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つらい別れを経て再会した明渡と苑のその後は……? 「キス」続篇!!
「キス」の続編です。「キス」を読み終わっていてもたってもいられず、すぐこちらを読み始めー
もう、最後のプラネタリウムでの明渡の願い事に、涙が溢れて止まらなくなってしまい、しばらくページがめくれなかった。。
ハッピーエンドながらも、どこか常に切なさを感じさせられ、涙してしまう物語でした。
前作での辛すぎる別れと再会。続編のこちらは、上階の水漏れという偶然の出来事から明渡の部屋で一緒に暮らすことになったものの、キスだけはするという微妙な距離感のままの二人と、そこに昔の苑を彷彿とさせるような子供が現れー
と続くお話です。
この、”昔の自分を彷彿とさせられる”存在である実留(みのる)に対する苑の感情が、とてもリアルで痛々しくそして生々しく感じられ、胸が痛みました。
その「愛されたい」と願う心の内が、そして愛されたいからと甘えるその子供ながらの態度の全てがリアルに分かってしまう苑。
不快だと感じ、見たくない、手を貸したくないとそっぽを向こうとするも、実留が公園で捻挫をした時には放っておけず手当をしてあげる苑。
「自分がしたような経験は他の誰にもしてほしくないから」と言って手助けしようとするのが映画やドラマや物語のヒーローなのかもしれないけれど、苑は決してそうではないんですね。
そこがとても人間らしいと思ったし、今まで無感情になんでも受け入れているように見えて、実は「愛されること」を乞い願ってきた自分、というものに初めて気付き、見つめることができた。それは苑の再生にとって必要な過程だったんだ、ということが明渡の言葉を通して痛いほど伝わってきて、読んでいて胸の痛みが最大限になった箇所でした。
高校時代の、苑がまだ明渡に恋をしていなかった頃のランタンの思い出が呼び起こされる秀逸なラストには、感動の涙が止まらなくなりました。
前作「キス」がとてもよくて、続編である本書を楽しみに読み始めました。
前作の終わり方に物足りなさを感じた方向けなのかな、という感想を持ちました。
前作「キス」の最後まで頑なだった苑が、本書では本当の意味で自分自身と向き合い、トラウマである親との過去や不遇だった少年時代を受け入れて、明渡への恋愛感情をも認め、前に向かって歩き出すまでが描かれています。
それだけに書かれている内容はひたすら自分との対話が中心のために重いですし、やはりあれほどの重石を背負ったところから一歩脱却するにはここまでの事がないとリアリティがないのかというほどに、エピソードが盛り盛りになっています。
正直なところ、私は前作がとても気に入っており「神」評価だったのですが、本書は言ってしまえば蛇足というか、「キス」のままでよかったと思いました。
苑は本書により、やっと歩き出せたとは思います。明渡のこともきちんと好きだと素直に認めて本人にも告げて、わかりやすいラストシーンだとも思います。でも、苑には、無理にこうなってほしくなかった。
苑は自分と自分以外の間に壁を作って、ある意味拒絶して生きている。それは生い立ちや性格や、後天的な影響から成り立っています。前作「キス」においてはそのことが顕著で、だからこそ明渡や城戸や果菜子といった、苑に好意的な人に対して好意を無かったことにする、好意は存在しないと解釈する態度、対応は、仕方ない、ネガティブ思考の延長だと思えます。
それが本作「ラブ」になると、社会人になって自活していて人を愛する経験も知った苑は、前作の状態とは大きく異なる位置に居るわけです。前作のラストシーンには明らかに変化をしているので、「ラブ」のスタート地点と「キス」における苑ははじめから違う。
だから、前作と本作と同じ言葉を喋っても、同じ態度をとっても、もう前作のときのように苑を見ることができません。前作よりも少し前を歩いている苑だから、好意をあらわしている人に対して(具体的には明渡)こんな態度をとるのは、たちの悪い傲慢としか映らないし、媚びているようにも見えました。苑に対してがっかりしながら本作を読む苦痛。こういう苑なら見たくなかった。
当時の苑を思わせる五年生の実留とのエピソードについても、私にとっては今ひとつな掘り下げでした。虐待されている実留を登場させて苑と対峙させることに、拒否反応すらおぼえました。しかも解決が雑というか、本当のお父さんが現れて引き取られて、二人を見送る苑と明渡、という構図に、なんだったんだろうと思わざるを得なかったです。
明渡と苑の間に起こった出来事は、全てが必要だったし何一つ無駄では無かったのだと「ラブ~キス2~」を読むことで思いました。
そして2冊続けて読めたことに感謝しています。2冊一気読みするべきですし、番外編も収録して一冊にして欲しいと思いました。
再会して明渡が東京に戻って来たものの、2人の仲はなかなか進展しません。
それでも明渡視点のお話や城戸の会話から、あの事故以前から明渡にとって苑は特別だし、誰も苑の代わりにはなれないということを知りました。
ようやくストンと納得出来ました。
実留を放っておけない明渡の理由も、目を背けたくなる苑の気持ちも理解出来たし、その後に実留に訪れた転機に良かったと涙が溢れました。
苑が自分に向き合って起こした小さな行動が報われて本当に良かったです。
そしてようやく苑が気持ちに正直になろうとした時の出来事に、まさかまさかとハラハラさせられて。苑の不安にこちらまで苦しくなりました。
でもそれがあったからこそ更に一歩踏み出せたし、自分を気にかけてくれる人達の小さな好意にも気が付けたんですよね。
まさに「ラブ」というタイトル通りのお話でした。
最後のプラネタリウムのランタンのシーン大好きです。
キスからの続編。
はっきり言って、前作は読んでいて浮き沈みが多く、結構辛かったので、今作を読むのに時間がかかりました。
苑への恋心を無くした明渡だが、幼き頃の事故の前から苑を気遣っていたし、それは相手が苑だから。また苑を好きになっていく明渡は、時間をかけて苑との距離を縮めている感じ。
そして、苑は手術後の明渡のことがあるため、受け入れて無くすことを怖がって進めずにいる。
二人の性格がしっかりと画一されているからか、周りがどう言おうと二人で解決しなきゃならないのがもどかしいのですが、それだけ時間をかけて得た関係を最後に見られて良かった。
明渡が苑に投げかけた問いかけを読んだとき、涙がでました。
出来の悪い小説ではなく一冊なら良くまとまってる作品だと思います。
でも前作の余韻を残したラストにこの作品は蛇足だと感じてしまいました。
かつての自分を彷彿させる少年を家に居させたくないと思う苑と、人助け当たり前じゃね?という感覚の雑賀はやっぱり根本から違うんだなと。
でも忘れたい過去を想い出させる人間を近くに置きたくないというのは当然の事なのでは?
ドラマ要素が薄いので雑賀の無神経さが余計気になりました。