電子限定おまけマンガ付
上巻から引き続き。
家で一緒に過ごして、ベッドを共にして、二人で食事に出かけ、
なんとなく距離が縮んだような、というか、もはや恋人同士?と
期待を込めてしまいそうな甘く穏やかな雰囲気の梶と神谷。
まっすぐな梶の愛情や優しさに神谷も心地よさを感じていて、
妹の話をしたり、プライベートな領域まで踏み込むことを許し、
やっと梶の一途な想いに心を開き始めたかと思えば、やはりそう甘くなく、
神谷の理性の部分が梶を拒んでしまいます。
梶の気持ちはとうに決まっているので、あとは神谷の気持ち次第ですが…
神谷ってすごく臆病なんですよね。
ゲイであることを受け容れ、性に奔放に振舞ってはいるけれど、
それでもやっぱりコンプレックスはあって、梶が女性といると
そちらに視線が向いて、無自覚に意識してしまっている。
それは嫉妬からなのか、劣等感からなのか。
ノンケの梶と本気で向き合ったとしても、いつの日か、
自分よりも女を選ぶことがあることがあるかもしれない。
女の人と家庭をもてば子供をもつこともできるのに、
自分といることでその未来を奪ってしまうことになるかもしれない。
梶を見つめる神谷の眼差しからそんな葛藤が読み取れてしまい、
切なかったです。
妹の浮気旦那の失言に反応して、珍しく怒りをあらわにしていたのも
どんなに望んでも子供をもてない自分と妹で重なる部分があったのかなぁ…
本当は恋愛に対して誰よりも純粋で、とっくに梶が好きになっていて、
ただそれを受け容れるのが怖くて素直になれないだけなのにね。
自制して突き放して、それなのに忘れられなくて、
悶々としているところに直球な愛という最強の武器を
装備して攻め込んでくる梶。
神谷が短い方が好きだから髪を切ったとか、そんな可愛いこと
言われたらグッときちゃうに決まってるじゃないですか~!
もう忘れようとしていたのに、突然キスされちゃったら
赤面しちゃうに決まってるじゃないですか~!!
このときの繕ってない素の神谷の赤面も可愛いんですが、
神谷に「ありがとう」て微笑まれてうっかりキスしちゃった風な
梶の驚いた表情もすごくいいんです。
可愛くて自然と手出ちゃうってどんだけ好きなんだか♡
散々悩んだ割に最後の神谷の決断は意外にも力技的でした。
でも、それって頭でわかっていても、梶への気持ちだけは
抑えきれなかったってことですよね。
梶の将来のことやいつかやってくるかもしれない別れとか
神谷がずっと怖れてきた障壁全部ふっ飛ばしてしまうほどに
梶のことが好きで、一緒にいたいって願ってしまったってことですよね!
普段は理性的に見えるけど、実はその内面はとても情熱的で、
きっとこれが神谷の本来の顔なんだろうなって思えました。
一方、念願の恋が叶ったにもかかわらず、告白されたときも
その後のセックスのときも相変わらず仏頂面な梶でしたが、
その瞬間の彼の心がどれだけ踊り狂っていたのか心中を
覗いてみたかった(笑)
でも、その後の『中間レポート』では自分のために慣れない
ケーキ作りをする神谷の健気さに悶絶し、抱きしめてしまっています。
表情はそのまんまだけど、
「お前がこんなにかわいいやつだとは知らなかったよ」って
既にメロメロな様子にごちそうさまでした♥
そして、本気で好きになったら尽くしちゃう神谷が最高の恋人でした!
クールな大人組で甘さ控えめなところが魅力的な二人でしたが、
いつかイチャベタしている二人も見てみたいです♬
里つばめ先生のエリートシリーズ。
『俺が好きなど嗤わせる 上』の続編になります。
東都第一銀行本店M&A事業部次長 梶 孝臣と営業第二部次長 神谷 恵一のお話。
前作では、ノンケ梶の本気にハマらないゲイ神谷は、その後の関係も曖昧なままで…。
今作は、その続きになります。
付き合ってはいないけれど、一緒に食事をしたり、神谷の部屋で過ごしたり…いい雰囲気になる2人。
しかし、日々の中で神谷にはいろいろ思うことがあって、前に進めないでいました。
ある日、2人で食事した帰りに取引先の部長を目撃したことから「賭け」をすることに…。
下巻では、銀行の内部事情やプライベートを絡めながら、梶の本気の度合いと神谷の心の葛藤が描かれています。
妹の離婚の話し合いに立ち合い、同期の旦那が女性を誘っている現場に遭遇した神谷。
おそらく「愛」とは不確で儚いモノだと実感したのではないでしょうか…。
ましてや、バツイチとは言え、梶には「家族」を持てる未来がある。
ノンケの梶と付き合うことは、お互い後悔することになるかも知れないと思うのは当然です。
でも、梶に魅かれている「自分」がいることも確かで…。
頭の中では梶の存在が大きくなっているのに、先のことを考えてリスク回避をしてしまう神谷がせつなすぎる(泣)
「二度と会わない関係なら良かった だったらそのうち忘れられたのに」
一方、仕事のためにいろいろ犠牲にするのはやめた梶。
神谷にも自分の想いをぶつけます。
しかし、梶はいつも言葉が足りないのでなかなか真意が伝わらず…。
「賭け」に負け、とうとう身を引いた…と思ったら、引いていなかった(笑)
神谷の好みに合わせて髪型を変えた梶は必見ですよ~。
本気だから不器用になってしまう2人のモダモダに胸を締め付けられました。
相手のことを考えるからこそ、双方が納得できる着地点が見付けられない…。
里つばめ先生のエリートシリーズの中でも、同性同士の恋愛の行く末にグッと迫った作品だと思います。
表面上は淡々と…でも内面ではやるせない想いに溢れている2人に最後までハラハラしました。
このお話の下巻では当て馬は登場しません。
脇キャラとしては、お約束の加藤と松田、2人の同期 宮川次長、神谷の妹 志穂ちゃんが登場します。
神谷と志穂ちゃんが仲良しなのが良かったな。
Hシーンは…あるのですが、コマ数が少ないです(汗)
もっと見たい!でも、物足りなくはないんですよ。
きっと、神谷の顔が幸せそうだったからだと思います。
初めて「好き」を伝えた相手とのセックスは心身ともに満たされたに違いありません。
描き下ろし『中間レポート』
本編のその後のお話。
クリスマス当日にケーキを買おうとする梶ですが、どこのお店も売り切れで…。
2人の恋はまだ始まったばかりでお互いに知らない事だらけ。
ガーン∑(๑º口º๑)!!続編はないのですか?
梶は実家をどうするの?
この後の2人が気になるよ〜。
どの作品も面白くて魅力的なエリートシリーズ。
こちらの作品はその中でも異なったテイストになっています。
大人の複雑な恋愛模様と距離感が上手に表現されていました。
そして、本編はもちろん、タイトル、表紙、帯までも、里つばめ先生や担当編集者様、デザイナー様の愛とセンスを感じます。
いつか甘くラブラブな2人も見たいな♡
ぜひ多くの方に読んでいいただきたいおすすめのシリーズです。
エリートバンカーのオフィスラブを描いた上巻からの続きです。
エリート同士の恋の駆け引きに痺れると同時に、銀行でのドラマのようなやり取りにはワクワクさせられました。
一緒にいる時間が増え、なんとなくイチャイチャしているように見える二人に萌えまくります。
まわりの男たちに嫉妬して、牽制して、独占欲丸出しの梶に下巻でもキュンキュンさせられっぱなしでした。
それでも神谷が踏み込めないのは、梶がノンケで女との将来も予見できるから。
クールに見えるけど、神谷もとても優しい。
同期や妹のために怒ることが出来るし、梶の将来を簡単に奪うことが出来ない。
と同時に、臆病な愛されたがりなんだとも思う。
梶に惹かれながらも突き放してしまうのは、神谷の予防線なのでしょうね。
取引き相手に違和感を覚えた二人は、「先に問題を見つけた方が勝ち」という勝負をする事に──
梶が勝ったら、真面目に梶とのことを考える。
神谷が勝ったら、今後仕事以外の連絡はしない。
この勝負の結果は……?
去っていく梶の後ろ姿がとても切なかった。
素直な気持ちを伝え、神谷のタイプに寄せるために髪を切った梶。
神谷への未練が女々しくなくて、むしろ潔さすら感じさせる梶がやっぱりカッコいいなと思いました。
男同士、同じ職場、ノンケとゲイ。
二人が結ばれるには障害が多いのかもしれない。
それでも、〝後悔することになってもその時考えればいい〟と決めた神谷の覚悟の大きさに胸熱でした。
そして、最後まで気持ちがブレなかった梶が素敵でした。
頬を染めて上目遣いで見てくるようなキャラはいっさい登場しない里作品。
仕事が出来て潔く、性欲すら隠さない男らしい男たちの駆け引きがカッコ良かった。
梶が神谷を好きになったきっかけや理由がハッキリ語られるわけではないのですが、きっと色んなことの積み重ねなんだと思う。
過去に実は何かあったのでは……なんて、想像するのも楽しいかも。
とはいえ、ラストは少し駆け足の印象。
正直なところ、もう少し余韻を楽しみたかったです。
描き下ろしは可愛くて萌えました♡
意外と健気な神谷が可愛かった〜
カバー下の小ネタ集や、帯の加藤・松田との絡み漫画も面白かった!
電子にする際、絶対にこの帯の漫画を省かないで欲しい。
これ絶対‼︎
えー。
実はワタクシ、里先生初読みです。
人気作家さまで、「GAPS」という人気シリーズも描かれている里先生ですが、なんとなく手が出なかったんですね。
が、リアル書店でお見掛けし、表紙にどうしようもなく惹かれて購入。レビューで他の作品のスピンオフと知りつつ手にしましたが、前作未読でも問題なく読めました。
上下巻まとめてのレビューです。
エリート銀行員を主人公に据えた今作品。
「エリート」というと、BL作品ではとかくスパダリをイメージしますが、なんていうのかな。
等身大。
そんな言葉がしっくりきました。
エリートがエリートたるゆえん。それは、ひとえに努力あってのこと。そんな地道で、けれど仕事に誇りを持ちプライドをかけ働く男たちのなんとカッコいいことよ。
もうさ、スーツはずるいわー。
カッコよさ倍増するもんな。イケメン×スーツの破壊力をまざまざと見せつけられた感じ。
で。
とにかくタイトルが秀逸だなあと感じました。
『おれが好きなど嗤わせる』。
嗤わせる。
んですよ。
自分「なんか」を好きなの?という、神谷のゲイであることの葛藤。
それを、タイトル一つで表現しきっている。素晴らしいです。
飄々とした神谷の、過去の恋。
じっくり描いているわけではないのに、彼の哀しみが溢れて読者に流れ込んでくる。けれど彼がカッコいいのは、そこから自身で一歩踏み出したこと。その男気にKOされました。
そして、そんな神谷に恋して、グイグイと、けれどきちんとした距離感をもって迫る梶。
38歳同士、次長でもある優秀な銀行員、良い大人でもある、この二人。
モダモダすれ違う、その感情はなんて言えばいいのかな。
駆け引き、というのとはちょっと違う気がしました。
大人であるが故の分別、葛藤、そして自分を守る鎧でもあった。もう、傷つきたくない。
けれど、その鎧を突き破ってしまうほどの恋に、彼らは堕ちたんだなあ、と。
初っ端から梶の上に乗っかっちゃう神谷、という二人の関係でありながら、そこに流れるのは紛れもなく純愛であり、オッサンのみっともなくも可愛らしい恋。
いやー。
最高か。
うん。
最高だった…。
『俺が好きなら跪け』も、そして「GAPS」シリーズも、読んでみようと思います。
銀行の管理職同期同士の大人の男の恋愛もの。
ちょっと無愛想だけど仕事のできるバツイチ、ヘテロの攻が、ひょんな事から、同じく仕事のできる、きれい系で適度に遊んでいるゲイの同期と寝たことをきっかけに、本気の恋愛に至るまで、のお話です。
仕事ができるライバル同期同士、信頼できる仕事仲間としての関係が前提となっているので、お仕事ネタ半分、プライベート半分って感じなので、物語は進みます。
会社での仕事が出来る男としての姿や、周囲の女性に対するスマートな対応と、それを受けてのプライベートの姿とのギャップも魅力的。
攻も受もどちらもがいい男なのです。
(おそらく)本気の恋愛の延長としての結婚をしたにもかかわらず、仕事にのめりこんだ結果、離婚という結果になり、今では文字通り仕事一筋の味気ない生活を送っている攻と、ゲイとして引き手数多だけど、適当な関係しか築いて来れなかった受。
そんな自立した大人同士が、一見ドライだけど実は本気の恋愛をする過程には大変悶えささられました。若造にはできない恋愛だな〜って感じ。
ただ惜しむらくはページ数が足りない!!!
お仕事関係のエピソードも、ページ数がもっとあれば、もっと盛り上がりそうな美味しいネタでいっぱいだったし、二人が本気になる過程もちょっと端折られた感があって、最後が少し尻きれトンボという感じがしました。
キャラが脇役含めてそれぞれに魅力的だし、何より、主役の二人が、絵空事なキャラではなく、とてもリアリティのある良い男たちなので、もっともっと掘り下げたエピソードが読みたいし、ラストが駆け足だったので、その後のエピソードもぜひ読みたいところ。
里さんの作品は、gapsもdogsも、話が続けば続くほど面白くなっている気がするので、是非続編が読みたいです。