電子限定おまけ付き
記憶を保てないことを受け入れ、少しでもその日々を変えようと眠る前にメモを残し始めた道夫。
それは朝起きると毎日"はじめまして"な妻の灯を大切にしていこうという決意でもあったのに。
結局のところ恭一への想いをより深く実感するものとなり、婚姻関係は解消することに。
この辺りは本当にツラくて切なかった。
ふたりが夫婦としてそのカタチを保つことは
はじめから無理な部分があったのかもしれません。
灯自身もそれは気付いていたのだと思います。
それでも道夫のそばに居たのは、彼女なりの優しい愛があったんですよね。
すべてを理解して結婚したのに、結果的に責めるような発言をしてしまった自分のことも嫌だっただろうな。
すごく悲しい決断だったけれど、自ら離婚を切り出すことが
道夫にできるせめてもの償いで、灯の心を少し軽くしたのではないかなと感じました。
恭一との繋がりすら絶とうとする道夫の手を
今度こそ離さないと決めた恭一の想いが
道夫の夢見た未来を作り上げ、
その未来にふたりで立っている様子には胸が熱くなりました。
午前2時を越えた先にある朝をふたりで迎えること。
ささやかだけど最高の幸せをふたりは大切にしていくんでしょうね。
これからたくさん大変なことはあると思いますが、どんなことでも乗り越えていくんだろうなと思えるラストは感動でした。
切なくて苦しい気持ちになるところは多かったですが
恭一と道夫、ふたり共がお互いを選んで
これから共に生きていこうと決めた姿を見ることが出来て本当に良かったです。
『午前2時まで君のもの』の上巻と同日発売になった下巻。続きものなので上巻が未読だと理解できません。上巻から読まれることをお勧めします。
さて。
上巻の表紙はミチで、視点もミチのそれで進むストーリー展開でしたが、下巻の表紙は恭一。そして、視点も恭一視点になります。上下巻、二人それぞれの視点で読むことで二人の感情の機微が見える造りになっています。
中学の時に自分に声をかけてくれたミチ。
いつも自分の手を引いてくれたミチ。
そんなミチを、恭一はずっと好きだったー。
ミチも恭一も、お互いに相手を想うがゆえにすれ違っていく。
王道の両片想いのお話ですが、そこに男同士という葛藤、そしてミチが既婚者になったという出来事。そして、ミチの記憶障害。そういったバックボーンが、王道のそれと一線を画すストーリー展開にしています。
夜、ミチが恭一の元を訪れ、二人で過ごす時間。
その時間は、「ミチの終電」まででおしまい。
タイトルの『午前2時まで君のもの』。この「君」って、どっちにもかかってるんですかね。タイトルが秀逸すぎて泣ける…。
ミチ、恭一、そして灯。
三人のこれからが幸せなものであって欲しいと願ってやみません。
奥田さん作品はドシリアスなものとか痛い作品も多かったりしますが、今作品は切なさと萌えが詰まった作品でした。エロ度もやや控えめ。それでいて、二人の深い愛情がきっちり読み取れる。
奥田作品の中で一番好きな作品です。
お久しぶりの奥田枠先生の新刊ですね。
これは大ヒットでした。
発売日にメイトで購入
上下巻での感想です。
もうね切なさの嵐でしたね、、
装丁も美しい上下巻で
楽しみにしてた作家買いですので
どちらが左右かもわからず購入決定と思っていましたがもうタイトルからもわかるように
ずっと切なくて苦しくてなんでやねんで
久しぶりに鼻水すすり泣きながら読むBL作品でした。
美人の方が攻め
陽キャ不幸な方が主人公で受けです。
期待どうりのカプ
大好きな両片思い同級生ものに
毎日21歳を繰り返す記憶障害という特殊設定
そしてしらんまに女と結婚している、、
ひいっ、、なんと恐ろしい。。
女が地雷な人は一応ちゃんと
愛しあう2人のはぴえんなので大丈夫です。
上下巻でストーリーも練られていて
すごく読み応えもあって
刺さりまくりました。
奥田先生はアンチアルファが大好きだけど
作風は違うけどこちらのがさらに好きかもしれない。
ほんとに久しぶりに切なさが心にしみるお話で
奥田先生うますぎ、、って思ってしまいました。
なんとか幸せな前向きなラストで
よかった。。
ミチ恭一どちらの思いにも泣かされます。
とてもおススメ。
記憶を失くして繰り返していくお話は、これまで映画で観たり小説で読んだりしました。
独特の世界観が魅力的な奥田先生が描かれている今作は、ようやく辿り着いたハッピーエンドの中にほんの少しだけ残る残酷さ、歪さが印象に残る作品でした。
過ごした時間に自分がしてきた事、考えた事を積み重ねていく事ができないということは、他人はおろか自分自身すら信じられない事と同義だと思います。
そんな不安の中でも精一杯生きようとする道夫が、記憶が日々リセットされていく中で何度も求めてるのは恭一で、そこに彼の本心が表れていると感じました。
恭一はもう何度も道夫を抱いてるのにそれは言えず、いつも初めてのように接して、帰っていく道夫を見送る。
最初の方の「走るなよ」の言葉には、本当は朝目が覚めてすぐ目の前にいるのは自分であって欲しい、帰らないで、というのが表れていたんじゃないかな…
優しい道夫が、灯と離婚したことも忘れずメモし、誰かを傷つけて許されながら生きるな、と書いていたものを、恭一が「覚えていなくていいんだ」と消すシーン。
そこには、道夫を苦しめたくないという気持ちと共に、灯の存在を、結婚していた事を思い出してほしくないという気持ちもあるように思えて、恭一の執着心を垣間見たような気がしました。
辛いことなら知る必要もないし、恋人は自分だとメモして毎日道夫に理解させる…道夫が書いたメモに手を加えて。
同じような夜を繰り返しながらも、少しずつ変化していき結ばれた二人。
明るく振る舞いながらも人を傷つけている自分に苦しむ道夫も、体を重ねた記憶を自分だけが全て覚えていながら好きだとは言えなかった恭一も、お互いが諦めなかったからこそ結ばれたのだなぁとジーンとしました。
一日一日を彼らは宝物のように過ごしていくのだと思うと、少し切なく、とても幸せに思います。
紆余曲折あったけどやっと本来の形に戻っただけだと思います。
恭一と灯さんをずっと傷付けて来たと知り、道夫が両方を解放しようとした時は「違うだろう」って叫びそうになりました。
やっぱり灯さんのプロポーズさえ無ければと思ってしまいます。事故に遭う前の記憶に彼女が居ないって事は、それだけの存在なんですよね。
彼女の言葉に縋り付いてしまった道夫にも罪はあるけれども、彼女が見てたのは道夫の背景にあるものだったので結果は必然だったと思いました。
道夫の別れの理由に納得せず追いかけて来た恭一にグッと来たし、恭一との事を忘れまいと眠らなかった道夫の思いが切なかったです。
恭一の「ミチが初めて 全部俺のになった…」という言葉に全てが現れていると思いました。
その後の眠る道夫を祈るように見詰める恭一の姿と、初めて「おはようミチ…」と声を掛ける恭一の涙にジンと来ました。
昨年末の発売でしたが、年明け早々に良い作品に出会えて良かったです。