木原音瀬さんのレビュー一覧

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

表紙の画とはうらはらに

表紙の暗い感じと、読み始めで殺人の空気が漂い、木原作品でこれはきっと病んでるに違いないと、購入はしたもののずっと放置したままでした。最近になり木原音瀬中毒が再発、恐れながらもこの作品を手にしました。これがなんと、期待を(いい意味で)裏切る心温まるストーリー。痛く悲しい場面が全く出てこないというわけではありませんが、充と啓太が両想いになってから(充はずっと一途でかわいい)の二人の関係は確固たるものだ…

4

COLD HEART in NEWYORK 小説

木原音瀬  麻生ミツ晃 

許すことも愛

前作「COLD HEART in TOKYO」の続きが、前半に収録された「COLD HEART」で描かれています。
TOKYO編の最後では、蛍デートに楠田を誘う秋沢がいじらしくて、このまま穏やかに成長してくれないかな、などと期待していたのですが…。無残に裏切られてしまいました。

秋沢の異常な性観念に傷ついた楠田は別れを切り出しますが、秋沢の狂気じみた執着が楠田の心も体もズタズタにしてしまい…

9

COLD HEART in TOKYO 小説

木原音瀬  麻生ミツ晃 

アンバランスなカップルの行く末は…

COLDシリーズ(SLEEP、LIGHT、FEVER)の透の友人・楠田のスピンオフです。
SLEEP~FEVERを読んでいなくても楽しめそうですが、透は出番が多く、藤島、同窓会カップルの黒川も出てくるので、三作品を読んでからの方がより楽しめると思います。

楠田は兄とともに立ち上げたアクセサリーブランドの専属モデルに、かつて天才子役と言われながら今は落ちぶれた俳優・秋沢海斗を採用します。カメ…

8

COLD FEVER(新装版) 小説

木原音瀬  祭河ななを 

言葉にできない感情が湧き上がる

シリーズ3巻目。「COLD LIGHT」で、過去を乗り越えた藤島が記憶を失ったままの透の求愛を受け入れ、二人は恋人同士になったのですが…。突然透は交通事故以前の記憶を取り戻し、6年間の何もかもを忘れてしまいました。事故のこと、藤島を愛したこと、パティシエとして働いていたことも全部。
私は、ひょっとしたら透は6年間の記憶を失わず二人の自分の間で葛藤するのではないか、と予想していたのですが。甘かった…

7

小説ディアプラス創刊50号記念「書き下ろしプチ文庫」 特典

後日談の甘さ堪能

本編の番外編15作品の小冊子です。

本編が未読だと「ふーん仲良しだね」だったんですが、本編を読んでから読むと、後日談の二人の甘さにジタバタしそうになりました。

私が一番印象に残ったのは、「溺れる人魚」の番外編「ひとりじめ人魚」です。反省したとはいえ、遊び人の桂(攻)に本編読了後もなんとなく不安を抱いていたのですが、眞生(受)にメロメロだという心中が分かり、ホッとしました。これ、これが欲…

0

COLD LIGHT(新装版) 小説

木原音瀬  祭河ななを 

愛があれば、きっと…

透をかばって負った怪我が癒え退院した藤島に、透は恋人として暮らしたいと告げますが、藤島はどうしても透の気持ちに応えることができません。その理由が藤島視点の回想で語られます。

藤島の母の歪んだ愛情、自身の忌まわしい出自、透との出会いと悲しく壮絶な別れ。
名のある家に生まれ、母の操り人形のように生きてきた藤島にとって、父が母への当てつけで引き取ってきた幼い透は、藤島が初めて自分から愛したかけが…

3

COLD SLEEP(新装版) 小説

木原音瀬  祭河ななを 

謎あり、切なさあり

COLDシリーズ。ずっと気になっていました。シリーズものは先が気になって次々読んでしまうたちですが、木原先生の作品はできるだけゆっくりじっくり読みたいと考えていたので、なかなか手が出せずにいました。しかし、完結編の「COLD THE FINAL」が近々刊行されると聞き、矢も楯もたまらず既刊5冊を一気買いして読み始めました。

タイトルが謎めいています。Cold Sleepは、Wikipedia…

5

恋について 小説

木原音瀬  大竹とも 

恋とは

普通のノンケの男同士が恋に落ちたらきっとこんな風に悩むのだろうな、という等身大の恋のお話。
戸惑い、近づいて、すれ違って、結ばれる二人から、恋の切なさや喜びがシンプルに伝わってきました。二人の心の動きが丁寧に描かれていて、こんな恋ありそう、と頷きながら読みました。

ブライダルコーディネーターの朝霞は、一年前に初めて担当したお客様・笹川吉郎と偶然歯医者で再会する。その後も偶然が重なり、やがて…

1

箱の中 小説

木原音瀬  草間さかえ 

表題作以外の「脆弱な詐欺師」が素晴らしかった

普段芥川賞作家より直木賞作家の本を愛読している者ですが、BL界の芥川賞と名高い本作は圧巻の読み応えでした。予想外に所々泣かされました。意外だったのは、冤罪はテーマでは無かった事です。そちらに重きは置かれていません。妙齢な男同士の風変わりなラブストーリーがテーマです。「妙齢」な所がポイントです。

この巻では、刑務所内での喜多川と堂野の二人の出会いと親交が描かれた表題作の「箱の中」とその後の喜多…

2

FRAGILE 小説

木原音瀬  高緒拾 

まさに激辛料理

初めて読んだときは過激な描写に圧倒されて、あとがきの「ハッピーエンド」が納得できなかったのですが、繰り返し読むうちに、傷つけ合い、相手の嫌なところも体も全て知り尽くした男二人がたどり着いた結末と考えれば、これはありだと思うようになりました。

表題作「FRAGILE」は、優秀な広告プランナー・青池が卑劣な上司・大河内に凄まじい復讐をする話。
大河内が犬のように裸で首輪につながれ、辱められ、プ…

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