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孤高の賢王陛下×寵姫となった青年の、後宮ラブ!
貫井ひつじ先生の作品は初めてなので、拝読させて頂くのが楽しみでした。
個人的、各項目5段階で
毒舌 4
健気 3
ギャップ 2
エロ 2
な感じだと思います。
ヴォルフさん×シリルくんのカプです。
現王が必要ないと、機能していない後宮に入れられてしまったシリルくん。しかし、その後宮で出会ってしまった現王のヴォルフさんに、あることがきっかけで寵姫となってしまいます。
まずヴォルフさんですが、何かとシリルくんのことを「馬鹿」と言ったり、脇役キャラの女性を痴女と言ったりして、毒舌というよりはただ単に口が悪いですね。キツイ言葉の裏に含まれた思いや意図があるのだろうと察することは出来るのですが、それでもやっぱり口が悪いですね。
なので、それに言い返したり、反発したりするシリルくんなので、物語り序盤ではケンカップルっぽい感じでした。
こういった作品での、孤立した陛下の良き理解者的なポジションのキャラはいますが、今作ではそれがバルドさんなのかもしれないのですが、登場する度に品の無いことを言っているので、ちょっと嫌でしたね。
ヴォルフさんと身体を繋げた後のシリルくんを見て、処女じゃなくなってる、と言い放ったりするので、脇役キャラだが情緒が無いし下品だなと思いました。他にもシリルくんの兄やリヴィア嬢の父親など、なかなかに嫌な脇役キャラが多めです。
想像よりもずっと兄に疎まれていたことに傷付くシリルくん。ある事で、悲観し死にたがりだったヴォルフさん。お互いの悲しみや心の痛みをゆっくりと癒そうとする姿が、序盤でのケンカップルはどこへやら、甘くて優しい雰囲気になるので、物語り序盤と終盤の2人のギャップが良いですね。
特にシリルくんに想いを告げた後の絡みでのヴォルフさんの言動が少し意地悪さがあるが、かなり甘々になっていてキュンとするので、是非とも読んでほしいです。
厄介払いで幽閉されたシリルと、命を狙われる王ヴォルフのお話。メインカプよりある意味強キャラだったリディアが一番好きかも。本編はあまり刺さらなかったが、電子特典の短編はとても好き。でれでれ陛下が最高だった。
今に至るまでの胸糞な経緯をさらっと説明し、後宮で過ごすシリルの描写に入る書き方に、なんとなく既視感を覚えつつ。(この作者さんの他作品と被る……)
序盤の印象は、全員人の話を聞かない。登場時のヴォルフは言わずもがな、リディアは思い込みが激しく、シリルも別視点で見れば似たようなものだと思う。
ヴォルフは単体で見ればとても好き。口が悪く性格は難ありだが、悪と対峙するキャラはスパっとやってくれる方が気持ち良く、爽快感がある。無気力も過去に起因するもので、自己満足的なところはあるものの、背負う覚悟は良かった。
シリルはヴォルフを物理的に助けたけど、基本は弱々しい守られ受け。何かあるとすぐ誰かが助けに入ってくる。いったんはシリルが頑張ってから助けに入ってきてくれないかな、と助けの早さに呆れてしまった。守られ度合が過剰で過保護。
好かれているとは思わないとか、手を出されたら性欲処理だと思うとかはもう定番なのかな。謙虚とか鈍いとかでなく、キャラの向こうにいる人の、期待して違ったら恥ずかしい気持ちを隠す人間性が見えるようで苦手。
くっついたのは萌えないタイミングだったけど、ヴォルフのセリフはいちいち萌える。シリルのお願いにウキウキする様子には笑った。幸せそうで何より。
電子特典はとにかく甘い。甥の前でいちゃつくカップル。次期国王にシリルだけは、と頼むヴォルフに泣けた。
強制的に後宮に入れられたシリルが国王のヴォルフと出会うところから始まります。
命を狙われているヴォルフをシリルが助けますが、ヴォルフからは感謝されないどころか「馬鹿か」と罵られてしまいます。
はじめは口が悪いヴォルフを快く思えませんでしたが、不器用なだけで優しい人だと気付いてからは微笑ましく思えました。
甘々な恋物語だけでなく、ヴォルフが国王になった経緯やシリルと義兄との確執などシリアスな面もあり、ヴォルフの命を狙った犯人には唐突感もありましたが、悪いことをした人がちゃんと罪を償う形になって良かったです。
電子特典では、ヴォルフの甥から見たヴォルフとシリルの仲睦まじさが伺えました。
「至宝の寵姫」とあるけれど、あくまでこれは「最後は攻めにとって至宝の寵姫になりました」であって、そこに至るまでがなかなか険しい道のりだった……。
というのも、攻めのヴォルフときたら口を開けば喧嘩腰で、こいつが受けを愛するようになる姿が想像できないんですけど……って感じ。
命を二度も助けてもらっておきながら、お礼を言うどころか「お前は馬鹿か」「迷惑だ!二度とするなッ!」と怒鳴りつける。
はぁ?なんなのこいつ?と受けのシリルと同様に読んでる私もそう思っちゃう……
でもさりげなくシリルが大切にしていた本を修理してたり、本の続きを用意していたりしているんだけど、なんせお口を開けば皮肉屋で冷淡なので、冷たいけど実は優しいじゃん♡と萌えるまでには至れない……。
まぁ思ってるよりは悪くないやつなのかな?程度。
だもんで、二人がくっついてもあんまりカタルシスが得られませんでした。
え?そんなに好きだったの?と思ってしまったというか……。
わかりづらすぎるわ……。
二人の境遇にある共通点があって、ある意味似た者同士なので、くっついてよかったねーとは思うけど……
中盤までの攻めの態度のキツさが私にはなかなか辛く感じました。
あと、受けがエッチのときに、攻めのヴォルフのことを「ゔぉるふ」と呼ぶんだけど、なんかキャラ違う……
途端にアホっぽくなってしまって、好きじゃない。
先王が後宮としていた場所は、いまや貴族たちが厄介者を幽閉するための場所として勝手に利用してるってところが、そんなバカな……と思いました。
そんな王宮内を無断使用だなんて、そんな勝手が許されるんですか??
本編自体は萌どまりなのですが、電子限定のSSが神でした。
こういうのがもっと早くに、本編の終わりのほうでも堪能したかったよーって思います。
お話は凝ってて読み応えがあると思います。
ヴォルフもシリルも傷ついて癒えなくて生きているところに出会い…。
ヴォルフがなぜ助けたシリルにあんなに怒るのか、口が悪くて厭世的で悪い噂もほっておいて。
なのにヴォルフはシリルに不器用に優しくて…。
お互い義兄弟に恵まれず辛い思いをして傷ついてきて。
義兄弟の悪意に二人で支え合って立ち上がり。
ケリがついたらヴォルフったらとっても情熱的で。
寵姫はシリルだけ。毎晩とろけそうに愛を口にしてシリルを抱いて。
良いお話でスラスラ読めたのですが、なんか物足りないような、爪痕が残らないような。