Sakura0904![]()
やはりヤクザものは抗争の渦中、銃をぶっ放してやり合うシーンに痺れますね。それぞれが己の守りたいもののためにぶつかり合う銃撃戦。それは利益だったり、矜持だったり、組や部下達だったり、親友だったり、愛している人だったり。一度寝返ったキャラが再び寝返ったりもして、二転三転する相関図が非常に読み応えありました。コウキと叔父貴が、ただ軽薄なだけではない人物だったのはすごく嬉しかったですね。やる時はやってく…
◆媚の椅子(表題作)
極道ものをそこそこ読んできた感覚からすると、若頭のような幹部に就いているキャラって最初から相当腹が据わっているキャラが多い気がするんです。余程のことがなければ、周りに対して一分の隙も見せないような。でも、加賦の場合はちょっと違う。もちろん幹部として上に立つ素質は十分備えていながらも、韮沢を前にした時彼は割と呆気なく感情を乱すんですよね。そこが面白いなぁと。こんなに厳つい顔…
一ノ瀬先生の脚本力の高さに唸らされました。絵もこんなに美麗な上に、ストーリーにもすごく惹き付けられて、もはや言うことありませんね。芝居に本気になれない渋川が、直向きなショータに感化されて変わっていく話かと思いきや、ページを捲るごとに渋川と彼の周りが囚われている過去が見えてきて、彼らの苦しみが胸の中に迫り来るんです。誰も悪くなかった、けれど誰かを責めずには、恨まずにはいられなかった、不毛だと分かっ…
上下巻で満足感のたっぷり味わえる作品でした。ストーリー展開も良質。上巻では姫野はまだ燻った状態からやっと抜け出したくらいの立ち位置にいましたが、下巻では割とスピーディーに芸能界を駆け上がっていきます。岩木監督の映画でも役をもらえた彼。でも、舞台に出ている間に父が倒れ葬儀にも出なかったり、映画の撮影で思うように芝居ができなかったり、完全にトントン拍子というわけではない。特に自分を認めてくれていない…
上巻ではBLらしい絡みはほとんどなかったのですが、その分元アイドルとマネージャーという肩書きの2人の人生が、それぞれ読み応えあるなぁと思いました。やる気のないメンバー達に囲まれながらも最後まで真面目にアイドルを続けた亜樹。でも、笠原のおかげで人気を持ち直しても、今更手遅れでやむなく解散。移籍して俳優としてのし上がることを決意するけれど、待っていたのは養成所とバイトを行き来する日々。
最初…
◆タッチ・ミー・アゲイン(表題作)
冒頭からがっつり心を掴んでくれた表題作でした。最初、遠田が突然押切を叩くシーンがあったので、暴力を振るうクズ系の攻めか?と若干構えましたが、読み進めていくとちょっと過剰な愛情表現として受け入れられる程度のものでした。互いに7年前の勢い余った一夜を忘れた振りをして振舞っている2人。どちらが先に音を上げるのかなと思っていたら、意外にも遠田の方からで。普段は強気で…
あらすじで超ドヘタレ呼ばわりされている永瀬ですが、全部読み終わっても彼をヘタレだなぁと思う場面ってほとんどありませんでした。確かに押しが強いわけではない。でも、有働の気持ちを推し量りつつ、有働が本音を零した時には優しい口調のまま諭して包み込んでくれる、そんな攻めでした。ヘタレというよりは、私は包容力攻めという方がしっくり来ると感じます。
仕事に真面目でツンが多い有働。好きになった相手には…
◆ソフレ部下!(表題作)
部下の中村の方の面倒見が良いので、最初は中村に頼りがちな上司・瀬田という印象が強いのですが、段々中村の可愛らしさというか年下らしさも見えてきて、どちらも可愛いと思えるカップルでした。そもそも瀬田は仕事のできる人。でも、人に嫌われたくないあまり何でも引き受け過ぎて、残業が多くなってしまっているという同情を誘う上司なんです。そんな彼の本音を唯一引き出せて、添い寝で安眠も提…
いやあ、全体を通して可愛かったですね。デビュー作では全編4コマという斬新な手法で驚かせてくれた佐岸左岸先生が、長編を描いたらどんな風になるんだろう?と、この2作目を心待ちにしていました。繊細な描き込み、いろんな表情を見せてくれるキャラクター、そして、先生ならではの言い回しで書き出されるモノローグ。どれをとっても1作目に劣らない質の高さで、次回作以降も作家買いしようと思わせてくれました。
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