Sakura0904さんのレビュー一覧

アバウト ア ラブソング コミック

夏野寛子 

ずるくさせているのよね

 大人と高校生の恋愛がリアルに、大人のずるいところもすべて包み隠さずに描き出されているところが魅力的な作品でした。バンドマンの星名はけっして誰彼構わず手を出すようなタイプではないけれど、瀬戸のような未成年相手だと恋愛においてどうしても彼の方にアドバンテージがある。それをちゃんと本人に伝える誠実さが、瀬戸を軽んじていないことが分かるし、素敵な年上だなと。だからこそ、瀬戸も余計惚れるのだろうけど(笑)…

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スモークブルーの雨のち晴れ 6 コミック

波真田かもめ 

久慈が吾妻を見る目つきが好き

 まさか久慈が初めて吾妻と関係を持った夜、その前後の心情をこのタイミングで改めて読めるとは思っていなくて、思いがけない収穫でした。何事にも大きく動じず、淡々とした性格に見える久慈だけれど、吾妻にアプローチをかけるまではものすごい情動をスーツの下に隠していたんですね。吾妻との会話に一喜一憂する若い彼の姿が、微笑ましく可愛かったです。こんな綱渡りみたいな関係性だった頃から、紆余曲折を経て今やちょっとや…

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ばらとたんぽぽ 下 コミック

遠浅よるべ 

佐智先輩にも救われたよね

 下巻も上巻の勢いが衰えることなく、安定してずっと面白かったです。表紙を見ると落ち着いたゲイカップルのほのぼのした日常を描いた作品なのかな、という印象を受けますが、子供の頃に植え付けられたトモちゃんのセックスへのトラウマを征士郎が溶かすところに重きを置かれているので、思ったより濡れ場が多くて面白くも切なくもあり。特に下巻ではお互いの息子がほとんど擬人化されていて笑っちゃいました。常に余裕を失ってい…

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ばらとたんぽぽ 上 コミック

遠浅よるべ 

征士郎、頼んだよ

 序盤ではさほどメイン2人に惹かれなかったのですが、読み進めるにつれ、じわじわとそれぞれの可愛さが見えてきて萌えが増していく、そんな作品でした。少女漫画家と舞台俳優という面白い組み合わせですが、どちらも仕事面の描写は多くありません。仕事で燻っている相手を慰める、なんてシーンもありません。ただただ、30代前後の男2人が日常の中で真面目に恋人らしい睦み合いを模索しているストーリーが、時に滑稽に、時にち…

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兄弟失格 コミック

りんごの実 

知らない兄、知らない弟

 70ページにも満たない電子作品で、タイトルや表紙からある程度ストーリーの想像もつくと思うのですが、短い中でも要所要所で読者にインパクトを与えるコマをしっかり用意されていて、1巻でぐっと引き込まれてしまいました。ヤヒロが陸上部に所属していて、爽やかな早朝に1人で街やグラウンドを走るシーンがあったり、兄が料理上手でとても美味しそうな夜食や弁当が出てきたり、健全で理想的な要素が多い分、兄の映った動画の…

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望田くんは恋をしている 1 コミック

木下けい子 

この恋がどう転んでもいいから、見守らせてほしい

 読み終わってみて、このタイトル以上に相応しい表題はないなと思いました。人が恋に落ちる過程を1巻まるまる使って丁寧に辿ってくれるBL作品って、意外と貴重なんじゃないでしょうか。それもありふれたシチュエーション、ありふれたキャラクター、素朴な空気感で描き出してくれる作品は。木下先生の王子様系キャラやユニークな導入・攻め受けの組み合わせが楽しめる作品も好きですが、こういう親近感の湧く作品も大好きなんで…

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光が死んだ夏 6 コミック

モクモクれん 

巻みたいな子が大好きだから、どうか

 ホラー色が大分濃くなってきました。ホラー映画を1人で観れるほど肝が据わっていないので、巻の部屋はかなり怖かったです。ただ、主軸によしきと光(ヒカル)の関係があるので、やはりそこがただのホラー作品とは違って魅力を感じ続ける理由になっています。読者もよしきもヒカルへの畏れはほぼなくなってきていると思いますが、物語が終わりに近づくにつれ、彼が向かう先に不安も感じているはずです。この世ではないどこかへ行…

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穢れのない人 下 コミック

虫飼夏子 

子供は穢れなんてないんだから

 どんな理由が明かされてもけっして許容はしない、と上巻を読んだ時に頑なに思いましたが、結局下巻では木場に同情の余地を感じてしまいました。やはり、大人の罪が一番重いと思う。子供にした仕打ちは本人を苦しめ、その本人がまた別の人間を苦しめる、と悪循環を生んでしまう。ただ、事件については父親が唆したわけではありませんから、私は100%木場の罪だと思っています。一瞬でも踏み止まる理性はあったはず。何の非もな…

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穢れのない人 上 コミック

虫飼夏子 

タブーに切り込んでいく姿勢が好き

 表題作も同時収録作も、一口に面白いと言ってしまうと不謹慎だと受け取られかねない内容でしたが、ストーリーに捻りがあって面白かったので、そこは正直に言いたいですね。木場が秋鷹と何らかの繋がりがあったであろうことは匂わされていましたが、そっちの当事者だとは夢にも思わなかったので、途中で告白されてとても驚きました。100%冤罪だったと知ると、秋鷹の奪われた15年があまりにも重くのしかかってきます。たとえ…

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ファインダーの溺愛 コミック

やまねあやの 

おかえり、秋仁

 秋仁が香港に攫われた時以上にシリアスだったイノセントアイズ編が堂々の完結を迎えました。麻見と何度引き離されても、最後は無事に戻ってくる秋仁に毎回安堵しています。今回は洗脳まで受けてしまいどうなることやらでしたが、短い間にあれだけ濃い関係を築いたわけですから、麻見を思い出すトリガーは秋仁の中にたくさん眠っていたでしょう。秋仁が麻見に伝えたかった言葉を今度こそ伝えられたシーンにぐっときました。

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