電子限定描き下ろし漫画付き
【新死刑法】人が故意に人を死亡させたときは、如何なる理由があろうと死刑とする――。
タイトルと、ちるちるさんで掲載された作家インタビューを拝見して手に取りました。
基本的にBLってジャンル分けするならば恋愛ものだと思っていますが、今作品はなんて言うのかな。骨太な、あるいは社会派な?
モラルとは。
正義とは。
愛とは。
正解は一つではなく、人によって、時代によって、あるいは社会によって変貌を遂げるそれらについて、「あなたはどう思う?」という問を投げられた気分になりました。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
人を故意に死に至らしめたものは「死刑」。
そして、その死刑に至る過程を、動画で配信される。
という世界が舞台。
死刑という判決を受けた囚人は作られた世界で、シナリオ通りに日々過ごす。囚人が心の底から反省した、と思われたその時に、刑が執行される。
囚人に反省を促すために送り込まれる人物=刑の執行官は、囚人の琴線に触れる人物でなくてはならない。そのために執行官は整形し、その人物になりきって囚人のもとに派遣され、そして最終的には刑を執行する。
今作品は死刑囚・織田と、織田に刑を執行するために織田のもとへ派遣された刑務官・水谷を主人公にした作品です。
「死刑囚」が主人公のお話なので、バックボーンとしてはドシリアスと言って良いでしょう。が、それだけではない。死刑に至るまでの過程が、エンターテインメントとして配信されている。
凄惨な事件が起こるたびに、被害者への哀悼の意を感じると同時に、加害者に対して強い憤りを感じざるを得ませんが、それでも、犯人の「死に至る過程」を娯楽として楽しんで良いわけがない。そんな悍ましさも、抱えた作品です。
自分が被害者遺族であったなら、犯人には重い刑を課してほしいと願うと思います。
けれど、それが「死刑」だった時、その刑を施行するのが自分であったなら。当たり前のように刑を施行できるだろうか。
これほどまでに深く「罪」について考えさせられるBLもなかなかないと思われます。
囚人と刑の執行官という立場である二人なので、BL展開になりづらい。なりづらいバックボーンでありながら、一人の被害者を通して、彼らは少しずつ心を通わせていく描写が素晴らしい。
この「被害者」の設定がとにかくお上手です。
織田に殺害された、被害者。
なぜ、織田は彼を殺したのか。
被害者はどんな人物だったのか。
二人の関係は―。
今作品は犯人捜しのストーリーではなく、ミステリーではない。ないのですが、とにかくこれからどうなるのかが気になり、ページを捲る手が止められませんでした。
死刑囚の織田。
織田に刑を執行するために赴いた水谷(渡瀬)。
水谷の同僚の及川をはじめとする刑事たち。
織田を崇拝する女の子たち。
織田の死刑をエンターテインメントとして操作する脚本家の船越。
警察組織と国のトップに立つ、お偉いさん。
登場するキャラはさほど多くはありません。
場所も、織田の住む住宅の近くと、捜査員たちが詰めている部屋くらいしか描かれていません。
が、すごく臨場感に溢れた作品で、まるで映画を見ているかのよう。
誰に感情移入するか、誰の立場で、このストーリーを読むか。
自分の持つ正義とは。
それによって、読後の感想は変わってきそうです。
上巻に至ってはほぼほぼBL的な萌はないのですが、とにかくこの作品の持つ世界観に引き込まれました。
分冊版で、完結迄読んだ後、「第1話~第7話※電子限定で第1話~第7話※電子限定で描き下ろしの漫画が4ページ収録収録」のコミック版が出ると・・悶々と悩んでしまう。貸本屋を利用するしかないかな。
訓:コミック版が出るまで、待つべきだった。
著者は推理系の作品が主の人で、社会派要素濃厚。社会に対しての皮肉を込めたものが多いです。この作品は、死刑についてを考える、というテーマだと思いました。冤罪や、犯罪に至る動機、などなど情状酌量すべき要素があっても、一度結審したら覆す事は困難、法に対しての無力・不条理を描いた作品です。
特に、この作品の主人公、織田は本人が「愛」を理由に裁きの死を望んでいるので、どうしようもない。織田に、裁きの死は必要か? 読者の心が揺れるように追い込む構成で、とても上手いです。
粗筋:
この作品は、異世界の日本。娯楽が死刑執行の番組、犯人が犯罪を犯すまでの経緯を再現するドラマを死刑執行人と共に再現される。
水谷が身長がほぼ同じという理由で、選ばれた。
織田と再現ドラマで接していると、供述に矛盾がある事に気づいた担当官たち。
が、上巻の概要です。
下巻で、調べるとやはり冤罪だった。織田自身が、事件の経緯と真実を語ります。
死刑執行を延期して、再審を求めようとするけれど・・・本人が死にたがってる。
執行が決まってから事実を述べても、国民の総意が反対をしても、・・・
★情交シーンは一度しか有りません。「情交→死刑執行」というGOサインを上が決めているから。ゲイに対して冷たい設定を置く政治家。
この作品は冤罪にも触れていて、死刑とまた別の課題を含んでいます。死刑制度を考える作品なので、興味を持ってほしい作品です。
私は、不完全な人が人を裁く行為は、間違いがゼロでは無いので極力避けるべきと思います。遺伝子書き換えなどで、犯罪の根本を見つめる方法に変えることが出来る時期が来ているので、そろそろ動物的な罰で対応する事は廃止して、何故犯罪を起こすのか、遺伝子レベルで解決をしてほしい。(早く研究を実用してほしい)
同じ遺伝子情報を持つ人が居る間は、場の条件次第でまた犯罪は起こります。
特に、この作品の死刑は、娯楽扱い。死刑囚が増える事を待っているようなもんです、共食いみたいな話で、愚かしい。
・・空虚な理想論ですけど。
BLサスペンスという大好物ジャンル、しかもシリアスなストーリーに定評のある先生とあって注目していた作品です。
でもタイトルが重いのでしばらく積ん読してました。。
ようやく決心して読んでみると、そこまで重くなくて大丈夫だった。もっと早く読んでいればよかった。このレーベルにしては各話HではなくむしろHないんですが、お話が面白いので全然良かったです。
サスペンスが大好物なのでちょっと甘めの評価になっているかもしれません。
仮想未来の設定で、殺人罪が確定すると、同じ状況で死刑にされるという結構物騒な世の中になっています。
主人公は、2つの殺人罪で死刑が確定しています。
2つ目の殺人では、パートナーの男性を殺してしまう。動機がわからないまま、同じ状況を作るために全てがお膳立てされた街で暮らしている。街の住人は全て警察関係者。街には見えない境界があり出られないようになっている。。
実際には、全ての殺人に対してこんなに労力をかけられないだろうとは思います。
さて、パートナー役となった警官の水谷は、整形までして役を演じている。しかし、同棲するうちにだんだんと相手の本当の姿が見え隠れし。。
というストーリー。
事件ものとしても面白いですが、二人の関係性がどのように変わるのか、下巻に期待です。
いやぁ、ずっと気にはなっていたんですよ。
読んだあとに余韻に引きずりこまれて、浮上できなくなる作品ってたまにあるじゃないですか。
で、レビューとかあらすじ読む限りでは、絶対それ系統の作品だったと予感してたんですよ。
だから元気なときに読まなくちゃと思ってたんですけど、元気なときに読んで大きなジョブを喰らうよりは、若干心が疲れているときに読んだほうが喰らうモノが少ないかなあって。
毒は毒をもって制すじゃないですけど!(意味が違う)
と思って読み始めたところ、毒なんかじゃなくて、面白すぎてご褒美でしたね!!
エンターテイメントってこういうことよ!!
って、目をキラキラさせながら上巻を読みました。(前置き長い問題)
死刑囚を閉鎖空間の中へ収監し、24時間ライブでその様子を流す世界線。
さらに自分や殺めたように、自分自身も同じ方法で
決められたシナリオに沿って死刑執行が行われるという、目には目を歯には歯を設定。
織田薫は同性愛者で、2人目はそういった関係にあった恋人だった。
体格が近いというだけで水谷という刑務官の男が織田が手をかけた恋人「渡瀬」として選ばれた。
死刑執行が再現される中、シナリオとは微妙に違う展開に水谷は戸惑う。
やがて、水谷は織田が渡瀬を本当に手にかけたのか、怪訝に思うようになり、、、
織田の死刑執行までのカウントダウンが始まったわけですが、水谷扮する「渡瀬」との穏やかな恋人ライフを眺めていると、このあとに待っているだろうサイアクな結末をどう迎えるのか。
あれこれ足りない想像力を巡らせ、まるで自分が織田担ったかのように、そのカウントダウンを待ち、ドキドキしてします。
だって、織田もそうですけど、明らかに水谷だって短期間ですけど、疑似恋愛の中でなにかしら育っているものがありますよね??
まりあげはは、そういう機微が好きなので、まだ名前も付けられない芽吹いたばかりの感情を、この2人とともに読書体験として育てていきたいと思った。
そんなさわりでした。
また、絵も緊張感ある物語にぴったりですし、なにより上下巻の攻め受け対となっているお表紙の作品は、名作が多いのでこちらの作品も絶対に間違いなし!! なドラマティックBLと確信しています。
(まだこの時点では下巻未読)
絵柄も題材も自分の通常運転、性癖だったら選ばないタイプの作品でしたが、とにかく気になって購入しました。
読んでよかった、気持ちがとても揺さぶられた作品でした。
死刑囚を疑似町に閉じ込めて、本人がやった殺人の通りに殺すという新しい死刑のやり方が実施されていて、かつ、それを24時間生中継し、人気番組になっている社会のお話です。
同僚で恋人の警察官、その前に過失とされていた事件含めて2人を殺したとして死刑判決を受けたハンサムな元警察官、織田薫。
淡々と日常生活を送っていますが、早く死にたいと望みながら、深い悲しみ、苦しみを抱えており、ものすごい訳ありなのを最初からひしひしと感じます。
より社会をよくするための死刑制度改定らしいのですが、それをとりまく社会のあれこれが不自然で不健康、非常に悪趣味かつ非情な死刑制度だと感じました。
現実と疑似町での虚構の世界を交えながら話が進んでいくのですが、いろんな立場からの目線、感想があり、迫力があります。
24時間放送番組のタイトル、その番組の脚本家、悪趣味なのに、そう感じていない視聴者と提供側が気持ち悪いです。
読んでいて、ひょっとしてまともなのは、死刑囚と、死刑執行人に選ばれた警察官だけなのかも、と感じさせられるのもすごい世界観です。
多くの違和感を感じ、胸が苦しくなったところで上巻が終わりました。