沙野風結子さんのレビュー一覧

獣の妻乞い 小説

沙野風結子  実相寺紫子 

猟獣という悲しい存在

作家買いです。獣姦とはいえ、ただの獣ではなくて、なんだか複雑な設定を背負っているモフモフということで興味深々で手に取りました。

こっれは…複雑です。最後、ハピエンといえばハピエンなんですけど、
不安な先行きや物悲しさが残るんです。彼らの手に入れた幸せが”平穏な日常”というだけなのに、あまりにも儚いものなのではないかと思えてしまうからです。”猟獣”という存在そのものが悲劇なんですよね。なので…

1

帝は獣王に降嫁する 小説

沙野風結子  奈良千春 

ワダツミ三部作-1

海幸山幸の神話が下敷きなのか、違和感なく入り込めるファンタジー。面白かった。
海に長く潜る事が出来る海中神事を行う一族って・・・タブーにされている一族をモデルにしているのかな?。
海中神事など、興味津々なテーマが入ってます。
時々登場する攪乱役の歪んだ曲者は、羽を持つ人。

ワダツミ国の王子は3人。
兄弟順だと、1巻→3巻→2巻の順になる。何故か3男が先に2巻で扱ってますが、読み順は、…

3

疵物の戀 小説

沙野風結子  みずかねりょう 

永い間すれちがいをしていた純愛

研究者の真智が開発した脳の記憶や情報の人為操作
これを大真面目に研究をして、軍用に実用化している国があるという噂を聞いたことがあるので、興味津々読みました。
この作品はSFじゃない。特殊な技術がメインじゃなくて、恋愛物語なので、気楽に読めました。
記憶を18才に戻したことで、危険から身を護ることと、18才から敬とのお付き合いをやり直すことが叶うので、良かった。
意思疎通ができない環境にあっ…

3

秘恋は咎に濡れ 小説

沙野風結子  笠井あゆみ 

最後まで目が離せない

kindle unlimitedにて読みました。
笠井先生の色っぽい表紙に惹かれただけだったので、失礼ながら内容には全然目が行っていなかったのですが、昨今読んだ中でもかなりの良作でした。

最初は好きな人に振り向いてもらえない不憫な受け、椋一を軸とした話なので、関係性がなかなかドロドロしているのと、政財界のあれこれでかなり痛い&シリアス系です。しんどい展開なのですが、随所に登場する攻めの四堂…

2

疵物の戀 小説

沙野風結子  みずかねりょう 

これぞ『スリルとサスペンス』に愛を込めて♡

最初読み進めるまで、ここまでガッツリなスリルが来るとは思いもしませんでした。
皆さまお気を付けくださいね!
そして読み始めたら最後、本当に止まりませんっ。
大型客船に乗せられて、嵐の大海原をひたすら航海する乗客の気分でございます。
そこへ船酔いするヒマも無いくらいのアクション(?!)に、すれ違いが絡まる二人の愛!キャーっ(⑉• •⑉)たまらんっっ。

前編は『受け』の目線で語られます。…

7

獣の月隠り 小説

沙野風結子  実相寺紫子 

番の重み

2016年刊、こちらも2010年のリンクスロマンスから文庫化されたものだ。
スピンオフだが続編でもあるので、是非とも『獣の妻乞い』とセットで読んだほうがいい。

人間の都合で生み出された、人と狼を掛け合わせた猟獣達を管理する施設は、生き残る為の弱肉強食な檻の世界だった。
そんな中でもいじめあり、兄弟のような関係あり、嫉妬あり、といった人間模様みたいなのが芽生えている。
そして恋愛感情も……

1

獣の妻乞い 小説

沙野風結子  実相寺紫子 

傷だらけのわんこ

元は2008年にリンクスロマンスより刊行された小説だが、2015年刊の文庫化されたほうを購入。
個人的に沙野さん作品ってどうも取っ付きにくいイメージからこれを読みたい!!って直感が働かないのだが、コレだけは外しちゃいけないなと思っていたのでようやく読めた次第だ。

舞台となるのは凶悪犯罪者の多くが更生しきれずに再犯率の高さが社会問題となっている設定の現代で、猟獣の成り立ちも必要悪を盾にした使…

1

黒妖精は聖騎士の愛をこいねがう チェンジリング 小説

沙野風結子  奈良千春 

何者も立ち入ることができない絶対的な関係

前作『チェンジリング』が、運命を掴みとる話だとしたら、こちらは運命を掴み損ねた話…と言うとだいぶ悲劇的に聞こえるかもしれないけど、運命とは所詮一つの分岐でしかなく、道が逸れたからといって待ち受ける未来が嘆かわしいものとは限らない。人生の操作権が自分の手にある限り、逸れた道を再び繋げることもやはり自分次第。そんな読後感でした。

アンリは皇子でありながら不吉な取り替え子として生まれ、18年も隔離…

5

チェンジリング~妖精は禁断の実を冥王に捧げる~ 小説

沙野風結子  奈良千春 

運命に翻弄されながらも、自分の手で運命を掴む

「後に計り知れない苦難が待ち受けると知っていたら、果たして人は禁断の果実を食べるのか――?」
妖精の取り替え子というヨーロッパの伝承チェンジリングをベースに、そうした命題を背負わされた二人の愛の編成のファンタジー。
個人的には沙野作品の中で1.2を争うかも。というか主役二人が本当に好みな上、全編通して緊張感と切なさがつきまといずうっとハラハラし通しだった。

妖精の取り替え子で災いの預言者…

5

獣はかくして交わる 小説

沙野風結子  小山田あみ 

シリーズ化するのかな

刑事と、裏のある謎男とが、同じ目的に向かうお話。
なんだか久しぶりに、男くさい裏社会もの読んだような気がする。
夜って感じのブルートーンのカバーイラストも美しくて、凄く目を惹く。
早い段階から、二人の間には、何か過去の因縁があるのだろうなって事は垣間見えていて、一応本編中にその過去の因縁については解明されるのだけど、その上で、これから先の二人は…って所で終わってしまっている感があるので、これ…

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