描き下ろしおまけ付き特装版
むちゃくちゃ好き!なんてことない話なんですけど。適度な抜け感?がツボにはまる感じ!後半の短編も全部はまったので、たぶん作者さんとの相性が良かったのかな~と思います。流れる空気が大好き。
表題作は全4話で、死んだ魚の目をした攻めと、兄の友人の大人しめな受けのお話。誤解からセフレになって、攻めの捻くれっぷりが際立ってるんですが、弟感出してる無意識な甘えが見えてきゅんときます。
受けは一見流されてるように見えてたのに、視点が移るとなるほど強か。健気タイプかと思ったら、「そうそうゲイは落ちてないよな」とか淡々と言っちゃうとこがツボ。どこか冷静に見てるところもあって、本人は意図してないのに、傍からみると強かに見えることもあるような。
誤解期間が長かったせいで、解くのもとっても大変。やっと気持ちが通じた後の攻めの涙は最高でした!攻めがボタ泣きしながらのHシーンも最高。おまけの4コマに笑いました。
短編は特に最後2編のつながりアリの2カプが好きです。どっちもラストで笑いました。
◆利用されるくらいなら〜(表題作)
兄にコンプレックスを抱える糺が最初はクズのヤリチンみたいに描かれているんですが、段々可愛げが見えてくるところがいいなぁと思いました。何でもできる兄に対しての劣等感が強いばかりに、こんな性格になってしまったんだなぁと。小宮山の好意も兄に向けられたものだと思い込んでしまう、頑なな心が切なかったです。逆に、おどおどしてばかりだった小宮山が、最後は自分から糺の所に来て、その真意をちゃんと確かめようと積極的に行動したのにも感激。これからは年上らしい懐の大きさで、糺を包み込んであげて欲しいですね。
◆素直になれない僕を愛して
不器用で一人暮らしにまったく向いてないムラタが可愛かったです。そんな彼に苛立ちつつも結局は手を貸してくれて、後始末してくれる相川のギャップも素敵。なんだかんだいいカップルになりそうだなと思いました。
◆惚れた病に薬なし
飄々として居眠りばかりの荒木が実は曽我にベタ惚れ、というところにグッときました。冷めてそうなのに、心の中では常に曽我の言動を気にしているの、本当に可愛かったです。
兄が何でも出来過ぎて比べられたり代わりにされるような事ばかりの弟くんは
小さい頃からコンプレックスを抱えただろうし気の毒で
ひねくれても無理はないかなと思いましたが
兄の友人・小宮山の気持ちを最初から決めつけてしまったのはよくないな。
「糺くんは糺くんだろ」なんて、兄を好きな人なら言わないと
何故気がつけなかったんだろう。
まぁ高校生なんてまだ子どもか…。
でも関係を続けていても気づかないのは思い込みの怖さかもしれないけど
言葉で確かめあうことも出来なかったから二人とも臆病者だったんでしょうね。
不器用と言えばそれまでですが
糺が勘違いしたまま小宮山につらく当たったのは悲しくなりました。
それでも、5年越しにちゃんと両想いだったとわかって流した涙は可愛らしかったです。
小宮山はしたたかというより一途で健気だったと私は思いましたが
「これくらいのわがままはきいてやるよ」なんてやっぱりちょっと上から目線の糺は
たまには小宮山からお灸をすえられた方がいいんじゃないかな。
小宮山は糺に甘いからしてくれないかww
表題作より好きだったのが『惚れた病に薬なし♥』
体の関係から始まったにしても最初から荒木が曽我を狙っていたというのが好ましかったし
二人とも素直じゃなくて気まずくなって出張で一週間会えない間に連絡取り合わず
お互い悶々としてるの可愛い!!
話し合いで仲直りしたらやっぱり触れ合いたくなるのもわかるけど社内は危険…。
見られたのが偏見のない山下でセーフだけど。
そのほわほわした山下が、無愛想な笹井に告白されたお話『目は口ほどに恋を語る』も良かったです。
山下にしか見せない表情がたくさんあって、好きなんだなぁってすごく伝わってきました。
でも山下が本当に君わかってる??っていうくらいふわふわしてるので
悪気がまるでないので多少心配してしまいましたが
山下が意外とタフだったので楽しかったです。
優秀な兄と顔が瓜二つな弟の糺。自分に近寄ってくる女は兄目当てか兄の代わりでいつも兄と比較されては失望されて去っていくばかり。家に遊びに来た兄の友人・小宮山とセフレ状態になるんだけど、どうせ自分を通じて兄を見ている、自分は兄の代わりでしかないと思い込んでいる糺。
この二人の5年間(長い!)に渡る関係が描かれています。
小宮山の控えめな雰囲気、品の良さそうなおっとりしたところがとても好きです。
セフレでもいいから傍にいたい。本気だと相手に知られたら面倒がられて関係が終わってしまう、それだけは避けたいと思っている小宮山のいじさしさ。
糺は自分は兄の代わりに過ぎないという思い込みが強いから小宮山の本当の気持ちなんか気づく訳もない。そして糺自身、兄の代わりではなく自分自身を見て欲しいと思うが…。
最初は攻め視点でエピソードが進みますが、途中から受け視点に変わって出会いの時から実はこうだったという事が判るので、両片思いならではのお互いのずれっぷりや思い込みがそれぞれわかって面白いです。
とにかく糺の自分=兄の代わりという思い込みは長年かけて拗らせちゃって呪縛に近いほどになってるから、小宮山がそうじゃない、違うんだ!と言ってもなかなか信じなくて結構厄介。でもようやく誤解が解けた後の糺の涙にキュン。
その他、同時収録が3編。
二つは同じ社内のリーマンカプものでそのうちの「目は口ほどに恋を語る」が好き。
年上なんだけど天然おそるべし。年下くんが必死に告白したっつーのに「わあ ホント?嬉しいなぁ〜 俺も笹井くん好きだよ〜」とほわほわ返事。にこにこほわほわ笑いながら天然ならではのずれた解釈をし、無邪気な発言を繰り広げる&そしてそれに振り回されてドギマギしちゃう気の毒な年下ワンコ。
そしてただの天然かと思いきや意外と肝の据わった男前ぶりを発動し、そして絶倫という意外さが笑えました。
表題作は、人気者でなんでもできる兄を持った弟攻めと、兄が好きらしい兄の友人受けというカプ。攻めの視点のお話です。
攻めは、兄とそっくりな顔目当てに寄ってくる女子を食い散らかしていましたが、中身が違うので振られることが多く、やさぐれて死んだ魚のような目になってしまっていました。
そんなある日、兄が家に連れて来た友人受けもまた兄のことが好きな様子。同じ顔だから抱いてやるよ、的に関係を持ち、そのままセフレとして5年間が過ぎ…という展開。
受けも攻めも、セフレ関係ながら、自分だけが相手を好きなのだと思っています。典型的な両片想いカプで、両片想いの好きな方にはオススメです。
まあ、あまりにお互いの気持ちに気づかなさすぎというか、こんなにうまく5年間もすれ違う? という気はしました。くっついた後の受けが結構言いたいことを言うようなタイプで、5年間も自分の気持ちをひた隠すようなキャラに見えなかったのもありました。
でも今後も末長く付き合い、最終的には入籍しそうな2人で、可愛かったです。
同時収録が3編。
ひとつはマンションの隣同士に住む、大阪弁の大学生×製菓専門学校に通う専門生というカプ。
ゲイの受けはイケメンな攻めと仲良くしたかったのに、絡もうとするたびキツく当たられて撃沈。でもキツい口調ながらも、困った時には助けてくれる攻めに惹かれていきます。
受けはアホっ子ながら可愛いのですが、攻めが大人げなくて少々イラっと。でもビジュアルのとても可愛いカプで、見ていて楽しかったです。
ほか、リーマンもののスピンオフが2作。こちらもなかなか良かったです。
全体的に萌×2という感じの、レベルの高い一冊でした。