Sakura0904
リアルさと萌えとエロがバランスよく詰まっている良質な物語でした。とにかくメイン2人の会話が今時の男子っぽくて自然。読者の萌え所を狙っているように感じさせず、キャラクターに喋らせているというよりキャラクターが喋ったことを書き留めている、そんな風に感じるほど仁科も矢井場も現実にいそうな男の子でした。
ゲイとして堂々と生きるキャラも、カミングアウトをした時に周囲がすんなり受け止めてくれる展開も…
突然身体中の色素が薄くなり、記憶障害も生じるゾンビ症という架空の病気を扱っていますが、極度のストレスによる白髪化や心的外傷による記憶の書き換えは実際に起こり得ることですから、そうファンタジー感の強いものでもないですよね。他人を別人に思い込むほど病むのは尋常じゃないと思いましたが、レイの回想を読んだらなるほどこうなってしまったのも仕方がない、と感じました。
才能のある人に魅せられ、その人に…
納得できる展開の下巻でした。ミチの記憶障害が治ってハッピーエンド、ということもなく、毎日リセットされる日々はそのままでもけっして今後の人生を悲観するばかりにならなくて良いのだ、というミチの希望や幸せが感じられる良い結末でしたね。灯とのことは賛否両論あると思いますが、ミチの問題を知っていて結婚という大きい選択をした灯にももちろん責任があり、毎日彼女を忘れてしまうミチに非はないと思いました。記憶のあ…
冒頭で拗らせた両片想いの話かと思ったら、実態はかなりシリアスなものだったので良い意味で驚きました。タイトルの『午前2時まで』という言葉の意味を知ると、切ないですね。ミチの傍で彼をずっと見守ってきた恭一、灯、彼の父親はどれほどの苦悩を超えてきたのでしょう。そして何よりもミチの、365日朝起きて混乱するところから始まり、記憶を積み上げられない自分、新しいことができない自分に歯痒い思いを感じなければな…
◆花のある生活(表題作)
ハイスペックな攻め・倉橋の、恋をしてすっかりバカになってしまっている感じが面白かったです。どこにいても何をしていてもずっと後輩の五百川のことを考えていて、鼻血まで流してしまう間抜けさ、それでいて五百川以外に対しては傲慢で、クズさを隠そうともしないところがいいですね。最近はワンコ攻めがとても多い気がするので、こういう攻めを時々無性に見たくなります。対する五百川は一見気弱…
攻めも受けもかっこよすぎない、良い意味でとても現実味のある2人の日常をまた読めてとても楽しかったです。漫画家だけどまだ売れているわけではない慎也。証券会社勤めのエリートだけど、家にはフィギュアやエロ漫画がたくさんあって、垢抜けないオタクのハル。お互いのことは大好きだけど、生活リズムやお金のかけ方がまったく異なることで喧嘩になることもしばしば。そういう相手と合わない所もひっくるめて好きでいられる、…
じわじわと萌えが高まってくる、2人の魅力がたくさん詰まった3巻でした。前巻では矢野の父親のことで一悶着ありましたが、今回は志筑が以前所属していたビッグバンドメンバーの三好が現れ、志筑は市吹でサックスを演奏している現状に甘んじてはいけない人間だと言われ、矢野の気持ちがぐらつく事態に。
他人から見たら逃げや守りに見える選択でも、当人にとっては本当に違うかもしれませんよね。20代半ばという立派…
3兄弟バランスよく詰まっていた1巻と異なり、序盤こそ錦の三ツ葉宅訪問などのシーンはあるものの、ほぼ芙蓉と春雷カプがメインとなっていました。私は芙蓉がお気に入りなので嬉しかったですね。誰の意にも介さず奔放に生きてきたように見える芙蓉だけど、実際は繊細で好きな人を傷付けることを何よりも恐れている。2巻ではヴァンプのスプリームが登場し、芙蓉でさえもその強力なフェロモンには逆らえない事実を突きつけられま…
上巻の冒頭で示された時系列の不思議が下巻で一気に解明され、そう来たかぁと思わずにはいられませんでした。すべて知った今となっては、敦也が眠っていた間、洋二はよく1人で耐えたなぁと感心するばかりです。遼一の犯した罪と、彼のせいで目覚めなくなった愛しい人。まだ大学生で、遼一の元で歪に育ってしまった洋二にはあまりにも重い現実だったのではないでしょうか。
彼がそんな重みを耐え抜くことができたのは、…
終始不穏な空気が漂ってはいるものの、なんだかんだ洋二に穏やかに接してくれる靴職人の敦也がいるシーンは心安らかに読めました。不穏な空気の要因は、洋二の兄の遼一。登場シーンはかなり少ないものの、弟にも同級生だった敦也にもかなり影響を与えており、2人の口から語られる度にどきっとさせられます。
2人の話を聞く限りでは、根っからのサイコパスという印象です。教えられなくても他人の懐に入り込む術を心得…