ぎがさんのレビュー一覧

ダブルミンツ コミック

中村明日美子 

痛々しいが、救いがある

ここ2年ほどの中村氏のコミックスは、BLの『同級生』しかり、非BLの『片恋の日記少女』『曲がり角の僕ら』しかり、さっぱりさわやか系(表紙も白っぽい)が続いていたので、久々のダーク系(表紙も黒っぽい)である。

本作は高校で同級生となった同音異字名のふたり・壱河光夫(ミツオ)と市川光央(みつお)にまつわる物語である。
ふたりは全く違う個性を持ちながら、同じ音の名前を持つために互いに必要以上に意…

4

百日の薔薇 CD

非常に映画的なCD(良くも悪くも)

原作を読みながらあるいは原作を充分に読み込んでから聴く、というのが本作の最良の楽しみ方であるのは間違いない。
私はそうしなかったために、しばらくの間このCDに対して不当に低い評価を下していた。
その理由は、このCDが非常に「映画的」な作りであるからだ(CDなのに)。

原作未読でこのCDを手にしたのは、単純に千葉進歩さんの受けを聞いてみたかった(当時どういう訳か彼の数少ない攻め役しか聞いた…

0

窮鼠はチーズの夢を見る CD

せりふの「間」により演出される焦燥感

「100点とは言わないまでも全体にかなり出来がいい」というのが、私のこのCDに対する評価である。
特に言い争いの場面のテンポのよさはすばらしく(お下品な言葉は、音声で聞くとインパクトが違う…)、主役のお二人は本当にいい仕事っぷりだと思った。

第一聴は原作片手に聞いたところ、自分が読もうとするペースより話がやや速く進むので(特に今ヶ瀬のせりふで顕著)、ずいぶん駆け足な印象だった。
しかしC…

3

タッチ・ミー・アゲイン CD

CDドラマとしてはわかりにくい部類か

同名のコミックス『タッチ・ミー・アゲイン』から、『タッチ・ミー・アゲイン』『息をとめて、』『Candied Lemon Peel』の3編とそれぞれのおまけをCD化したもの。
配役は概ね合っているように思えるが、CDドラマとしては特に表題作で顕著だが、かなりわかりにくい部類に入る。

表題作『タッチ…』は、正直なところ音声ドラマには向いていない話ではないかと思った。
良くも悪くもヤマシタ氏ら…

2

恋のまんなか コミック

松本ミーコハウス 

少年期の閉塞感からの決別

あちこちで絶賛されているので読んでみることにした。
ふわふわとかわいらしい雰囲気のカバーイラストの裏にこれほど閉塞的な内容の物語が展開しているとは想像していなかった。
ただ世間的に評価の高い作品を読む際には割とありがちなことなのだが、初読みでは正直なところそれほど刺さらなかった。
しかし読後に他のレビューを読み込むと、自分の感性だけでは気付くことのできなかった部分に触れられており、非常に参考…

4

oyaji renaissance 3(合同誌) 小説

木原音瀬  名倉和希  杉原理生 

衝撃のハゲオヤジ受け合同誌その3(衝撃はだいぶ薄まっているが…)

木原音瀬・名倉和希・杉原理生による魅惑のオヤジ受け同人誌第3弾にして一応最終作。
全体的には、収拾をつけるために少々無理のある展開あり。

木原音瀬『ラブ&キャッチ3』は、著者コメントにもある通り「コメディのはずがどんどんシリアス寄りになり、かつ未完」という内容。
前2作ではひたすらオヤジの勘違いを若者が是正できないというおかしさであったが、本作でついに二人は一線を越えてしまう。
オヤジ…

3

COLD SLEEP(新装版) 小説

木原音瀬  祭河ななを 

不安という薄靄が晴れるまで

交通事故による頭部打撲をきっかけに全生活史健忘に陥った青年・高久透の視点で綴られる物語の始まりは、非常に模糊として不安に満ちている。
もし彼に親兄弟がいたとしても「自分が誰であるかわからない」という状況はそう簡単には変わらないであろうが、唯一面倒を見てくれる「友人」を自称する年長の男からはほとんど何も情報が得られないまま生活を共にするとなれば、いっそう不安は募るばかりであろう。
相手は自分をか…

1

夕暮れララバイ コミック

松木加斎 

カップリングの妙+α

BL作品を読む際には、内容重視と萌え重視という二つの側面がある。
筆者の場合は割と内容重視で選ぶことが多く、細かい萌えポイントは好みからはずれていても内容がおもしろければ満足するほうである。

さて『流れ星ミュージアム』がなかなかよかったので、松木氏のデビューコミックスである本作も読んでみることにした。
まだ2冊、しかも連載作しか読んでいない状態で決め付けるのは危険かもしれないが、カップリ…

1
非BL作品

コペルニクスの呼吸 1 コミック

中村明日美子 

絵柄のハードルは高いが、意外と読みやすい

書店でこの本の表紙を見ての第一印象は、角川文庫の『ドグラマグラ』の表紙、米倉斉加年氏の絵と似ているいうことであった。
これがまだ20代の女性の絵かと驚くと同時に、やはりこの過剰に耽美的な絵柄に腰が引け、実際に手に取るまでにかなり長い時間を要したことを覚えている。

中村明日美子氏のデビュー単行本である本作は、現在のものよりずっと癖の強い絵柄とハードな描写を伴う内容によって、ハードルの高い作品…

5

流れ星ミュージアム コミック

松木加斎 

続編を期待

雑誌で最終話だけ読んでなんとなく気になってはいたものの、タイトルも作者の名前も記憶していなかったのだが、オヤジ受け作品を探していて本作が1冊にまとまっていることを知り、入手してみた。

主人公は小汚くて冴えないオヤジにしか見えない元天才画家(現在失踪中)と、彼に憧れて画家を志した美大生。
気持ちが真っ直ぐであるがゆえに迷い傷つく若者を、飄々とした態度で時にかわし時に導き、しかも案外ちゃんと若…

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