特典付
『絶望に啼け』の下巻。続きものなので上巻未読だと理解できません。
会社のデータを抜き取ったの誰か分かった、というところまでが上巻で描かれていましたが、その続きからになります。上巻のネタバレも含んでのレビューになります。ご注意ください。
データを抜き取ったのが赤嶺だとバレたことで会社にいられなくなった赤嶺ですが、それを明らかにしたのは誰でもない、内海だった―。
そんな衝撃的なシーンで終わっていた上巻。
赤嶺に心を許したように見えた内海。それは虚像だったのか―。
データ云々、は上っ面でしかなく、この犯罪の真相はもっと根が深い。
そういった部分で武骨な展開を持つ作品です。が、今作品は紛れもなくBLであり、恋愛ものであると思いました。
赤嶺がデータを盗んだその理由。
赤嶺が内海をレイプした理由。
内海が、赤嶺をとことんまで追い詰めた、その理由。
愛情は、裏を返せば憎しみになるんだなあ、と。
愛憎は、表裏一体なんだなあ、と。
深い。
めっちゃ深い。
愛したから、受け入れてほしかった。
自分で自分の感情がコントロールできない。それほどまでに愛した。
不器用な男たちの、そんな彼らの想いと深い愛情に萌えが滾って仕方なかった。
あとねぇ、これだけは言いたい。
エロが素晴らしい。
めっちゃ綺麗。
体つきも、表情も、ナニからナニまで。
トーンのはり方が上手なのかなあ…。艶っぽさとか淫靡さとか、マジでヤバいのでじっくり堪能されてください。
はじめに書きましたが痛いシーンも多く、読み手を選ぶ作品かもしれません。けれど人の愛情とか、その裏とか、そういった心情を深く掘り下げた良作でした。
文句なく、神評価です。
上下巻読了。
上巻で赤嶺が睨みつける視線の先に、内海のあの表情があるんですよ!!下巻の表紙の表情がとても素晴らしかったので、こちらにてレビューいたします。
赤嶺のレイプの動機は意味不明。内海が会社のトラブルに便乗して赤嶺を陥れようとする陰謀は濃ゆい内容で、私の残念な理解力ではなかなか難しいお話でした。
でも兎に角、紫能了先生の画力がハンパない!!こんなレビューはもしかしたらマイナスイメージになってしまうかもしれませんが、好きなイケメン俳優が出てたら好みじゃないジャンルでも観てしまう的な?
本当にどこを読んでも、どの角度から見ても、素晴らしい画力!!!見たことないアングルだし、見たことない美しさ、見たことない表情!賛辞しか思い浮かびません。
何度でも拝みたい。そして何度も拝むときっと私の理解が追いつくはずだと思います。
愛情の反対語は無関心なら
愛の同義語は憎悪だと思います
内海が6年間その憎悪に取り付かれていたと思います
まぁ取り付かれますよね
なぜ赤嶺はあんなことをしたのか
この理由について何も書かれていないのがこの物語のブラックボックスですよね
無自覚のバイだった赤嶺が無意識的に好みだった内海を蹂躙した
のかな?
と赤嶺を擁護するつもりは1ミリもないのだが
そう思うことで物語を読み進めることにしました
あえて先生はこの点について答えを出さなかったんではなかろうかと思っています
何もかも行動に答えはないし
この物語の端々には答えがない男たちの愚かな行動が描かれているからです
人間は時々信じられない位愚かなことをします
それはもうびっくりするような
すごく挑戦的な物語だと思います
感情の流れは全く素直なものではなく
互いにとらわれている状態に共感できるかと言われたらちょっと違う
でもこの2人どうするんだろう
どうなるんだろうと最後まで読んで
この2人が出した結論は2人を取り囲んでいた状況のことを考えるとかなり上等な着地点だったと思っています
男の作家さんが描くハードボイルドよりもえぐいかも
でも私はこんな男同士のお話を読みたかったのでとても満足しています
って本当に画力がある方でないとできないですよね、!
何様だよって感じなのですが、本当にこの作家さんの表情作りがすごいんです!
目元ひとつ、口元ひとつでこれだけ感情が伝わってくるなんて。
デビュー作である前作でもすごかったですが、今回は話の内容も相まって、素晴らしさが際立っていました。大好きです。
上下巻で一つのお話なので、総評で神評価です。
表現力もさながら、何と言っても、ストーリー展開が唯一無二だったのではないでしょうか。
確執、事件、陰謀、そして恋愛にエロまで。
怒涛の展開に、ジェットコースター並みにグワングワンと情緒を振り回されるのはとても楽しかったです笑
好きだからこそ、自分を貶めた相手が憎い。
でも、どれほど憎めど、元を辿れば相手への愛があって。
内海が、膨れ上がる憎悪と根底にある好意の板挟みに葛藤する様が、いい意味で生々しかったです。
お綺麗な感じではなく、その場その場の感情で動く登場人物にすごく人間味を感じました。
確かに、疑問が残る部分が無くもなく、少し本筋のために強引な設定付けをしてしまっているのかもとも思いましたが、それを以てして余りある表現力とエンターテインメント性だったと思います。
私はあまり細かいところを気にせず読めるタイプなので、本筋の二人のストーリーをハラハラドキドキ楽しく追わせていただきました。
最後も、二人の中ではしっかりと過去への踏ん切りがついた上で幸せそうなのでオッケーです!
ああ。結局ね、もの凄いハタ迷惑なバカップルなんだよなぁ、って。
呆れながらも。ジワリ涙する。壮大な「構ってちゃん」同士の恋の行く末を。
どうか見届けて。
そもそも。内海は、自分を気にして優しくしてくれた、自分を見つけてくれたと赤嶺を慕いそうな心持ちだったのに。その後、無理矢理犯されて。そんな事を直ぐに忘れて、冴木さんといる時だけ笑顔を見せている赤嶺に可愛さあまって憎さ倍増となっていた。
ただ悔しくて。憎くて。その気持ちが自分を見てほしいという。恋そのものだったと気付く。で、いいのかな。そんな風に割り切れるものでも無いのだ。だって。6年。6年間もの間、ただ赤嶺への憎しみだけが、内海を生かし、突き動かして来たのだから。
そして。赤嶺も。ただ叶わぬ想いを上司である冴木さんの為と思って、会社を裏切ったのに。当の冴木さんは自分の気持ちを知って尚、その気持ちを利用したのか。
最も好きになって欲しかった人に、見てもらえない、切ない、苦しい想い。
それが内海が抱いている気持ちと同じだと知った時。赤嶺はじっとしていられなくなる。
そもそも、赤嶺、内海、元は冴木も勤めていた会社が結構ブラック。社長は反社と繋がっていて、危ない橋を渡っているし。内海が犯される原因となった会社の飲み会にしても、飲めないと言っている社員に飲酒を強要したり。ロクなものでは無い。挙句、社員を人とも思っていない。単なるコマだ。利用しては捨てる。消そうとすら、するのだ。
何を扱っている会社なのか。
内海は、吸収合併した会社に残るというが、この会社が黒過ぎてゾッとする。
どんなに傷つけられても。心削られ、痛みを伴っても。
この感情だけに生きる。
些か唐突にも思えるラストへの疾走が、2人の肌を突き破る様で。とてもハラハラしました。
激しい感情をぶつけて。ぶつけられたから。今、好きだと言えるのかもしれません。
命尽きるのかと思われた、ラスト周辺のぶち抜きのキスシーンが壮絶で。
よもやメリバかと思ってしまいましたよ。
強い感情に支配された6年間を忘れる事は無いけれど、2人で生きて行くと決意した2人は、きっと。
これからはずっと大丈夫。そう思わせてくれたラストでした。
紫能了先生の、前作「主張ホストNYU BOY」を読みたくなって。今、再読して。やっぱり泣いてしまったんだけど。紫能了先生は、強い感情と「その人らしく」生きることをテーマに描き続けて行く方なのかな、と思いました。次回作もとても楽しみにしています。
修正は白抜きなんですけども、とても激しくエッチぃです。そんな馴れてもいない狭いところにグイグイ入るのがやっぱり不思議。