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表題作三千六百五十日の抱擁

樫本博臣
剣道部に所属する高校1年生,16歳→総務省勤務のエリート,26歳
逢沢春翔
モデルで高校1年生,16歳→芸能人,26歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

整った容姿でモデルでもある逢沢は、過去に誘拐されたトラウマで過呼吸に陥ったところを剣道部で堅物な樫本の“大丈夫だ"という声に救われ想いを寄せるようになる。誘拐があった東京へ転校する逢沢のために「俺も安心するから」と毎日電話で互いの声を聴く約束をした樫本。その優しさを裏切らないため、逢沢は気持ちを隠すと決意する。大学生になり樫本が上京し、逢沢が俳優として忙しくしていたある時、樫本に彼女ができて…。

作品情報

作品名
三千六百五十日の抱擁
著者
高遠琉加 
イラスト
一夜人見 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784778133559
4.1

(78)

(34)

萌々

(31)

(5)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
17
得点
314
評価数
78
平均
4.1 / 5
神率
43.6%

レビュー投稿数17

ふたりには必要な時間だった

出会いから気持ちが交わるまでの10年間。
それぞれの視点で、その時々の素直な気持ちを感じることがてきて、ものすごく引き込まれました。

16歳だったふたりが26歳になるまで。
"自分の生活の一部"に相手を組み込みながらそれぞれに日々を送り、
やがてその想いはカタチを変えながらも衝動的に動いたりすることなく
相手を失うことがない距離感を保ち続けた10年間。
わかりやすく好意を見せていた逢沢も、どこまでも不器用だった樫本も。
そろって同じ選択をしながら過ごしたふたりをとても愛おしく思います。

好きだからもっと近付きたい、でも踏み込み過ぎたらもう一緒にいられなくなってしまう…。
そんな臆病さからもまた想いの強さが伝わったな、と。
長い時間をかけて前に進む恋なので焦れったくなるところもありますが
転機になる部分をピックアップしてくれているので中弛みすることなく楽しめました。

逢沢を追い回していた犯人が判明したところは本当に恐ろしくて気持ち悪くて、
これバドエンにならないよね…?と心配になり、先に進むのが怖くなってしまいましたが。
その危機を乗り越えた先に幸せが待っていてくれたので本当に安心して、そしてようやく結ばれたふたりを心から祝福したいなと思えたのでした。

一人称の小説って読んだことがなかったのですが
言葉にして上手く表現できない葛藤や、口には出して言えないことだとかが
こんなにもダイレクトに伝わるのか…!と感動。
年齢を重ねるごとに募らせていくそれぞれの想いを新鮮に楽しむことができて、すごく面白かったです…!

0

No Title

評価を星4と星5で悩んで星4にしました。
読んでる最中は本当に切なくて、2人から目が離せなくて、「星5確定!」と思っていたのですが、なんていうか、読み終わった時に感情が高ぶらなくて、尻すぼみ感がありまして、こちらの評価になりました。端的に言うと結ばれたあとの2人がもっと見たかったし、悪い奴が登場する監禁シーンに盛り上がりが欲しかったです。

十年に及ぶ両片思い。自分の気持ちを抑えて、相手のことを大切に思ってるからこその長さだったんですよね。それぞれの視点で読めるのが良かったです。

0

美しい心に触れていやされました

口数が少ないけど発する言葉は誠実で、ただ一緒にいるだけで安心感を与えてくれる真面目な樫本。こいつがニブチンだけど出会った高1の時からまっすぐ正直もんっていうのが26才になっても全く変わらないのが良かったな。
逢沢は生まれつきのルックスの美しさがあるのに自己肯定感が低くて、その落ちてしまう心を支えてもらうために10年途切れず電話し続ける。

自然が美しい岐阜での高校生活が短いけれど素敵でした。逢沢が樫本にはすぐ懐き、本当の笑顔や気持ちを素直に見せるのが可愛い。
樫本の家は酒屋さんだから家の人や近所に住んでるお客さんなど人の出入りが多くて温かい環境で、反して逢沢は親はいるけれどほぼひとりぼっち。
この親のことなどネガティブな要素を極力少なく描きながらも、逢沢の寂しさやトラウマを上手く表現されていて読みやすかったです。
小説初心者な私でも平易な文章で一気に読み終わりました。

0

良いーー!

焦れったい両片想い。
王道のキャラに王道のストーリーでしたが、とても良かった。

視点は攻め受け交互で心情はわかりやすく、でも受けの春翔視点のほうが多めなんですよね。
だから春翔に肩入れして読み進めるのですが、まぁ、武骨な攻め樫本が格好良い。
どんどん惹かれるの、わかりますもん。

10年間、とくに高校生時は毎日の電話だけが二人を繋ぐ細い関係性。
春翔は、自分だけが相手を思っているのではないかという不安を抱きながらも、毎日の樫本の声に励まされて、離れた地で強くなろうとする。
離れても好き。
樫本の存在が自分を支えているんだ、という春翔の切ない恋心。
あーなんかもう、思い出しただけでまた泣きそう。
春翔に思いっきり寄り添っちゃってますからね。

幼少時の卑劣な事件とか、ストーカー野郎とかの不気味な影の部分もあり、二人の恋の進展とともに、気になって気になって、一気に読んでしまいました。


読み終わってみれば、攻めは包容力のあるスパダリで、受けはケナゲな美人さん、という王道カップルでした。
いいよね、王道。満足。
こういうお話、読みたかったんだーが全部詰まっていました。大満足。

1

すっごく良き10年愛だった。

恋人になるまでに時間がかかる作品って、その年月が無駄&とっととつまらん誤解を解いてさっさと付き合えば良かったのに…と思ってしまうものと、その年月は二人にとって不可欠だったと納得できるものにわかると思うんですよね。

この作品は間違いなく後者でした。

一緒にいたのは実質3ヶ月程度。
それから岐阜と東京と離れていた二人を繋いでいたのは、1日1回の電話だけ。
例えて言うならば、細い糸のような繋がりだけど、でも細い糸でもコツコツと時間をかけて編んでいけば見事なレース編みが完成するじゃないですか。
そういう印象を受けました。

ただ、幼少時の変質者からのまさかの……!の件。
幼少時のからの問題が一括で回収されて、とりあえず平穏になって良かったのかもしれないけど(でも諦めるとは限らないし、また外に出てきたら怖いわ)会席料理だと思っていたら、突然シュラスコが出てきた……!みたいな戸惑いがありました。
最後、水菓子で締めくくられても、まださっきのシュラスコが胃で暴れてるんですけど……みたいな。
終始、しっとりしてて欲しかったというか……。

そして、ようやく二人は落ち着いてラブラブに…かと思いきや、電子の書き下ろしでまた目が点に。








樫本が外務省へ出向となり、ブラジルへ赴任しちゃうんですよ!!
しかも最低でも三年。
その後の約束もちゃんとしてますけど、でもその後も世界各地に飛ばされそうだし、春翔も芸能人で忙しいし……。
このカップル、人生トータルで考えると物理的に一緒にいられる時間って少ないんだろうなぁ……と思ったらなんか可哀想になってしまいました。
そしてこのSSは、電子限定ではなくて本編に入れたほうがいいと思います…。

3

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