『薬指の嘘は本能に暴かれる』 これは、究極の純愛

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既婚者宇佐美は暴かれたい

kikonsya usami wa abakaretai

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表題作既婚者宇佐美は暴かれたい

須田怜二
バーで知り合ったミステリアス男
宇佐美恒
30歳,エリートリーマン

その他の収録作品

  • あとがき(カバー下)
  • カバー下おまけ漫画

あらすじ

宇佐美(うさみ)は結婚3年目のエリートサラリーマン。 商社で華やかな出世コースを歩み、順風満帆な人生を送っていた…が、実は妻との関係は冷え切っていた。
そんなある日、バーでミステリアスな一人の男・怜(れい)から声をかけられる。
「セックスレスならとっておきのテクを教えてあげましょうか」
酔った勢いで誘いにのった宇佐美は、後ろで震えるほどの快楽を与えられてしまう。
オクの奥まで暴かれて、何度もイかされれしまうが、怜の正体は別れさせ屋で――。

作品情報

作品名
既婚者宇佐美は暴かれたい
著者
おまゆ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
オーバーラップ
レーベル
リキューレコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784865547153
3.9

(105)

(42)

萌々

(32)

(23)

中立

(4)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
13
得点
411
評価数
105
平均
3.9 / 5
神率
40%

レビュー投稿数13

ストーリーがめちゃいい!

いい意味で裏切られた〜おまゆ先生の美しい絵でとろとろえっちみたいと思って買ってみたら…もちろん絵は綺麗だし、えっちとろとろなんだけど、それを超えるめちゃくちゃいい話でした。ちゃんと「既婚者」ちゃんと「既婚者らしい悩みと葛藤」がある。けど、「悩みと葛藤」がちゃんとしているけどくどくなくて読みやすいし、めちゃくちゃ萌える〜!体だけじゃなくて心も暴かれていくのが素晴らしい。攻めがまたいい、かっこいいだけじゃない、想いが溢れる感じに涙!えっちはもちろん最高、綺麗、シコい、エロい、とろとろ〜。参りました。

0

暴かれます。

既婚者エリートリーマン。でも実は妻との関係がギクシャク。そんな時声を掛けてきたAV男優と言う男。
何となく読み始めは、既婚者の浮気話かと思っていましたが、高校時代の話を読むと、なんだか甘酸っぱい感じで良かったです。
自分の性指向が受け入れられず、女性との付き合いや結婚をした主人公ですが、それをちゃんと解決しているのもスッキリしています。
エロ度高めなのも良し!
最終的に再会する場面の展開は先が読めてしまいましたが、抱き合い方やキスがすごく綺麗で印象的でした。
書き下ろしもエロエロで良かったです。

0

イケメンエリートが墜ちる話

ちょっと中立よりの萌評価です。

タイトル通り、イケメンで仕事も出来て美人の奥さんがいて、傍目には人生勝ち組にみえる宇佐美さんが、実はメロメロに抱かれるっていうお話でした。



以下ややネタバレあり。

高校のときの彼氏っぽい男性が。。という再会ものになっています。
攻めさんが、最初オラオラ系なのですが、だんだん健気なキャラに変貌していきます。
あと、受けさんがイケメン設定なのですが、乙女にしか見えない表情が多くてちょっとしっくりこなかった。

このあたり、シュッとしたリーマンが墜ちる作品としては薄井さんのアンダーマイスキンが圧倒的にいいなあ。ちょっと恥じらったりして。

というわけで、少し辛口評価になりました。
攻めにもしっかりしたバックグラウンドがあり、それはよかったのですが、いかんせんキャラが変わりすぎてついていけなかったかも。。

1

既婚者宇佐美は暴かれたい

​アダルティなお話で、あらすじを読んで展開を楽しみにしてました。内容は王道展開といえば、王道なのですがやっぱり既婚者というのはいろいろな感情がありますね。個人的にはお互いが納得しているのなら、選択は間違いじゃなかったと思うし、今作の二人は別れてからの方がよりお互いを尊重出来ていたのではないかと思いました。そういう意味で、良かったんじゃないかな。さてさて、BL的な展開については、良かったです。実は・・・な二人でしたが、映画のようなロマンティックな再会はグッときました。読み物としてとても満足する作品でした。

1

評価分かれるみたいですが、私は好き。

何か、設定とかここまで深く切り込んだ作品を待っていたというか、これはもう何度も読み返しちゃう。私はかなり好きなタイプのストーリーでした。

ゲイ×既婚者(隠れゲイ)のお話です。
で、実は高校時代に関係を持っていた2人(後輩×先輩)が改めてくっつくという…
「そんな偶然ってある?!」というくらいに設定が美味しく、つくられていました。

既婚者要素がもう少しあっても良いかなぁと感じました。
たとえば、妻とのえっちの時に後ろが疼いちゃうとか(ありがちですが)。つい、攻めに犯された時のことが脳裏をよぎってしまう、とか。

妻も何やかんやで良い人で、2人を結びつけるために最後少し力を貸してあげて…きっと、この2人はストーリーにもありますが、結婚をするというよりも、友達以上恋人未満というか、協力しあえるという意味では良い関係性を持つことができた(ただそこにおける関係性としては、夫婦としてじゃなかった)と思います。

受けのえっちの時の蕩けた表情がたまりません。かわいい。
かわいいし、さらに言えばここまで男に抱かれて蕩けてたら、女抱けないだろって思います。
「えっちくない?そりゃ女性何て抱いたところで満足できないわな」と。(笑)
途中、乳首だけを切り取ったコマがあるのですが、えっちだ…となりました。むちゃくちゃ開発されてるじゃないか。攻めに昔から既に開発されてるじゃないかよ、と。あと、シャワー室でこっそりえっちして、バックから突かれている時の…勝手に腰を動かしちゃうのも、また…。

ただ受け側の感じることのできる気持ち良さというか、快感って、受けしか知らないわけですから、それがもう少し欲しかった。「この内側を抉られた時の快感って…(ゴクッ)」じゃないけど、受けらしい飢えを見せる感じが…。

そこまで夫婦の関係もドロドロではなかった。個人的に後味が割とさっぱりとしたドロみでした。だって、元妻が夫に協力してくれる時点でドロドロが激しいものではないでしょう。

いろいろごちゃごちゃ言いましたが、ストーリーの複雑性や、ドロ沼?感はとてもよかったです。えっちもバランスが良くて。


私にとって、すごく好きな作品です。

5

自分勝手な受を、結局愛し続ける攻

エリートコースを歩み、他人からは順風満帆と思われているが、その内実、妻とはセックスレスで冷めきった生活を送る宇佐美。でも、他人が羨む虚構の生活に必死でしがみついている。そんな宇佐美の前に現れたミステリアスな男、怜。出会ったその日に怜に抱かれてしまい、その後も怜に抱かれることを拒めない。身体は怜を求めるのに、家庭を維持しようと躍起になる宇佐美だったが、怜は宇佐美の妻が雇った別れさせ屋だった、という話。

既婚者との関係から始まるというのが、珍しい設定だなーと思いました。結果的には不倫になるので、苦手な方もいらっしゃるかもしれません。

宇佐美は学生の頃から自分自身をゲイかもしれないと気づき、そこに男子の後輩から告白される。この子が周りからゲイだと言われていて、みんなに奇異の目で見られていることを知っているのですが、自分自身の性的指向を確かめるため、この後輩と関係を持ちます。

しかし、この後輩と仲良くしているという噂がたち、手酷く関係を絶つ宇佐美。その後、自分自身の性的指向を否定しながら、誰もが羨むエリートコースと家庭を手に入れ、ただひたすらそれを崩さまいと愛のない生活に縋っている。

実はその後輩というのが、怜なんですよね。本当の名前は怜ニ。怜ニは高校で手酷く宇佐美と関係を絶たれてからも宇佐美のことが忘れられず、ずっとひたすらに好きだった。そんなとき、勤める探偵事務所に宇佐美の妻からの依頼があり、複雑な気持ちではあったけど、否定できない宇佐美への憎しみも、妻との離婚を望む自分もいた。

結果的に別れさせ屋とバレたあと、宇佐美の元を去る怜ニ。結局、宇佐美は妻と離婚し、怜ニへの愛に気づく。

まぁ、この宇佐美が、ほんとにしょーもない男というか。思春期に自分の性的指向を受け入れられないのはわかるけど、好意を寄せてくれる怜ニを利用して、自分に都合が悪くなったら拒絶するってひどいヤツなんです。

確かに、自分の性的指向を隠して、順風満帆なエリートコースを歩み、それを簡単には捨てられないと思うのもわかるけど、なんというか、ものすごい自分勝手なんですよね。

宇佐美の妻も、自分が宇佐美から愛されていないことを感じ、元彼とヨリを戻すため別れさせ屋を雇うという、昼ドラ並のドロドロ感。だけど、一方でなぜ自分を愛してくれないのか、ハッキリさせたかったのかもしれないし、そういう妻の気持ちは分かります。でも、離婚したあと、元夫と自分がけしかけた別れさせ屋を取り持つようなフォローしますかね…。まぁ、ここは離婚したあとに本気で向き合って元妻との間に友情が芽生えたってことなのかもしれませんが、そんなに思いやれるなら、もっと夫婦のときによく話し合うこともできたのでは…と思ってしまう。

そして、こんなに自分勝手でしょーもない男なのに、ひたすらずっと宇佐美を好きだった怜ニもすごい。なんでこんなひどい男、好きでいられるの…と思うけど、惚れた弱みなんですかね。それほどまでに、高校のときのイケメンでなんでもできる憧れの先輩である宇佐美のインパクトって大きかったのかと。

ちなみに怜ニは、高校のときは完全なる陰キャなのに、別れさせ屋として出会ったときには垢抜けていて超かっこいいです。

結局、宇佐美は、高校のとき手酷く関係を断ったにも関わらず、自分も怜ニのことが好きだったと(めちゃめちゃ自分勝手だけど)認める。宇佐美の自己都合もひどいなぁと思いながらも、ただ、人間だからやっぱり弱さやズルさがあることは仕方ないし、宇佐美は宇佐美で苦悩もしてたわけなので、そこは人としてリアルに感じました。なんというか、キレイばかりじゃないよね、というか。なので、宇佐美がしょーもないヤツとは思いつつも、嫌悪感はまったく感じませんでした。とにかく、怜ニが最後まで見捨てずにいてくれて良かったよね、と思いました(笑)

いろいろ書きましたが、絵はとってもキレイだしエロシーンも臨場感があって濃厚。画力がとても高く、なんだかんだ言ってトロトロにされる宇佐美は可愛かったです(笑)全体的には萌2寄りの萌。割と話の展開があっさりな感じなので、怜ニが鬼執着見せるとか、一回手酷く振るとか(笑)もう少し濃厚さがあってもいいかなと思いました。

1

みっともなさが良い

おまゆ先生の作品はどこか可愛らしい印象があったので、前作・前々作とはまたお話の雰囲気がガラッと変わっていて驚きました。
タイトルに既婚者とあるように、the・既婚者ものといった感じです。
ちょっと仄暗いというか、テーマ的にもドロッとした背徳的な雰囲気があって、こういったお話も描かれるのだなあと、前作との作品トーンのギャップが良かったです。

商社の華やかな出世コース。結婚3年目の美しい妻。
仕事も家庭も順風満帆で容姿端麗なエリートサラリーマンと思われている宇佐美には秘密があって…というもの。
こちらの作品、ものすごくわかりやすいんです。
過去のエピソードも含めて、読者が「きっとこうなるんだろうな」と思った通りにラストまで展開していく。
世間一般で言う「普通」または「普通よりも少し幸せ」そうな物事に固執し、自身をガチガチに偽って生きている印象のある宇佐美。
妻とはもうかなり前から冷め切った仲であるというのに、結婚をして妻もいて、出世街道を歩く「普通よりちょっと幸せ」な世界を手に入れている自分を捨て切れずに、現実から目を逸らしているんです。
プライドが高くて臆病な人なんだろうな。
そんな彼が、ある日バーで出逢った怪しげな男・怜に声をかけられ、言葉巧みに抱かれてしまう。
怜に抱かれる度に隠していたものが暴かれていき、徐々に嘘偽りがボロボロと剥がされていく…
と、かなりスタンダードな展開が続くので、あっと驚く展開が欲しい方は物足りなさを感じてしまうかもしれないのですけれど、個人的には変にゴタゴタ揉める展開があるよりはスッキリと収まって良いのかなと思いました。

宇佐美って、本当にどうしようもない男だと思うんです。
一目惚れからすぐのプロポーズ。そして結婚。
「結婚すればすべて上手くいくと思っていた」というモノローグ通り、なんだかこれもゲイである自分を認めたくないあまりに、世間一般の波に乗ろうと必死なだけに見える。
マイノリティであることを認めたくない気持ちと、周囲が羨む生活を手に入れたいという自尊心のようなものが透けて見えるというか、非常に人間くさい自分本位な人だなと感じます。
正直、若干鼻につきませんか?
傲慢だった学生時代のエピソードも含め、その鼻につく感じがあったからこそ良かったのかななんて。
だからこそ、怜二に抱かれてぐしゃぐしゃになっていく様がなんともみっともなくて、理想が崩れていくことに絶望する姿がかわいそうでもあって、でももっといじめたくなってしまう。
次第に、怜二に身体と心を「暴かれたい」と思い始めてしまうんですよね。
ある意味、嘘だらけの人生から救って欲しがっているようにも見えます。
仮面を全て剥がされ、これ以上どうしていいのか分からないと言った宇佐美が、プライドも何もない本来の宇佐美だったのかな。
宇佐美のして来たことは最低なのになんだかモゾモゾする。
合わない人には合わず、合う人にはじわじわ来る萌えでしょうか。
個人的にはじわじわ萌えました。

題材的には、もちろん宇佐美は既婚者なので…一応不倫ものとなるのでしょうか。
それでも不倫に対しての嫌悪感がわかないのは、宇佐美の妻に女性らしさをあまり感じなかったからなのかも。
うーん、宇佐美の妻はちょっとよく分からない人でした。
本当に愛があって結婚をしたようには見えなかったんですよね。
彼女も宇佐美と同じようなタイプの人間だったりして。
少々妻の都合の良さが気になってしまったので、萌萌寄りの萌評価で。

怜二についてはあまり触れませんでしたが、私立探偵事務所に入る前に、宇佐美のせいで荒れに荒れていた時代の怜二がものすごく読みたい。
かなりのイメージチェンジっぷりだと思うのですが、あの可愛らしかった怜二が同僚に冷血漢と呼ばれるまでになった過程が気になって仕方がありません…

2

嫌いじゃないか...

これは評価に迷う。
ストーリーはタイトル通りであり、でも暴かれた”モノ”と“この先”がこの2人にとっての重要な部分だと思います。
そこの一途さと素直に受け入れられなかった過去がこじれて今に至る。
乳首への熱量やセッとかエロ描写はよかったんだけど、拗れた先に絡んでくる女性の扱いがちょっと気になってしまうんですよね。
この作品に限らずというか割とBLで既婚者で実はゲイだったというタイプの話って同じような扱いになりがちな気がして。
脇キャラが舞台装置に感じてしまうというか...後ろめたさはあるとしても奥さん側が妙にスッキリしすぎじゃないかな。

1

受けがかわいそかわいい

美人妻もいて仕事もできる誰もが羨む完璧な受け。だけど夫婦生活(主に妻の方)は完全に冷めきっていた。

バーで飲んでいる受けに、言葉巧みに近づいてレイプする攻めの正体は「別れさせ屋」。妻に依頼されて近づいた業者だったという話です。
しかし受けと攻め、二人にも切ない過去があり……。

強引なHから始まるのでどこで受けが攻めのこと好きになったのか分かりづらいところや、過去に身体の関係にあって受けが手酷くフってしまって…というわりとありふれたストーリーにひっかかるところはありましたが、
ふたりの過去がとても尊くて、数年越しの再開や攻めの変わりようが素晴らしいので萌えました。

最初は、「妻、好きな人が出来たから離婚ってちょっとヒドイ……」と思っていたのですが、最後この二人をくっつけるために攻めくんの会社へ電話して復縁依頼をするという粋な計らい、素晴らしい。

Hシーンも迫力あり、画力も高かったです。
でもやっぱり、ちょっとありきたりなストーリーで盛り上がりにかけたので萌1にします。

カバー裏は、キャラ製作秘話と攻めくんの会社の紹介でした♪

2

自分を受け入れられるまでの物語

読んでて怜二とのセックスに溺れながらも、ガチガチに縛られた自分の理想を守ろうとする宇佐美が気の毒な人間に思えてしょうがありませんでした。

そしてチラチラと映り込む宇佐美の過去に、同性とのセックスは初めてでは無いと何となく分かってしまいました。その相手が誰かも。

宇佐美の理想に巻き込まれた形の妻、彼女は昔の恋人と再開して彼を好きな気持ちを抑えきれなくて別れさせ屋を雇ったのです。でも宇佐美が彼女を愛していない事にも気が付いていたのでした。

お互い嘘をやめて生きていかなければ、本当に幸せになんてなれないと宇佐美に説く妻。宇佐美は過去に想いを馳せながら怜二と出会ったバーに向かうのです。

怜二に怒りをぶつける宇佐美でしたが、自分は仕事をしただけ、今向き合うべきは自分では無いと突っぱねる怜二。そして宇佐美を抱きしめて幸せになって下さいと言って立ち去ろうとします。

そんな資格があるものかと自分を好きだと言って来た後輩を傷付けた過去と、結婚という形にしがみ付いた理由を話す宇佐美。今まで積み上げて来たものを壊した怜二にどうしていいか分からない、嘘でもいいから助けてくれと伝える宇佐美がとても弱々しいです。

そして宇佐美にキスして激しく抱く怜二ですが思わず宇佐美先輩と言ってしまいます。
宇佐美が過去に関係を持って保身の為に振った後輩が怜二だと判明するのです。

幸せな結婚をしていると思ったのに相変わらず嘘をついて生きていた宇佐美。初めは復讐しようとしていたけど宇佐美の虚しさを知るにつけ悔しくなり、俺なら不幸せな顔は絶対にさせないと怜二は訴えたのです。

幸せにしたかった、高校の時の先輩に戻って欲しかった、俺と来ますか?と、怜二は手を差し伸べますが、宇佐美はその手を取る事が出来ないのでした。

去って行く怜二を追いかけようとした宇佐美は倒れて、怜二によって妻のいる自宅に運び込まれます。ベッドまで運ぶと別れを告げてキスをして好きだったと告白する怜二。
 
帰ろうとする怜二に妻はこれで良いのかと聞くのですが、良いと言って去って行きます。
一方宇佐美は高校の時も本当は何度も怜二に手を伸ばしたかったし、今回も掴み損ねたのは臆病で卑怯な自分への罰だと思うのです。

そして宇佐美は妻と離婚してお互いに嘘は付かないで幸せになると誓うのでした。

妻から怜二の仕事先を教えてもらい訪ねるも退職したと聞かされて、最後に会ってから一度も会えていません。もしかしてこのまま会えないかも知れないと落ち込む宇佐美に元妻は励まして、自分達夫婦を別れさせた事務所に電話をかけて仕事を依頼するのです。

この元妻が出しゃばるわけでもなく、要所要所で良い働きをしてて良かった!

宇佐美は視察先のバンコクで怜二との高校時代を思い出して、彼の手を取らなかった事に後悔していました。
自分自身を受け入れて前に進もうと決めた今なら、その未来に踏み出せるのにとも思っていました。

一方で怜二の元にも社長から電話があり、宇佐美の元妻から宇佐美と怜二の復縁の依頼があったと伝えられました。
怜二と宇佐美の過去を知る社長も意地っ張りな怜二には、宇佐美と普通に会わせても上手く行かないと思っていたのでした。そして宇佐美の滞在先をメールしたからケリを付けて来いとハッパをかけます。

電話が切れた直後に怜二は日本人の青年とぶつかるのですが、それは宇佐美と一緒に海外視察に来ていた後輩でした。後輩の呼ぶ声に応えた宇佐美は雑踏の中に怜二の姿を見つけると、抱きしめて会いたかったとキスをするのです。怜二も抱きしめ返してキスをします。

この後2人はホテルで激しく抱き合うのですが、酷くしろと言う宇佐美に対して怜二は優しく抱くのです。翌朝ベッドの中で戯れあう2人が幸せそうでした。

あの後に宇佐美の後輩はどうしたのかなととても気になってしまいました。

自分の性癖を受け入れられなくて取り繕った嘘だらけの生活に虚しさを覚えながらもしがみついていた主人公が、過去に捨てた後輩と再開して自分を受け入れて幸せを掴むお話でした。

7

辛くならなくてよかった

タイトルに『既婚者』とあるように、宇佐美は既婚者なのでその辺りがどうかなと思っていたのですが、奥さんとはちゃんと円満離婚するのでよかったです。
話の展開としては、途中でパっと挟まってるコマで色々と察してしまいドキドキ感は特になかったですが、逆に言うと作者さんがこれでもかというほどわかりやすく丁寧に段階を踏んでくださっているということだと思うので好感が持てました。
えっちシーンはとってもえっちでよかったです。特殊プレイはありません。

宇佐美が30歳で高校生の時に二人の関係があったから12年引きずってるのかと思うとなかなかですね。
奥さんと宇佐美の関係も、恋愛的な好きではなかったけれどお互いに結婚してもいいかと思える程度には情があったのかなと思うので、離婚した後のあれこれとかとても良い協力者になってくれていたのがとてもよかったです。
後味の悪くない既婚者BLを求めている方におすすめです。

9

暴かれたからこそ始まる恋

帯にあるように、このお話が究極の純愛か?というと、私は違うと思う。
ます、始まりが浮気ですからね。


恵まれた容姿、出世コース、可愛い年下妻……と、順風満帆な生活を送る宇佐美。
しかし、その裏で夫婦関係は冷え切り、セックスレスに。
そんな時、バーで出会った自称AV男優・怜にセックス指南を受けることにーー…!

怪しい男・怜になす術なくグズグズに抱かれてしまう宇佐美。
【薬指の嘘は本能に暴かれる】とあるように、宇佐美の性的指向はゲイ。
その秘密を暴かれ、抱かれる喜びを思い出します。

高校時代、宇佐美を好きだと言った冴えない後輩・須田。
須田に抱かれ、愛されることに幸せを感じながらも、どうしても受け入れられない自分の性癖。
思春期だからこそのあけすけな偏見、差別、言葉の暴力……そしてプライドの高い宇佐美は、人目を気にして須田を突き放してしまうのです。

結婚=幸せ
そう思ってきたのに上手くいかない夫婦関係。
妻とセックス出来ないのは、須田の本能による拒絶だと思う。

性癖を暴かれ、浮気の事実を突きつけられる宇佐美。
全ては仕組まれた罠。
妻に、怜に。
どうしていいか分からなくなった宇佐美が縋ったのは怜で、怜は「須田」でした。
一途に宇佐美を思い、だからこそ深く傷付いた須田の苛立ちと虚しさと悔しさ。
見た目は変わっても、中身は昔のままなんです。

嘘をつくことをやめ、妻と離婚した宇佐美。
この妻も悪い女ではなく、最終的には宇佐美のことを思い、背中を押す存在に。

恋をしたら、全てを曝け出してしまう。
裏を返せば、曝け出さなくては恋はできない。
素直な気持ちと行動が人の心を動かすのだと思います。
ストレートに伝えることが相手を動かす原動力になる。

ラストは駆け足気味で、後付けの言い訳みたいなセリフもありましたが、総じて面白かったです。
宇佐美の成長が見られて良かった!
浮気に嫌悪感を抱く方もいるかもしれませんが、私はそこまで嫌な気持ちにはなりませんでした。

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まずは試し読みからでも!

10

かわいそうで、可愛いのです

バーで出会ったミステリアスな男×既婚者エリートリーマンによる、アダルト+エロス+純愛と言った感じのお話になります。

こちらですね、評価が難しいんですよ。
このキレイなイラストと雰囲気に誤魔化されそうになりますが、内容としてはかなりドロドロなんですよね。
でも、すごく読み応えがある。

自身がゲイだと認められず、周囲まで不幸にして「普通」でありつづけようとする主人公・宇佐美。
そんな夫に愛想をつかし、他の男に想いを寄せる美しい妻。
そして、主人公の隠し続けた本能を剥き出しにさせる、ミステリアスな男・怜。

あらすじにある通り、怜の正体は妻から依頼された「別れさせ屋」になるんですけど、実は他にも隠してる事があってと、このあたりがキモになると思うんですけど。

う~ん。
これね、人によっては完全に合わない作品だとは思うんですよ。
既婚者だと言うのは分かって購入されるだろうから置いといて、宇佐美と言うのはかなりしょうもない男なのです。
彼は男が好きないわゆるゲイになるんですけど、その事を自分で受け入れる事が出来ない。

年下の美しい妻に、華やかな出世コース。
彼の人生は一見順風満帆に思えるんですけど、妻とはセックスが出来ずに関係は破綻寸前。
でも、普通である事にしがみつく彼は「結婚生活を諦めたくない」と関係修復に必死。
なんかもう、彼は矛盾だらけなんですよね。
本当の自分に気付いてないと言うより、気が付かないふりを必死でしてる感じ。
ハッキリ言って、滑稽です。

あと、実は妻の事も、よく理解出来ない。
夫に完全に冷めきり、別れさせ屋まで雇って別れようとするくせに、後半では急に物分かりのよい女性。
二人の仲を応援しと。
こういう女性なら、最初から宇佐美と真摯に向き合ったと思うんだけど。
別れさせ屋なんて雇わずに。

そして、別れさせ屋・怜。
冷たい言葉と快感で宇佐美を追い詰め、彼が隠し続けた本当の姿を、目の前に突きつけます。
ただ宇佐美と怜ですが、過去に実は、とある因縁があったんですよね。
宇佐美が怜にした仕打ちと言うのは、若さ故と言ってもかなり酷い。
いや、30の今でも同じような事を繰り返しちゃいるから、若さ故でもないのか?

怜ですが、この仕打ちをされて、宇佐美に憎しみを抱いている。
同時に、それでも愛している。
私には理解出来ないけど、それでもどうしようもなく惹かれると言うのが、恋なのかもしれないとも思ったりする。
痛々しくもあるけど。

まぁそんな感じで、納得行かなかったりモヤモヤする部分が多い作品なのですよ。
それなのに、同時にすごく萌えてしまう、不思議な作品でもあるのです。

何だろう。
個人的に一番萌えた部分なんですけど、宇佐美のかわいそうさなんですよね。
本当にしょうもない男だと思うのに、「こんな身体で女なんか抱いてたのかよ」「ドM淫乱野郎」と冷たいセリフで罵られ、「違っ・・・、男となんか」と、一生懸命涙をこらえてるのが、すごくすごくかわいそうで萌える。
男に組み敷かれて反応しながら、それでも「俺には妻が・・・」と泣きそうなのを必死でこらえてるのが、まるで子供のように見えてきちゃう。
かわいそうで、可愛いのです。
バカだなぁと、どこか優しい気持ちにさえ、なってしまう。
愚かしくて、愛おしいとしか言い様が無いのです。

これ、作者さんの持つ筆力だと思うんですよね。
こんなドロドロで重い話でありながら、何故か印象としては美しいんだよなぁ。
しょうもない受けが、愛しいんだよなぁ。
ついでに、めちゃくちゃ艶っぽくてエロいんだよなあ!

まぁそんな感じで、モヤモヤするのに萌えるし、それどころか美しいと感動すらしちゃう、何とも不思議な作品なんですけど。
特にラストは、何だか感無量になっちゃう。

こういう読後感って初めてで戸惑いますが、萌えたか萌えなかったかで答えれば、「めちゃくちゃ萌えた!」ですね。
私は「おあずけのキスのゆくえ」に続く2作目の既読になるんですけど、ガラッと印象を裏切ってくれました(いい意味でです。)

17

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