特典付
兄弟なんかじゃなければよかった――。
色々な兄弟のお話。
兄と弟でBLするわけではなく(BLするのもある)兄弟にまつわるBL。
様々な恋の始まりが見れて楽しかった。
楽しかったけど、ひとつめのお話のお兄ちゃんには天罰が下ってほしい…
家庭教師先の中学生に手を出して、散々弄んだ挙げ句結婚を理由にポイだなんて。
しかも好きでもない女性と世間体のために結婚(実際そうかはわからないけど結婚相手はそう思ってる)だなんて……ドクズじゃないか……
自分のことしか考えてない、誰も幸せにしない、その上弟くんの淡い恋まで踏みにじってたわけで。サイテーー!!
社会的にフルボッコにされてしまえ。
オムニバス形式の一冊だけど、2巻にはどのくらい続くのかな?
◆case1
どの物語にも引き込まれましたが、振り返ってみるとこちらが一番続きが気になったかもしれません。弟目線で見た兄が結構リアルにいそうなクズ加減で。男と体の関係があったのに、それを引きずったまま女性と付き合い、結婚。もしかしたら兄にも兄なりに悩んだ形跡があるのかもしれないけれど、さほど厳しい親というわけでもなさそうなのに、1人の男と1人の女を自分の都合で簡単に不幸にする経緯には、弟と同じく共感できず。捨てられた男性と弟の方で新たに始まるかもしれない恋愛に、期待が高まりました。
◆case2, 3, 5
弟である陸の、兄・廉への片想いから始まる物語。両親の離婚の都合でずっと離れて暮らしていたため、実の兄弟という気がしない、ってとても不思議な感覚なんでしょうね。従兄弟よりも血の繋がりは濃いのに、友達のような、近所の仲良しのような感覚もあって。陸がたまにしか会えない兄に惹かれてしまうのも、自然なような気がします。そして、廉が告げた親友・畑野への片想いは、てっきり陸の告白を退けるための嘘だと思ったのですが本当だったんですね。陸のカミングアウトで畑野に知られてしまいますが、軽薄そうに見えた畑野が茶化したり嫌悪したりせず、廉をそういう意味で受け入れられるか真面目に考えてくれたところにきゅんとしました。この三角関係はどこに行き着くのか、気になりますね。
切ないけれども悲壮感とかは全く無くて、話の進め方がとても上手いと思いました。
CASE・2、3、5が繋がっているので1番読み応えありました。弟が兄が親友をバラす経緯が良かったです。応援する事になりましたけど。
でも続きがもっと読みたいと思ったのはCASE・1でした。結婚したクズ兄貴の行く末と、捨てられた恋人と弟がどうなるのかを読みたかったです。
それとお気に入りはCASE・4の仲良しな兄弟でした。好きなタイプが同じとか地獄…弟の気持ちが痛いほど分かりました。
独特のテンポと間の演出にセンスが光る作品集。
志村先生は魔法使いなのかな。漫画が上手すぎる。
どれも心惹かれる素敵な作品でした。
ごくありふれた平凡な日常の中に、綺麗なものも、汚いものも、切なさやときめき溢れるものまで、非常に巧みに描かれています。
瞳で語るというか、登場人物達の感情の揺らぎがちょっとした表情や間で表現出来ているのが凄いです。
今作は「血の繋がりのある兄弟同士」の恋愛物話ではなく、兄弟とその周辺の人物を絡めたお話となっています。
「兄弟」をテーマに、ここまで異なる内容かつ魅力あふれる作品が描けるなんて。
ベッドシーンはほぼありません。
しかしながら、今作はそこが良いのです。
短編という形なのも読後の余韻が楽しめて良いなと思いました。
それぞれの内容については他レビュアー様が詳しく書かれているので、中でも好きだったお話を。
・CASE 1「同じ人を 好きな兄弟」
読後の余韻に浸れるお話No.1。
兄の秘密を知る弟と、兄の秘密を知ってしまった兄の婚約者の女性と、兄が婚約している事を知らなかった兄の元恋人の男性と、全員に嘘をついている兄。
これはね、うっかり騙されてしまいます。
志村先生マジックが凄かった。
弟の晴臣と婚約者の会話、そして元恋人の建人と晴臣の会話の途中までを読むと、兄の正臣があまりにも…な人物に見えるのですよね。
ですが、この後の張られていた伏線を見事に、不自然さもなく自然と回収する展開に驚き。
このお話が32Pしかないって本当ですか?
ラストにタイトルを持って来るセンスが素晴らしい。
世間体に抗えなかった兄が葛藤の末に出した結論、弟の「うそだ 見間違いだ」がどちらに対してのものだったのか、健気なようで業の深い兄嫁。
じわじわ来る、なんとも言い難い後味のある作品でした。
1番綺麗なのは健人なのかも。
・CASE 2「長い間会っていなかった兄弟」
・CASE 3「弟が兄のことを好きな兄弟」
・CASE 5「弟に背中を押された兄と友人」
こちらは視点違いの連作。
この作品にも女性の欲が見え隠れする。
母親の無意識の「良かれと思って」が怖い。
両親の離婚によって幼い頃から別居状態だった兄弟が、父親の死をきっかけに12年振りに同居する事になったお話。
弟の陸とは血の繋がりはあっても、長年一緒には暮らしていなかったからか、どこか「親戚の家の子」くらいの距離感な気さえしている兄の廉。
ただでさえ母と弟の存在に慣れずにいるというのに、知らぬ間に陸から寄せられていた「兄弟以上」の好意に戸惑う。
CASE2の最後の2コマが憎い演出。
続くCASE3はそれから3年後。
これまた母親がぐっさりと無意識に刺して来る。
きっと側から見れば楽しい誕生会なんですよね。
視点を変えるだけでこんなにも違って見えるのかと。
まだ淡い想いを抱いている兄と、兄の友人かつ兄が片思いをしている畑野が祝いに来るという、喜んでいいのやら地獄のような…なんて複雑な誕生日…
酔って眠りながら兄の目の前で無防備な姿を晒す畑野を見て、世話を焼く兄の姿に切なくなる陸。
兄は彼を見て自慰をするのだろうか?と想像し、その兄の姿を想像しながら自慰をして泣いてしまう。
吐き出したものと一緒に想いも断ち切ったのかな。
頑張れ兄ちゃんと、やや乱暴なようで優しく送り出す陸がなんとも切ない…
報われない恋を知っている者だからこその行動だったのだと思うのです。
ペーパーにその後の陸について描かれているので、気になった方はそちらもぜひ。
CASE5は、親友の弟の口から親友が自身に寄せる思いもよらぬ好意を知らされた畑野視点。
この、恋愛感情を向けられた時のぐるぐる感が凄く甘酸っぱい。
親友だと思っていた相手がずっと自分の事が好きだったと知って、どうしようもなく落ち着かないし、相手をついつい目で追ってしまうし、今まで見えていたことが全く違うものに見えて来る。
恋するときめきにあふれたこのお話が1番好きでした。
廉目線で見た畑野くんの表情のひとつひとつに物凄い色気を感じてしまう。
決して想いを押し付けようとはしない健気な廉の姿に、思わずきゅんと恋に落ちていく。
うーん、畑野くんも廉も好きだなあ。
顔を真っ赤にしながら照れる2人の続きがもっと読みたいですし、背中を押した陸が報われるような恋を育んで欲しい気持ちでいっぱい。
タイトルに「1」が付いている事がとても嬉しい作品集でした。
次はどんな兄弟が登場するのか?
今回登場した兄弟達のその後は?
2作目を楽しみにしたいと思います。
兄弟特化エピソードです。
うむ。兄弟ってひとくくりには、なかなか出来ないですね…
兄弟の数だけ、そこにしかない関係が有るわけですし。
こちらも、そうです。
兄の元カレを好きになっていく弟。
これは、兄が振り回しているけど、結局のところは相手を大切に出来ない兄が不幸ですよね。人を大切出来なきゃ、自分を大切にしてもらえるわけがないと云うか…
兄嫁さん、将来はきっと兄を大切に出来なくなりそうな。
離ればなれで暮らしていた兄と再会して、好きになる弟。
これは、おにいちゃん、優しい。弟くんに幸は訪れる。うーたん抱き締めて寝る事やめませんエピソードが、ちょっと刺さった。
大切な事は、守ることも愛情かな。
兄が好きな親友との仲を取り持った形になりますが、ここはおにいちゃん次第ですね…
便利屋の兄弟の話は、単純に面白い…
愛情の有るライバル。不思議なもので2人とも幸せになったところは遠そうな。
2人で、生きていく感じしましたね!
まだまだ続く兄弟話。
どう展開していくのでしょうか。気になります。