両片想いの年の差溺愛ラブ 孤独だった健気な少年は、手を差し伸べてくれたスパダリ社長に愛されて――。

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表題作溺愛パパのじれったい初恋

高羽泰成
35歳,老舗旅館の次男でホテル経営
高羽優輝
18歳,泰成に引き取られた遠縁の親戚で大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

老舗旅館の次男でホテルグループ社長の泰成は、仕事は順風満帆なものの、周囲から見合いや結婚を勧められることを毛嫌いしていた。そんな中、遠縁の親戚で、家族を亡くし、引き取られる先もない、一人の青年の存在を知る。利害の一致もあり、その少年・優輝を引き取り育てることになった泰成。
月日は流れ、優輝も大学生となった。情を移すこともないかと思っていた泰成だったが、素直で健気な優輝との生活は幸せに溢れており、彼のことを大事に大切に愛おしみ、溺愛するまでになっていた。家族として優輝をずっと大切にしたいと思っていた泰成だったが、何でも話してくれた昔と違い、最近の優輝は何か隠し事があるようで……?

作品情報

作品名
溺愛パパのじれったい初恋
著者
名倉和希 
イラスト
兼守美行 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344846494
4

(90)

(25)

萌々

(51)

(10)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
18
得点
362
評価数
90
平均
4 / 5
神率
27.8%

レビュー投稿数18

攻めの妄想劇場炸裂なのです。

超鈍感な溺愛攻めと、養い子である大学生による、甘くて焦れったい両片想いものです。

両親を事故で失い、厄介者として親戚の間をたらい回しにされていた主人公・優輝。
彼はホテル社長である遠縁の親戚・泰成に引き取られ、目一杯愛情を注いで貰って幸せな毎日を手に入れます。
そんな彼が大学生となり、泰成への憧れが恋へと変化した頃ー。
泰成もまた、優輝への愛情を爆発させていて・・・と言ったお話になります。

名倉先生と言うと暴走溺愛攻めがお約束なんですけど、今回の攻めはそこにプラス鈍感になるんですよね。
いや、相変わらず受けが好きすぎて、おかしな方向に思考が行きまくってるのが、読んでて楽しくて仕方ないんですよ。
温泉旅行となれば、一緒に露天風呂に入る所から妄想爆発。

ちょっと恥ずかしそうな優輝。
彼の剥き出しの肩が寒そうなら、お湯を掬ってかけてあげよう。
濡れた白い肌が陽光を反射してキラキラする様を、いつまででも見ていたいー。
てな具合で。
これ、恐ろしい事に、初登場時からずっとこんな感じでして。
また、妄想過多なだけじゃなく、めちゃくちゃ過保護でもあるのです。
大学生にもなる主人公の、電車通学が心配で仕方ない。
こりもせず自動車での送迎を数日置きに優輝に提案して、その度に丁重にお断りされてたりする・・・。
個人的に、攻めの溺愛描写と言うのが大好きでして、このおかしな妄想劇場と過保護も極まれりの言動を読んでるだけで楽しくて仕方ないんだけど!

と、こんな調子なので、さっさとくっついても全然不思議では無い二人なのです。
二人なのですが、ここで問題になるのが攻めの鈍感ぶり。
もうびっくりなんですけど、ここまでの溺愛ぶりと独占欲を滾らせながら、なんと泰成は自分の気持ちに気付いていないんですよ。
いや、読者や周囲の理解者には明らかに恋愛としての「好き」だと分かるんですけど、本人だけが保護者としての愛情だと思い込んでる。
そして、「スーパー保護者になろう!」みたいな明後日の方向に決意してる。

これ、この事で巻き起こる二人のスレ違いと言うのが、かなり焦れったくて。
こう、優輝は優輝でこんな泰成の言動から、自分が保護すべき子供だとしか思われてなくて傷つく。
そして、泰成は、そんな優輝に距離を取られるようになって、ショックでヨレヨレになる。
ついでに、泰成の母親が横やりを入れてきて、更に二人の仲が拗れちゃうのにもハラハラで。

優輝がですね、親戚をたらい回しの上に暴力まで振るわれていてと、泰成に引き取られる前がかなり不憫で切ないんですよ。
そんな彼が泰成に溺愛されて、これでもかと大切にされるのが嬉しくて仕方ないんですよ。
また、めちゃくちゃ健気で、自分の想いをひた隠しにしたまま、泰成の幸せだけを願うのにグッときちゃうんですよ。
だから、泰成の鈍感ぶりには若干イラっとしちゃうんですよ!

まぁ、作者さんも書かれてますが、いい年した大人の男性が、初恋でオロオロ狼狽えてる姿と言うのは萌えるので、いいっちゃいいんだけど。
ちなみに、編集さんから「攻めをもっと格好良く!」指示が出されたそうです。
いや、今の時点で相当格好悪いのに、これより更に格好悪かったんかい!と。
ダメダメじゃん、泰成・・・。
何があっても優輝を守ろうとする気概に免じて、許してやるけど。

最後になっちゃいましたが、初エッチでの泰成の暴走ぶりには笑いました。
優輝がですね、なかなかの天然煽り受けなんですよね。
ただでさえ、泰成の理性は崩壊寸前なのに・・・。

12

脇役たちに持っていかれる

溺愛……というより、攻めの束縛がすごい!
はじめはスパダリ感漂う攻めなんですよ。
スマートで優しくてかっこいいの。
だけど、読み進めていくうちに評価が変わる……
 
まぁ〜、情けない(笑)
声を大にして言うけど、攻めが鈍感ヘタレ!
あったか溺愛物語かと思ったら、あっという間にコメディに転調して笑わせてくれました。
(笑わせるつもりはないのかもしれないけど)

ここまで無自覚に執着して束縛されると、ちょっとイラつくんですよ。
無自覚ほどタチの悪いものはない(笑)
でも何がいいって、この作品は脇キャラが最高にイイ!

親戚に虐待されていた遠縁の優輝を引き取り、育てるホテル社長・泰成。
言っちゃえば、この二人は両片想いです。
優輝は自分の気持ちを自覚しているのに、泰成は全然気付かない。
そこが最高に焦ったい!

康成が激アツな愛情全開で、過保護を超えて過干渉をエスカレートさせ、優輝を全力で束縛します。
一行のほとんどを〝優輝〟の文字が埋め尽くしていた時には、
気持ち悪さを通り越して笑ってしまいました^^;
好きすぎるでしょ。怖いよ(笑)

そして、お互いの気持ちに気付いてないのは当人たちだけ。
特に、泰成の秘書・内田と、家政婦・照雄は冷ややか。
つねに優輝の味方で、泰成には厳しい。
この二人の存在が作品を面白くしてくれてます!

さらに、優輝を陰でいびる泰成の母親( ✧Д✧)
腹立つんだけど、この人がいるのも面白いんだよなぁ〜
ラストはこの姑のような母親にもザマァ展開が訪れ、
とってもスッキリさせてくれました。

正直、泰成と優輝のラブストーリーだけでは面白くなかったと思う。
脇役ありきの作品です。
むしろ、内田と照雄のシニアなラブも見てみたかった♡

5

ホテル王はそれを我慢出来ない?

微に入り細を穿つ。と、言うべきかもしんない。非常に、用意周到に。設定に留意しているのだ。何処からも、誰からも、何憂うこと無く、公明正大に愛を叫びたい!んだと思う、多分。その持って回った丁寧さに読み手側はぷっと吹き出してしまいたい気持ちになる。

小学生の頃、事故で両親を亡くした優輝は、親戚に疎まれながらたらい回しにされて育った。特に、大叔父には酷く折檻され、食事もロクに与えて貰えなかった。中学生の頃、そんな優輝を引き取りたいと、遠縁の泰成という男がやってくる。そこからはもぅ。怒涛のシンデレラストーリーなんである。
泰成は有名なホテルグループの社長で。優輝に何不自由無い暮らしばかりか、大学まで通わせてくれる。そして、そして、めちゃくちゃ可愛がる‼︎
男前で優しい泰成にいつしか恋心を募らせて行く優輝。けれどそんな気持ちを抱いてはいけないと自分を律している。何も気付いていない泰成はひたすら優輝を甘やかしていたが…。
泰成はもう自分でも自覚無い程の執着に囚われてしまっていて。優輝の若々しい美しさに見惚れ、女の子の友達とお茶しているのを見ては荒ぶり。自分で温泉に連れ出しておきながら、優輝の身体を見てドギマギする。
35歳の大の大人が七転八倒する様子をコミカルに綴られている。
そして私たちはハタと気付く。作者の思惑にほくそ笑む。優輝を見つけ出し、引き取るのは中学生の頃。もっと幼い頃だと、泰成が源氏よろしく自分好みに育て上げる、という禁忌感が出て来てしまうのを回避。あと、年齢差も少し躊躇して見て取れる。19歳と35歳なんて、ギリギリセーフでしょ。と、言わんばかりである。もっと言うと泰成にちゃんと言い訳もさせている。自分は小児性愛者では無いと。優輝の事を意識したのはたった今なのだと。
これは。どこからも文句言わせないからね、と言いたげな作者の心配りなんである。きっと、ええ、多分。
優輝を心配するあまり、携帯に勝手に付けたGPS。優希が親友の遼太郎が先に出て行ったあと、香織ちゃんとカフェにいる所に泰成が飛び込んでくるなんて。ああ、これは来るな、来るよね、キターッ!ってなもんである。遼太郎が彼女と過ごす為に取ったホテルに付き添って来た優輝を誤解して飛び込んで来るのも予想出来る範囲内。
もう、くすぐったい程に泰成が思い通りに動いてくれるのだ。
名倉先生が編集さんに何度も「攻めはカッコ良く書いて下さい。」と言われる程に。大人の攻め様が必死でカッコ悪くなってしまうのは可愛いらしいんである。
カッコ悪いんじゃ無い、カッコ可愛いんである。と、いうことにしておこう。

途中、本家の旅館を仕切る女将である泰成の母からホテルグループの社長として政略結婚を持ちかけられたり。優輝がこの母から冷たく出て行けと言われて苦しんだり、という些末な事件もありますが、2人を見守る家政夫さんの照雄さんや、秘書の内田さんの援護もあって、丸くめでたし!と相成ります。

心情の発露のまま大告白をする泰成に驚きながらも、意外にも冷静に受け止めているかの様な優輝。ここはもっと、なんかこう、感激のあまり震えて欲しかった。いや、その後怒涛の絶倫攻めで、優輝の震えは止まらなくなるんだけども。いやはや。
後で照雄さんに叱られる程、抱き潰すって。どんなけなんだよ、泰成。照雄さんと秘書にバレバレっていうのも恥ずかしポイントですね。
泰成の「臍に届きそうなほど反り返っている」「太さも長さも色も、迫力も。そしてその下の二つの袋もどっしりとした大きさだった。」という、あけすけな文言も。
初めての筈なのに、後日はしたない願いを口にする優輝にもビックリです。エッロ。

ところで、生涯のパートナーにすると決めた2人のその後をもうちょっと見たかったな。卒業後、優輝と遼太郎は泰成が最初計画した様にホテルグループの一つで働いているのか。それとも。ただ泰成の帰りを待つ可愛いお嫁さんとなっているのか。気になるところではありますねぇ。

6

安定路線

先生買い。けらけら笑えましたが、さらっと読んでしまったので萌2よりの萌にしました。コメディ路線の名倉先生がお好きな方でしたら、安心してお読みいただけるのではと思います。本編250P+あとがき。

5年前、観光業を営む家の次男坊である泰成(たいせい)の下に引き取られた優希。住み込みの家政夫である照雄を手伝いながら大学に通っています。超優良物件である泰成の女除けとしてコブつきにしてしまおうという周囲の思惑があって引き取られたのですが、十分な愛情をもって育ててもらえて、いつしか泰成のことを大好きになってしまって・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
照雄(攻めの家政夫)、内田(攻めの秘書)、攻め母、兄、遼太郎(受けの友人)、香織(遼太郎の彼女)ぐらいかな。

**内容に触れる感想

受けは健気かつ過保護に育てられた、可愛い一般的な子。なので、攻めの斜め上度合いがより分かりやすかったように思います。

冒頭から「可愛いからチカンにあう」だの「心配だから車で送迎する」だの、大学の入学式に出たいから予定を調整してくれと秘書に懇願するだの、自分でもわけがわからなくなっているようですが、とにかく溺愛。最初は「なんていい大人なんだ」と十分思われる態度だったのですが、あまりに溺愛が過ぎてちょっとおかしくなっている様子なので、楽しかったでした。

受けがどうこうというより、いい大人な攻めが受け限定で変になっている様子が楽しい、名倉先生らしい安定の一冊と思いました。

2

笑える!!

のっけから、「受け可愛さがあまって前のめりになってる攻め」という名倉さんらしい攻めの描写にニヤニヤしまくりでした。

・多忙な経営者だけど、優輝(受け)とすごす週末がモチベーションとなってる。
・優輝の洋服を買うのが趣味のひとつで、クローゼットはやたら満杯(優輝は困惑気味)
・1時間の電車通学をしてる優輝を心配して、なにかと車送迎を申し出る(優輝は固辞)

なにしろ冒頭からわずか11P(電子で)まででこの調子。

だけど泰成(攻め)は、一言で言えば「無自覚」
その気持ちがなんなのかわかっておらず、あくまで大切な養い子に対する庇護欲ゆえと思っているんです。

というのも優輝を引き取ったのは、優輝が14歳のとき。
親戚中をたらいまわしで痛々しいほどやせ細っていた優輝の「スーパー保護者」になると決めて以来、大切に育ててきたんです、泰成は。
だから優輝をそういう対象として見たことがなかった。

だから泰成は実家の温泉宿で、一緒に露店風呂に入ろう!とあっけらかんと誘うんですね。
だけど、ふと目にした優輝の裸体の神々しさに、ようやく気づいた泰成の動揺がおかしくておかしくて…!!

「とっても気持ちいいですね」という優輝のつぶやきがやたら意味深に聞こえてしまうとか、「今、優輝と湯で繋がってる?!」とか。
おまえは性に目覚めたばかりの男子かっ!!みたいな。

「将来、優輝に嫁がくるかも」という可能性に初めて気づいて、隕石が落ちてきたような衝撃を受けてる泰成の姿にも笑えます。

そして優輝とすれ違い&切ない展開になるのだけど、泰成の動揺&憔悴がこれまたおいしい。
いい年した立派な男が、オロオロしまくって、ヨレヨレになって、受けのことで頭いっぱい!!!で、明後日の方向へ暴走しようとする。

それを諌める秘書と、住み込み家政夫さんのナイスな存在感がこれまた光ってます。

「優輝、優輝、優輝、優輝優輝優輝優輝優輝っ」も名倉さんらしいなぁと、笑ってしまいました。

5

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