藍生有の極上スイーツ・ストーリー!

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表題作凍った恋の溶かしかた

ルカ・トライアーノ,30歳,イタリア留学時の元同僚
小野原尚,30歳,ジェラテリア

その他の収録作品

  • 運命の恋の叶えかた
  • あとがき

あらすじ

ジェラテリエの小野原尚は、イタリアの職場で同僚だったルカ・トライアーノと再会する。だが三年ぶりの逢瀬は、尚の望まないもので――。

作品情報

作品名
凍った恋の溶かしかた
著者
藍生有 
イラスト
松本テマリ 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
X文庫ホワイトハート
シリーズ
パティシエ誘惑レシピ
発売日
電子発売日
ISBN
9784065210444
3.3

(12)

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萌々

(5)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
39
評価数
12
平均
3.3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

甘くてほろ苦い大人のスイーツラブ

互いに想いがありながらも、遠く離れてしまった二人。
3年の時を経て再会し・・・と言う、甘くてほろ苦い再会ラブになります。

友人のカフェにジェラートを置かせて貰っているジェラテリア・尚。
そんな彼の前に、イタリア留学時の同僚で忘れられない相手・ルカが現れるんですね。
実は彼から告白された過去があるものの、ルカが隠していたとある事実に憤りを覚え、傷付いた尚は姿を消していてー・・・と言うものです。

で、今回、仕事で日本へとやって来たルカ。
尚の腕を見込んで、代表就任のパーティーで出すジェラートを作って欲しいと依頼する。
更に、滞在する1ヶ月の間、共に過ごして欲しいと懇願。
その1ヶ月の間に、「尚を好きにさせてみせる」と言う流れです。

こちら、繰り返しになりますが、甘くて少しほろ苦い雰囲気が魅力の再会ラブになるんですね。

主人公である尚と攻めになるルカですが、共に30歳(目前)と、いい年した大人でして。
で、そんな二人が再会すると、互いに求め合うまま抱き合ってしまう・・・。

いや、藍生先生と言うと、元々こういう甘くて切ない正統派ラブストーリーがお得意なんですよ。
この二人の場合、再会してからも未だ気持ちは重なり合っていないままなんですよね。
ただ、そうやって心はスレ違ったまま、身体だけ重ねあう二人と言うのが、アダルトな雰囲気たっぷりで綴られてまして。

こう、尚ですが、今この時だけ抱き合う事で、ルカへの想いを終わらせようとする。
対してルカですが、明らかに尚に執着していて、二度と離すまい的な暗い決意まで感じとれちゃう。
いやね、抱き合いながらもスレ違い続ける二人って、個人的ツボなんですよ。
二人のエッチが甘ければ甘いほど、切なくて萌えてしまう。
ついでに執着攻め最高!と。

これね、尚の心情と言うのが悲しくて。

もう少し出会うのが遅ければ。
彼がただのルカだったら。

そうしたら、一緒に居られたのかー。

こう、叶わない過去を仮定して、ほろ苦い思いを噛み締める・・・。
萌える。
こういうの、切ないのにめちゃくちゃ萌えてしまう!と。

う~ん。
尚ですが、すごく不器用だし意地っ張りでもあるんですよ。
こう、尚にとってジェラート作りは切っても切り離せない夢になるんですね。
で、ルカにとっても、尚の追う夢を一緒に見る事が、それこそ夢。
だから、尚の夢の為に力を貸したい。
でも、尚にはそれがどうしても受け入れられない。
だから、共には居られない・・・。

終始、この意地っ張りな主人公の視点で進む為、もどかしくもあるんですよね。
人によっては、彼が意地っ張りすぎると好き嫌いが分かれる気もする。

ただ、だからこそ、そんな主人公の意識が変化するエピソードに心が洗われると言うか。
いやもうルカ、めっちゃ尚を愛してるよね?
と、イタリア男の本領発揮てな口説き文句には、ひたすら萌え転がっちゃうのです。
まぁちょっと、この二人の恋、遠回りしすぎだとは思うんですけど。

ちなみに、本編終了後に、攻め視点の短編が収録されています。
これ、尚への深い深い愛が語られる、めちゃくちゃ甘い内容となってます。
彼は、デレデレとヤニ下がり過ぎですねぇ。
こういうの、大好きだけど。

と、そんな感じの、甘くてほろ苦い大人のスイーツラブ。
主人公の夢であるジェラート作りが丁寧に語られている所も素敵でした。

6

大切すぎて忘れられない恋の行方

今回はイタリア名家の御曹司とカフェのジェラテリアのお話です。

攻様への恋を封じて帰国した受様が攻様の恋人になるまで。

受様は日本の専門学校を出てホテルの厨房で働き、
貯めた資金でイタリアに料理留学をしています。

イタリアに来て2年、今はホテルのリストランテで
インターンとして働き、2か月後には帰国する予定です。

そんな受様はの前に現れたのが、半年前に受様のいる
リストランテに配属されてきた攻様でした♪

攻様は半年前から、受様が住むホテルの従業員用フラットの
シェア仲間の1人となったのですが、人懐っこい性格で
受様とすぐに仲良くなります。

攻様は1年前からホテルで働き始めたそうですが
攻様の言葉や端々の振舞から地制や育ちの良さが見え
受様は攻様が現場を経験するために配属されたのだと
察しますが、受様からは聞かないようにしていました。

受様は攻様を大切な友人だと思っていたのですが
攻様に「受様を1人の男として好きだ」と告白されて
初めて、自分が同じ気持ちだと気付きます。

しかし、フロント勤務の同僚から攻様の生家が
ホテルや高級ブランドを傘下に置く貴族の名家と知られます。
その上、攻様がこのホテルにいるのは勉強の為だという事は
公然の秘密だとさえ言われ、シッョクを受けてしまいます。

受様は何も話してくれなかった攻様を嘘つきだと思い
調度インターン先の変更の提案をされた事から
攻様に黙って提案された地方の果樹園で働く事を決め、
攻様から離れる決意をします。

向かった果樹園はジェラード発祥の地にあり
果実の扱いからジェラードの基礎と伝統的な製法を
みっちりと教わった受様はジェラードに夢中になり、
帰国した日本でもジェラテリエを目指すようになります。

初めは知人の店を手伝っていた受様ですが
今はカフェの一角にジェラードを置かせてもらいながら
カフェで働きつつ、自分の店の開業を夢見ています。

時間をかけて攻様を忘れようとした受様でしたが
この2年で有能な実業家となった攻様の名前を
受様もよく目にするようになり、攻様への想いを
完全に消すは出来ずにいました。

ところがある日の閉店も迫った9時半近く、
受様の働くカフェに攻様がやって来たのです!!

一瞬にして時間が停まった受様に
攻様は「返事を聞かせてくれ」とくれと迫るのです。

果たして受様が出す応えとは!?

受様がイタリア留学時代に育てた恋を成就させるまでの
両片想いな2人の再会ものとなります♪

攻様の代表就任のパーティーでの創作ジェラード依頼など
お仕事面も絡めての恋の攻防劇なのですが、

攻様は帰国したという受様をずっと探し続けていて
今も変わらず受様を愛していると言うのですが、
受様には攻様が攻様自身の事情を秘されていた事が
抜けない棘となっているのですよ。

両想い&再会モノですが、
対外的なハラハラ要素はそれほどなく
あくまで2人の気持ち次第というか
ほぼ受様の落ち着きどころがどこなのか
安心してワクワク読み進められました♡

受様が攻様との恋に踏み込めなかったのは
受様の生家と言う名門の背負っているだろう未来を
色々悩んでしまった部分が大きいのですが
そう思ってしまう受様に共感できると
より楽しいと思います。

ぐるぐるな受様がグイグイな攻様の勢いに負けて
美味しく頂かれてしまっているのが
MYツボで萌えさせて頂きました (^O^)/

1

ん~、事情は分かった

2020年刊。
感覚的には中編といった分量の一冊。
主人公・尚がイタリアのホテルで働いていた当時、同僚・ルカに告白されたのに返事もせずに逃げてしまった経緯が序盤でさらりと書かれていて、数年後の偶然の再会からが本編となっている。

しかし、読み進めてみると身分違いの恋とも違うし、尚自身もきっぱりとルカを拒絶していない、二人がまだ付きあってもないのに自然と息が合っているかのような違和感もあってどう解釈しようか少し考えてみた…

ん~、事情は分かった。
確かにね、尚がルカとは"住む世界"が違うと怖気づいて逃げてしまったのも、ごく普通の価値観からしてよく分かる。
でも読んでいくうちに、尚のマイナス思考気味な印象と消極的な性格からきたものだな、というのを何となく感じ取れたのだった。

ルカに関しても多少は押しの強さはあるものの、外国人攻めの割りには?案外とマイルドな印象に終わった。
彼にしてみれば、探し続けていた尚をやっと見つけて余裕がなかっただろうに、いきなりベッドに押し倒してもガツガツした雰囲気がない。
尚が好きになってくれているのを既に悟っているようだから、とにかく返事が欲しかった…とか、イタリアで姿を消された当時のショックとかもっと強く訴えても良かった気がする。

言ってみれば"すれ違い"というよりも、"踏み出せずにいたおかげで愛してくれる人を待たせてしまった恋"、なのだろうね。

話としてはキャラクターの直情的な一面が伺えずにもの足りないと感じた。
ただ、尚の仕事風景は盛り込まれていて彼がジェラード作りで試行錯誤しているシーンは良かった。
自分も抹茶とラムレーズンのジェラードが食べたいな…(´・ω・)

3

受けの魅力をもっと知りたかった

イタリアで育んでいた、友達以上恋人未満な想いを凍らせたままの2人が、数年後に日本で再会して…というお話。
イタリア人×日本人の再会ものです。

尚の職業がジェラート職人のジェラテリアということもあって、登場するジェラートの数々に思わず舌鼓を打ちたくなりますね。ラムレーズン味とバニラ味が食べたい。
なんて、尚のお仕事描写はあまり見かけない職業なこともあって面白く読んでいたのですけれど、肝心な恋愛面はというとなんだかすっきりしない。
なぜなのかと考えてみた結果、恐らく尚のキャラクターにいまいち共感が出来なかったのだと思います。
ルカのキャラクターは好きだっただけに、評価に非常に悩むところ。

なぜかというと、まず尚の過去の行動に疑問しかわかなくて。
イタリアでの同僚であったルカと一緒に出掛けたり、語らったり、同じベッドで仲良く寝たり…尚がルカに好意を持っている様子も、ルカが尚にそれ以上の好意を持っている様子も、短いページ数の中でもすごく良く分かるんです。
なんというか、こんなに好き同士にしか見えないのに、なんでまだ付き合っていないんだろうという感じの可愛らしさ。
そして、ルカから告白をされて喜びを感じる尚…
と、ここまでは良かった。

でも、ルカがイタリアでは有名な一族の出身の者だということを人づてに知るや否や、好きという気持ちと嘘をつかれていたと憤る気持ちがせめぎ合い、黙って離れることにしたと。
身分差に怖気付く気持ちは分かるんです。
けれど、本人の口から何かを聞いたわけでもないのに、勝手に「嘘つきだ」と憤りを覚える尚が良く分からなかった。
ルカは別に嘘をついてはいないと思うんですよね。なのに、告白の返事を聞く前に黙って姿を消されてしまった。これは…ただただルカがかわいそうになってしまいました。

再会ものですから、再会してからの2人がどう凍らせた恋を溶かしていくのか?というところが見どころになるかと思うのですけれど。
まず、過去の尚の行動に疑問があったので…うーん、ちょっと萌えきれず。
本当は好きなのに、意地っ張りと自分の中でのもやもやを拗らせた受けが攻めを振り回しているように見えてしまって。
そこが見どころでもあるのだと思う。
しかしながら、尚の魅力が分かるエピソードがもっと欲しかったですし、断片的に語られる2人の過去のエピソードに可愛らしいものが多かったので、出来ることならもう少しページ数を割いて長く読みたかったな、というのが正直なところです。
告白後に身分差を痛感する1エピソードが何かあって、その上での別れと再会だったらもっと盛り上がったのかも。

一方、酷い行いをされたというのに、それでも尚のことを探し続けて諦めず、当時と変わらずにアプローチを続け愛を囁くルカは出来た男だなあと。忍耐力がすごい。
終始紳士的かつ誠実。イタリア男の甘さたっぷりのストレートな愛の言葉の数々は読んでいて気持ちが良かったです。
評価に悩みつつ、ルカ視点のお話はとても良かったのでこちらの評価で。
個人的には、久しぶりに松本テマリ先生の挿絵が見られたのも嬉しかったです。

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