鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?

kagamiyokagami, dokuringo wo tabetano wa dare?

鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神55
  • 萌×229
  • 萌9
  • 中立0
  • しゅみじゃない8

72

レビュー数
16
得点
418
評価数
101
平均
4.2 / 5
神率
54.5%
著者
小中大豆 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010125

あらすじ

売れない元子役のアイドルが、
一夜にしてトップモデルへ転身!?
クビ寸前の永利(えいり) を抜擢したのは、
完璧主義の天才写真家・ 紹惟(しょうい)。
彼のモデルは代々『ミューズ』と呼ばれ、
撮影中は一心に紹惟の寵愛を受ける。
求めれば抱いてくれるけれど、
冷静な態度は崩さず、想いには応えてくれない。
深入りして、疎まれるのは嫌だ…。
そんな思いを抱えたまま、十年――。
恐れていた、新しいミューズが現われて…!?

表題作鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?

氏家紹惟,完璧主義の天才写真家
瀬戸永利,22歳~,元子役で元アイドルの俳優兼モデル

その他の収録作品

  • あとがき
  • 写真家 氏家紹惟は砕けない(描き下ろし)

レビュー投稿数16

天才芸術家様に惚れてしまった苦しみ。

あらすじから、「ラプンツェル王子の通い妻」と同じ香りがするけれど、その割にはレビューで攻めザマァ!みたいなのが見当たらないので、きっとモヤモヤさせられるだろうな……と思い、発売当時から購入するのを見送っていたのですが、なんか読めそうな気がしてポチ。

あぁぁ、やっぱり天才芸術家様に惚れてしまった凡人の苦しみみたいなもんが、受け視点でこれでもかと伝わってきてなかなか苦しいものがありました。

読んでいると、打ち寄せる浜辺に立ってるような気持ちになるというのかな。
しっかりと立っているはずなのに、足裏から絶えず砂が流れていってしまって心もとないような、ざわざわする、あんな感じ。

しかもそれが10年間も続くという……。
おまけに、あえて突き放し追い込む攻めのあの所業。
天才様には惚れるもんじゃないな、とつくづく思わされました。

後半で、攻めと決別して一皮も二皮も剥けて変わっていく受けの姿。
ここがとても良かった。

攻めに対しては、なんといっていいのやら……。
こんな男に惚れてしまったのが運の尽きという気がします。

実は両片思いものだったんだ……と気づいたけど、両片思いものだと期待して読むと、攻め、どーなってんじゃー!!と叫びたくなるはず。
だから設定の「片思い」が相応だと思うな。
攻めが真実を打ち明けた終盤以降で、攻めに対する印象がガラッと変わるということもなく、なんとなく胡散臭さが残りました。

1

小中さんの書く『芸術家の愛人』

『ラプンツェル~』を読んだ時も思ったのですが、小中さんの書く芸術家のお相手(受け様ですね)と私は相性が悪いということがこのお話を読んで良く解かりました。あ、攻めさんは芸術家じゃないけれど『夜啼鶯は~』もそうだった。

お話自体は面白いのですけれども、どうも乗り切れない自分に気づくんですよ。これ、多分『永利が仕事よりも紹惟が好き』だからなんだと思うのね。

そもそも、仕事と恋愛は同じ軸で比べられるものではないと思うんです。
紹惟はそういう考え方をしている様な気がするの。
彼は自分の写真を見る人向けに作品を造っているんですけれども、永利は紹惟のためにポーズをとり演技をする……うーん、その仕事はあなたを見る人に向けてやりましょうよ、と思ってしまいます。

恋しい人に尽くすことと、社会(この場合は観衆になるのかな)に仕事の成果を返すことを、ごっちゃにしたままお話が終わって欲しくないのですよ、個人的な好みとして。
ああ、でも、小中さんってば物語がお上手だから!
「なんかちゃうんだけどな」と思いつつ、最後までそれなりに面白く読めてしまうのがにくい……

3

芸術家のアンバランスな描写が巧み

アーティストに恋をすると大変そうだな、というのは世間でも言われていると思うのですが、今回の小中先生のこちらの作品はまさにそれを体感させてくれるお話でした。
才能に惚れ込んでしまったが故に素直に恋心を出すことができない永利、永利を愛しているものの、愛よりも芸術が最優先な紹惟。二人の蜜月は十年という長い間にわたり続くものの、時代とともにどちらも変化せざるを得ない、芸事で生きる彼らの悲哀が迫ります。
ピリピリした空気を孕んだ展開に、およそ300ページという一般的な長さにも関わらず途中何度か休憩を挟まないといられないくらい濃いお話でした。
劇中劇のような撮影シーン辺りでは、途中で「私はガラスの○面を読んでいるのか?」という気分になりました。すごく魅力的でした。
永利があらゆる執着を手放すところが悲しくも美しくて素敵でした。

3

リンゴの毒は「惚薬」

白雪姫を連想するtitleから受ける印象と違う内容だ、と、暫く読んで気づいて驚いた。
厳しい業界の中で生き残る競争のような話が前半。老いて衰えたら、若い後進に追われてしまう。
巻末は、老いたなりの恋人の美しさを際立たせる為に仕掛けた、毒リンゴを食べてしまった人の述懐。
「目力が凄いんだ」「妖精のような美」など云々・・なーんだ・・・甘々だ。

売れない元子役のアイドル・永利(えいり)が、トップモデルへ転身する切っ掛けを作ってくれた、完璧主義の天才写真家・ 紹惟(しょうい)が、なんと仕事でコケ続き。スランプを切り抜ける起死回生の企画テーマは、「白雪姫と妃」
「鏡よ鏡、一番美しいのはだれ?」
主役二人は、美貌がやや衰えだした恋人の永利32才と、ピチピチの22歳の新進舞台俳優が抜擢。

写真家の 紹惟は、永利のやる気を焚きつける為に、相手役の資料を見せて、観劇に連れて行き、嫉妬させ、別居して、永利を限界まで追い詰める。
本気にさせるために、ここまでやるの??惨い。

昔絵を描くために自分の娘を焼き殺して描いた絵師が居た話が有るけれど、
紹惟のような芸の鬼とは、恋人になろうと思わない方が、幸せな人生を送れると思う。永利は、ちょうどよく鈍いから幸せなのね。
目的の為に手段を択ばない奴は、また壁にぶつかれば身を切る手段を繰り返すと思うな。

0

リアルな現代物でした

いや、マジで、白雪姫モチーフのおとぎ話ファンタジーだと思い込んで電子で買ったから、冒頭、普通に、売れなくなった元アイドルが、芸能事務所でクビの宣告の覚悟をしていたら、、とか、最初???の嵐だったのですが、
「奇跡のミューズ」くんが、鏡の、ある意味呪いを乗り越える、とっても真面目なお話でした。
この作品、小説なだけに、挿絵のない脇キャラの声が某リアル大御所俳優さんで脳内に響いたりしてしまい、その辺、ちょっと萌を削がれがちだったりしたりなんかしたり、、、。
30歳でも美貌って、今なら全然ありでしょう。

5

性癖ストライク!だけどちょっとだけ惜しい…

天才フォトグラファーx美貌のモデル兼俳優
すれ違い思い込み、両片思い系の性癖ストライクな作品。

初めの方は受の永利が攻に相当依存しているのが描かれています。依存心の強い受はどうも苦手なので不安になりましたが、全くそんなことはありませんでした。小中さんの書かれるキャラクターは悩んでても結局最後には自分で前向きに頑張る子ばかりなので安心です。最後俳優として成長した時には、良かったねえええええ!てなってました。

若干惜しいなーと思ったのが攻の昭維サイド。この二人の関係性だったり永利の目線で進んでいくこともあって、かなり最後の方まで永利への執着が見えにくかった気がします。本編後の小話が攻視点ですが、この執着っぷりが本編でも見たかったーーという感じです。

5

芸術家の恋人なんて、なるもんじゃねぇ!

もうね、写真家の紹惟の情緒不安定っぷりったら無い。彼に振り回される永利が不憫過ぎて。芸術家の面倒臭さを遺憾無く発揮していて。目も当てられ無い。

物語的には。今一つ伸び悩んでいた売れないアイドルの永利が、著名な写真家に見出され、スター街道を駆け上っていく、いわゆるシンデレラ・ストーリーなんだけど。シンデレラの様な、スカッと感は無い。なにせ、タイトルは「白雪姫」ですからね。
さらに、さらに、スターになってからの10年後。劇中劇というか、作中劇にて。永利は「白雪姫」をモチーフにした物語で、悪役である魔女をイメージした役を演じる事になる。若くて瑞々しい後発がどんどん出て来る中で、萎びて行く美貌。これは芸能界の栄枯盛衰。
愛する紹惟の興味はもう。自分では無く、新しい誰かに移ってしまったのではないか。
焦る気持ち。諦観。
ワイルドな魅力のある男前で、皆を平伏しさせていた紹惟の豪放磊落さも、年齢と共に落ち着いて行くのでは無く。ここにも栄枯盛衰を感じさせる。
妻を三度も離縁して。最終的には永利に縋っている様にも見えなくも無い。
永利が憧れ、恋焦がれた紹惟は、どことなく寂れていく様にも思えて。
2人の恋の成就も。「これが最期の恋」と言い張る紹惟も。何だか嘯いている様で。
侘しさを感じてしまう。
言葉にして来なかったばかりに、自ら離れて行こうとする永利を、またその腕で抱きしめ、愛し合う事が出来て。この男は腰を「振りたくる」んですよ⁈ 振りたくるって。俺の俺はまだ元気だぞ!と、主張する様でいて。ここにも哀しさと侘しさと共に、滑稽さを感じてしまいました。
芸術家の恋人になんて、なるもんじゃねぇ!
永利には、この勝手な男から卒業して欲しかったです。徹底的な攻めザマァ展開でお願いしたかった。
毒リンゴに魅せられ、毒リンゴを食べさせられてしまった者たちの、哀しき物語の様にも思えました。

ところで。描き下ろしにて。永利が怯えた、新進の俳優は、昴也だった筈なのだが。描き下ろしでは昴一となっていて。誤植なのか、昴也の本名なのか、分からないけれども。
こういういい加減さはBL小説にはよくあると書かれていたのを読んだこともあるし。作者が気付かないという事は、彼には全くと言って良いほど興味が無いんだなぁ、と思うと残念に思いました。昴也は確かに永利には勝手に嫉妬されていただけだし。紹惟にも当て馬利用されていただけの、不憫っ子ですけども。これは流石に可哀想。

みずかねりょう先生の絵は本当に美しいけれど。私は紹惟はもっと男臭くていやらしい感じを想像してしまいました。だって。「振りたくる」んですよ‼︎ ってね。
評価は美しい絵に免じて。中立寄りの、「萌」とさせて頂きます。

4

こういう話は大好物です

小中大豆先生の作品は作家買いしてるんですが、こちらの作品は自分の中では久々に性癖に刺さる内容でした。

長い片想いをやはり長い年月を掛けて隠す事を覚えた受けの永利、そして天才で撮影の為ならどんな事でも平気でする美貌の攻めの紹惟。

新しい寵愛を受ける存在が現れてって、もうドキドキしながら夢中になって読みましたよ。

もう小中先生の心理描写の見事な事!永利の心が痛い時はこちらまでキリキリしたし、紹惟の本音の確信部分に触れ出すや否や今度はドキドキですよ。

でも最後まで読むとやっぱりねと先生の貼った伏線に気が付くわけです。

詳しい内容は知らずに読む事をお勧めします。
あー面白かった!

10

問われた相手は誰なのか

今回は俺様な天才写真家とモデル兼俳優のお話です。

攻様に見出された受様が攻様との新しい関係を築くまで。

受様はゼロ歳からモデルを始め、年齢ほどの芸歴があります。

幼い頃から母に言われるままに仕事をし、
中学に上がる直前に有名なアイドル事務所に入所、
高校生でアイドルとしてグループデビューするも目が出ず
メンバーが細々とソロ活動を続ける開店休業状態となります。

受様は子役からうまく抜けられず、初々しさもなく、
顔だけは綺麗と褒めらるも中性的な容姿は
モデルとしても浮きまくるという中途半端な状態でした。

そんな受様に転機が訪れたのは
天才写真家として名を馳せていた攻様との出会いでした。

攻様はアメリカの写真家に師事して20才そこそこで
現代美術館のキュレーターの目に留まり、
最初の写真集「ミューズ」が売れて以降、
常に第一線で活躍し続けている天才写真家です。

攻様が見出した被写体は必ず成功すると言われ、
攻様が4冊目の写真集のモデルとして探していたのは
刷新を狙った初の男性モデルを模索中でした。

しかも映像作品までまとめてのタイアップ企画で
攻様は受様の事務所に進められていた後輩アイドルではなく
首寸前だった受様を被写体にと指名してきたのです。

攻様は同じモデルを数年に亘って起用し続け
飽きるまで取り続ける事でも有名で
受様は攻様と身体を重ねる事で様々な事を学び
4代目ミューズとして開花します。

そして緩やかに、しかし堅実に経験の幅を広げ
すこしづづ攻様のミューズではなく、
受様自身の名前だけで売れるようになりますが

受様にとっては攻様に振り落とされないようにしがみつき
前へ前と進み続けている日々だったのです。

そして出会いから10年、
攻様は新しい写真集の被写体として受様の他に
舞台で活躍する若手俳優に注目するのです。

「2人のミューズ」と銘打たれた新プロジェクトは
写真集と写真展の他にタイアップで連続ドラマまで
企画されている大掛かりなものでした。

攻様は今回の世界観のモチーフを「白雪姫」とし
焦点を白雪姫を体現する若て俳優と
姫を殺そうとする魔女となる受様の対立とします。

受様は今までに演じた事のない悪役を演じる事、
努力で支えてきた自身にない才能を持つ
若く演技の才能もある若手俳優に脅威を覚えます。

受様は新たな役をモノにできるのか!?
そしてミューズを求め続ける攻様との恋の行方とは!?

天才写真家である攻様と彼のミューズとなった受様の
10年間の愛の物語になります♪

引退直前に攻様という天才写真家に見出された受様は
攻様の指し示されたレベルとステージを目指し
攻様の飽きられないようにと常に努力を重ねて
攻様のミューズであり続けようとします。

しかし、
本作は芸歴だけが長く目立たなかった受様が
攻様よって日の目を見るサクセスストーリー留まらず、
さらに先、より高みを目指して成長する事こそが
真の目的であり、

受様が問われ続け、攻様が信じて求め続けたのは
受様の変化だったのだと思います。

2人が過ごした10年と言う長い年月は
攻様の意識を変えていくのですが
受様にとって攻様は常に光り続ける天の星であり
受様が並んで歩く対等な関係ではありませんでした。

受様視点なので攻様の真意はなかなか語られませんが
常に追いかけられる者であり続けた攻様が
新たなミューズを求めたのは膠着した2人の関係を壊し
新たな1歩を踏み出す勇気を求めたのかなと思いました。

そしてそんな攻様の願いを
体現してくれた受様にはさらに精進して頂いて、
攻様を尻に敷くらいになって欲しいです。

11月に発刊された『小説Chara vol.43 2021年1月号』に
2人のクリスマスデートを描いた短編が収録されています。
気になる方はぜひ書店店頭でチェックしてみて下さい。

7

没頭して読んだ

小中先生の現代ものが読めて嬉しい。
もう、すごく面白かった。
文章も読みやすいので、あっという間に一気読み。

今作は、主となる登場人物達がモデル兼俳優・写真家…と、どちらかというと華やかな職業設定なのですけれど、お話全体のトーンはあくまでもシリアスベース。
小中先生といえば心理描写が丁寧な作家様という印象があるのですが、今回も主人公・永利の10年に渡る心情が本当に人間臭くて、人の心の描き方が本当にお上手だなと。

心が綺麗な人って素敵ですよね。負の感情が少なくて読んでいてストレスがない。
でも、私はぐちゃぐちゃとした感情を抱えている人の方がもっともっと魅力的に見える。
「周囲の人々がただの石だと思っていたものを、1番美しく見えるように自らの手でカットして世に出したい」という紹惟の言葉がありましたが、紹惟によって美しくカットを施された永利という人は、決してどの面もキラキラと透明感のある同じ色で輝いているのではなくて…
喜びだったり、不安だったり、時には依存や焦燥だったり、名前が付けられない感情がそのまま色となって永利を輝かせている。
読みながらそんな印象を強く受けて、彼が見せる、角度によって異なる感情という名の複雑な色の数々にどうしようもなく惹きつけられてやみませんでした。
ドッと感情が押し寄せて来て、切なくて苦しくて美しい。

個人的に、埋もれていた才能や存在が花開くサクセスストーリーが大好きなんです。
こちらの作品も、鳴かず飛ばずなままの元子役でアイドルの永利が、天才写真家と呼ばれる紹惟と出逢って成功していく様が描かれています。
サクセスストーリーやシンデレラストーリーって、不遇だった主人公がみるみるうちに花開いて、世間に認められて幸せになって終わる…なんて、綺麗なお話が多いと思うんです。
もちろんこの王道さも好きです。ストンと綺麗に終わりますし、何より読後感が心地良くて爽快じゃないですか。
けれど、今作はその向こう側まで描かれているのがすごく良かったな。
成功の向こう側。天才に見初められ、その手を取って信じ、美しく成功したその先は単調となるのか?はたまたどん底へと堕ちるのか、それとも?
紹惟との複雑な関係を交えながら、永利がどう変化していくのかをじっくりと、彼と同じ目線で追っていくような読み応えがありました。

それから、みずかねりょう先生のイラストもすごく素敵で…!
カバーイラストの繊細でダークな雰囲気も素敵ですし、カラー口絵の衣装がお話から想像していた以上に迫力と説得力のあるもので、思わずため息が出ちゃう。
この映像作品、見たくて仕方がないです。

と、お話はかなり面白かったのですが…
永利は好ましかったものの、紹惟側にいまいちハマり切れなかったことと、前事務所とマネージャーのお仕事の出来なさにウーン?となってしまい、今回はこちらの評価で。
恋愛面の萌え成分が少なく感じられたので、そちらももうちょっと読みたかったかな。
繊細な心理描写にどっぷりと浸れる良作品でした。

8

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