• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作あさがおは夜から咲く

朝日秀斗,クラスの中心的存在,幽霊
幽玄,病弱で臆病な高校生

その他の収録作品

  • 奥深き色の夜
  • カバー下:イラスト(スマートフォンの中身など)

あらすじ

「好きな人が死にました。」

明るく素直なクラスいちの人気者
×
何事も諦めがちで内向的な臆病者

少年は悲しみを乗り越えて大人になる
優しいボーイズラブをあなたに。

心が浄化される
少年たちの
ひと夏の恋

病弱で何事にも懸命になれない高校生・幽玄(ゆうげん)。
クラスメイトと関わることを避け、色のない生活を送っていた。
そんなひとりぼっちの幽玄に毎日声をかけてくれるのがクラスのリーダー・秀斗(ひでと)。
明朗快活で誰からも好かれる秀斗に、幽玄は密かに想いを寄せていた。
しかし、ある日突然、秀斗はこの世を去ってしまう。
現実を受け止められない幽玄の前にユーレイになった秀斗が現れる。
生前の未練に縛られた秀斗の成仏を手助けすることになるが…。
甘酸っぱくて切なく美しいラブドラマ。

作品情報

作品名
あさがおは夜から咲く
作画
あらきゆう 
原作
チョコドーナツ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ふゅーじょんぷろだくと
レーベル
POEBACKS Baby comic
発売日
電子発売日
ISBN
9784865896206
4.3

(94)

(61)

萌々

(13)

(13)

中立

(5)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
17
得点
401
評価数
94
平均
4.3 / 5
神率
64.9%

レビュー投稿数17

泣けたわ・・・感動をありがとう!

初読みです。
この作品は、レビューや口コミを参考に購入したので〜心して望んたけど・・・
秀斗の母親の所で、一気に涙腺崩壊した(><)

秀斗と幽玄が、とてもいい子達。
お互い気になる存在だったんだね。

死がきっかけで起こった2人の奇跡。
秀斗:明るくクラスの人気者
幽玄:いつ死んだって構いやしない

幽玄は、いつしか感情を無くしてしまっていたけど、秀斗を通して見る世界は全く違っていた。秀斗によって心が開かれたね。

秀斗は、死を受け入れ〜生まれ変わる未来を持って旅立っていった所でガッテンが行った。

今世は無理だけど、来世で必ず結ばれてね!

0

陰キャDKを成長させる幽霊

いつ死んでも構わないと思ってる陰キャDKの前に、突然死に至った人気者のクラスメイトが現れるお話。実は両思いでしたっていうのは一話で分かり、主なストーリーはその後の主人公の成長でした。
家族やクラスメイトたちの反応など、ありえない展開が続きます。でも描きたいことがはっきりしてるので、スルーしなさいってのは分かりやすいです。人と関わり成長していく幽玄。で、ヒデを留めていたのは幽玄の未練だったってオチ。
さらさら~っと流れて意外性がどこにもなくて、BLらしくHして成仏。人の死が絡むんだから当然悲しいですが、作品に感動しての涙は出ません。
なんだかな…他の作品を出すのは良くないかもですが、セカチューやキミスイを思い出しました。世間的には大号泣の高評価作品だけど、人の死で泣くだけでストーリーへの感動は、私には無かったんですよね。この作品も同じような感覚。
どこかで予想を裏切る展開の一つでもあればなあと思いました。

0

いつかまた会えると思えばしのげるはかない恋

泣けるBL。
遺した好きな子が心配で、成仏するまで傍にいる映画「ゴースト」を連想してしまった。

ひとりぼっちの幽玄
幽玄に、毎日声をかけていた秀斗

秀斗が、ある日突然死んでしまう。
幽霊になった秀斗の成仏を助けることになる幽玄。
実は、生前秀斗も幽玄に好意を抱いていた。

思い残すことが無くなり、幽玄の生き方、人生観を変えて、消えていく秀斗。
昼には萎む朝顔は、夜明け前から蕾を開いていく。
朝顔に譬えた秀斗との恋。
秀斗は、幽玄がずっと孤立する生き方を送るのじゃないかと、心配だったんだと思う。

★朝顔の花言葉:
「はかない恋」「固い絆」「愛情」

0

真摯な作品

死んでしまった陽キャの攻めが、挨拶を交わすだけの関係だった隠キャの受けにだけ見える幽霊になってた!
という試し読みの時点では少しコメディタッチ。このまま進んでいくのかな?と思いながら読んでいくと、どんどん死生観を考察するような展開になり、なんだか正座して読まないといけないような気分になりました。

攻めの未練リストを解決していく過程で、諦観に満ちていた受けの気持ちが変化していくのが素直によかったです。このリストって攻めが受けの今後の事を考えてクラス全員分作ったのかな、と思ったけどどうでしょう。
幽霊もので大変なエッチシーン。キスマーク自分で付けるの、切なくて良かったです。

お話は良く考えられていると思いました。
しかしながら自分にはあまりキャラが魅力的じゃなかったのが残念。いい子たちなんですが。

1

君と生きた季節は忘れない

ただのクラスメートだった

突然告げられた訃報に 笑顔をみることも声を聞くこともなくなるんだな くらいの関係でしかなかった



積み本解体中です ひとり変なまつり(夏だ!ホラーだ!オカルトだ!)開きながら
原作つきとは知らず ギャグ漫画の部類だろうな と軽き気持ちで手を出して積んでました (さーせん) 作・画ともにはじめましての作家さん


日向と日陰 内側と外側
住む世界が違っていたはずの二人を 死が分かつことなく引き合わせた


ドラマでありそうな設定だし 高校生の軽いノリとキラキラ感ハンパないくせに 生きる意味を投げかけてくる

残した未練を消化しながら近づく距離
目をそらし関わらないようにしてきた世界に関わり 周りを知りイキイキとしていく

終わりは必ずあるハズなのに


ダメだーーーーーッ

泣くもんか 最後まで泣くもんかって思ってたのに
涙目で文字が読めなくて中断とか 一番いいところでッ!

ケンカ別れのようにして居なくなった息子を思う母とか
ろくに話もしなかった母の思いを知った息子とか ここ山場でしょ

もう 子どもが出てきて泣かされるのも悔しいんだけど 母親が息子を語ったり
仲違いしたままの家族の和解とかがどうにも 身につまされて苦しくなる


ただ やっぱり難しいですよね エロ部分ってところは
所詮は実在しない者との行為 気を感じるだけで触れられる訳ではないってのがもう少し前に来てればよかったんだろうけど 触れちゃってるからねそこだけ 触れる理由づけもなかったし

まぁ 仕方ないんだろうけど



生きること・死ぬことになにも感じなかった 
彼を知り 彼の思いを知り 誰よりも明るかった彼がくれた明るい今日を

誰の為ではない自分の為に生きる
君と過ごした短い時を忘れないよう大切にしながら


これと言って突出した何かがあったわけでも その先の未来があったわけでもない

振り切ったギャグだと思い込んで購入した自分にしてみれば いろいろ考えさせられる真面目ないいお話だったわ

1

好みではないけどこういう作品もあっていい

序盤から攻めが死んでしまうところからスタート。
序盤とはいえ、やはりメインキャラの死は衝撃があります。

死んだヒデ(シュート)の姿がなぜか見える幽玄は、ヒデの代わりに残した未練を解決していくというお話です。
ヒデが生きていた頃のことを追体験するかたちで、生きることに後ろ向きだった幽玄もどんどん前向きになっていく…BLというより成長ストーリーのように感じました。
一緒にいる中でお互い好きという気持ちにも目覚め、恋愛描写ももちろんあるのですが、ヒデが亡くなっている時点で結ばれることはできないことを読みながらしっかり認識してしまってるからなのでしょうか…、私自身はあまり萌えたり、お話に入り込むことはできなかったのですが、切ない展開にどハマりしてしまう方もいるだろうなと思います。こんなBLがあってもいいですよね。(私の場合は作家さん方と感性があわなかったのかも(;′Д`))

どんよりした悲しい作品、というよりは紹介文にあったとおり「少年たちの一夏の恋」がぴったりだと思います。

4

切なくもあたたかい”ひと夏の恋”

以前ちるちるの中で紹介されていたのを見てこちらの作品を知り、先日ついにご縁があって読ませていただくことができました。

オタクっぽい言い方をしてしまえば「死ネタ」なのですが、とてもその一言では片付けられないほど繊細で、とてもとても優しい物語です。
読み終えたときの、じわじわと染み込むような悲しさの中にかすかに感じる、なんともいえない爽やかな余韻。
人がひとりの人間の死に直面してから乗り越えるまでの、ひとつの答えを見たような気がします。


物語は、突然の事故でこの世を去った秀斗が、幽霊となって幽玄の目の前に現れるところから始まります。
生前はほとんど交わることのなかったふたりの人生ですが、実はお互いに密かに好意を抱いていて。
そのせいなのかは分かりませんが、秀斗は幽玄にしか見えません。
秀斗を成仏させるため、幽玄は残された未練を解決する手伝いをすることになります。

病弱ゆえに生に対して執着のない幽玄と、まるで人生のお手本のような生き方をしていた秀斗。
「未練リスト」を通して、今まで気にも留めていなかった事柄や、話したこともない人々と関わることで、幽玄の世界が少しずつ鮮やかに色付いていきます。


人の死を目の当たりにした人間はすべて、「グリーフワーク」と呼ばれるプロセスを経て、日常を取り戻していくと言われています。
否認、怒り、罪悪感…段階を追って次々に襲い来るさまざまな感情と葛藤しながら、途方もなく長い時間をかけて、最後は死を受け入れるのです。

秀斗の家族や友人が正しくそのプロセスを辿っていくなかで、しかし幽玄だけはその流れから外れたところにいます。
それは、幽玄にとっては、秀斗との関わりのほとんどが、彼が亡くなってからのものだから。
秀斗は今も目の前に存在している…その認識が、彼を現実世界から取り残させている。夏服のまま、時の流れに置いていかれた自分のように。
そう気づいたときの秀斗の表情が切ないです。

すべての未練を叶え、幽玄の隣で眠るように旅立っていった秀斗。そして彼が旅立ったことを知り、涙ながらに「おやすみ」とささやく幽玄。
“悲恋”と呼ぶにはあまりにも刹那的で、産まれたての雛のような恋心でした。
これは、幽玄にとっては“最初の恋”なんです。
皮肉にも、秀斗が一緒に見つけてくれた新しい世界は、どこまでも眩しくて。
そんな世界に身を置いていれば、いつかは幽玄も秀斗のことを忘れてしまうでしょうか。
あるいは、あんなこともあったなあ、と“思い出話”として語られるものになるかもしれません。
それでも、秀斗が生きていた証は確かに幽玄の中にあって、それはこれからの彼を形づくる礎となるに違いありません。
小さな痛みを大切に胸に仕舞い込んで、それでも前を向こうとする幽玄の強さに救われた気持ちになりました。

いま生きていることがどれほど素晴らしいか。大切な人に想いを伝えられることがどれだけ尊いか。
頭では痛いほど分かっているのに、どうしても人は過ちを繰り返す。
でも、それが人間らしさでもあるんだと思います。

ふたりの新たな旅立ちが、幸せなものになることを願ってやみません。

3

いいお話だとは思う。。しかし

これはファンタジーBLに入るのだろうか?
死んだ同級生×卑屈な陰キャ君。
どうやらエロもあるらしい?と
ちるちるのこのBLがノミネートされなきゃなんちゃらの記事を読んで前々から読んでみたかった今作。
表紙は美しいし
死ネタでもってインパクトのある帯
「好きな人が死にました」
DKの甘酸っぱくて切ない美しいらぶドラマとあって
期待して読んだのですが
なかなか難しい設定でうーん?って事が多く入り込めませんでした。
突然死なのに頼まれた用事をクラスメイトや母親には
イタコ?みたいになって未練リストをつぶしてく展開は
いやいや普通にみんな訝しく思いますよねと。
それがあるからクラスメイトとこの後関わっていけるって目的もわかるんだけどちょっと無理に感じて
まずオバケが身体を通り抜けない?ひんやりするらしいけどその設定はずるいかなと。
エロに関してキスマークもつけられない
形やにおいもないでどうゆう風に?
無理にラストこき合いしなくても、、
奇跡よ起きろっ!で達してた?
涙が出ない私は汚れてるのでしょうか、、
カバー下の秀斗君は可愛かったです。

3

奇跡を心から願った

非現実的なお話ではあるけれど、とても大事で身近な題材が描かれていることにハッとさせられる作品でした。

冒頭数ページで秀斗は亡くなり、唯一姿が見える幽玄と共に未練を果たしていくことに。そうしているふたりの表情は明るく冒険でもしているように思えて、読んでいるこちらまでわくわくした気持ちになりました。
ずっとそんなふたりを見ていたい、と思ってしまうほど。
でも現実は甘くない。いくら奇跡を願っても、秀斗はもう戻らない。その事実は変わることはないのです。
幽玄と秀斗どちらの思いも本当に切なくて涙がでました。
「おやすみ ヒデ」の後の幽玄の泣き笑いの表情は胸が抉られるように切なかった。

死を理解するには生を理解すること。
生きているのを実感するのってなかなか難しいですよね。
普段改めて考えないようなことや当たり前になりすぎていること。
自分自身を見つめ直してみたいと思える作品に出会えたなと思います。

3

僕にだけ見える君

「この作品がBLアワードにノミネートされなきゃ死ぬリスト 2021」で興味を惹かれたので購入。
カバーイラストの、ブルー系の色使いがとっても素敵。

ある日、突然死んでしまった同級生が、幽霊となって目の前に現れたら、、、

自分にだけ見える幽霊と、幽霊の未練をひとつづつ叶えながら、ひと夏を過ごすことで成長していく少年。

もう、全然、非BLでも成立しちゃうファンタジーだけど、ちゃんとBL。
ちゃんとエロいシーンも盛り込んであるけど、エロへの進み具合も、すごく私好みのペースで申し分ない。
原作と作画がわかれていることで相乗効果が現れていると思う。
ストーリーにも、絵にも、神です。

7

朝顔は、朝に咲くのではなくて。朝に向って咲くのだと。

本年度「アワードにノミネートされなきゃ死ぬリスト」にエントリーされていたので、買ってみました。このリストには、見落としていた名作が隠されているので。楽しみにしているところ。そして、私は感嘆する、この名作を見出した姐様、凄い。素晴らしい!と。
簡単に申しまして、「当たり!」でした。何故、ちるちるは発行時に大騒ぎしていなかったのだろうかと。不審に感じてしまう位には。

秀斗はクラスでも人気者。サッカー部で、友達も多くて。目立っていてカッコいい。そんな秀斗を遠巻きに見ながら、所詮「別世界の人だ。」と思い込んでいた幽玄。いつも大人しく目立たぬ様に。俯きがちな幽玄に明るく声をかけてくれていたのに。
ところがある日。呆気なく。秀斗は亡くなってしまう。
クラスメイトだけど、特に親しいわけでは無かったから。幽玄は皆んなの様にその死を悼む事は無い。現実味がおよそ無いのだ。だから泣かなかった。泣けなかった。
この物語の凄いところは。喪失から、全てが始まるところ。
幽霊となって現れた秀斗は、この世に未練があるから成仏出来ない。自分の成仏を幽玄に手伝って欲しいと申し出る。何故、幽玄は秀斗に選ばれたのか?
「だってキミ、俺のこと好きだったろ?」幽霊になっても生き生きと明るく笑う秀斗に半ば強要された形で、秀斗の未練を贖う手伝いをポツポツと始める幽玄。借りっぱなしの本を返却する。告白待ちの女の子への返事。喧嘩をしていた親友との仲直り。そして素直に話が出来なくて、すれ違ったままの家族との絆。幽玄は、秀斗の周りの人を通して秀斗の人となりと。自分の閉じた殻を破り、外の世界と繋がる事を覚えて行く。馴染めなかったクラス。自分には無理だと思い込んでいた友達との会話、交流。そうして気付いて行くのだ。今、生きていて。それは当たり前の事では無くて。美しくて素晴らしいことだということを。
目にも留めていなかった、夜から咲く朝顔のことも。それが静かに、美しい色を湛えていることを。
亡くなってから。そうして。幽玄は深く深く。秀斗を愛していたことに気付く。
本当の愛を知り、生きる意味を知る。朝は美しいことを。
心が震えることを。いつか費えてしまう命の今、一生懸命に生きることを。

とても泣きました。切なくて切なくて涙しました。
普通にBLあるあるならば。実は秀斗は昏睡していただけで、それは生き霊で、とか。
遺体が焼かれていなくて奇跡的に息を吹き返す。とか。
ちょっ早で、15年後に生まれ変わりに出逢うとか。
ところが。物語はそんなご都合主義を許さずに。静かに静かに幕を引く。
描き下ろしには。2人の出逢いを、静かに。秀斗視点から。明るく笑う秀斗を遠くから見ていたのは幽玄だけでは無い。秀斗の方も、控えめに佇む幽玄を見つめていたのだ。
きっと。初めから両想い。作者のせめてもの、温かい贈り物の様にも思えるのだけれど。
やはり寂しくて。切なくて。涙。

「アワードにノミネートされなきゃ死ぬリスト」にノミネートして下さった姐様には本当に感謝。とても美しい物語でした。

0

別に悪くは無いと思うけど面白いと思わなかった。

何を読ましても面白いっていう子が何かなぁって言っていた。

なんか違う感がある。

表紙裏はあーいいなと思いました。

1

成長痛のような恋

発売日に買ってなかなか読む勇気が出ず(チョコドーナツ先生原作の話はまず泣くため)ようやく読みました。そして泣く。

辛い展開があるわけでもここで泣け!と強要が見られるシーンがあるわけでもないのに、気づけば泣きながら読んでいました。ただそれらは決して「悲しい」だとか「辛い」だとか言う感情ではなく、人の優しさであったり、気付きであったり、そこかしこにある人と人(ここでは主人公と登場人物)との触れ合いから感じられる心の繋がりに触発されたもの。

当て馬もいない。主人公を悪意無くからかう同級生たちも今を生きている普通の高校生として見ることが出来るから嫌味ったらしいこともなく、総合的に見てもこのお話に生きる人物はみな「普通の人」で、読んでいてストレスもありませんでした。

最終話、映像のように流れるコマ割りがダイナミックで綺麗で、ひとつの恋と一人の想いが確かに終わりを迎えたのに何とも清々しい。
泣きながら強くなる。痛みを知って、まだまだ長いはずの人生を生きていく。「おやすみ」の前の幽玄くんのお顔が朝露に濡れた朝顔のようで美しい、印象に残るクライマックスでした。(そして泣く)
最後まで奇跡が起きないのもまた良い。

あらきゆう先生の描かれる登場人物たちがチョコドーナツ先生の原作によく合っています。繊細で、それでいて力強い、とてもストレートで綺麗な線。またタッグ組んでくれないかなあ。

死ネタなので人を選ぶのかもしれないけれど、お話の中に救いは見えるし決して不快ではない涙を流すことができ、私は一応ハッピーエンドだと思います。
いつかどこかでまた2人が巡り会い、今度こそ生きて結ばれる未来を期待します。

13

切ないけど幸せ

チョコドーナツ先生のお話が大好きなので、原作を担当しているこちらの作品も手に取ってみました。
画担当の先生はいますが、まさしくチョコドーナツ先生の紡がれる物語でした。

初っ端から攻めが死ぬので、終わりがわかりきっているところは切ないですが、悲恋だけれど幸せな結末だったと感じます。

最初は攻めの未練を消していくために受けが協力していくのですが、未練リストを全て消化しても攻めは成仏せず......
攻めが成仏できないほんとうの理由は、受けが攻めに未練を残していたから。
彼が攻めをこの世に引き留めてしまっている、というところが切なさのピークでした。

そのあとは想いも成就し、切ないけど幸せな時間を過ごします。
この幸せな時間はとても短いのですが、確かに攻めと過ごした時間が受けの中には残っています。
とても余韻の残る終わり方でした。

とくに最後の最後、受けはこの先も日常を歩んでいくんだと思える描写が、ぎゅっと心を締め付けられました。

4

残らないこと

雑誌の連載情報を見かけて気になっていて、これは最後は悲しいことになるんだろうと思いつつ、もしかして都合よく何かがひっくり返るかも、とほんの少しの期待をしていました。
結果そんなことはなく、ヒデはやっぱり死んでいたし、どうにもなりませんでした。

読み終えた当初は、物語が始まった時からヒデが死んでいるので、蜜月の恋人同士が突然引き裂かれるよりはまだいいかも、と思っていました。
でも、交流のほとんどが死後の霊体であることで、2人の間に具体的な何かが残っていないということに気づくと、本当にあったことなのかさえ危うく思える儚い交わりだったんだと思い、改めて悲しくて悲しくてたまらなくなりました。

死しても明るく、短かった人生を悔いなく振り返っているように見えたヒデが、キスマーク一つ残せないこと、一緒にいた証が残らないことを悔いて辛そうにしていて。
それがどれほどの想いなのか想像を絶するし、触れ合える奇跡が2人にとってはむしろ残酷に思えてしまい、どこまでもつらいです。

作品を貶めたいわけではなく、「BLはハッピーエンドが約束」と作家さん方を縛り付けるのがこういう考え方で、それは創作の可能性や幅を狭めているとはわかっているのですが。
ヒデと幽玄はそれぞれ好きだし、カップルとしてももちろん好きなので「しゅみじゃない」というのはちょっと違うかな、と。

カバー下も見て欲しいとチョコドーナツ先生が仰っていましたが、たぶんヒデのスマートフォンだと思います。
表紙側は机に突っ伏している幽玄を映した様子。友達を撮影するフリをしていたようです。
裏表紙側は、自撮り画像や、男同士の恋や性行為に関する検索履歴、パスワードが「Yugen」だったり。描き下ろしとともに、ヒデの愛がそこに残されていてどうしようもない気持ちになります。
漫画じゃなく、言葉を交わすこともない静かな表現なのが原作の先生らしいなと思いました。

ヒデが生まれ変わって幽玄を見つけて年の差恋愛したり、どこかででもいい、幸せにうんと長生きできる未来がありますように。

あとあらきゆう先生の絵がすごく好きなので、今後ももっと漫画を描いていただきたいと思います。

5

帯の言葉に救われました

深く深く刺さり号泣しました。

帯(あらすじ)に書いてある
【少年は悲しみを乗り越えて大人になる】
【優しいボーイズラブをあなたに。】
読後の行き場の無い気持ちをこの言葉に救われました。
成長を見守る、優しくて悲しくて前向きなBLだったと思います。

うううううう…でもでも…
やっぱり悲しみが襲ってくるのは否めない…。
でもすっごいイイお話なの。でも悲しい。
ぐううう…。゚(゚´Д`゚)゚。


あらすじにもありますが、ある日突然秀斗は死んでしまいます。密かに恋心を抱いていた幽玄は事実を受け止められずにいたのですが、秀斗はユーレイになって幽玄の前に現われて…。ひと夏を一緒に過ごし、彼らの"最後の恋"が優しく温かく切なく描かれたストーリーです。

受け:幽玄は病弱で周囲のスピードについて行けず、いつしか周囲と関わることも諦め、淡々と日々を消化している高校生です。クラスメイトの名前すら覚えておらず、反対にクラスメイトからも存在を認識されていないようなボッチで。そんな中でいつも明るく声をかけてくれていたのが秀斗でした。

攻め:秀斗はとっても「明朗快活」が服着て歩いているような底抜けに陽パワーを放つ子です。それは死んでからも変わらず、ユーレイとなって幽玄に現われたときも場をパッと明るくさせて楽しませてくれる。なので読み手としても『秀斗は死んだんだ』という事実が受け止められないまま読み進めてしまいました。(そしてあとで大泣きするハメに…)

幽玄は秀斗から残した未練を託され、秀斗の代わりに借りっぱなしの物を返したり、喧嘩中のまま死に別れた親友に最後の言葉を届けに行ったり。最初はクラスメイトの名すら知らなかった幽玄は、秀斗の未練を通して次第に周囲と関わるようになっていくのですね。それはまるで秀斗が幽玄に渡す最初で最後のプレゼントのようにも思えました。秀斗がいなくなっても幽玄がひとりぼっちにならないように。

秀斗の何気ない言葉で幽玄の世界がどんどん広がっていくんですね。少年の殻から少しずつ脱皮するように。冗談話して笑い合ってすごく楽しそうな姿を見ていると微笑ましく思える反面、彼らの恋に先がないのが切なくて苦しいです。

秀斗が残した最後の未練は大号泣でした。
後悔なく生きることって難しいですよね。BL以外の観点でも頭ではわかってるけれど日常的に意識出来ない部分が抉られるというか…。それでも生きてる者は前を向いて生きていくしかない。考えさせられます。

そして秀斗が成仏できなかった本当の理由。
これも涙腺が壊れてアカンですね。私も「奇跡が起きて!!!」と祈り続けながら読みました。ファンタジーでいいです。物語はご都合主義とかでいいです。ホンッッッッット奇跡が起きて欲しかった。お願いだから死なないで。幽玄と一緒に生きようよ…。BLの神様お願いしますの境地。

ああああ…私の方が事実を受け止められなくなってる…。現実を受け止めて前を向いて進む彼らを見て大泣きしながら本を閉じてしばし放心。秀斗と幽玄のほうがずっとずっと強いわ…。帯に書かれた言葉【少年は悲しみを乗り越えて大人になる。優しいボーイズラブをあなたに。】が目に入り、ストンと心が落ち着きました。

うん…。ミラクルな奇跡は起きなかったけれど、秀斗が死んでから幽玄の前に現われて想いを伝え合うことが出来ただけで奇跡なんですよね…。そして最後に小さな奇跡も起きてて嬉しかった。刹那的な時間が切ないけれど優しさと愛が伝わるBLでとても良かったです。語彙力ないんでこれしか言えない。すごく良かった。大切にしたい1冊になりました。

20

何度も読み返したくなる、素晴らしい作品

もうね、本当に泣いた。後半泣きっぱなし。
ありきたりでないお話を描かれるという印象のチョコドーナツ先生ですが、本作もまさに王道からは外れた作品。
だけど、そこに奇をてらう意図は感じなくて、自然にすんなり入ってくるストーリーがとても素敵でした。
作画のあらきゆう先生の絵とも合っていてよかったです。

※死ネタが苦手な方はお気を付け下さい。

〝好きな人が死にました〟の帯から覚悟していたけど、意外にもコミカルに進む幽霊ものという印象で読み始めました。

何事にもやる気がない病弱な高校生・幽玄。
そんな幽玄にいつも声をかけてくるのは、人気者のサッカー少年・秀斗。
その秀斗は、ある日突然事故で亡くなってしまいます。
しかし、死んだはずの秀斗が幽玄の前に現れてーー…!

突然亡くなってしまった秀斗に対しても、「人はいつか死ぬもの」なんて思っているポーカーフェイスな幽玄が、現世に未練のある秀斗の【未練リスト】を埋める手伝いをさせられるお話。
 
秀斗と幽玄は、実は両想いです。
コミカルにテンポよく進み、悲壮感は感じさせず、幽玄をキスで起こす秀斗は明るい幽霊。
でも、コミカルの中にある友や母が秀斗を思う気持ちに触れると、もはや涙無くしては読めない。
特に、母親とのやり取りでは涙腺崩壊しました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

幽玄は秀斗の手伝いをする中で、誰かを知って自分を知ってもらうこと、誰も気付かないような朝顔に目を向ける喜びを教えてもらいます。
生きることに意味を持てなかった幽玄の意識が変わっていく過程が丁寧に描かれていて、秀斗との毎日がキラキラ輝いたものになっていくのです。
遠かった二人が気持ちを通わせていく姿が、じんわり心に染みます。

だけどこの話はね、奇跡が起こらないんですよ。
秀斗は生き霊でもないの。
未練がなくなったら成仏してしまうの。
ファンタジーの中のリアルがここにあって、そこが一番辛いけど尊い。
そして、秀斗を現世に留まらせていた最大の未練は……と、続きます。

朝顔は、朝を待つのではなく、朝に向かって暗いうちから咲く健気な花です。
人はいつか死ぬとしても生きるし、離れるとしても愛するし、枯れるとしても咲く……
秀斗にとっては〝最後の恋〟だけど、幽玄にとっては〝最初の恋〟で、その差がとても切なくて悲しいけど、幽玄に受け身じゃない人生を覚悟させるラストは素晴らしかった。

秀斗の幽玄への想いが明らかになる描き下ろしは、その後の秀斗を思うと切なくて切なくて……
読んだ後は胸いっぱいで何も手につきません。
秀斗にもっと生きて欲しかった、その思いに尽きます。

29

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP