SS付き電子限定版
シリーズ完結と聞き、本棚の奥に眠らせてしまっていた
こちらのシリーズ一作目を引っ張り出してきて、拝読しました。
350P超えと分厚めの一冊ですが、さすが宮緒先生…!
面白くて引き込まれて、一気読みです。
亡くなった人の姿が見え、その姿しか絵に描くことのできない
美貌の青年・水琴(みこと・受け)。
その絵が思わぬ形でSNSで広まり、水琴の存在を知った画商の泉里(せんり・攻め)が
東京から水琴のもとを訪れ、「その才能は本物だ」「私にそれを磨かせてほしい」と
掻き口説いてきてー
と始まる、オカルト要素ありのシリアス現代もの。
霊たちが教え導いてくれる先に起こる事件の数々、
そして宮緒先生らしい、攻めのねっとりとした執着(❤︎)も
おおいに楽しめる一作でした。
「覚えておきなさい。今日から、君がこのベッドで着られるのは俺の腕だけだ」
…
この、ものすごい愛と執着のセリフー…!
自分がこんな執着を向けられたら…と考えると身震いしてしまうけれど(向けられるはずもないのですが笑)、
読んでて歓喜、大興奮でした( ̄∀ ̄)
水琴が信じるまま、「死んだ者の姿が見える」と受け止めていましたが、
終盤泉里の言葉によって明かされる真実に、「そうだったのか…」と納得、
膝を打ちました。
先生のあとがきによると、泉里の名前は「黄泉」から、
そしてその名字の”奥槻”も「奥津城」で墓所の別名であり、”死”と縁の深い名前とのこと、
そこまで考えられていたのか…!と感心しきりで、「はー…」と
思わず声が出ました。
泉里に囲われ愛でられる形で同居生活が始まりましたが、
この先2作目・3作目そしてシリーズ完結作の4作目でも、
二人は事件に巻き込まれていくのでしょうか。
じっくり腰を据えて、シリーズの続きを楽しみたい!!
あっ。ひとり村に残された水琴のおじいちゃんは、
元気に過ごせているのかな、、
執着激しい泉里ですが、たまには実家に帰らせてあげてほしいな
(絶対自分も一緒についていくだろうけれど)…なんて思ったりしながら、
本を閉じました。
BLの恋愛的ストーリーとしても、オカルトちっくストーリーとしても、とても面白かったです(≧▽≦)
受け様は、死者の姿が見える水琴。
田舎の祖父の家で、心の赴くままその姿をスケッチに描いて過ごしてきた。
そんな水琴の絵を見た旅行者がSNSにアップし、その絵に惹かれた画商が水琴を訪れる。
この東京の大手画商に勤めるのが、攻め様である奥槻。
水琴は、軍人のような隙のない奥槻が自分に対して特別な扱いをしてくれるのが嬉しい。
素直に好意を丸出しにする純粋培養の水琴と、それにうっと胸を撃ち抜かれまくりの奥槻の様子ににまにましちゃう。
画家としての才能はもちろん水琴自身にも惹かれ、奥槻は水琴を自分だけの腕のなかに囲いこみたいと思うようになる。
そんな願望がうんだ生と死の狭間の屋敷の中で、奥槻は思う存分水琴を貪ってましたよ。
そして明かされる奥槻に寄り添う、水琴にだけ見える影の真実。
SNSで妖精画家と呼ばれる水琴と、そのパトロンとなりがっつり囲いこむ奥槻の出会いの表題作『悪食』。
書き下ろしの『密葬』では、水琴を東京に呼び寄せた奥槻は同棲してるのに、手は出してなかった!!(゜ロ゜ノ)ノ
夢の中ではあんなに好き放題だったのに、現実では紳士なんだかヘタレなんだか。
そんな中で水琴は画商の槙と出会う。
槙の抱えるトラブルに巻き込まれた水琴は、槙の後ろに漂う2つの影に導かれるように、隠されていた真相を暴く。
あぁ、水琴の信奉者が増えましたよ。
嫉妬やら独占欲やら、奥槻はこれまで以上に全方位に目を光らせなければ(^_^;)
また、我慢に我慢を重ねてきた奥槻と水琴の、生身での初えっち。
水琴が煽っていて罪作りな子でしたよ( ☆∀☆)
イラストはみずかねりょう先生。
表紙から口絵、中の挿し絵、全てが美しくて目の保養です。
あ~~もう冒頭から面白いやつ~!!
画商×美人画家で受けが無自覚あざとい系です。
霊が見えてしまうが故にイジメに合っていたりしたので内向的ですが、無邪気ゆえのあどけなさでイケメンスパダリが翻弄される様は最高でした。
それに抗うように攻めも片道6時間かかるのに足しげく通い、最初から優しく紳士的にアプローチ。
見えない攻防が繰り広げられている二人の口説き対決のよう。
途中、急にここはどこ!?異世界!?となったり、攻めの性格がガラッと変わって戸惑いました…(笑)
それまでは執着をチラ見せくらいだったのに、エンジン全開フルスロットルでヤンデレに変化して私は大歓喜!
監禁を仄めかす発言をしたり、二人きりになった途端エッチ三昧。
意外にも受けがしっかりしていて、どうにかこの状況を打開しようと試行錯誤。
気づきました。
このお話、受けの方が幾分マトモです(笑)
また、ページ半分が馴れ初めという感じで後半からは、二人の同棲からのお話となっていて、二巻分入っている感じでお得感がありました。
その後半も受けの能力が存分に発揮されていきます。
狭間の世界では何回もヤッたのに現実では、すれ違いがありなかなか事に及べません。
というのも、受けが「あの時みたいに感じすぎて引かれたらどうしよう…」という不安でエッチを受け入れられないのですが…。
お、乙女すぎる…。
とはいえ、誘拐されたり殺されそうになってしまったり…と、読者を飽きさせない展開に一気に読み終えてしまいました。
美人受けの良さが際立ち、イケメン紳士の攻めの方が翻弄されている姿や、チラチラとブラック攻めがヤンデレ臭を仄めかすのが最高でした~!
表紙で受けの水琴くんの瞳が白っぽく描かれててキラキラもないのでまるで生気が感じられず、なんか白痴か不思議ちゃんキャラなのかなって思ってました。
全然そんな事はなく、美人で健気で素直で老若男女が彼の魅力に引き寄せられるようなタイプ。
死者が見えその絵を描き続けた事で不気味がられて学校、家族にさえ退けられて、不憫に思った祖父が田舎に引き取って2人で暮らしてる。
平和な毎日に突如都会の洗練された大人の素敵な紳士、泉里さんが水琴くんに会いにやってきて物語が始まる。こんなロマンティックで心の救済があって満たされるお話だったなんて!
私が読んだことある宮緒葵先生の作品は、ど執着でもはやサイコパス?みたいな攻めのお話だったので、
こんな甘々で受けに翻弄される執着攻めとは!
2つのお話があったけど、どちらもミステリー要素がとっても面白かった。水琴がどちらも魂を救うお話でマジ天使。
攻めの泉里さん、大人の落ち着いた男性なんだけど、無自覚に煽る水琴にメロメロで(……っ!この子って子はっ!やれやれだよっ)って何度も悶絶してるのがわかるシーンがあって面白い関係性。
はぁーーーー!面白かった。
続きが今日発売か、有難い。
2019年刊。
なかなかオカルト味があり、この話で初めて『黄泉戸喫(よもちへぐい)』という言い伝えを知った。
あとがきで『初めて書くタイプのお話』と語られているが、確かにイロモノ度はなりを潜めている気がする。
その一方で、いつもの微かな仄暗さも漂っている気はしたが。
宮緒さんの作品の攻め受けは、二人だけ(又は三人だけ)の世界で結ばれた幸せを貪っていればいいって閉ざされた感に浸っているイメージが強い。
しかしこの話は、第三者がきちんと裁かれたり救済されたりしていて、その後の生活も続く"未来が開かれている感"が目新しいなと感じた。
あらざる者を描く画家の卵と、パトロンとして庇護する存在の画商。
続編も決定し、水琴が高祖母から受け継いだかのような美貌と不思議な力を持つ限り、ゆくゆくはシリーズ化していくのだろうか。
それに付いて行くには、今後泉里と水琴がどんな変貌?を遂げるか次第になるかな。
ずっと田舎の老人達に可愛がられてきたとはいえ、両親に拒絶された生い立ちから水琴は引っ込み思案だと想像していた。
だが、若い男性・泉里に対しては警戒せずに初対面から随分と打ち解けている。
もしかして本来は物怖じしない性格なのだろうか。
今はまだ一途さ天然さが勝っているが、泉里や怜一の傾倒ぶりを読んでいると、将来水琴は当人の思いもよらないところで周囲に天女の如く奉り挙げられそうな気配がする…
また、今は過保護の域に留まっている泉里の干渉も、既に内心では水琴への独占欲が渦巻いている。
宮緒さんなりに異色に挑戦していくにしても、どうも従来の執着攻め×魔性を秘めた受けに行き着くきそうな予感がするのだが、果たして…