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表題作いつか飛びたい風見鶏

朝彦、老舗洋食店「日比谷亭」の道楽息子
小松由紀夫、経営コンサルタント、36歳

その他の収録作品

  • 堂山さんに寄せて
  • あとがき

あらすじ

傾きかけの老舗洋食店の道楽息子・朝彦。
だが店を立て直すために経営コンサルタントの小松が来て状況は一変。
二人は対立しつつも近づき始め!?

作品情報

作品名
いつか飛びたい風見鶏
著者
阿部あかね 
媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
発売日
ISBN
9784403667268
3.8

(67)

(21)

萌々

(26)

(15)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
11
得点
256
評価数
67
平均
3.8 / 5
神率
31.3%

レビュー投稿数11

タイトルも素晴らしい。

作家買い。

阿部さん作品はエロ度の高い作品も多く(そしてその画力の高さゆえに濡れ場がめっちゃエロい…!)、また甘々な作品も多いですが、今作品はエロ度&糖度はやや抑えめ。

なのですが。

もうね、萌えが滾って仕方ない。
なんていうのかな。
塩対応からの甘々、といえばいいだろうか。
それとも砂漠地帯からのオアシス?
序盤、反目しあっていた攻めさんと受けさんが、少しずつ心を通わせ、そして思いを通じ合わせていく経緯が、めっちゃ甘くって優しいの。その過程とか、バランスが素晴らしかった。

で、さらに言うと舞台が洋食店ということもあって飯テロに遭います。
空腹時は読まない方が良いかも☆

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






主人公は老舗洋食店の道楽息子の朝彦。
父が起こした洋食店「日比谷亭」は人気の老舗店だったが、父亡き後、料理長が失踪。朝彦は父の跡を継ぎコックになって…、いないため、店の存続すら怪しくなってしまった。

朝彦の母は店存続のためコンサルタントを雇うことに。
母に雇われやってきたコンサルタントの小松は一生懸命に働きかけるが、「日比谷亭」の店員たちとうまくかみ合わず、さらに店をたたんでも良いと思っている朝彦とも火花を散らす日々。

このまま店をたたむことになってしまうのか―?

というところを軸に進むストーリーです。

朝彦は父の跡を継がず、着道楽、食道楽の典型的な道楽息子。
一方の小松は支出を少しでも減らずべく、朝彦との連携を持ちたいがうまくいかない。

そんな彼らが手を組むようになるきっかけが、それぞれの「遊び」なのです。

朝彦は女性と。
小松は店で引っ掛けた青年と。
それぞれいるところに出くわしてしまう。

いけ好かない男だと思っていた小松の、意外な顔を知った朝彦は…。

と、きっかけこそアクシデントといっていい感じではあるのですが、この出来事をきっかけに、彼らは素の自分を見せ合うように。

そのなかで、小松が仕事にかける情熱のキモになった過去のエピソードとか盛り込まれていき、彼らの魅力が一気に読者に迫ってきます。

中でも秀逸なのが、朝彦がなぜ父の跡を継がなかったのか、という点。

これがまあ、素晴らしく萌え滾る。
この魅せ方が阿部さんならではか。

遊び人の、苦労知らずのボンボン。
そんな側面しか見せてこなかった朝彦の、葛藤、苦しみ。そして哀しみ。

そして、素を見せ合った彼らが、急速に惹かれ合っていく、その過程。

めっちゃ萌える!

小松は、もともとは攻めさんです。
もともと、というか、朝彦にだから、抱かれても良い、と思えた。
そんな小松の恋心にめっちゃ萌えるわけですが、攻めさんが受けさんになるといった展開なので苦手な方は注意が必要かもです。

さらに、朝彦が女性と関係を持つ描写も、序盤あります。
あっさりとした描き方ですし、詳細な描写はありませんが、こちらも苦手な方はおご注意を。

彼らを固めるサブキャラも、皆さんいい味出していますが、中でもぴか一なのが朝彦の幼馴染の堂山さん。朝彦に、ずっと仄かな恋心を抱いてきた堂山さんですが、描き下ろしで彼の新たな恋の予感が描かれています。

ぜひともスピンオフを描いてほしいと切望しています。

タイトルも秀逸。

朝彦という男性はオッサンで(年齢ははっきり書かれていませんが、おそらく40オーバーかと思われる)、自分の意志を手放し、風に流される風見鶏のように生きてきた。そんなオッサンでありながら、朝彦のエプロン姿のなんと色っぽいことよ。阿部さんらしい男の色香ダダ洩れのナイスなビジュアルです。

そして、朝彦が小松という男性と出会い、そして過去を清算し前に進んでいく。そんなストーリーに激萌えしました。

今作品も素晴らしかった。
文句なく、神評価です。

11

自分の意思を持って飛び立て!

ちょっとレトロな雰囲気を感じる阿部あかね先生の新刊です。
『風見鶏』というタイトルですが、深いなぁ〜と思います。
その昔、N総理が風見鶏と呼ばれていました^^;
優柔不断で、風向きを変えやすい人を想像させる比喩だと思うのですが、風を読む・時代の流れに順応するという意味では悪くない言葉だと思います。
風に立ち向かっている様にも見えるのですが、いかがでしょう?

さてさて、本作は『日比谷亭』という老舗洋食店を舞台に繰り広げられる、成長と再生の物語です。

日比谷亭のお坊ちゃん・朝彦は、飄々とした道楽息子。
店の手伝いもせず、自由奔放に生きています。
ある日、シェフがメイドと駆け落ちをしてしまい、大ピンチに陥った日比谷亭。
そこにやってきたのは、経営コンサルタントの小松でーー…

秋彦がまぁー、かっこいい。渋い。着物が似合う。
〝ダメな男ほど魅力的〟の典型のような男だと思います。
対する小松は、クソ真面目な七三めがね……と思ったら、
口の悪いバリタチゲイでした(ギャップ萌え♡)

頑張る小松・何もしない秋彦、未来を見る小松・過去に居座る秋彦、革新をもたらそうとする小松・変化を望まない秋彦……常にこの二人が対照的に描かれています。

かつて料理人を目指した秋彦は料理を受け入れてもらえず、
心を閉ざしてしまいました。
その秋彦にもう一度、料理人として前を向かせたのが小松です。
多分、秋彦は自分を必要としてくれない店と両親を恨んでたんだろうな……

大人になって忘れてしまう事も数あれど、大人になって気付くことも沢山あります。
当時、プライドが邪魔して分からなかった料理人の心を、
大人になった秋彦は自然と理解していました。
きっと、人も料理も保守的なだけではダメなんだろうな。うん。
新しいプランとレトロな日比谷亭、きっと多くの人に受け入れられると思います。
そして、秋彦と小松は人生のパートナーにーー…

ラブ要素薄目なのですが、所々で明彦にキュンとする小松が可愛く、自分を変えてくれた小松に惹かれる秋彦の気持ちにも納得できました。
タチの小松が、秋彦になら抱かれたいと望む所も萌えポイント!

ラストに恋の始まりを予感させた山城と堂山もお気に入りです。
脇のキャラが個性的で、かつ主張し過ぎず素晴らしかった。
さすが上手いですわ^^
阿部先生らしい?痛い展開は封印し、とても読みやすい素敵な作品だったと思います。

7

じっくり堪能しました。良い…

第一話だけ読んでおりました。
モダンな着物姿の朝彦が印象的。
まとまったところで、じっくり読みました。
これは、大人が人生を見つめた物語ですね。

タイトルにある風見鶏のように、くるくると風向きで動くように見えて実は芯のある朝彦。
お話の初めは、ほんと放蕩息子そのものですよ!粋な着物がめちゃくちゃ似合う。誰にでも優しくそつない。だけど冷めている。
そのくせ、実家の洋食レストランには人一倍執着がある。

コンサルタントとして、関わっていく由紀夫との始まりは可愛げないやり取りの応酬なんですね。でも、それを経てから由紀夫が気がついた朝彦の本音がどんどん、話を動かしていきます。

面白いわ~!朝彦が着物をやめ本来の料理人に戻るところ。由紀夫は初めからゲイと朝彦にばれているんですね。ちなみにタチですよ!

2人が近づくにつれて、公私共にパートナーに変化していく過程がたまらんですね。料理をする真剣な姿は、確かにセクシー。
由紀夫が、朝彦に抱かれたい!となるのが、また良い~!
2人のセックスはエロく、濃密な大人のセックスです。眼福だった…

人生の変化を受け入れて、しなやかに生きる。難しいものです。
くるくる回る風見鶏が、実は風に向かい合わせていつも柔軟に向きを変えている。
タイトル深いです。
私はどうだろうか?思わず考えました。
けして重くなく、素敵なお話で満足感有りました!

5

渋くて旨味たっぷりな、のとおりの物語

阿部あかね先生の新作表紙はオトナの和服!
期待が高まって高まって、いざ読まん!

第一印象は…オトナ、いやオヤジにシフトしてきたなぁ…
阿部あかね先生の作品て、もっと若いダメんずが多かったでしょ?そういうのとかいっくんとかから、椿さんとかcode:Gあたり。凄みを内包するオトコへ。
イイですネ〜。
内情は火の車の老舗洋食店の若旦那・朝彦はフラフラした遊び人。
経営を立て直すということで銀行の紹介でやってきたコンサルタントの小松。
この2人がまずぶつかり、そして素顔を見せ合い、そして惹かれていく…
そんな物語なのですが。
まず小松が意外性の男なんですよね。
かなりはじめの方から単に完璧主義のカタブツではない事がわかります。かな〜り口の悪いゲイなんですよ。朝彦にそれを見られても取り繕いもしない。
一方朝彦はかなりの後半まで遊び人のイメージ固定で、それが小松にオムレツを作るシーンから急にもっと心の深い場所の素直さが出てくる。
そんな朝彦に小松がときめく、また朝彦の方から小松にアプローチするというのは実は意外でした。
しかもケンカップルにもならずに。
ただ、そうとなればまどろっこしい駆け引きはナシで、というのはイイですね。
この時も小松はマジメな顔してアケスケです。
また、畳の上にお布団敷いて、傍にタンス、というのがまた何ともイイ。
ちょっとレトロ風味で異人館ぽくもあり、時代も場所もどこでもないような浮遊感。
そんなところも面白く読みました。

4

しっとり大人のラブストーリー

久しぶりに読んだ阿部あかねさんの作品は大人ラブストーリーでした。良かった!ドラマや映画を見終わった後のような満足感。ストーリーを楽しめて最後に結ばれるシーンもジーンと感動しました。

舞台は経営が傾きかけた老舗洋食レストラン。店を立て直すためにやってきた優秀なコンサルタント36歳。今回の受け小松です。攻めはレストランオーナー女性の息子朝彦。年齢は40代前半?位ですが、訳あって無気力になってるボンクラ息子です。
 
最初はお互いにいけ好かない奴だ、と反発し合ってたけど少しずつお互い惹かれあっていく様子が丁寧に描かれています。受けの小松が良い。仕事のできる隙のない男なのにいざエロいシーンになった時の色気がたまりません。ザ・男前受けという感じでした。攻めの朝彦も最初はダメな奴だったけど小松のお陰で自信を取り戻してからは素敵なおじさまになっていきました。阿部先生の大人ラブストーリー、とても楽しめました。やはりハッピーエンドはいい!
 
友人のオネエっぽいゲイの堂山もいい味出していて面白かったです。

4

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