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異界で魔物に愛玩されています

ikai de mamono ni aigansareteimasu

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表題作異界で魔物に愛玩されています

サタナキア
320歳,山羊頭の高位悪魔
西野秀翔
19歳,大学生

その他の収録作品

  • 異界で魔物に溺愛されています
  • あとがき

あらすじ

秀翔が目を覚ますと、そこは異界だった。人間を食料として扱う店で間一髪のところを、山羊頭の魔物サタナキアに買い取られる。命の危険はなくなったものの、檻に入れられ、首輪と鎖で繋がれ、ペットとして飼われる秀翔。だが知的なサタナキアと互いの言語を教え合い、やさしくかわいがられるうちに、秀翔は彼に惹かれていく。一方、サタナキアのほうにも変化が表れ……? 高位悪魔×普通の大学生、種族を超えた恋。

作品情報

作品名
異界で魔物に愛玩されています
著者
夕映月子 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525421
3.1

(45)

(13)

萌々

(9)

(7)

中立

(4)

趣味じゃない

(12)

レビュー数
10
得点
126
評価数
45
平均
3.1 / 5
神率
28.9%

レビュー投稿数10

No Title

うーん…重い。
ひたすらヘビー。
BLとは関係ない部分の描写が。
人間がペットや食用肉として扱われる異界でのお話なので、とにかく重い。
あとくどい。
その部分に対する描写が。
これはBLを読ませたいのか、それとも動物をペットや食用肉として扱う人間達に、その是非を問いたいのか、何か問題提起しているのか?と思うほどでした。
あそこまでしつこく書く必要はあったのだろうか。
最後まで読んでも、何か…救いがあるようなないようなあるような…。
ハッピーエンドなんですけどね。
でも主人公を取り巻く環境ってけして良くはないし。

あと、人外ものは大好きだし、攻が人間以外のBLも大好きなんです。
でも山羊は萌えなかった…。
山羊頭だという説明も何度も書かれるので、その度に「山羊でしょ?え、山羊だよ?かっこよく見えるの?マジで?」みたいな。
人外ものが好きな人でも、この作品は好みが分かれるのではと思います。

1

【おまえは、やわらかくて甘い……かわいくて食べてしまいたくなる(サタナキア)】

エロス度★★★★

サタナキア×秀翔♡

異界の悪魔と異界に拉致された大学生の恋物語で、陵クミコ先生が描くイケ山羊攻め・契約紋の色っぽさが魅力的


ペット目的として悪魔に飼われる秀翔だけど、変わり者のサタナキアと賢者と交わす問答などのやりとりを経て関係に変化が生じるのがたまらない


サタナキアの甘々な溺愛や独占欲と人間の恋人にメロメロになる悪魔がツボ❤︎


相思相愛なイチャイチャに悶え、すれ違いに胸が痛くなったりと異界で繰り広げられる恋に萌えまくりで、濡場ではSEXの度に快楽のあまり意識を失っちゃう秀翔が最高です♡

2

本当に大好きでした

もうすぐ2年になるのですね。
先生の訃報を知り、非常にショックを受けたのを思い出します。
「楽園暮らしはどうですか?」「倦怠期は犬も食わない」他、夕映先生が書かれる、好きという純粋な気持ちや愛情に満ちあふれた作品たちが大好きでした。

以前、小説Dear+のファンタジー特集に掲載されていたこちらの作品を拝読した際に、今まであまり見たことがない独自の世界観とサタナキアのキャラクター像にすっかりと魅了され、続きが読みたいとアンケートはがきを送ったことがありました。
ご病床で書き下ろし分を執筆されたとのことで、熱望していた続編が読めてうれしい気持ちと、読み終えてしまうのが寂しい気持ちでいっぱいになりながらページをめくりました。

先述の通り、雑誌掲載時に魅力的な設定とキャラクターに夢中になって読んだことを鮮明に思い出しました。
人間が人間として扱われてはいない魔界というダークな世界の中で、山羊頭の悪魔・サタナキアにペットとして飼われることになってしまった、ごく普通の日本人大学生・秀翔。
悪魔のサタナキアが本当に理知的でかっこいいんです。
陵先生のキャラクターデザインも品があって本当に素敵だと思います。
表情があまり表に出ないため一見分かりづらいけれど、朗らかに笑ったり、時にはやきもきしたりと、「人間くさい」かわいらしいところもある攻めですごく好きです。
人間である秀翔にとってはハードな世界である魔界生活の中で、英語のやり取りから始まり、少しずつお互いの言語を教え合いながら距離を縮めていく2人の姿が微笑ましくてたまらない。
飼育する側と飼育される側だった関係性が変化していく様を自然に描きながら、それと同時に種族の違いを私たちがごく当たり前に認識している犬や猫等の愛玩動物を例に例えるのが上手いなあと…
秀翔とサタナキアの、相手の価値観を理解しようと歩み寄るような哲学的なやり取りも心地よかったです。

いわゆる人外頭攻めですと、攻めが人間の姿になってしまうお話も少なくないと思うのですが、個人的に美女と野獣で野獣が人に戻ってしまうのを悲しんだタイプの人間なので、そうではなかったのもうれしいポイントのひとつでした。
(もちろん姿が変わるタイプのお話も好きです)

始まりはちょっとした好奇心と興味から。
意思の疎通を試みて、やがてお互いを理解し、好ましいが愛おしいに変化していく。
種族ではなく、あなたという個を愛している。
種族も価値観も異なる者同士が寄り添い合う、甘く優しい愛情にあふれた素敵な作品でした。
サタナキアと秀翔に出会えてうれしいです。

夕映先生が書かれる恋人たちのお話が大好きです。
きっとこれからも何度も読み返すと思います。
先生のご冥福をお祈りすると共に、素晴らしい作品たちを世に送り出してくださったことに心からの感謝を申し上げます。

7

素敵な作品ありがとうございました

ツイートで夕映先生の訃報が流れて来て密かにショックを受けました。

初めて読んだ先生の作品は「恋してる、生きていく」なんですが、ちるちるさんを利用する前でしたので記録には残っていないのですが、記憶には残る素敵な作品でした。

その後も「二人の王子は二度めぐり逢う」「本気の恋をお借りします」「東宮御所の稀なる妃 ~比翼のつがい、連理の運命~」「あなたを好きになりたくない」や、特に好きだった「Mr.α」などを読みました。

こちらの作品は最初は設定に興味が持てなくて購入してなかったのですが、夕映先生の最後の作品だと知り読んてみたいと思って購入しました。

特に書き下ろしの「異界で魔物に溺愛されています」は病床で執筆されたと知り、それでこんなに優しいお話になったのだと納得出来ました。

あとがきにサタナキアの人間姿のリクエストが多かったとありましたが、理性的で知的な山羊頭の高位悪魔がとても魅力的に書かれていたと思いました。

表題作では特に秀翔をペットから意思を持った同等の存在として愛していく過程が良かったです。

恋人同士になってからの書き下ろし「異界で魔物に溺愛されています」も、秀翔を愛するが故に自由にしてあげたい、でも彼を失いたく無いという相反する葛藤が人間臭くて素敵でした。

番になってサタナキアと同じ時を生きることになった秀翔ですが、彼が前向きだっただけに続きが読めないのが残念です。

4

生きるものへの愛

非BL作品、夕映月子先生の「樹木医補の診療録」が好きでした。

https://bit.ly/3Gb6jd8
>お知らせ 2022年1月07日
【訃報】小説家の夕映月子先生が 2021年11月19日にご病気のため逝去されました
最後の1冊となりました『異界で魔物に愛玩されています』につきましては、ご病床で書き下ろし分のご執筆と全体校正、そしてあとがき、S Sペーパー用の短篇を準備してくださいました。>

訃報を知り、夕映先生の直近作を購読。
発売日 2021/11/10
・・お人柄を表すような、優しい物語で、胸に沁みる。

病床で執筆された作品だと思うと、迫るものがある。
最後になる作品に、どんな思いを込めたのか 最後の作品に込めた著者の意図をくみ取るように、読みました。 
・・人が食われる異世界で、若者が魔物に愛されて幸せになる物語。
著者は、全ての生きものに愛を持っていた人だったんだと思う。
お悔み申しあげます。

★夕映先生のtwをチェックすると、2021年10月4日以降はRTばかり。入力することもできなくなっていたのかもしれない。

★ご逝去後、著作権の相続で電子版は存続すると思うけど、
多分、紙版の増版は無いと思うので、今の内に紙版を購入しておこうと思います。

---
サタナキア(Satanachia):(この物語に登場するサタナキアは、三本角)
プート・サタナキア(Put Satanachia)とも呼ばれる。

『真正奥義書』によれば、サタナキアはルシファーの配下の悪魔で、ルシファー、アガリアレプトとともにヨーロッパ・アジアに住まう。
『大奥義書』におけるサタナキアは、アガリアレプトとともに将軍を勤めた大将(総司令官)であったという。
あらゆる女性を意のままに従わせる力を持つ。
二本の角を持つ獣頭の悪魔として、キリスト教信者は「異教徒の神」として信者を弾圧迫害した。
※説明から、二本角の兜をかぶった、アレキサンダー大王を連想します。

12

理性的で知的好奇心が旺盛な穏やか攻めが好き

人間の輸入業者(魔物)に誘拐されて魔界で食肉として売られていた受けを攻めが愛玩動物として買い取る話。
とても至れり尽くせりで大切にしてくれるし攻めは人間と倫理観が近いタイプなんだけど、人間はあくまでペットな感覚が新鮮で面白かった。
トイレが檻の中で丸出しで受けがハンストを起こして無事に囲いを付けて貰うんだけど、攻めには根本的な部分が理解して貰えない。
猫が猫砂を気に入ってくれなかったくらいの感覚。
食器だって完全に別に分けられてる。
人権!といろいろ文句をつける受けに対しても気難しく、気位が高く、飼いにくいらしいけど結構かわいいな〜て完全な飼い主目線。
それがどんどん変化していくのが面白かった。
受けと言葉でコミュニケーションを取ったり、人間世界のカードゲームをしたり文化的な交流をすることで受けの立ち位置が魔物達と同じ「こちら側」のカテゴリーに移動していく様子が興味深かった。
たとえ姿形が違えど価値観が近くて会話が成り立つ相手を動物扱いするのは難しいなと犬猫が喋ったらという例えで考えさせられた。そして逆にそこをクリアしないと自分と同じ立ち位置に相手を置くことも難しいのかな…と人類の開拓の歴史を思い返すなどの…。
受けは安全で衣食住が満たされた生活を送りながらも「人間らしい」ってどんな暮らしなのか考える展開も印象的。
紳士で博識な攻めとの哲学的な問いがある物語で面白かった。
最初は苦手だった横長の瞳孔や山羊頭が好きになっていくのも良かった。
この世界は好きになれないけど攻めのことは好きだよと物語が〆られるのも好きだった。
そして書き下ろしで、こんな世界で受けに自分と同じだけ千年生きてくれとは言い出せなかった攻めも優しくて愛おしい。

8

リアル魔界が辛いかな…

初買いの作者様です。
書き方は癖が無く読みやすかったです。
情景描写が丁寧でとても想像しやすかったです。


山羊頭だが溺愛思考の知的高位悪魔攻×ポジティブ思考な極々普通の大学生受というカプです。


お話はどこにでも居る平凡な大学生の秀翔(受)はバイト帰り可愛い二人組の女の子に逆ナンされる。
甘い考えで女の子達に道案内をしていれば突然顔に何かを吹き掛けられて意識を失う。
次に気が付いた時には見たこともない恐ろしい異形の行き交う場所だった。
そこで全裸で檻に入れられた秀翔を買ったのは山羊の頭をしたサタナキア(攻)で……という感じで始まります。


最近、異形種モノが好きなのでこちらも表紙とタイトルの愛玩という部分に惹かれて衝動買いに近い形で手にしたのですが…
うーーん…私にはあまりハマらなかったです。
情景描写も丁寧で設定も言語が通じない等凝っているので面白いと思うのですが…常に命の危機に瀕した状態で漸く脱したと思ったら攻にほぼペットと断言され人として扱われない状態でと……他の方も書かれているのですが秀翔は完全にストックホルム症候群ですね。
恋とか愛とかの前にサタナキアに庇護されないと生きていけないわけですし……
たぶん、人間は魔界では圧倒的弱者という印象付けをしっかりしたかったのだろうと思いますがひたすら魔族にとって人間はペットというエピソードがちょいちょい何度もしつこく挟まれるのが個人的には無理でした。
比喩としての愛玩でなく正しく愛玩なのだなと思ってしまい萌えませんでした。
個人的には軽いなんちゃって魔界のファンタジー程度が合っていると分かりました。

6

イケ山羊

先生買い。わあよくこのプロット通ったな、と思ったお話で、受けのキャラとお話は好きでしたので萌2よりの萌にしました。ビジュアル命なので、すいません、萌2にできなかった…本編150Pほど+その続き100P弱+あとがき。ビジュアルに拘らない方の方が良いかも。

カフェでのバイト帰りに、可愛い女子二人に逆ナンされた秀翔(しゅうと)。ある店でスプレーみたいなものをかけられたと思ったら、異界。すっぽんぽん&後手に縛られ、鉄檻の中。まわりは皆、頭が獣だったりしてどう考えても地球上の何処かでは無い状況。猿に買い取りされようとした時、秀翔の叫びに反応したのはやっぱり山羊頭で…と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
アロケル(獅子頭)、他の魔物少々、魔界に引き込まれたその他の人間少々かな。

++ 攻め受けについて

受けは、魔界に連れてこられて、あわや食べられるかという目にあうのですが、なんとか魔界に慣れて、山羊頭の攻めさんを「イケ山羊」と好きになってしまうという驚きのメンタルつよつよさん。さばけた現代っ子っぽい大学生で、最初はペット扱いに「人権!」とぷんすこ怒ってました。助けられたことと、周囲の環境の悪さから来たものでは?と若干思うのですが、山羊頭さんに惚れちゃうんですよね。元の世界に帰りたいと思いつつ、でも山羊頭と離れるのは嫌だしと悩むところなどは、「うんうん」とすんなり読めて良かったでした。

ただ攻めさんが。一ミリも人型にならなかったのです。そこがちょっと苦手だったでした。今まで竜頭の攻めさんを読んで好きだったこともあったのですが、今回の山羊頭さん、そんなに感情豊かではないのです。長い間生きてきてるし、魔力強い方だから、ちょっとやそっとじゃ動じないし、学者っぽい感じ。だからしっぽとか耳で感情を表すということがなくて、それでシンクロしにくかったのかな。

お話は「うわ」とびっくりするところもあり、面白かったのですが、攻めに惚れるということが出来なかった一冊でした。うーんビジュアル。

7

受けはストックホルム症候群だし攻めはペットに対する愛情でしかないと思う

表紙での顔(容姿)は怖いんですけど、彼は心優しき溺愛攻めになります。
あらすじで気になってた事と、帯の「おまえがかわいすぎるのだ」にやられて購入しました。

で、こちら、異界で食肉用として売られそうになっていた普通の大学生・秀翔。
彼が山羊頭の高位悪魔・サタナキアにペットとして購入されるってお話なんですよね。

繰り返しになりますが、サタナキアは溺愛攻めなんですよ。
魔物である彼にとって人間の秀翔は、完全に犬や猫と同じ愛玩動物なんですよね。
ただし、飼い主は飼い主でも、彼は親バカ系と言いますか。
豪華な檻を用意して、美味しい食事にオヤツまで与え、秀翔を可愛がる。
突然異界へと拐われ、ペットとして飼われと主人公の境遇は結構悲惨なんですけど、とにかく攻めの溺愛ぶりが素晴らしいので、印象としては甘々と言うか。
個人的に、攻めが受けを溺愛すると言うのが大好きな為、この溺愛部分だけで読んでてとても楽しいし萌えるのです。
萌えるのですが、若干モヤモヤする部分もあって。

えーと、この作品のテーマとなるのが、「種族や性別の垣根を越えて愛し合う事」なんですよ。
秀翔が比喩では無くペットでしかないサタナキア。
そして、男、ましてや異種族であるサタナキアに対して、恋愛対象になり得ない秀翔。

じっくり丁寧にページを使って、庇護して貰う相手からいつしか恋情を抱く愛しい相手へと。
また、ペットから一人の対等な人間へとー。
ちゃんと気持ちの変化が書かれてるんですよね。
書かれてるんですけど、私にはそれがよく理解出来ないと言うか。

や、なんかね、サタナキアのペット→対等な相手も読み取れないなら、秀翔の異種族で男→でも好きな相手も読み取れない。
私の読解力の無さが問題だろうとも思うのですが、読んでるとどうにも、ペットを猫可愛がりする飼い主とストックホルム症候群の受けにしか見えてこないと言うか。
サタナキアの秀翔に対する愛情、ペットへの愛とどう違うん?
悲惨な状況で買い取ってくれて優しくしてくれる相手を好きになった秀翔。
その感情は、犯罪被害者の生存戦略の一つでは無いの?的に。

う~ん。
二人のシーンと言うのはとにかく甘いので、読んでて萌えないワケでは無いのです。
でも土台にあるのがこれだから、なんだかモヤモヤしちゃうと言うか。
ついでに、受けは頭が悪すぎる気がする。
危険な事が分かってて、それでも逃げ出す。
そして襲われと、もう何やってんだと。
挙げ句の果てに「サタナキア助けて!」って、都合が良すぎるよなぁと。
サタナキアはよく、キレなかったよ。
まぁ、ペットはちょいアホな所も可愛かったりするから、理解出来るけど。

13

設定は非常に魅力的だが

作家買い。
あとがきで月映先生自身書かれていらっしゃいますが、既刊とは「一風変わった」作品だったように思います。月映さんには珍しく、と言って良いんじゃないかな。ファンタジーものですが、今までの作風とちょっと異なるのはそのバックボーンだけではなかったような気がしました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





大学生の秀翔は、今、檻の中に入れられている。
自分を覗き込んでくるのは人の姿ではなく、獣の頭をしていたり、翼を持っていたり、獣の身体をしている異形たちだった。可愛い女の子についていって、少しの下心を満たそうとしていた彼を待ち受けていたのは、そんな思いもよらない世界だった。

そして、彼は売られ、食べられそうになってしまう。そこを助けてくれたのは山羊の頭を持つ魔物で―?

というお話。

序盤、なぜ彼がそんな憂き目にあうのか、彼が今いる場所はどこなのか、彼を助けてくれた山羊頭の魔物・サタナキアは一体どんな存在なのか、などなど全く分からない状態で物語は始まります。が、そこから、秀翔が普通の大学生で、それが「たまたま」目をつけられ、そして魔界に連れてこられたことが見えてくる。そして、サタナキアという人物像も。

そのストーリー展開の仕方は本当にお上手で、グイグイ物語に引っ張られるっていうのかな。うんうん、それでどうなるの?とページを捲る手が止められない。

が、うーん。
何だろうな、この消化不足な感じ。

「秀翔」という男の子の魅力が今一つ分からなかったからかも。

彼が魔界に連れてこられてしまったのも。
サタナキアが秀翔を買ったのも。
サタナキアが秀翔を愛したのも。

全部「たまたま」なんですよ、結局のところ。
秀翔でなければならなかった理由は、一つもない感じ。なので読んでいて今一つ説得力に欠ける。個人的に「秀翔」という男の子の魅力が分からなかったのが最大の敗因かと思います。

そして二人の間に育っていった愛情も。
んー、お互いに「彼」でなければ、という部分が大事だと思うのだけれど、そこもあっさりというか何というか…。秀翔の言動の一つ一つがサタナキアにはツボだったようですが、そこまで特別な何かがあったようには読み取れなかった。私の読解力不足かもですが。

秀翔がトリップした場所が魔界という部分は非常に独創的で魅力的な設定だと思うのですが、魔界でなかったとしても問題なく進むストーリー展開だった気がしました。

ベースとしてはシリアス寄りではあるのですが、いかんせんサタナキアがめちゃめちゃスパダリさん、かつ秀翔を溺愛していることもあってか痛い展開になることはほぼありません。スパダリに愛でられ愛される受けさん、のお話が読みたいときにはぴったりな1冊かと思います。

10

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