ずるくていい。今だけは彼のものになりたい。

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表題作スノーファンタジア

彼女の存在を忘れた記憶喪失の坂口陽史
うそをいってまでそばにいたかった松岡里央

その他の収録作品

  • グリーンセレナード
  • あとがき

あらすじ

里央は親友の陽史に密かに想いを寄せていた。だが陽史の恋人が半年間の留学に出発した日、見送りに行ったふたりは事故に遭い、陽史が記憶喪失になってしまう。彼女の存在も忘れた陽史は、親身に面倒を見てくれる里央を自分の恋人だったと思い込む。ずっと叶わぬ恋だと諦めていた。でも、ひとときでも陽史の恋人になってみたい―。その気持ちに抗えず、里央は陽史のキスを受けてしまい…。罪と愛の幻想曲。

作品情報

作品名
スノーファンタジア
著者
うえだ真由 
イラスト
あさとえいり 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403521188
3.7

(30)

(11)

萌々

(3)

(14)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
12
得点
111
評価数
30
平均
3.7 / 5
神率
36.7%

レビュー投稿数12

後編が良かった

皆さんレビューしているように、攻めが記憶喪失の間に彼女に変わって恋人の座を奪っちゃう受けちゃんの話です。
こう書くと受けちゃんの性格とか話の展開に付いていけない気がしなくもないんですけれど、そこはベタベタ王道BLということで目を瞑る&元々居る彼女と攻めさんとの関係性が色々複雑だったこともありそんなに抵抗はなかったです。

彼女は良いとこのお嬢様で将来の婚約者もいるし、攻め様との付き合いをひた隠しにしているんですね。
そういうこと平気でする彼女なのと、あんまり本編に登場してこないので存在感は薄いです。

けれどしかし、やっぱり感覚的には、受けちゃん、そりゃないよ、ちゃんと言おうよ、と思ってしまうところも多々あり。
言っちゃったら話が始まらないんですけど笑

なので、前編はさらっと読み終えましたが、はからずも後編のお話にキュンキュンしたので評価があがりました。

本編(前編?のくくりでいいのかな)がスノーファンタジア170Pで、後編が83P。
攻めのことを狙うモブの女の子に、攻めを紹介してくれと言われてしまう受けちゃんがもだもだ悩んでぐるぐるするお話でした。
可愛かったなぁ〜笑

0

記憶喪失ネタ

うんうん 王道の記憶喪失ネタですね
攻めには彼女がいて もくろむ訳ではないですが記憶喪失をきっかけに受けがその立場をとって変わろうとします。
そんなつもりはなかったのに・・・と悩みつつ「彼女は他にいる」とも言えず・・悩みながらの恋愛進展は面白かったです。
受けを卑怯な奴と思うことなく読み進めていくことが出来ました♪

ですが設定にちょっと無理があるかな~・・・
ノンケな攻めは彼女をとっても愛していたにもかかわらず、記憶を取り戻した後 受けをあっさりと恋人に・・。
受けの心理描写はとてもよかったのですが攻めに共感できなかった。
ので萌えで。
もうひとひねりあるとよかったなと思いました。

0

綺麗事だけじゃない

うえださんのベタ3部作のうちの1つです。
「元カノ可哀想」意見もあるようですが…親が決めた相手とはいえ婚約者がいるにもかかわらず、陽史と秘密の恋人関係(肉体関係あり)をしている時点で「…」な感情を抱いていたので同情心にとらわれることなく読むことが出来ました。
いやだってさ…ものすっごい隠し通そうという気持ちの現われが書かれているんだもん…ちょっと陽史そんな彼女やめとけと言いたくなる。
旅行に行っても写真は2人では絶対に取らないなど痕跡を残さないよう徹底している・元カノが入院して陽史がお見舞いに行きたそうでも全力回避(拒否)…うん。
学生の間はさ、お付き合いできたとしてもさ…最終的には婚約者の方選ぶんじゃない?って思っちゃってね。
連絡取れなくて不安だったーとか心変わりしたんじゃないかと…とか言われてもどうしても元カノに同情する気持ちがわかないんだよね。

じゃあ全面的に受けの味方なのか?と問われるとちょいと微妙。
里央のやったことって、↑のような付き合い方しているとはいえ記憶喪失な陽史の状況を自分にとって良い事態に消極的関与とはいえ向かわせているんですよね。
積極的な“嘘”はついていない。
でも“誤解を否定しない”…無言の肯定ともいえる態度なんですよね。
否定する機会はたくさんあった。
忘れてしまったから不安で思い出したくてたまらない陽史の側にいながらもそれをしなかった。
“卑怯”と言われても仕方ない切っ掛けなんですよね。
当然ながらその切っ掛けを引きずることになってしまうんですが。

ずっと好きだった人から恋人関係にあったんじゃ?と誤解されたら…否定したくない里央の気持ちはわかります。
だって元カノと付き合うよりももっと前から好きだった相手が勘違いしてくれているんですよ。
しかも「男と付き合うなんて考えられない」発言していた陽史と付き合うチャンスなんて記憶喪失中の今しかない。

綺麗事だけじゃない。
ある意味人間らしい受けの行動。
…元カノからの手紙燃やしていたら流石にちょっとお前…の気持ちが高まったと思いますが、踏みとどまりましたしね。


それにしてもSSでの陽史の発言(元カノと里央…ラブ度比較困難。同等→将来性による選択)には現実に引き戻された感が半端ないw
いやまー確かに将来性に欠けるけれど!
BLセオリー的に「元カノと里央を比較したら里央の方が好きなんだ!」展開になると思っていたので吃驚。
現実的だわー。

個人的にツボったのは初めての時、記憶喪失の陽史的にはこれまで何度もヤってきたであろう行為(里央と恋人同士と思い込んでの勘違い)だけど里央にとっては初体験なんですよね。
それでも感付かれたくないから、慣れている風を装おうと必死なのには…ちょっとニヨニヨしたw

2

ベタだからこその素晴らしさ。

うえださんはかなりの好き作家さんですが(でも、全部の作品が好きとは言えない・・・)、これはその中でもベスト3には入ります。ベタ3部作(あと2つは『missing you』『イノセント・キス』)ではこれがいちばん好き。ホントに大好きです。もう作家さんの言われる通り、清々しいほどのお約束・ベタ展開なんですが、それでもいい!というよりだからこそよかったです。

記憶喪失もので、確かにベタベタなんですが、いいじゃありませんか、王道!ありがちな設定だからこそ、プラスアルファが大事なんだと思います。うえださんの綺麗な文章に、丁寧な心理描写がとてもよかったです。
『ベタ』すなわち先(着地点)はわかりきってるのに、それでもきちんと読ませるところが、作家さんの力量なんでしょう。

この作品はキャラクターがとても好きですね。陽史(攻)もですが、私は里央(受)がよかったんです。たぶん、ハッキリ好みが分かれるキャラクターだと思うんですが、もともと『健気受』は大好きなので。

でも里央は健気には違いないんですが、陽史を手に入れるためにかなり姑息でズルイ手を使います。でもそれも、陽史を好きだからこそだし、やっぱり恋愛って綺麗事だけじゃ済まない部分も大きいと思うんですよ。BL(ラブストーリー)ではスルーしてることが多いですが(この作品がリアリティあふれるとは言いませんよ)、この里央のズルさも、それに対して覚える罪悪感も、とても自然に描かれていたのですんなりストーリーに入って行けました。

陽史が記憶を取り戻して、『黎子(陽史の『本当』の彼女)も里央もどちらも好き』と正直に告げるんですが、セオリーとしてはここは『黎子には悪いけど里央が・・・』と来るところだと思ってたので、ちょっと外されました(いえ、その方が安易に流れずよかったと思っています)。このあたりは、誠実で正直な陽史らしさがよく出てましたね。

あとは、黎子の設定が秀逸でした。浮世離れしてると言えば確かにそうなんですが、でもこれは現実にもあり得る事情だと思うし、何よりも黎子自身もまた『ズルい』ところがよかったんです。
これが、単に『親から婚約を強制された悲劇のヒロイン』で、信じていたはずの陽史と里央に一方的に裏切られた『被害者』だったら、きっとストーリー自体に白けてしまったんじゃないかな。
でもそうじゃなかった。黎子は確かに『逃げられない』運命を背負ってはいたかもしれませんが、実際には『逃げられない』というより『逃げたくない(怖い)』気持ちも強いんですよね。自分から運命に絡め取られに行っている部分もある。

みんなそれぞれに弱くてズルイところを持っている。だから、『ハッピーエンド』には違いないけど、痛みが残ってしまうんです。過去を振り切ってめでたしめでたし・2人で一から始めましょう、ではなく、これからも黎子のことを含め、2人で抱えて生きて行く。

今まで読んだ数多ある記憶喪失ものの中でも、私にとっての最高峰、健気受ものとしても最上位クラスの作品です。

10

kirara

むぼちさま。

うえださんは、確かに存在は地味(すごい売れ筋じゃないという意味で)かもしれませんが、とても良質な作品を生み出されている作家さんだと思っています。

こちらも、要約すればほんとに他愛ないストーリーかもしれませんが、こんな『ベタな王道』をしっかり読ませる手腕が見事なんじゃないかと。

私は本当に好きなので、うえださんの魅力を伝える一端を私のレビューが担えたのなら嬉しく思います。

・・・うえださんでも低評価レビューを書いている作品もありますが、あくまでも『私の』好みに合わないというだけですので。すべてとまでは言いませんが、基本的に水準が高く安心できる作家さんだと思っています。

コメントありがとうございました!

むぼち

kiraraさんがおっしゃっているとおり、丁寧で、とても好感が持てました。

私には、うえだ先生は小さいこともおろそかにせず、きちんと物語を作ろうとされているのだと感じられます。
どこが、どうしてと聞かれると、kiraraさんのようにきちんとは答えられませんが。

うえだ先生の本は、作り手の人の真面目さが伝わってくるものばかりで、私の好みの先生を教えて下さったkiraraさんに改めて感謝しています。

健気なズルイ想い

健気なズルイ想いだからこそ、共感してしまいました。

大学生の里央は、友人である陽史が密かに好きであったが、
陽史には、彼女がいた。
その彼女には、家庭の事情から婚約者もいるため、
陽史は周囲には秘密ながらも真摯に付き合っていた。

その彼女が半年だけ留学した際、
陽史が記憶喪失になってしまうことが2人の転機となる。

記憶喪失の陽史は、「里央と付き合っていた」と勘違いするのだけど、
里央は陽史のことが好きだから、否定できずに、
付き合っていることにしてしまう。。。

考えさせられたのは、記憶を取り戻した陽史が、
彼女をとるか、里央のどちらをとるか?と考えたところ。
陽史の気持ちは分かるのだけど、里央をとった理由が、
なかなかな~~~と。
でも、人間ってそうなんだろうなと思わされました。

タイトルにぴったりな物語です。

3

ベタだけどそこがいい

帯『ずるくていい、今だけは彼のものになりたい。』

里央〔受〕は親友の陽史〔攻〕を好きなんだけど、陽史には彼女も居て、里央はその想いを心に秘めつつ親友として付き合ってます。
しかし事故に合い、記憶喪失になった陽史は2年間の記憶を失っており、大学の友人も里央も彼女の事も全て忘れてしまっていた。
精神的に不安定な陽史の元にずっと里央は居て、偶然にも彼女と里央とのイニシャルが同じ「R」だった事から陽史は里央を自分の恋人だと誤解してしまうのですが、里央はその誤解を解かないまま陽史の恋人として付き合う事になります。
好きだから言い出せない、悪い事だと知っていても里央は彼女からの電話を無視し、陽史の所に送られてきた彼女からの手紙も持ち帰ってしまう、結構酷いっちゃかなり酷い事してるんですけどね、里央は。
ただこの彼女は、元々婚約者が居て陽史とはいつか離れければいけない隠れた恋人で、彼女は決められた婚約を破棄するつもりは無かったところが地味に上手い設定だな、と思いました。
あとがきにベタな話とありますが、確かにベタなんですよ、でもこのベタさ加減がいいのです。

2

記憶喪失物

いろいろご都合主義だし、なんちゃってBLなんだけど、記憶喪失物は好きなので楽しみました。
受けのずるさを切ないと思えるか否かで、評価が分かれるかも。

2

優しく、幻想的な文章。

私の大好きな作品のひとつ。
あさとえいりさまの挿絵で買ったのですが。これは本当に良かったです。

うえだ真由さまの文は、どの作品についてもどこかせつなくて、儚くて、優しい感じがします。
この作品も、読んでいてせつなくなりました。
胸がしめつけられるような愛しさが沸き起こります。
これ、BLジャンルとかじゃなく、普通に恋愛小説として楽しめます。

主人公の里央の一途でひたむきな想いが心に響きました。

たくさんの人に読んで欲しいです。

3

泣けた!

あとがきに「ベタな展開が好き」と書いてらっしゃるように、まさしくベタな展開。
こんな都合よく事故が起こったり、結構激しい事故だったのにケガだけですんで、でも記憶喪失にはなっちゃうって……。
設定はベタなんですが、里央の切ない恋心にすっかり感情移入しちゃいました。

些細な誘惑に負けて、本当のことが告げられなくなってしまって、やっぱり辛かったでしょうね、里央は。
自分で選んだとは言え、後悔ばかりの恋。里央の気持ちを思うと、ホント哀しくて哀しくて、泣けてきました。
ホントのことを言わなくちゃ、今の状態はよくないことなんだってわかっていても、止められない里央の恋心が、よく伝わってきたし、切なくてたまりませんでした。
ひょっとしたら、こんな恋愛ってそのへんにでもありそうだなぁ~って気がしました。
ホント、ベタな展開、バンザイ!でございました

2

繊細な心理描写

繊細な心理描写と、記憶喪失モノとしてはベタベタな展開が印象的な話でした。
昔よく読んだ少女漫画みたいだった。砂糖菓子みたいなフンワリフワフワのストーリー。
中立と萌えの中間ぐらいですが、最初のセックスがかなりツボだったので、萌えにしました。
なにせ相手は記憶喪失中。二人はもとから恋人で、何度もセックスしてると誤解してる男なのだ。
なのにこっちはアナル処女。「慣れてるふりをしなきゃいけない」と必死で頑張ってる姿がツボでした。

2

ベタな展開が心地よい

「記憶喪失もの」というあらすじを読んで、ありがちかな?と。
購入するのを実は、迷った本なのですが。
読んで良かったです………!!

「ベタな展開が好き」「ちょっとベタすぎるお話し」と。
作者があとがき書かれているように、本当にベタなお話しです。
しかし、そのベタが楽しいのです。萌えるのです。時には泣けるのです!!

陽史・里央・黎子の交錯する思いが切ない。
罪の意識に苛まれ、でも記憶が戻るまでひとときでいい、
恋人でいたいと願う、里央のいじらしさ。

相手に誠実ではなかったと後悔する黎子。
黎子と里央、どちらも真剣に愛している陽史。

三人とも皆、真面目に人を愛している。いい子なのです。
それなのに些細な嘘をつき、真実を言えなかったせいで、
事態はどんどん混乱していきます。

最後に陽史がどちらを選ぶのか?
里央に肩入れしながら読んでいたので、
胃が痛くなることも多々ありましたが。
それ以上に胸がキュンキュンして、萌えました!

3

それでも求めずにいられない恋心。。

切ない!胸がきゅいん、きゅいん、もう心筋梗塞か狭心症か、こりゃ救急車を呼ぼうかと思うぐらいきます。
あらすじや、書評で泣けるとか、胸が痛いとか、切ないとか噂は聞いていたのですが、死にネタじゃなきゃ大丈夫よねって気軽に読み始めて・・・・
読み終わるまで、途中休憩も入れられないし、読むのを止められなかったです。
主人公の葛藤と罪悪感と、後悔と、それでも求めずにはいられない恋慕・・・・どうなるこの二人とはらはらしっぱなしでした。
恋人に送るために買っていたペンダントを、里央へのプレゼントだと思いこんでそれを里央に渡し、それを身につけないといけなくなった里央の複雑な胸の痛みが・・・
本当の持ち主黎子への罪悪感と、それを買った時の陽史の気持ちや、それをもらう立場ではないのに、身につけている背徳感・・せつなすぎます。
プレゼントをうらやましいとおもって横からかっさらっても、自分のために買ってくれたプレゼントでなければ嬉しくないと、手に入れてはじめて気づく里央。
陽史への気持ちがあっても、かりそめの恋愛だとわかっている里央は本当に喜ぶことができなくなりどんどん、追いつめられます。アイデアも、文章も申し分なし!

4

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