罪と罰の間

tsumi to batsu no hazama

罪と罰の間
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神2
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
1
得点
10
評価数
2
平均
5 / 5
神率
100%
著者
綺月陣 

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イラスト
AZ Pt(AZ Pt. ) 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫PLUS
電子発売日
価格
ISBN

あらすじ

リストラによって会社を解雇され、家族からも見捨てられてしまった41歳のオヤジ・高島。生きる希望もお金もすべて失った高島は、歩道橋から飛び降り自殺を図るが、運悪く派手なオープンカーの中に落ち、助かってしまった。そのまま車の運転手・三沢に拾われた高島は、イカサマカジノで稼ぐ相棒として、彼の仕事を手伝うことになる。しかしある夜、強引に三沢に抱かれた高島は、彼の抱える心の闇に気づいてしまい…。

表題作罪と罰の間

三沢正臣,25歳,いかさまディーラー&バーテンダー
高島佳久,41歳,大手メーカーをリストラされ無職

レビュー投稿数1

これぞまさしく『夜明けのBL』

紙の本の出版が2020年。10年前と言えばBL小説が全盛期の頃じゃなかったでしょうかね?交渉人や薔薇騎士、ダブルバインドのシリーズが続いていた時代……このお話もその時代にふさわしいドラマだと思いました。
タイトル通り、主要登場人物3人の罪と罰に関わるお話です。

お話は41歳、無職の高島が飛び降り自殺をするところから始まります。
高島の躓きは、もう少しで部長に昇進できると考えていたのに業績の悪化でリストラをされてしまったところから始まりました。リストラ対象になったのは仕事場でも知られる女癖の悪さから。クビになった彼は家庭にも居場所がありません。度重なる浮気によって、妻の心は激しく傷ついてしまっていたからです。
家を出てビジネスホテルに泊まりながら高島は仕事を探しますが見つかりません。銀行預金も妻に押さえられ、持ち金がなくなり歩道橋から飛び降ります……で、そこからは上記出版社あらすじの通りなんですけれども。

あらすじに書いていないのは、この高島というオヤジのクズぶり。
もうほんと、クズなんですわ。
リストラされたのは会社の上司に見る目がなかった所為。
再就職が決まらないのは実力ではなく41歳という年齢の所為。
取引先の下請け会社をあごで使う様なえげつない仕事ぶりで、困った時に誰も手を差し伸べてくれない。
こんな自分勝手に生きて来たくせに、付き合ってきた浮気相手に「助けてくれ」と縋るのもプライドが邪魔をしてできない。
ああ、もうクズを通り越してカスだわ、この男。
投身自殺する所まで行っちゃう理由が歴然としてるんですよね。

でも、そんな高島に対して三沢はあれこれ文句を言わないんですよ。
自分が月1でやっているイカサマ賭けポーカーの相棒にしてくれて、それ以外の日には自分のバー『煉瓦亭』のギャルソンに雇ってくれる。食事をつくってくれてひとつ布団で眠ってくれる。そればかりではなく、過去に高島が行ったいい加減な仕事の所為で生まれた損失補填の為に3,000万円もの大金を貸してくれさえします。
三沢に接しているうちに、高島は気づくんです。今まで自分がどんなに思いあがった人生を送って来たのか。そしてその結果、どれだけの人に迷惑をかけ、何を踏みにじって来たのか、つまり、自分が犯して来た罪についてを。

で、高島は思うのです。
「三沢はどうしてこんなに自分に良くしてくれるのだろう?」と。
いや、読んでるあたしもそう思ったのね。
確かに、ゲイの三沢は何度も高島に「好みのタイプ」って言うんだけれども。でも、それだけではない感じがするのね。
だってイカサマギャンブラーで金髪、ポルシェのオープンカーを乗り回し、本格的なレトロ建築のバーを持っている三沢の生活って、あまりにも質素なんですもん。その質素さがちぐはぐなんですよ。変なの。

三沢はとんでもない罪を隠していました。
そこには、もう一人の登場人物の罪が絡んできます。
これがねー、悲しくてやりきれなくて、でももし、自分がそんな状況になったらあり得るかもしれないという様な秘密なんです。

2人の濡れ場も、バーでの常連さんとのやり取りも、三沢が隠していた秘密を知ると「なーるほど……だからあんな風なのか」と納得がいくんです。
犯した罪に罰を与えるのは司法や社会だけじゃないんだよね。
誠実な人ほど、自分が自分を罰してしまう。
それを引き受けて生きていくのはとてもつらいこと。
でももし、自分が抱える大きな罪ごと全部を受け入れてくれる人が側にいてくれれば、生きていけるかもしれない。
人は怖くて、それと同時に暖かいものなんだっていう事を考えたりしました。
激しく心を揺さぶられる本でしたよ。

5

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