朝南かつみさんのレビュー一覧

積木の恋 小説

凪良ゆう  朝南かつみ 

自分の居場所

凪良さんの小説は、勿論BLで濡れ場もありますが、テーマは「居場所」なのではないかと毎回思います。
このお話もそうでした。
主人公の詐欺師が本当に欲しいものは、「家」。建物という意味だけではなく、自分を受け入れてくれる人と場所という意味で。
カモにしようとしていた男に恋をして、初めて自分の罪に気付くあたりがとても好きです。
罪を償った後、前科持ちの蓮に世間は冷たいけれど、加賀谷という居場所を…

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積木の恋 小説

凪良ゆう  朝南かつみ 

ひとつずつ時間をかけて積み上げていく

恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師として生計を立てている受けと、総合病院の長男でお金持ちで何不自由なく暮らしている攻め。生きてきた環境が真逆のふたりが出会い、人間不信の受けが真面目で心優しい攻めに少しずつ心を開いていく物語です。
受けの蓮がカモにしていた加賀谷のことを心から好きだと感じたとき、受けは初めて今まで他人の気持ちを弄び騙して犯してきた罪の重さに気付くんですね。私は人間の弱い部分、醜い部分…

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花蝕の淫―狂おしく夜は満ちて― 小説

華藤えれな  朝南かつみ 

文章が。。。

文章がなじめなくて、全く入り込めませんでした。

業の深い運命を背負って仏門に入ろうとする美しく若い受けと、ヤクザの若頭。桜の頃、山奥の苔生した寺、対照的な黒のイメージの男、入れ墨と、美しいイメージがいくつも浮かぶ設定。
受けは、純粋ながらも奥に秘めた強さがあり、攻めに出会うことで、男を魅了する体が、花のつぼみが開くように開花してゆくー
とても雰囲気のある設定だけに、地の文や台詞の日本語が…

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俺と奴の対峙する関係 小説

義月粧子  朝南かつみ 

何をとっても面白いの一言

あ~、久しぶりの大ヒット作でした。文句なく神評価です。

最初に読んだ義月さんの作品は「彼と彼氏の不適切な関係」で、これも大好きですが、それを超えたかもというすばらしい作品に出会いました。

お仕事ものとしてピンチの実家旅館を建て直す受け、志岐。その展開がまず無駄なくきっちり起伏があり面白い。
そして、柔と剛ではなく剛×剛と呼ばれた男気あふれるカップル。大好物です。

受けの志岐が、…

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花蝕の淫―狂おしく夜は満ちて― 小説

華藤えれな  朝南かつみ 

朝南かつみさんの艶っぽいイラストにやられた

華藤さんらしい重苦しくてドロっとしたお話でした。

清祥は父親のわからないまま生まれ母亡き後祖母に育てれるが、花街で男子は育てられないと養子に出された。
養父母からは預かり物のように大切に育てられたが、家族の情やあたたかな触れ合いとは無縁な生い立ちだったせいで、人との間に壁を作るような接し方しかできなくなっていた。
大学に入って漸く養父母から離れ息がしやすくなった頃、カタギとは思えない男龍…

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風でなくても 小説

火崎勇  朝南かつみ 

不器用な二人の恋愛

まずは、表紙の色っぽさにうっとり。
野々宮(攻め)の目を閉じた表情と、遊馬(あすま・受け)をつかむ腕がなんとも言えません!

「風でなくても」「風をつかまえて」の中篇2本立てです。

「風でなくても」は、高校時代の先輩後輩だった二人が、会社の上司部下で再会し、当時のすれ違いを解いて、両想いになる話です。

「風をつかまえて」は、遊馬と恋人同士になった野々宮が、自分の独占欲と性欲を持て…

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帝王と淫虐の花 小説

あさひ木葉  朝南かつみ 

成り上がり雪緒の生き方に共鳴

ここでの評価はいまひとつなのですが朝南かつみさんのイラストに惹かれて購入しました。

素敵です、雪緒。
親の借金の形にヤクザに買われ淫蕩な調教を受け身も心もボロボロな状態で香港マフィアの元に贈られます。3ヶ月の期間限定でしたが、その間生きる目的と希望を与えてくれたボスの麗嶺に魅入られ帰国後も心にしまい大切な想い出と刻んでいました。
やがて貪られだけではなく自らのたった一つの財産である身体を…

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忘れないでいてくれ 小説

夜光花  朝南かつみ 

トラウマを昇華させていける二人の出会い

イラスト買いです。

トラウマ持ちの刑事と人の記憶の映像が見える精神科医ふうのワケあり青年

自分が子供の頃父親から性的虐待を受けていたという刑事が、その記憶を覗かれて怒りで我を忘れて同じ思いをしてみろとレイプするという部分がどうも納得できなくて長らく読む気になれなかった作品です。
でも朝南さんのイラストが見たくて恐る恐る手に取りました。確かにその辺は引っかかりはしても、事後の清涼があっ…

5

忘れないでいてくれ 小説

夜光花  朝南かつみ 

秀逸!

レビューを書くために軽く読み返すつもりが何度目かの再読になってしまったほど好きな作品です。夜光花さんの作品はいくつか拝見しましたが、この作品が一番好きです。

物語の主軸は主人公・清涼の特殊能力と彼の過去にまつわる事件ですが、登場人物のキャラクターがブレなく魅力的であることと、クライマックスに向かって少しずつ情報が明かされる展開+清涼と秦野の関係が深くなっていく過程が絶妙に絡み合って、暗すぎず…

10

積木の恋 小説

凪良ゆう  朝南かつみ 

堕ちるしかなかった弱さと立ち上がる力を与えてくれる存在を見せられました

とてもいい話でした。
評判が良くて表紙の絵にも惹かれたのですが、あらすじを読むとなんだか暗くて痛そうな話だなと思ったらなかなか手が出ませんでしたが、もっと早く読めばよかったと思いました。

貧しく親からの愛情もなく人は裏切るものだと思って生きてきた蓮。
やがて、自分が貧しくて苦労しているのは誰かが奪っているからだと考えるようになり、ならば返してもらってもいいはずと、騙して奪っていつか自分の…

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