電子限定かきおろし付
先生の背景の絵が特に好きです。
コントラスト、デザイン、文様がすばらしい。
ストーリーは、え?どういうこと?な展開が続き、徐々に明らかになっていく手腕がお見事です。おもしろい。
だんだんタイトルの意味がわかる仕組みがたまりません。
BLとしては、半分血がつながっていないとは言え血縁モノが苦手でして。
でもこの兄弟は幼い頃、お互いかけがえのない存在だったことは共感できました。
執着するのもわかります。
終わり方も、人外によくあるどちらかが人間ではありえない長寿でいずれ生き別れてしまう…というものでないのがよかったです。
弟の血が兄の心臓。物心ともに一心同体であると。
一連托生。赤い泥(弟の血)から咲く蓮の花のような2人。
同じ時間を生きられる。
それがあの微笑みなんですね。
事前情報無しのまっさらで読み始め…
途中までストーリーがよくわからないな?……と思いながら読んでいて。
えっ
…とわかった時の驚き。
全て読み終わった後、この作品が「孤独なモンスター」というお題の元での作品だったことを知る。
なるほど〜。
中華な舞台。
異母兄弟の跡目争い。
巻き込まれながらも当の兄弟の間には確かで豊かな兄弟愛。
何度も殺されかける愛人の子である幼い弟を慈しむ自分もまだ幼い兄と、そんな兄を慕う弟の健気な年月は、ついに弟の婚礼の日に決定的に壊れる。
そこからの奇妙な筋立ては、正にタイトル通りの「屍と花嫁」。
毒と死と血と殺意に満ちていながら、幼い時から続く暖かくて優しい愛情の方が印象に残り、このエンディングが正に永遠の愛に包まれた幸せであることにほっとする。
表紙買いです。圧巻でした。特に後半は泣く暇も無いほどの急展開で、息を呑んで読んでいました。リィ様が事実を知るまで演じていたヒョウカは本人とは全く似つかず、欲張りな雹華と欲を抑えているリィ様の対比が切なかったです。2人が同じものを望んでいたからこそ、こうなったのか...。雹華は苦手でしたが、この人がいないとこの作品は成り立たないし最後はスッキリする結末で読んで良かったです。残酷な兄弟愛ありがとうございました。
評価の高さと表紙の美しさ、タイトルの不穏さに引かれて購入。
執着愛?純愛?なのかな。
ふんふんとそれなりに楽しく読みましたが萌えまくるまではいかず。
良く考えたら私が人ならざるもの系の話があまり得意でないからでした。
それでも2人の命の設定や2人の選んだ生き方にはじーんとしました。
不穏で恐ろしげな雰囲気の読み始めから美しい愛を感じられるその終わりまで。印象がガラリと変わっていく様子がとても味わい深く、独特な世界観に強く引き込まれた作品でした。
ベールに顔を隠した花嫁の正体は実の兄。
でもそこにある事情は単なる成りすましや入れ代わりなどではないので、序盤で明かされるその事実をある意味覆していくような展開に唸らされました。
そして静かに進んでいくお話の中にもハッとするようなエピソードが落とし込まれてあり、読み手の心を掴むのが上手いなぁとしみじみ思いました。
命が終わるまで心身を捧げ合うふたりの間にあるものを「愛」という言葉でひと括りには出来ず、そういう部分に赤河先生らしさを感じました。
本当に素晴らしい作品でした。読んでよかったです。