イングランドを想え

England wo omoe

イングランドを想え
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×22
  • 萌0
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

93

レビュー数
4
得点
49
評価数
11
平均
4.5 / 5
神率
72.7%
著者
K・J・チャールズ 

作家さんの新作発表
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イラスト
スカーレット・ベリ子 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
モノクローム・ロマンス文庫
発売日
価格
¥1,200(税抜)  
ISBN
9784403560422

あらすじ

裕福な実業家ヒューバート卿の別荘に招かれた
元英国軍大尉のカーティス。
気乗りしないパーティへの参加にはある狙いがあった。
自分の指を吹き飛ばし、大切な友人の命を奪った
欠陥銃事件の真相を暴くという目的が。
パーティで出会った詩人、ダ・シルヴァもまた
別の目的で屋敷を調べていた。
ともに行動するうち、カーティスは
彼の個性的な振る舞いの裏に隠された
鋭い感性に気づき惹かれてゆくーー。

20世紀初頭のロンドン郊外を舞台に
繰り広げられる、冒険ロマンス。

訳:鴬谷祐実

表題作イングランドを想え

アーチー・カーティス,元軍人
ダ・シルヴァ,詩人

レビュー投稿数4

ドラマチックでロマンチック!

モノクロームロマンス文庫やっぱりいいわあ。ハズレがないのは翻訳という手間をかけるから原作を厳選してるんだと思う。2014年の「ベストLGBTロマンス賞」受賞作だそうです。

舞台は1904年のイギリス。腐女子の皆さんはご存知ですよね?同性愛が犯罪とされていた時代背景です。切ないとか背徳感とかのレベル超えてます。性行為の現場を押さえられたら猥褻罪で懲役になってしまうのです。恐ろしい。

元軍人の英国紳士×男色家の詩人(別の任務も負っている)でユダヤ人のカップルですが挿入シーンはないので受け攻めは正確にはわかりません。海外m/m作品はリバ多いし。でも体格はイギリス人が大柄でユダヤ人の方は細身でこの時代に片乳首にピアスしているというエロい仕上がりの人です。

訳者の方のツイッターを見るとこの作品の様々な情報が載っていてさらに楽しめます。タイトルの慣用句の意味や原作者が日本のマンガの絵がついて喜んでいたことや(だよねー。日本のBLコミック・イラスト素敵すぎだもの)作中の緑の花の意味など。ゲイのシンボルのお花だそうです。

人種も階級も宗教も全く違う最初は険悪だった2人が陰謀渦巻く恐怖の館の中で共同戦線を張って、お互いの魅力に惹かれ合い絆を深めていく様子がドラマチックに描かれています。ラストの方で一気に盛り上がる2人。でも2人には同性である以外にもあまりにも障害が多すぎてなかなか素直になれない受け?のダニエル。頭が良くて勇気があるのに自分の恋愛には過去の辛い経験もありどうしても臆病になってしまう。時代が時代なので慎重なのも当然。

でもそんなダニエルの態度を物ともせず戦車のように純愛の道を突き進む攻め?のカーティスの態度が素敵。ナヨナヨした男色家の皮を被ったキレキレの秘密捜査員で皮肉ばかりのよく回る舌を持ったダニエルに「そんな君の舌が好きだよ」と殺し文句。ダニエルが動揺して完璧な上流英語が崩れて下町言葉が出てしまうシーンが好きでした。

時代を考えるとハッピーエンドとはいえ2人の恋愛は茨の道だとは思いますがラストの激甘の雰囲気は腐女子の皆様の心の琴線に触れること間違い無しの名作だと思います。続編あるのなら読みたいなー。

3

2人の印象が変わっていくところが魅力

怪我で軍を退いたカーティスと、詩人のダ・シルヴァが主役。

カーティスは当初、頭の固い人だと思ったし、ダ・シルヴァは話し方や内容から頭の良い人だと感じました。(実際、頭の回転の早い人とあります)

しかし、当然ながら当初の印象だけの人物たちではありません。
読み進めるうちに、それは少しずつ変化したり付け足されたりしていきます。
その変化が実に鮮やか。
特に、これはカーティス視点で書かれているため、彼の変化は読み手には顕著に伝わります。
ダ・シルヴァと出会い、幾つかの出来事を経るうちに始めの頭の固さというものはどんどん薄れ、ラスト周辺まで来ると柔らかい印象さえ私は持ちました。

正直、冒頭ではカーティスを好きになれるかな?とも思ってしまったけれど、半分くらいまで読むと結構好きだなと、ラストまで来ると凄く好きだなと感じました。

対してダ・シルヴァは当初は頭のとても良い人、皮肉屋といった印象でしたが、臆病な面など弱いところも見え始め少し意外でした。

この物語の時代は男性同士の恋愛は罪とされ投獄される背景がありますから、恋愛も決して個人の自由などではなく、逮捕と背中合わせということに。
そのため同性愛者への偏見や差別も今より遠慮がなく、加えてダ・シルヴァは人種としても蔑みの対象になったりします。

それゆえに作中でも不愉快な言動などが飛び交いますが、始めはダ・シルヴァに良い印象を持ってなかったカーティスの、それらの言動に対する姿勢が少しずつ変化していくところもグッときます。

あと、その手のシーンは本番という意味ではありません。
口で、までです。(お互いに)
が、何やら妙に色っぽいですね!
イラストの、スカーレット・ベリ子先生のお力も加わってのことなのは言うまでもありません。

後半、何だか主役の2人より、別の人たちの方が活躍しているような気もしないではありませんが、とにかくハッピーエンドで終わって良かった。
途中、2人ともに弱さが見えたり、戸惑いがあったりしたけれど、ラストは両方にビシッと見せ場を作ってあげたのが見事だなと思いました。

3

英国ものは難しい

「モノクローム・ロマンスにはずれなし」の法則は変わっていません。
二転三転する筋立ても、武骨な元軍人とモダンな皮肉屋でおまけにクィアな詩人というキャラクターも、犯罪のえげつなさとその解決の『天誅感(笑)』の男らしさも、グイグイ読める面白さですが……英国の物語って難しいなと思っちゃったんです。「私、階級社会の中での身分差についてちゃんと解ってないよね」って。

時は1904年。日露戦争が起きた年ですね。
主人公のカーティスは伯爵家で元英国大尉。
粗悪な銃の暴発事故により所属部隊が壊滅し、彼も右手の指を3本失くして除隊した過去があります。その時にけがをした膝の調子も悪いまま。
そんな彼が招きに応じてアームストロング家に訪れたのは、その暴発事件にアームストロングが絡んでいるという話を耳にしたから。きっとガセネタだろうと思いつつも、カーティスは充実していた軍の仕事と、信頼していた戦友たちの命や将来を奪った事件をうやむやにしたくない気持ちでやって来たのです。
そこで出会ったのは浅黒い肌を持つ詩人でクィアのダ・シルヴァ。
クィアって今ではセクマイを指す言葉つして使われますが、この当時(同性間の性行為は犯罪ですから)はかなりの蔑称です。『変態』というルビがふってありますが、もうちょっと侮蔑的な感じゃないかと思うんですよ。
カーティスもダ・シルヴァを『そういう人を見る目』で見ますが、アームストロング家を探っているうちに、ダ・シルヴァも自分と同じ目的を持って潜入してきたことを知ります。利害が一致した2人が一緒に極秘で行動をするうちに、カーティスは、男たちに蔑まれているダ・シルヴァが知的でエスプリに富み、勇気があることに気づいて行きます。
カーティスの気の緩みからアームストロング家に不信を抱かれた2人は、目くらましとして性行為に耽るふりをするんですけれど……

英国は言葉遣いだけではなく、アクセントすら階級で異なると聞きます。立ち居振る舞いや話し方で出自が解ってしまうのだと。
で、このお話にもそういう事がちらちら出て来るんですよ。
こちとら『みんなが中流』の昭和生まれですからねぇ。多分、私が思っているのよりももっと激しい差別意識が此処には書かれているんだと思うんですね。

だからカーティスがダ・シルヴァに惹かれて行く過程が、ある意味『あり得ない』事なんだと思うんです。最初は『嫌な奴』だと思っていても徐々に良い所を見つけ出して行く過程を読み進めると、ダ・シルヴァだけじゃなくてカーティスが誠実で公正な『良い奴』だっていうのが解るんですよ。

これもねー、ちゃんと『階級』の感じが解っていれば、もっとグッとくると思うんですよねー。
惜しいんですよ、この解らない感じがっ。
ああ、こんなことなら若い頃にもっとちゃんと勉強すれば良かったっ。

お話は続きそうです。またしても楽しみなシリーズの誕生。
(裏表紙側の帯に『2020年秋イーライ・イーストン、同冬ラニヨン、同12月ライラ・ベース、2021年ラニヨン刊行予定』との記載が。あああああ楽しみ。)

4

最後まで諦めない、即席バディの熱い戦いを!

めっちゃ面白かった!
20世紀初頭のロンドン郊外を舞台に、二人の男が出会い、目的は違えど利害の一致で行動を共にしていくストーリー。
ウィットに富んだ会話の数々、言葉の裏の裏まで読むような探り合いが面白くて、あっという間に引き込まれました。

2014年「ベストLGBTロマンス賞」受賞作。
主人公のアーチーは、H.R.ハガードの「ソロモン王の洞窟」に登場するカーティス卿の甥という設定で、本作は二次創作ものにあたります。


ヒューバート卿の別荘に招かれた元英国軍大尉のアーチー・カーティスには、ある目的があります。
同じく招待客の詩人ダ・シルヴァもまた別の目的があり、屋敷を調べていてーー…!

自身が巻き込まれた「欠陥銃事件」を調べるカーティスと、友人を自殺に追い込んだ脅迫事件の真相を追うシルヴァ。
この二つの事件に共通している容疑者が、パーティーの主催者であるヒューバート卿です。
事件の証拠を掴むため、ヒューバートの部屋を調べたり、深夜の図書室に忍びこんだり……もう、バレそうで見つかりそうでドッキドキ。
早く早く〜!って感じで、手に汗握りました^^;
暴かれていく事件の真相が結構恐ろしくて、その割に目的がしょーもなくてやるせない……

事件を追う中で育っていく、カーティスとシルヴァの信頼関係と恋心には堪らなく萌えました♡
人種も階級も知性も異なる二人が、お互いを知るほどに惹かれていきます。
シルヴァとの会話の中でカーティスの心が動いた瞬間が分かる!
会話一つ一つに人間性が垣間見えたり、悲しみや苦しみが感じられたり、キャラの内面を丁寧に描いているところが素晴らしいんです。
ふわふわしているように見えるシルヴァの、知的で狡猾なギャップもイイ!

軍人として生きてきた肉体派のカーティスと、ボヘミアンな生き方をしている知性派のシルヴァ。
二人の触れ合いが官能的で、特にカーティスがシルヴァに初めてフェラするところが好き♡
相手に快楽を与えること、その悶える様や喘ぎ声を聞くことを幸福だと感じるようになる瞬間。
シルヴァの精液をムスクのような味と表現するところ。
全てにカーティスのシルヴァへの愛を感じた!
ツーカーで通じ合う二人が、恋愛に関しては以心伝心能力が使えない可愛さが微笑ましい。

そして、事件は意外な幕切れを迎えます。
とんでもない犯罪ファミリーの驚愕の結末を見届けて下さい。
カーティスとシルヴァに協力する二人もかっこよかった!!

二人の恋の行方はジレジレできゅんきゅんです。
シルヴァの素直じゃない物言いがクセになり、カーティスの告白は胸に響きます。
これね、時代背景も絶妙なんですよ。
20世紀初頭って同性愛が罪で、偏見が酷いから男同士の恋愛に対する葛藤が切ないの。
で、過去のトラウマから愛することを恐れるシルヴァの苦悩も。

とにかく、命をかけた男たちの熱い戦いから目が離せません!
ひとつ難点を挙げるとしたら、カタカナの名前が覚え難かったこと。これ、切実な悩みでした(泣)

スカベリさんのイラストも最高!!
正直、ジャケ買いですもん。


11

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