茶鬼さんのレビュー一覧

愛し過ぎた至福 小説

剛しいら  新田祐克 

潮の香りと鵠沼の風景が浮かぶ

地元サーファーのあこがれだった女性「マー」を母親に持つ兄弟達の話の続編。
1作目では、養子で末っ子の涼と長兄の深海が結ばれ、次兄の千尋が実家の歯科医院で働いてくれている大樹に想いを告げる迄でした。
前作でも盛んに出てきた「マーの呪い」
プロサーファーとして活躍しながら、一番マーに似ている千尋がその呪いに敏感で、何かとそれにこじつけてしまう。
そんな彼の奔放なのに臆病な姿が大樹との恋愛を前進…

1

十の願い 小説

火崎勇  三池ろむこ 

叶う望みは10個だけじゃないんだよ

親に虐待されて、何も望むことをやめてしまった子供時代から、願いが叶う喜びを養父母によって教えられた青年が、愛を求める姿を描いた作品。
あまりにこの主人公・乃坂のトラウマが深すぎて、怖がって前向きになれない姿が見ものかな?

望まない事を覚えてしまった深夜に、望を叶える方法を教えるおじいちゃん(養父)の姿、
おばあちゃん(養母)を失くしてしまう時の深夜の恐怖と悲しみ。
前半の、彼の生い立ち…

1

ふたりのはなし。 小説

朝丘戻  井上ナヲ 

ふたりの世界

ああー、よかった。
ものすごく地味な話なんだけど、
ものすごく萌えるっていう話じゃないんだけど、
二人の距離、そして在り方。
とても丁寧で互いを大事にしている姿が文章のあいまあいまににじみ出ていて、シロップがいっぱいかかってフォークで押すとじわっとそのシロップがあふれてくるパンケーキみたいなww
そういう姿がとっても心地よいこの二冊となりました。

房総の灯台で、恋人のキスを受け入れ…

7

きみのはなし、 小説

朝丘戻  井上ナヲ 

なんでもないことが特別な存在

多くは語りますまい。
作者さんがHPで書きためていった元高校同級生の二人のはなし。
何でもない日常がただ淡々と。
でも、そこには互いが特別たる何かが絶対的に存在していて、それが普通となっている。
それが為に、前進しない姿に読者はヤキモキしてしまうのだろうが
このヤキモキ具合が妙に心地よいものになっているのです。

キスは嫌じゃない。
唇をふれあうだけのそれは、まるで挨拶かそれの存在…

6

真夜中クロニクル 小説

凪良ゆう  小山田あみ 

またやってくれました、凪良さん!

よかった!!心があったかくなった!!とっても素敵だった!!
文章にしてしまうと薄っぺらい感じがして、すごく残念な言葉しか出て来ないのがもどかしい!
よく「BLっぽくない」とか「BLらしい」と言う表現を自分たちは使うけれど、もしその月並みな言い方をつかってしまうならこれはBLじゃない。
自分には、BLだろうがなかろうが、そこに人間の魂の触れ合いがあって、それがたまたま同性だっただけ、というもの…

14

遠くにいる人 小説

ひのもとうみ  松尾マアタ 

この自分本意男にキィーーー!!

まずこの表紙に誰もが目を惹かれるのではないでしょうか?
松尾マアタさんの描かれる小説絵って何でこんなに新鮮で魅力的なんでしょう。
まるで映画の一場面のような夕陽の背景と通り過ぎる男を見つめる男。
ちょっと気が早いですが、ひとまず11年度№1の小説カバーじゃないかしら?
もちろん、中の挿絵も、主人公達の特徴が良く出ております。
そして、この小説の作家さんデビュー作品だそうです。
こんな素…

8

彼と彼氏の不適切な関係 代議士秘書と大学准教授の場合 小説

義月粧子  立石涼 

社会勉強にもなる一冊

”不適切な関係”というと、この場合ゲイであることを置いておくとすれば、不倫とかいう意味かな?と思ったり、その場合セフレというのも不適切に含まれるのかな?とも思ったり。
この場合は、互いに利害を持ち、恋愛感情より先に身体が優先した関係というのを指しているようでした。
主人公は社会心理学の准教授と、議員秘書。
義月さんが、昨年は「非実在~」とか「都条例改正~」でかなり深く活動されて議員さんとの密…

1

薔薇と接吻 小説

杉原理生  高星麻子 

ファンタジー全開

杉生さんの、ロマンチックな部分が人外をテーマにしたことでいい感じに表に出たファンタジーでした。
かなり厚い1冊になっていますが、お話は難しくありません。
小さい頃から彼と共にありたいと願った少年が、約束の日を迎えるまでの、その約束を果たす為に解決しなければならない障害を取り除き、結ばれるまでといったお話です。
ヴァンパイヤといえば薔薇♪、そして狼男とか、狩人とか、色々な霊的(?)存在が登場し…

5

唇にコルト 小説

佐倉朱里  朝南かつみ 

サーバルキャットとシェパード?

自分的にこの佐倉さんの文章って好きなんですよ、何となくドラマチック(浪漫的劇的といういみではなく、ドラマみたいな描写とか雰囲気という意味)でちょっと大人な雰囲気が。
今回はそれが朝南氏の絵がとってもクール!!
もうっ、この方のイラストがつくだけでも中身が数割増しでアップしちゃうっていうから恐ろしい絵師さんだと思います♪♪
表紙も格好いいんですが、中扉のカラーイラスト!!
フフフ・・・カウン…

4

新進脚本家は失踪中 小説

水無月さらら  一ノ瀬ゆま 

さらら~

実はこの本、最初読むのにすごく苦労して、何か主人公達に共感をおぼえなくて放ってあったんですよね。
でも、寝かせて再度読んでみたらすんなり入ってきました。
作者さん1年半ぶりの作品です。

劇団員の望は、花が欲しくて道を徘徊していた時、車に当てられてしまう。
相手は電話中で忙しく英語でやりとりをしていて、互いの住所と電話番号を交換してその場は別れる。
しかし自宅に望が帰ると、実はひどい怪…

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