Sakura0904
ヤクザだってこんな風にお洒落でロマンティックな映画の登場人物みたいな恋をしたっていいじゃない、と新たな世界を見せてくれた作品でした。ヤクザものでこんなに穏やかで温かい雰囲気の作品は、今までほとんど読んだことがなかったと思います。攻めの水田が小説好き、受けの春本が映画好きというキャラなので、度々創作の中の恋愛になぞらえて進んでいく2人の関係がとても魅力的でした。だからと言って気障過ぎるとか、わざと…
皆が学生だった1巻から時は流れ、各々が社会人となったところから始まる2巻。1巻の最後で大我が運命の番はゆかかもしれないと気付きましたが、そんな大我にも倫というΩのセフレができています。倫は自分を大事にしてくれて番ってくれるαを探しているし、大我は運命の番しか信じないと言っていて、2人は非常にドライな関係です。しかし、倫の働いている居酒屋にゆかと薫が訪れ、まさかの倫の運命の番が薫だと発覚。4人はそ…
オメガバースの美味しくもあり複雑でもある設定を学校という閉鎖的空間にあてはめ、存分に活かして描かれていました。幼馴染との優劣関係が逆転してしまうところや、築いてきた友人関係が破綻してしまうところなどは、実際に学生時代に性別検査をしたらきっとこんな風になってしまうんだろうなぁ、というリアリティがありますね。オメガバースでは運命の番という設定を用いる作品と用いない作品があるかと思いますが、こちらは後…
上巻の途中まで悲劇のヒロイン風に描かれつつ、佐伯視点の描き下ろしで「おっと…?」と読者に思わせた八敷ですが、その流れを引き継いでこの下巻では今までと打って変わって彼本来の享楽的性格が前面に押し出されていました。反対に、八敷を見つけ出し救ったような存在だった鬼戸は、正常さと異常さの境目で彷徨い、苦しさから抜け出せない様子をまざまざと読者に見せつけ、同情や共感を誘うキャラになっていました。
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明日美子先生のラブコメ短編集、とっても可愛くて面白くてきゅんきゅんしました。どちらかというとシリアスな雰囲気の作品が多い先生ですが、こういう爽やかで可愛らしい作品もぴったりですね。ストーリー重視の方には今作はちょっと合わないかもしれませんが、軽いラブコメを明日美子先生の繊細なタッチで楽しみたいという方にはおすすめです。
◆あなたのためならどこまでも(表題作)
結婚詐欺師×刑事。1年も追…
秋平先生らしい清涼感が溢れていた作品でした。幼馴染で両片想いの一樹と翔平が、共にいい奴で相手に対して思いやりがあって、終始可愛かったです。翔平のライバルというか当て馬的ポジションとして登場する稲荷も、単に一樹のことが好きなわけではなく、過去の寂しさや責任から逃れられずもがいていて、一樹や翔平との交流を通してそれらを吹っ切る描写があったのも良かったです。メイン2人だけの世界で完結させるのではなく、…
攻めの小竹が巨人族という設定を除けば、『アホエロ』『ロマンスとジェラシー』などの過去作品に比べて、重い実先生にしてはシリアス調のトーンだなぁと感じました。私は表紙から、手に乗っている人物が通常サイズから小さくなる話かな?と想像していたのですが、どちらかというと彼が通常サイズで、手に乗せている方が巨人族という特殊設定でしたね。
サイズを度外視すると、最初は小竹も武田も両方受けっぽく見えまし…
この焦れったさと星のおバカ加減が段々癖になってきました。互いの気持ちを明かさないまま、何度もキスしたどころか今回は抜き合いにまで至ってしまう2人。なぜそこまでしといて気持ちを言わないんだ、なんて野暮なことは言いません。顕がなかなか素直になれないところもこの作品の1つの魅力ですからね。星が自分の乳首を黒くしたいがために、自ら顕に弄ってくれと差し出すシーンはさすがに噴き出しました。ムードの欠片もない…
1巻ではゲイとノンケが付き合うことの問題、2巻では仕事面で同性と付き合うことが及ぼす影響に対して、それぞれ2人で答えを導き出してきました。そしてこの3巻では、高梨がシングルマザーの部下を持ってその子供とも知り合ったり、徳永が両親に改めて自分がゲイであることを話したりすることで、将来的に子供を残すことは不可能だということを痛感し、徳永が悩むこととなります。加えて、高梨が支社へ異動となってしまうので…
今作は高梨と徳永の恋愛に徹して描かれていました。高梨が新たに営業部への配属となり、ただでさえ成果が出せず燻っているところに、契約成立まであと一歩という相手先に同性と付き合っていることが伝わってしまい、直前で破棄されるという踏んだり蹴ったりな状況に陥ります。それを知った徳永は、仕事や会社にまで迷惑をかけてしまうのなら、と自ら引くことを選びます。
リーマンもののBLではそう珍しい展開でもない…