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表題作ひと匙の恋心

岩下穂積、小料理屋で働く料理人、33歳
竹内涼太、シングルファザーのサラリーマン、36歳

同時収録作品 ひと匙の恋心

山沖敬一郎,翻訳家
飯倉夏生,美容師

その他の収録作品

  • スプーンいっぱいの愛情(書き下ろし)
  • あとがき
  • 一粒の恋心(書き下ろし)

あらすじ

30代働き盛りでバツイチの涼太は、仕事と家事の両立―とりわけ愛娘・美空の日々の食事に悩んでいた。そんなとき、会社近くの小料理屋で働く学生時代の後輩・穂積と再会する。穂積の作る総菜はどれも極上の味で、涼太はすっかり店の常連に。さらに試作と称して渡されるおかずに、娘ともども胃袋をつかまれてしまう。だが実は涼太には穂積を手ひどく振った過去があって…?「カップ一杯の愛で」スピンオフ。

作品情報

作品名
ひと匙の恋心
著者
可南さらさ 
イラスト
カワイチハル 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
カップ一杯の愛で
発売日
ISBN
9784403525087
4.1

(59)

(25)

萌々

(23)

(8)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
12
得点
244
評価数
59
平均
4.1 / 5
神率
42.4%

レビュー投稿数12

あなたに出逢えた幸せ

「カップ一杯の愛で」スピンオフです。
今作だけで問題無く読めます。
既読の方は、なっちゃんカップルが結構活躍するので、そちらもぜひお楽しみ下さい。

で、今回、「カップ一杯~」で攻めの友人だったシングルファーザー・竹内が主役の再会もので、年下攻めになります。
個人的に竹内がお気に入りな為、発売をめちゃくちゃ楽しみにしてたんですよね。
もともと可南先生の作品って、根底に優しさや寂しさみたいのがあって好きなのですが、今回もとても優しくてあたたかいお話なのに、ふいに泣きたくなるような切なさもあって、とにかく素敵でした。
いや、大人って、自分から物事を難しくしちゃうんだよな~。
自分の素直な気持ちに従えばいいだけなのに。

ところで私は、過去に囚われて時間が止まっちゃってる系の受けが好きなんですよね。
絶対好きになってはいけない相手を愛してしまって、しかもその相手は亡くなってしまってみたいな。
そんな受けが攻めの深い愛情により、過去の悲しい恋を昇華し、再び人を愛せるようになる・・・。
みたいのに異様に滾るのです。
そんなワケで、宮野のスピンオフをお願いしたいです。(「カップ一杯の愛で」登場の当て馬で、本編には登場しません。)

ザックリした内容です。
バツイチでシングルファーザーの涼太。
友人に手伝って貰いながら仕事に子育てにと励むものの、料理が苦手で日々の食事に困ってるんですね。
そんなある日、会社近くの小料理屋で学生時代の後輩・穂積と再会します。
何かと親子揃って面倒を見てくれる穂積の存在に、安らぎを覚えますが、実は彼を手酷く振った過去があってー・・・と言うものです。

えーと、私はめちゃくちゃ心が狭いんですよね。
で、このパターンのお話だと、受けにムカついてムカついて仕方なかったりするんですよ。
や、一度振った相手にあれこれ世話を焼かせるって、受け、自分勝手すぎじゃね?的に。
まぁそんなワケで、今作を楽しみにしてた反面、竹内がイヤな奴に成り下がっちゃったら嫌だなぁと、若干不安でもあったのです。

が、これ、相変わらず竹内はめちゃくちゃ男前でサバサバしてて、格好いいのです。
いや、意外とアホな事まで分かって、より好きになっちゃったんですよね。

そもそも、過去に告白されて手酷く振った事から、疎遠になってしまった後輩。
この時のセリフが「俺はホモじゃないし、一生ホモにはならない」なんですよね。
そして、告白した事自体を「意味が無い」とバッサリ。
めちゃくちゃ酷いんですけど、実はこれ、涼太なりの思いやりだともすぐに分かるのです。
自分が悪者になっても、相手の為に恨まれるほどバッサリやっちゃって、思いきらせた方がよい、的な。

で、今回、子育てに励むシングルファーザーと、料理人として再会した二人。
終始、受けである涼太視点で進みますが、穂積が試作品の味見として差し入れにやって来たり、手が回らない涼太の為に子育てを手伝ったりと言う形で、二人の仲はゆっくり進展して行きます。

個人的にすごく萌えた部分なんですけど、涼太の丁寧な心情描写、気持ちの変化なんですよね。
愛娘と穂積と三人で過ごす時間に、安らぎや幸せを感じる。
しかし、穂積からは再会時に再び想いを伝えられており、気持ちに答えられない自分は、彼を利用しているだけなのではと強い不安を覚える。

共に居たい。
しかし、彼の幸せの為には、距離を置いた方がいい。

今回、涼太のこの葛藤がテーマとなり、すごく丁寧に描写されて行くのです。
で、これが切なかったり寂しかったりするものの、同時にとてもあたたかくて優しくもあり、めちゃくちゃ萌えてしまう。
いや、結局の所、答えはとてもシンプルなのです。
そんな単純な事に気付くのに丸々一冊使っちゃうって、涼太は意外とアホだったんだなぁとも思うのです。
でも、こうやって、いい年した男が恋でグルグル悩んだりジタバタしてるって、なんか異様に萌えちゃうんですよ。

またこれ、穂積がめちゃくちゃ健気なんですよね。
彼は彼で、恋人になりたいとか、欲望を満たしたいとか、見返りなんかは一つも求めていない。
ただ、好きな人が笑顔なら、それで幸せなんですよ。
そして、彼がそれほど涼太に惹かれる理由と言うのが、またとても素敵なものなのにもグッときちゃって。
うん、すごく感動しちゃうんだけど。

と、とにかくあたたかくて優しくて、とても素敵な作品でした。
ちなみに、本編終了後に、攻め視点となる短編が収録されてます。
(プラス、あとがき後に掌編)
これはもう、ひたすら甘くて悶絶。
穂積が泣くシーンでは、私もジンワリきちゃいましたよ。

7

ハートフルラブストーリー

『カップ一杯の愛で』のスピンオフです。
前作攻めの友人で、シングルファーザーの涼太が主人公。
前作未読でも大丈夫です。

この作品、攻めの穂積がとにかく献身的でスペシャル可愛い♡
胸がキューっと苦しくなるほど健気で、萌えツボを押されまくりました。
受けの涼太は、前作でのうっかり秘密を喋っちゃうキャラの印象が強かったのですが、本作を読み進めていくうちに良い意味で見方が変わりました。
涼太は素直で優しい……多分、根本はそれです。

高校生の時に友人の弟である穂積に告白された涼太は、酷い言葉で穂積を振ってしまいます。
その二人が数年後に再会したところから始まる、おいしいご飯と切ない恋のお話です。

まず、エリート一家の中で〝バカだバカだ〟と言われて育った穂積が切ない(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
自己肯定感が低いけど、自分の幸せより人の幸せを願える心優しい青年です。
一途な照れ屋で、涼太に尽くしまくる姿には涙を誘われます。

そんな穂積を色眼鏡で見ず、料理人という夢を与えてくれたのが亮太で、穂積が涼太を好きになったエピソードには胸を打たれました。
好きになった理由に、これ程までに納得できた作品はないです。

何度振られても見返りを求めず、涼太とその娘・美空のために尽くす。
突き放されても人知れず二人を見守る穂積が健気過ぎました。

男だからという理由だけで突き放してきた涼太が、ほんの小さな恋心を自覚していく。
恋って、些細な幸せから始まるんだって気付く場面が好きでした。
ここがタイトルの所以なのかな?なんて思います。

おいしい食事と心から好きだと思える相手がいる、それだけで幸せなんだと思わせてくれる素敵な作品でした。
本当は誰より愛されたがっていた穂積が、涼太に愛され、幸せを噛み締めて泣く姿が忘れられません。
いつまでもお幸に……読後はその想いに尽きます。
前作より断然好きでした。

6

お腹いっぱいの愛と幸せを。

 「カップ一杯の愛で」スピンオフ作品のこちら。
「カップ一杯の愛で」が大好きだったので、なっちゃん達の姿も見れて嬉しかったです。

 受け様はシングルファーザーとして頑張ってる涼太。

 攻め様は、涼太の学生時代の後輩であり、1度は涼太にこっぴどく振られた事のある穂積。

 穂積の働く小料理屋「タキカワ」へ涼太が食事に来て再開。
料理が苦手な涼太が、愛娘の美空の為に穂積に料理指南を頼み、NYへ研修へ行った夏生とついていった敬一郎が留守の間の、美空のベビーシッターもお願いすることに。

 見返りを求めることなく、まさに無償の愛でもって涼太と美空親子に接してくる穂積。
 涼太の家からの帰りしな、涼太の家の部屋をじっと1人眺める穂積の姿が切ないなぁ。

 小さい頃から、家族や周囲の人から『バカ』扱いされてきた穂積にとって、自分が作った料理をおいしい、すごい、と認めて褒めてくれた涼太の存在があったからこそ今の料理人としての自分がいる。
 差し出すだけで、受けとる事を考え付きもしない穂積が、なんとも切なくて切なくてきゅんの嵐。

 涼太は率直すぎる所もあるけど、基本優しくて愛情深い。
腹をくくったら潔かったしね。


 帯の言葉にきゅんでした(*´ω`*)
人の幸せを見るだけで幸せ、と思ってた穂積が、自分だけの唯一の幸せを手に入れる事ができてよかったo(*⌒―⌒*)o
 書き下ろしでは、自分の為だけに作ってもらった愛情いっぱいのオムライスを前に、涙する穂積。
よかったね〜、ともらい泣きです。
 
 そうそう、作中においしそうなお料理がたくさん出てきて垂涎ものでした。
私も「タキカワ」に食べに行って穂積の作ったおかずを食べたい。

 イラストは、カワイチハル先生。
かわいくて、大好きなので、それだけでテンションあがるのですが、今回は受け様じゃなく、攻め様の穂積のかわいい表情がとっても魅力的でした。


6

攻めがたまらんです!

お久しぶりの新刊!!
しかも私の大好きな「カップ一杯の愛」のスピンオフ。
もう嬉しくて嬉しくて電子の発売日が待ち遠しかったことよ!!

新刊ポチって真っ先に目を通したのは、あとがき。
HPも長らく更新されていないので、可南さんがお元気なのかそこ知りたくて。
けっして筆を折ったわけではなさそうなので、そこでまず一安心。

そして大好きな敬一郎×なっちゃんカプがちらちら登場するので、そこがめちゃくちゃ嬉しかったー。
敬一郎の愛がますます重いことになってて、めちゃいい感じ(笑)


さて今回の主役の竹内。
あんた、美人さんだったんだね、と。

「カップ一杯〜」では、妻と離婚して男手一人で娘を育ててるシングルファーザーという完全ノンケゆえ、竹内にスポットが当たるとか全然思ってませんでした。
スピンオフが出るとしたら、敬一郎の過去の相手である宮野かなと思ってたので。

そんなノンケの竹内が男を愛するようになるまでなんだけど、竹内がなかなか落ちないんだ、これが。
もっとも高校生の頃からの夢は「料理上手で美人な嫁をもらって云々」であり、攻めの穂積の告白を容赦なくぶった斬った過去もある。
と、ノンケの壁がかなり高いので、簡単になびかなくて当然なんですね。
そんな竹内の心情と変化を丁寧に描いていたのでノンケ→男OKの趣旨替えに違和感を感じませんでした。
なんならもっとさっさと男前的に受け入れてくれても良いのよと。

そして穂積の思いに応えられないくせに、その好意だけを利用してるかのような自分が許せない竹内、いい人だなと思いました。
(だけど告白するときの遠回り感が、あまり好きじゃなかった。)

可南さんって「たまらない!!」って気持ちにさせてくれる達人だと思うんです。
この穂積がまさにそれ。

せっせと竹内親子にご飯を振る舞うのだけど、下心皆無で見返りを一切求めない。
好きな人が笑顔でいるのを見てるだけでいい、幸せでいてくれればそれでいい……みたいな。
そのあまりの無欲さにたまらんっっっっ!!!!となります。
とにかく穂積が良かった。
そして、そこまで穂積が無欲だった理由を知ると、それがまためちゃくちゃ切なくて……。

受けに密かに恋い焦がれてるんだけど、手に届かない存在だと眺めているだけの攻めの心情を書かせたら、可南さんはピカイチだと思うんです。
「カップ一杯の愛で」「左隣にいる人」の後半の攻め視点とか、とにかくたまらん!!なので、この作品も後半、絶対に攻め視点来ますよね!!!と。
なので後半の【スプーンいっぱいの愛情】は期待通りの攻め視点で、これまたなんとも良かったです。


ーーーーー
NYへ行った敬一郎×なっちゃんカプを妄想しました。
通訳みたいに常に付き添えるわけじゃないから、渡航前に二人で英会話レッスンとかしたのかなぁとかあれこれ妄想膨らみました。
「じゃあ、家でも出来るだけ英語で話して慣れようぜ!」みたいな感じで。

だけど、愛を囁くときは絶対に日本語しか使わない敬一郎。
「そこは英語じゃねーんだ」となっちゃんがツッコむと
「ナツさんはこういうときの英語を覚える必要はありません。相手は私しかいないんですから。それに誰かに口説かれたとしても理解する必要もありませんし」とか言っててほしいわぁ。


4

穂積に泣ける

もうなんて一途で健気で一生懸命で何も望まず無償の愛をくれて、穂積に泣いちゃうよ!

途中までは涼太が、穂積がここまで好きでいる相手として相応しいかなあ?と穂積に肩入れしすぎて考えてしまいましたが…。

でも穂積視点では納得しました。
涼太だけが唯一の人なんですね。そしてずっと想い続けて。再会してからも穂積は何も見返りを求めず、自分にできることを差し出して。
涼太が納得しないのも、誠実に向き合ってくれて好感が持てました。

穂積が欲しくてたまらなかった温かい家庭のぬくもりや、自分の作った料理を美味しいと幸せそうに食べてくれる大好きな人。

涼太、早く穂積を好きになって!と祈りながら読みました。

リンク作のカップルの話を聞いて、やっと涼太が自分の気持ちに気が付いて…。

お互いに世界一可愛いって最強だな!

性欲なんて自分にはないと思ってたのにがっつく穂積が良かったなあ!

穂積の一人で抱えてきたハンデの辛い過去も、頑張ってきたこれまでも全部受け止めてくれる涼太も良かった。

これからは穂積を甘やかしてあげてね!でもちゃんと穂積のことも立ててあげてね!

ただただ好きでいる、何も求めないし叶うとも思ってなく、それでも好きな気持ちを大切に抱えてきた穂積。
大好きだー!

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