、一つ目に廣瀬の祖父宅に花城と一緒に出向いて、過去に2人が出会っていた事が分かる所。2人の再会に運命的なものを感じました。
春画が結んだ縁?とでも言いましょうか笑
廣瀬の事を「清」と呼びはじめ、清にはいい笑顔を見せるようになる花城が可愛かったです。
もう一つは花城と廣瀬の関係を良く思わない澤が、仕組んだ企み。
有原と花城を会わせようとしたのか、廣瀬もそこに含まれていたのかが分かりませんでしたが、そこに自分自身も居合せてやろうという澤の底意地の悪さ!←褒めてる
結局有原追いかけていかなきゃならないことになってるし…。
なんやかんやで優しいんだよね、澤。
澤の生い立ちも前半で触れられているのですが、だから女性に優しいのかぁ。
本編ラストの「何でかは分からないけどお前だって事は分かる」っていう花城の言葉が良かったです。素敵でした。