茶鬼さんのレビュー一覧

従者にあらず 小説

椹野道流  ウノハナ 

人はパンのみにて生きるに非ず

『されどご主人様』のスピン、兄弟子のロテールと、その本の中で彼を迎えにきていたパン屋さんのお話。
前作が出た11年の時、イラストがウノハナさんってそんなに気にとめてなかったのですが(ちょっぴり画風がいつもの雰囲気と違ったので)今回はまさにウノハナさんのイラストー♪という雰囲気のパン屋さん(しかもメガネ)。
そして漫画ではお目に書かれない黒髪長髪の線の細い魔法使いのイラスト。
このイラストが実…

3

うなじまで、7秒 小説

ナツ之えだまめ  高崎ぼすこ 

あなたが欲しい

このレーベルの趣旨「女性による女性の為のエロティックな恋愛小説」、この本はそれを体現した作品となっていたと思います。
読み始めた最初の印象は、”女性ファッション雑誌に掲載されている連載恋愛小説” そんなライトさと肌触りの良さが感じられました。
高崎ぼすこさんの表紙イラストが魅惑的でそそられますが、中身の白黒絵のインパクトがちょっと表紙のカラーに比べて落ちてしまうのが少し残念。
もっとスーツ男…

10

会社は踊る 小説

鳩村衣杏  小椋ムク 

お話自体が舞台のミュージカルのような

他の3冊の既刊フルール文庫と比べるとライトで調子良くってとても読みやすい。
題名が『会社は踊る』だからではないだろうが、お祭り騒ぎの好きな会社(というかお祭り男?が登場)が舞台だからというわけでもないだろうが、浮足だった(悪い意味でなく)お話自体が”舞台”のような”ミュージカル”のような、そんな印象を受けるお話。


大学出版局の編集をしていたがワーカホリックが過ぎて体調を壊し、全く分野違…

5

カモフラージュ ~十年目の初恋~ 小説

いつき朔夜  香坂あきほ 

ヘタレワンコは「港」になるv

隠した本音、そして自衛隊の迷彩服、題名のカモフラージュは上手い事掛けたなと読み終えて思いました。
そう、今婚活で大人気の自衛隊♪ガチが多いと噂の自衛隊、タンクが人気の自衛隊、火力演習が大人気の自衛隊、、、私の大好きな自衛隊♪
すみません、、、でもね、そんなにがっつりでもないのでご安心を。
九州のとある駐屯地が舞台、そこでの隊員の日常や行事も交え任務の中から、きちんと主人公達の「恋愛」のお話と…

4

秋色 小説

朝丘戻  小椋ムク 

妙に冷めてしまう自分に出会った

『春恋』のラストで5年目の再会をしたアキと美里の二人。
その後の彼等がまとまるまでのこの本作は、コピーの文字「そしてアキの色に、染まるまで」たしかにそうかもしれない。

同性愛がマイノリティーであること、まだ学生という年齢であったこと、その他青年期のあれやこれやがテーマだった前作は非常に現実を帯びたものだったのに、
この作品では、主人公二人は「BL」の主人公となり、
彼等を取り巻く、マリ…

12

御曹司は初恋を捧ぐ 小説

名倉和希  水貴はすの 

傲慢だけど天然? 天然な健気?

多分コメディだと思う、いや、きっとコメディだ。
名倉作品コメディによく登場する本人至って真面目の天然がゆえに、どこかズレているキャラクター。
それが結構健気な純愛の様子を呈しているところの、真面目に行ってしまうと王道のベタコテになってしまう部分をちょっと抜かせたその配置は、絶妙に楽しませる♪
この微妙なずらし方のノリと展開が大好きだ☆
それは、誤解思い込みでお付き合いが進行してしまうところ…

3

獣の理 小説

成瀬かの  円陣闇丸 

もっふもふがやってきた☆

最近、この作家さんの作品はファンタジーのもふもふモノの割合が増えてきてるような気がします。
この作品、ちょっと違うのは人間が異世界トリップをするのではなくて、異世界のモノが現代の人間界にやってきてしまうというところ。
主人公の設定に実は重く苦しいどうしようもない暗いものを備えているのに、異世界のモノがやってくることでそれが軽減されて切なさもありながらライトなクッションの役割を果たしている。

8

京恋路上ル下ル 小説

夕映月子  まさお三月 

優しく愛したい

京都を舞台にした物語、その風情を味わえる場所や行事や食べ物の描写はそこに住んでいない自分をその場所に案内してくれるような臨床感を与えてくれました。
また、登場人物のキャラクターにこのまさお三月さんのイラストがとてもマッチしています。


親から捨てられ、古書店を営む祖父に引き取られ両親家族と絶縁したゲイの主人公・伊織と、彼に一目ぼれした伊織がほのかな恋心を抱いていた大学教授の息子である颯太…

13

捨て猫理髪店 小説

中嶋ジロウ  北沢きょう 

4年ぶりのお久しぶりです!

09年の『幸福の下僕』以来、実に4年ぶりの商業紙媒体の出版が嬉しい!
前作、好きだったのです。
今作も、作者さんの特徴を感じられる作風と作品で、受けにとても強い意志とか”男らしさ”というのはなく、ともすると女子でもよくないか?みたいな部分はありはするのですが、それでも作品のあれこれより久々の出版の方の嬉しさが勝った1冊となりました。

イラストも人物のキラキラ感が特徴な北沢きょうさんですが…

3

いつか恋に落ちる君へ 小説

いとう由貴  高崎ぼすこ 

容赦ない仕打ちが…

高崎ぼすこさんのイラスト表紙がとても魅力的で目を惹きます。
読み終えた内容への印象は、作者さんの過去作品の『たとえシリーズ』に何となく似ています。
身分差や主人公への嫉妬・羨望からの罠、凌辱強姦、すれ違いなどが重なり主人公の性格もあって悲愴なヤマを迎えるからです。
その辺りの懐古的なベタさが、たまに読むとハマっちゃうベタさという、こういう少年少女名作展開は、思い切りはずれるかキター!ってなる…

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