表題作一秒間のランデブー

岩泉一
及川徹,男子バレー日本代表

その他の収録作品

  • 1.12月31日22時40分
  • 2.長い夜の日
  • 3.岩泉一、免罪符を数える。
  • 4.0時になったらまた会おう

あらすじ

”大人になったら別れる”という条件で、付き合いはじめた岩泉と及川。しかし、条件通り別れた後も同じ屋根の下で暮らす生活は続いていて―

成人している岩及、大晦日の夜の話。岩泉視点。

作品情報

作品名
一秒間のランデブー
著者
ぐさり(キヅナツキ) 
媒体
漫画(コミック)
サークル
刺傷<サークル>
ジャンル
ハイキュー!!
発売日
4.3

(9)

(5)

萌々

(3)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
38
評価数
9
平均
4.3 / 5
神率
55.6%

レビュー投稿数6

百年だって一秒にも満たないならば

今回も表紙から、センスをこれでもかと魅せて下さいました……。

高校時代、及川から切り出して付き合い始めて
同棲まで至った二人ですが
岩ちゃんの「ずっと続けてたらどう考えても不幸になる」の言葉で
大人になったら別れる約束をし、
そのとおりにしたはずなのですが…。

飼っている熱帯魚を一人で世話が出来ないからと
ずるずる同棲を引き延ばし、
大晦日の帰省も高速を使って二人で。

マッキ―にはまだ付き合っていると勘違いされていても
あえて否定しないのが岩ちゃんのカッコ良さでもあると思ってしまいました。

全日本へ入った及川を、
それでもどこかで自分がいなければいけないんだと思いながら手を離して
表には出さないけどいつだって触れたくて愛していて…。

PAで蕎麦って運転を変わる時、
岩ちゃんは及川の異変に前から気が付いていて、切り出します。
「エスパーかな!?」なんて驚く及川ですが
そりゃもう今更ってなもんでしょう、きっと。岩ちゃんには。

及川がチーム移籍を考えていて、
引っ越すにあたって岩ちゃんも一緒に来てほしいと。

移籍の事は既にマッキ―から聞いていて
それが決定的な別れになるんだと思っていた岩ちゃん。

長いと思うから長いと言った眠れない夜も、
人生のほんの一瞬に満たない時間で
地球が誕生してからを一年で考えるとこれも一瞬。

岩ちゃんが、世間に名の知れている全日本プレイヤーになったことで
普通の恋愛をしていないのがツラいし苦しむだけだと言うけど
生きている事さえ瞬く間に過ぎてしまうならば
誰より愛しているひとと居たい。
決して寒さのせいではない震えと
泣きわらう姿の及川に反論も出来ないままキスを……。
二人は、どうあっても離れられないのでした。

生きている間どれだけツラくても傍にいるよ。
どちらかが先に死んでもまたすぐ追いつくよ。

奥付の〝だからまた会えたら、また一瞬を一緒に歩こう
ここはなんてうつくしい地獄なんだ〟
小さく薄く書かれた文字とタイトルが沁みて
また頬を濡らしてしまうわけです……。

こんなに〝二人で一人〟の相棒の存在だけで
私はとても幸せな気持ちになれるのですよ‼‼‼
原作17巻番外編の威力ときたらものすんごかったし
読む度泣いてしまいますが
それに沿っていても否でも
阿吽の幸せが全てです……。

5

タイトル回収がすごい。

大人になったら別れる……という約束で付き合い出す……。
何とも岩ちゃんが選びそうな選択だなと思いました。
ずっと不幸にはしたくない。けれど、、、この一時だけなら許されたい。
全て及川が大事だからこそ出てくる思考回路。

そして及川もそれが分かっているから、条件を呑んだ。
呑んだ……はずなのに、呑みきれなかった。

お互いが大切で大切すぎて不幸にしたくないのに幸せにしてあげたいのに。
そんな岩ちゃんの葛藤を全部理解した上で及川が出す結論が、ツンと心に突き刺さって涙が溢れます。
最高の一冊です。

1

良かった!

とても良い素敵なクオリティの満足度も高い作品でした。同人界でもトップを走り続けることができるのも納得できる一品。ただ、いつも目に引っかかるのが日本語。若い子の言葉の使い方なのかもしれませんが、この単語の使い方おかしくないか?とか、ん?と思うことが多いです。商業は編集通ってるからかそこまででもないけど、同人誌は特に多い。誤字ではなくなんかおかしい言葉が割と多い気がします。

0

同人漫画で1番好きです

薄い本の中で世界で1番好きです。2人の会話だけを切り取った本当に短い本なのですが、愛しさが爆発します。男同士という悩みに負けて、逃げて、でも離れられなくて。数ページなのに映画を見ているような気分になります。
最高に好きな台詞があるのですが未読の方にレビューを見て読んで欲しいのでネタバレなしのレビューにしました。

0

もうほんのちょっと一緒にいようよ

ぐさりさんが描かれる阿吽ちゃんは、
甘さと切なさのバランスが絶妙だ。
それはまるで、ぴたりと合ったふたりの”阿吽の呼吸”に似ている。

今作の阿吽ちゃんは前作同様、成人済みの設定で
高校生の頃及川さんの方から『付き合って』と告白をして
”大人になったら別れるなら”という条件付きで
岩ちゃんはそれを受け入れる。
4年経って、及川さんが全日本の選手に選ばれた年、
条件通り実際に別れたふたり。
けれど別れた後も一緒に暮らす生活は続いていた。

別れてもなお一緒にいる、日常生活のふたりのやりとりの
阿吽の呼吸っぷりがものすごく愛おしい。
そして、及川さんの痛々しいほどに危うい繊細さを、
これでもかというくらい甘やかして大切にしている岩ちゃんの包容力は、
底を知らないかのように男前。
これはぐさりさんが描かれる特徴的な岩及のスタイルで、
今のところ第一作目から変わらずこの関係性が貫かれている。

大晦日の夜、里帰り途中のサービスエリアでお蕎麦を食べ後、
岩ちゃんは及川さんに、隠し事を告白させる。
移籍と引っ越しを考えていること、
岩ちゃんに一緒についてきてほしいこと...

及川さんの幸せを一番に考えたいけれど
その反面、めちゃめちゃに不幸にしたいとも思う岩ちゃんのジレンマ。
そんなジレンマを越えて、
地球の誕生から死までの理論を持ち出し
”もうほんのちょっと”=”死ぬまで”一緒にいようと訴える及川さん。
及川さんの狂気のような愛情に対し、
岩ちゃんがキスで応えるラストがふたりらしくて良い。

今作で個人的に一番感動したのは
及川さんの全日本男子・代表選手としての活躍が描かれていること。
青城ブルーを主将として背負っていた及川さんが
日の丸を背負い、赤の日本代表のユニフォームを着ることは
阿吽好き、青城クラスタの夢と言っても過言ではないと思う。
その意味でも十分読み応えを感じる一冊だった。

萌というよりも、愛と尊さで満ちていて、どうしようもなく胸が詰まる。
甘くて切なくて、そしてやっぱり甘い。
地獄であれどこであれ、阿吽ちゃんフォーエバー!

*原作17巻の巻末描き下ろしを読んだ後、今作を再読したのだけど、
原作も二次創作も、どちらも素晴らしすぎることを実感。
阿吽ちゃんって本当にすごい。好きになって、心から良かった...

2

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