「絵」だけが好きだったはずなのに

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作サイケデリック・ベイビー

?木樹
25歳,蓮を担当する雑誌編集者
天花寺蓮
若き天才画家

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • あとがき

あらすじ

「絵」だけが好きだったはずなのに仕事も恋も無難にこなす雑誌編集・橅木 樹。そんな彼が人生で唯一執着する天才画家・天花寺 蓮の担当に。鬼才と聞く蓮だが、対面した本人は天然ゆるふわ、しかもスランプ打破のため橅木を押し倒してくる男で!?ただれた関係になり、距離感を大切にしたいと思うもキス一つおぼつかない蓮が次第に愛しくなる橅木。しかし絵に己を捧げる彼に「好き」という感情が重くのしかかり。羨望と憧憬と執着と――美術系男たちのこじらせ・ドラマティックラブ!

作品情報

作品名
サイケデリック・ベイビー
著者
湯煎温子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックスデラックス
発売日
ISBN
9784799748084
4

(64)

(27)

萌々

(18)

(13)

中立

(6)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
13
得点
252
評価数
64
平均
4 / 5
神率
42.2%

レビュー投稿数13

編集者×画家BL

楽しみを奪わないように気をつけますが、ネタバレありです。

あまり物事に執着せず、無難にそつなく日々を送る編集者・橅木さん(攻め)。
唯一特別なのは天才と謳われる天花寺蓮の作品だけ。
とうとう美術系雑誌の仕事で天王寺先生の担当を任されます。やったね。
胸が高鳴るのを抑えて会いに行くと、メディアで見るのとは全然印象の違う姿が。
絵一筋で恋愛・性的知識ほぼ0の蓮さん(受け)
色ごとを知ろうとキスを迫ったり積極的な態度に橅木さんは…。

橅木さんは絵の道を諦めた過去が、蓮さんは絵に全てを懸けるに至った過去があります。
制御しきれない感情の熱流に飲み込まれていく二人に毎話ドキドキしました。
蓮さんの中で何かが変わり、それと同時に作品も変化していきます。
世間からの評価と信じるものが必ずしも一致するとは限らない。
仕事と恋愛の難しい側面もありますが、キュンキュン&クスクスもたっぷり!
橅木さんはスパダリ系です。
仕事も出来れば家事もでき、日々の生活に無頓着な蓮さんのお世話もばっちり。
…でもそれだけでは済まないクセの強さがあるので、ぜひ読んで確かめて下さい。
好奇心旺盛で純粋な可愛い蓮さん、しかし絵に関してはストイックを通り越してます。
おじさん好きには蓮さんの友人も必見。この人は当て馬と言うべきか悩みます。
確かに愛なんですが、それが恋愛とは言い難い重~い愛です。

喜怒哀楽さまざまな表情の変化、魅力的な体の線も見どころです。
展開のリズム感と笑いのセンス、言葉選びも大好きです。
特にラストのモノローグが読み終わってからもずっと心に残ってます。
愛と狂気のストーリー、個性が黒光りしているような登場人物全てに魅せられました。

描き下ろしは意外な場面でした。この人の愛は本当に何と言えばいいのか…。
さらに人物の設定1P、この後の二人についての1Pが収録されています。
すごく大好きな終わり方で何の不満もないんですが…
いつかこのラストの1Pの二人のお話を読ませて頂きたいです!お願いします!!
連載を追っていた大好きな作品が素敵なコミックスになって嬉しいです。
カバーデザインは伊南美はち様

5

ありきたりではない編集×作家BL

帯にある『拗らせた男たちは恋が下手』とありますが
本当に恋が下手な大人たちが右往左往するお話でした。

美術誌の編集・蕪木と無邪気な天才画家・天花寺。
世話焼きな編集が作家の作品に惚れ込んでいる…っというのはよくあるストーリーですが、この編集・蕪木は一味違う。

お話の流れをありきたりにしないのが湯煎先生らしい。

蕪木は家庭の事情で美術関係の大学には行けなくて
諦めた世界は色を失い灰色だったが、ふと目にした絵は極彩色。
その絵を描いていたのが、天才と称される天花寺。

世界を変えてくれた天花寺の担当になったのはよかったけれど、天花寺の作品だけでなく、本人のピュアさや無邪気な笑顔に恋をしてしまった。
また恋をしたことがなかった天花寺も、蕪木を好ましく思い、Hをするコトによって画風が変わり…人を好きになるという感情は果たして善なのか悪なのか。

湯煎先生の斜め上からの切り方や表現方法に、今回もまんまとやられました。
とっても素敵なお話で、ふんわり優しい終わり方でした。

3

魂が震える良作

まず開始数ページで蓮さんの口調が好き〜〜〜!!!好きなタイプの受けだこれは……!!!となってしまって、それからはあっという間にのめり込んでしまいました。

もう言語能力の方がついて来ないのですが……
なんというか、無意識のうちに自分が神様の翼をもいでしまったことに気づかないうちに、神様はその光を失っていってしまう。
けれども、多くの人からわかりやすく見える光そのものに一体どれだけの価値があっただろうか、例え光を失って地に落ちて神がただの人になっても、彼は、橅木は蓮さんを愛していた。その才能が褪せていないことを信じていた。与えられる愛を飲み込み、無垢に欲を覚え、そうしてたくさんのものを取りこぼした代わりに、新しいものをたくさん得た。
神が再び翼を携え、羽ばたくまでの始まりの一歩。
そんな感じのお話でしたね……語彙力が来い……

ハッピーエンドとしてはありがちかもしれない、新しい作風も世間に受け入れ認められる、という展開にはならなかったのが、また苦味を孕んでいて良かったですね。
ラストの、絵に囲まれながらそれを描いた人間を抱くシチュエーションの倒錯感たるや……。

この先きっと、何度も読み返してしまうだろう作品に出逢えて、本当に良かったです!!!

3

四作目にして新境地

ちるちるのレビューを見ても分かるように、
感想が分かれる作品。

今までの湯煎さんの作風とは全く違うと言っていいと思います。
何故なら作者の意図してしていた最初のラストが「○○」だったから。

私的にもあの展開ならその方が
この物語のラストはしっくりきたかもしれません。
しかし、そうしなかったところに、
また湯煎さんを好きになりました。

物語的に中途半端さを感じるのは否めません、
本当なら、さらにこの後の二人がどう成長して、
変化していくのかが知りたいところ。
その辺がはっきりして、
本当のハッピーエンドになるのではと思います。

それでも、編集と作家というBLにありがちな設定が、
湯煎さんにかかるとこう料理されるのかと、
こういうラストに持っていってくれるのかと、
湯煎さん自身が一番の光属性なのだなと納得。

好きですよ、私は。

全体的に不完全さを感じつつも、
ラストをこう持っていってくれた心意気に「神」!




2

何かを得て何かを失う

当たり前の代償がご都合主義でなく描かれていて、ラブラブ作品のイメージがあったので新鮮でした。生活力ない子を介護する攻めのパターンと思えば案外病みが深かったり。
ラストはスッキリしないと思う方もいるかもしれませんが、完全無欠なハッピーエンドなどこの世にない。何かを得ることも失うこともあるだろうという終わり方が私は好きです。

1

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP