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鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?

kagamiyokagami, dokuringo wo tabetano wa dare?

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表題作鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?

氏家紹惟,完璧主義の天才写真家
瀬戸永利,22歳~,元子役で元アイドルの俳優兼モデル

その他の収録作品

  • あとがき
  • 写真家 氏家紹惟は砕けない(描き下ろし)

あらすじ

売れない元子役のアイドルが、
一夜にしてトップモデルへ転身!?
クビ寸前の永利(えいり) を抜擢したのは、
完璧主義の天才写真家・ 紹惟(しょうい)。
彼のモデルは代々『ミューズ』と呼ばれ、
撮影中は一心に紹惟の寵愛を受ける。
求めれば抱いてくれるけれど、
冷静な態度は崩さず、想いには応えてくれない。
深入りして、疎まれるのは嫌だ…。
そんな思いを抱えたまま、十年――。
恐れていた、新しいミューズが現われて…!?

作品情報

作品名
鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?
著者
小中大豆 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010125
4.2

(193)

(111)

萌々

(53)

(14)

中立

(3)

趣味じゃない

(12)

レビュー数
24
得点
812
評価数
193
平均
4.2 / 5
神率
57.5%

レビュー投稿数24

鏡に問いかける理由とは?

タイトルからしてファンタジーなのかな?と思ったら、めちゃめちゃ現実的なお話でした。

人気写真家・紹惟にモデルとして抜擢された、崖っぷちアイドル・永利。
紹惟と同居して撮影を重ねるうち、永利は紹惟に恋心を抱くようになります。

必要ならば仕事相手とも平気で寝る紹惟。
自分もその中の一人だと自覚しながら、せめて身体だけでも──と、気持ちを隠して求める永利。
そして、別れを恐れながら紹惟のモデルを10年も続けてきた永利の前に、遂に次の被写体が現れてーー…

もうね、永利が不器用で焦れました。
紹惟のことが大好きで、他の誰にも抱かれたことがない。
紹惟に捨てられたら一生誰ともしないとさえ思っている。
それほどの気持ちがありながら、遊んでる振りをしてたりして。
紹惟だって、好きでもない男と10年も関係を続けないでしょ……と、何度思ったことか。

変化を恐れて前に進めずにいた二人ですが、新たなモデルが現れた事で関係を変化させていきます。

ずっと囲い込んで甘やかしてきた永利を、急に突き放す紹惟。
紹惟に捨てられたと思った永利は、今までどれだけ紹惟に依存してきたのかを思い知らされます。

知名度が上がるに比例して冷めていく仕事への情熱。
小さい頃は母親のために、今は紹惟のために……そして、心の支えを失った永利は……

皮肉にも、紹惟と別れたことで永利の仕事に対する姿勢が好転していきます。
後半の「二人のミューズ」の撮影は、永利の成長が素晴らしい。
誰かのためにだけに続けてきた仕事を、やっと自分の意思で続けたいと思えるようになるまでの過程がとても丁寧に描かれていて、永利を応援せずにはいられなかった。

紹惟が永利を好きなのは読んでいると分かるのですが、永利視点で進んでいくストーリーのため、紹惟の心理描写を薄く感じていました。
だけど、最後の最後に明かされる紹惟の強い想い──これにグッときた!
不器用なんだよねー、ホント。

毒りんごを食べたのは紹惟だったのかなあ。
永利は強い魔女になったと思う。
この作品は『白雪姫』の話じゃなくて、魔女の話なんですよね。

永利の友人・誠一もいい男だったし、脇役たちも素敵なので注目して下さい!
永利とのやり取りには、ほっこりさせられました^^

タイトルとは違ってリアルな大人の恋でした。
御伽噺のようにずっと綺麗でいられるわけじゃないんだよなあ。
年相応に変化していく見た目や関係がとても良かったです。
いくつになっても変化を恐れていたら何も始まらないんだな……なんて、ちょっと考えさせられました。

29

成長を見届けました(;つД`)

 小中先生のお話にみずかねりょう先生のイラストがつく、となったら、買わずにはいられません。


 受け様は、0才からモデルとして芸能界で生きてきた永利。
売れなくなり事務所をクビ寸前の時に、攻め様である天才写真家紹惟に見出だされ、一躍時の人に。
紹惟のモデルは、代々『ミューズ』と呼ばれ、紹惟のモデルをやめた後ものしあがって売れっ子になっているのだから。

 自分が納得する作品の為なら何でもする。
身体の関係だって厭わない、というスタンスの紹惟。

 自信がなく萎縮していた永利を、紹惟はとことん甘えさせ構いたおして花開かせていく。
そんな紹惟に導かれ、永利は殻を破って本来の美しさや魅力を引き出しされていくけれど、同時に紹惟に依存していく自分の気持ちにをとめられない。

 重いと思われないよう、好きだという気持ちを閉じ込めて、共に過ごしてきた10年。
いつ紹惟が次のミューズを見出だすか、自分がお払い箱になるのを怯え続けた10年でもあって。
苦しい歳月だよなぁ。
紹惟と出会った時22才だった永利も32才。
年齢と共に魅力が増すものももちろんあるけれど、若さや分かりやすい美しさってものは、確実に衰えていくわけで。

 そんな中、とうとう紹惟が次のミューズを抜擢。
今回は永利と『2人のミューズ』
抜擢された昴也は、ハツラツとしていて、根性もあり魅力的。

 もうなぁ、永利視点で進むから、この辺りから私としても苦しくて。
多分考えあっての事なんだろうな、と思っちゃいるけど、ぐわぁぁぁι(`ロ´)ノってなる!!
なので、永利が自分で更に殻を破って、周囲が息を飲むような演技を見せてくれたときは喝采ですよ!!♪ヽ(´▽`)/
紹惟のカメラ越しに、その新しい魅力を見せつけた時はめっちゃ気分よかったです。

 紹惟の目を気にして囚われていた永利が、それを解き放った美しい姿を切り取る事ができるのも、また紹惟なんだすよね。

 紹惟から家に誘われた時に、バッサリだった永利に気分爽快。
もっとさよなら感出してやればよかったのに。
これからは腕の中ではなく、隣にいたい、という永利の言葉がかっこよかった。
これからは、隣から羽ばたいていく永利に、ハラハラするがいいさ、紹惟。


 みずかねりょう先生イラストは、やはり最高でした。
口絵の2人とか、意匠を凝らした衣装がとても目を引きました。
永利の髪にドライヤーをかける紹惟のイラスト、ほんわりしてて好きだなぁ(*´∇`*)

17

こういう話は大好物です

小中大豆先生の作品は作家買いしてるんですが、こちらの作品は自分の中では久々に性癖に刺さる内容でした。

長い片想いをやはり長い年月を掛けて隠す事を覚えた受けの永利、そして天才で撮影の為ならどんな事でも平気でする美貌の攻めの紹惟。

新しい寵愛を受ける存在が現れてって、もうドキドキしながら夢中になって読みましたよ。

もう小中先生の心理描写の見事な事!永利の心が痛い時はこちらまでキリキリしたし、紹惟の本音の確信部分に触れ出すや否や今度はドキドキですよ。

でも最後まで読むとやっぱりねと先生の貼った伏線に気が付くわけです。

詳しい内容は知らずに読む事をお勧めします。
あー面白かった!

14

とても良かった!

小中さんの作品はBLを読んだ!という満足感を得られます。途中はちょっとドロドロするけど最後はハッピーエンド。主人公の受けは元売れないアイドルだったけど有名写真家の攻めのミューズとして見出されモデル・俳優として売れるようになります。華やかな芸能界の話なのでみずかねりょうさんのきらびやかで美しい挿絵がピッタリでした。表紙のアンティークっぽい鏡とかイバラのデザインも素敵で力入ってる感じです。

俳優さんって美しくてブレイクしてもすぐ新たな若手が控えているからシビアなお仕事です。今年は特に美しい俳優・女優さんが若くして命を絶った悲しいニュースも多かったので華やかに見えても大変な世界だろうな、と色々考えてしまいました。

攻めは写真家だけでなく映像プロデュースみたいなことにも手を出し、受けを愛しながらもその力を信じ、極限まで追い詰めて伸ばす…ちょっとやり方がイケズすぎた。出来る男だけど性格に難ありのドS攻め×一途で健気な純情受けという小中さんお得意パターンのカップルです。

最後に2人は恋愛倦怠期みたいなのを乗り越え、真のパートナーになるのですが、攻めのプロポーズ的な言葉もなあ…「ここ1年はお前としか寝てない。これからはお前だけだからお前も俺だけにしてくれ。」みたいなセリフがさあ、10年付き合ってパートナーとして覚悟決めるまでに9年かかったんかい!とツッコミたくなりますね。

まあいいの。受けはあんな男でも良くて幸せそうだったから。受けはとても攻めに愛されてる様子が伝わってくるのに自己評価が低い人で可哀想でした。一緒に料理してた所とか仲良し夫婦そのもので素敵なシーンだったのに。攻めはもう少し早く受けに好きと言ってあげてほしかった。今までつれなくした分これからは溺愛してほしいです。

13

片方ばかりが好きすぎる想いを重ねた10年後

攻めの紹惟は、海外でも名を知られた有名写真家です。
怜悧な整った顔で艶やかで華のあるアラフォーの傲慢で自信家。
男にも女にもモテるバツ3ですが、永利の評価ではヤリチンのクズ。
いい家の坊ちゃんが何の苦労もなく有名になった天才写真家という感じです。

受けの永利は、そこそこ売れている俳優です。
中性的な美人顔の32歳
紹惟に10年来の片思いで恋人になりたいけれどセフレにしかしてもらえない。
仕事にも情熱をなくしている現状をなんとかしたいと思って足掻いています。
同じ想いを返してくれない紹惟に対して気持ちを隠し、気ままに男と遊んでいる風を装っているのが切ないです。

後日談的な短編の紹惟視点のストーリーが良かったです。
2人で共同出資して家を買う時、紹惟は共有名義は面倒だけど2人の中がこじれた時共有資産の処分が面倒で別れるのをやめようと思いとどまるかもしれない可能性まで視野に入れていたことに彼の執着を思い知りました。

7

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