Sakura0904さんのレビュー一覧

蛍火艶夜 上 コミック

amase 

表題の美しさが沁みる

 女性のいない戦場や訓練所では、いつの時代どこの国でも男性同士で慰め合う文化はあると思いますが、愛のない絡みから情の交わる絡みへ変化していく互いの心情が、ほぼ濡れ場ばかりの流れの中で上手く描き出されていました。相手を女性の代わりとして始める者もいれば、元々ゲイで男ばかりの空間を利用する者もいて。後者はやはり故郷では生きづらさを感じており、それは戦時中も今も大して変わらないのかもしれません。

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メイジー・ラヴを綴って コミック

くれの又秋 

夢中になる日高をぜひ見たい

 生意気なノンケの男がゲイに後ろの快感を教えられて堕ちる、という話の流れはよくありますが、この作品はいろいろと他とは一線を画す要素が詰まっていたなぁと思います。まず、敦が本気でゲイを見下していたわけではなく、素直に反省できる性格の持ち主であったことが大きな魅力の1つでしょう。友達にゲイネタを振られることにもやもやしていた彼の気持ち。そういうネタに抵抗がない、一緒に面白がれる人ばかりではないというこ…

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フェアプレイ・フェアラバー コミック

日乃チハヤ 

30歳の2人のビジュアルが最高

 セフレ、ただヤりたい欲を満たすためだけの関係性から、相手が自分の中でどんどん存在感を増していく変化に戸惑う展開がとても自然に、リアルに描かれていました。諏訪も長峰も歯に衣着せぬ物言いをするタイプで、特に諏訪は自分の変化に戸惑いつつも、それを長く溜め込んでおかずに素直に長峰に言ってしまえる清々しい性格が逆に貴重で、恋人として得がたい人間なんじゃないでしょうか。割り切った関係にしか興味がないと言いつ…

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もう少しだけ、そばにいて コミック

白野ほなみ 

愛しのマジックハンド

 身近に身体が不自由な人がいないのですが、素人目線からすると車椅子使用者の心情の解像度がとても高かったのではないかと感じました。互いの好きという感情を疑う気持ちは微塵もない。でも、好きだけで難なく日々を過ごせるほど、身体の不自由さを抱えての同棲生活は甘くはない。過干渉にもならずいつも自然体で晴人と接する晃には温かい気持ちになりましたが、そんな彼に壮大な夢があったとしたら、晴人がいつまでも罪悪感や引…

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PUNKS△TRIANGLE コミック

沖田有帆 

攻めにも受けにも可愛いがぎゅっと詰まっている

 表紙の色やタイトルからもっとぎらぎらした話なのかと思っていましたが、純粋さと不器用さが詰まったとっても可愛いBLでした。見た目は変えられても体格や声は変えられないので、千明がずっと気付かなかったのは奇跡でしたが。でも、こんな所にいるわけがないと思い込んでいると、案外気付かないものなのかもしれませんね。夢を持って服飾を学び、腑に落ちれば相手の言葉にも素直に耳を傾ける千明は服飾の道でも恋愛面でも応援…

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バディマリッジ コミック

ヒサオ 

続編も読みたいなぁ

 海外警察ものですがメイン2人の関係性は表紙の通り王道の、余裕がある攻め×攻めの押せ押せな迫り方に戸惑いつつも絆されていく受けでした。なんだかんだやっぱり好きなんですよね、こういう攻め受けの応酬が。最初はまったくそういう目で見ていなかったのに、ロイの気持ちを知ってから徐々にロイの優しさや温かさも、彼に身体を求められる心地よさも心に浸透していくビリーの変化が可愛かったです。ロイは今まで遊んでいたよう…

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巣箱の王子様 下 コミック

秋平しろ 

愛おしい巣作りの天才をよろしく

 下巻は後半まですれ違っていて、秋平先生の絵のおかげで大分中和されてはいましたが、なかなか辛い展開でしたね。普段相手から好意をたくさんもらっているのに自分では釣り合わないと身を引くキャラが得意ではないのですが、今回の青柳は酔った相手に手を出したという事実があるわけですから、ただの卑屈とは異なります。しかも相手はノンケだし、子供ができずに悩んだ過去を持つ人だし、素面の時にきちんと気持ちを聞いたわけで…

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巣箱の王子様 上 コミック

秋平しろ 

本当に巣箱に住んでいたとは

 浅桐王子のおうちに初めてお邪魔させていただいたシーンでは、失礼ながら予想外すぎて思わず爆笑してしまいました。確かに伏線は張られていたのに……(笑)。違うだろうとは分かりつつも、青柳が童貞か童貞かと唱えていた直後だったのでギャップの大きさが面白すぎて。あんなにうず高く積もらせることができるもんなんですね。食べ物系がなかったことが救いだな。あれだけ普段きちんとしている方ですから、何かあったんだろうと…

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ボーイフレンド17 上 コミック

吉田ゆうこ 

自分の気持ちに嘘をつかない、取り繕わない貴重な2人

 吉田先生の作品を久々に読みましたが、やっぱりこの独特の静謐な空気感、時折文学的・哲学的とさえ感じる台詞、愛について考えさせられてしまうところが改めて好きだなぁと思いました。17歳でモデルの臼井と、29歳で雑誌編集者の葉。一回りも年の差があるけれど、臼井の方はこの若さで悟りきっているような貫禄があります。一方の葉は自分を曖昧に振った相手を数年一途に想い続けるような純真さがあって。でも、最初の2人の…

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かわにさざなみ 5 コミック

澄谷ゼニコ 

ビーズのブレスレットや指輪が嬉しいなんて素敵

 今回は高校時代の宇田川の野球部での活躍が楽しめます。野球はリアルではそんなに興味が持てないスポーツなのですが、こうして漫画で読むとちゃんと感情移入できるし面白いなと。相手にボールを当てるのが怖いという宇田川の考えがとても彼らしくて、それを土壇場で克服して投げたシーンに感動しました。その試合で一気に女子にモテるというミーハー展開も、高校生らしいですよね。でも、自分の実力以上に評価されることよりも、…

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