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囚われのオメガ王子と恋の奴隷

toraware no omega ouji to koi no dorei

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表題作囚われのオメガ王子と恋の奴隷

アラリック・レクトゥール
25歳,ダウラート国王の側近で軍人,アルファ
リンツェット・エーレンベルク
24歳,フォンター公国第一王子でダウラートの人質となる,オメガ

同時収録作品恋の奴隷がまたひとり

ロラン・アルバロット
24歳,ダウラート国王,アルファ
キリル・レアンドール
16歳,コルトー公国第二王子,オメガ

あらすじ

フォンター王国第一王子のリンツェットは、目が合うだけで死を招くと言い伝えのある"片青眼"のせいで、離宮に幽閉されて育った。孤独な生活の中、唯一慕ってくれる義弟の手紙だけが心の支えだったが、24歳のある日、突然人質として大国のダウラートに送られることとなる。行かせまいとする義弟の前でオメガの発情期が始まってしまい、襲われかけたところを助けてくれたのはダウラートの軍人アラリックで・・・!?

作品情報

作品名
囚われのオメガ王子と恋の奴隷
著者
小林典雅 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525490
4.2

(69)

(33)

萌々

(25)

(8)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
14
得点
291
評価数
69
平均
4.2 / 5
神率
47.8%

レビュー投稿数14

ありがとうアラリック、リンツェットを幸せにしてくれ。

本当に出会えて良かったーーー!!
ふたりが運命の番で本当に良かった。

リンツェットの生い立ちは先の「深窓のオメガ王子と奴隷の王」でも少し触れられていましたが、こんなにもこんなにも辛く孤独な思いをして何年もひとりで過ごしていただなんて。

根拠もない迷信のために、生まれた時から忌み嫌われてきたリンツェット。
優しい母が亡くなり、家族のようでもあり優しい側仕えのふたりも遠ざけられ、顔を隠してひとり生活しなければならない悲しい境遇には、憤りを感じました。
そんな生活の中でも、薬草を育てたり、お菓子を作ったり、できることから幸せを見出そうとするリンツェットは本当に健気で美しく、母の教え通り、強く生きています。

ゲルハルトは、そんな兄の美しい見目にも中身にも惹かれてしまったんでしょう。
しでかしたことは行き過ぎた行為でしたが、人質の話をしに来たときだけのいい顔しぃの実父よりは全然マシだと思います。

そして運命の!本当にこれこそ運命の番です。
アラリックと出会ったことで、リンツェットの人生は大きく変わっていきます。

アラリックはとても優しく朗らかでよくしゃべり、自分の気持ちを楽しく歌います。
8年もの長い間ひとりでひっそり暮らしたリンツェットにとって、どれほど眩しかったことか。
片青眼は不幸などもたらすものではなく、ただただリンツェットの瞳は美しいと愛で、早急ではありますが優しく優しく抱き求めるアラリック。

不肖の息子からのやりとりが面白すぎて。
「お安い御用です」とか、「なんと謙虚なお人柄」とか、この人たちどんな格好でお話してるんだよ、そしてこの空気感からまたアンアン喘ぐ展開に戻れるんかい、とずっこけながら楽しみました。

お付きになったジェレマイアも主人であるアラリックに似てとてもおしゃべりで、彼との会話やダウラートまでの道中で見る初めての景色にリンツェットが本当に楽しそうで嬉しそうで、寂しい館を出られて本当に良かった、と改めて思いました。
初めてのことばかりで、ピクニックとか、手と手をとって、とか、なんでもない言葉にフワフワ楽しそうに想像を膨らますリンツェットもすっごくかわいい♡

誰彼構わずジェラってしまうアラリックもさもありなん、という感じなんですが、そのヤキモチと、また強面ロランのせいもあって?一波乱でした。
「急に色気づいた朴念仁の歌」を歌われたくないために香水のことを秘密にしたっていうロランも、たいがいいろんな些細な出来事を変な歌にされてしまっているんでしょうね。
いちいちその歌のタイミングが面白くて、でもリンツェットには愉快すぎるくらい愉快なひとがお似合いだと思うので、リンツェットには日に何回でも歌ってあげてほしいな。

書き下ろしでは、ロランがキリルと仲良くなるため、仲良しの秘訣をリンツェットに聞きにくるけど、歌も歌えないロランには何の参考にもならないという話。
朴念仁だからしょうがないけど、スピン元に続くこのボードゲームの裏話にはほっこりです。

笠井先生のカラーの口絵というんですかね、その雰囲気がものすごく素敵で、幸せそうなふたりには本当に癒されました。
人の何倍もつらい思いをしてきたぶん、リンツェットにはこれから笑いと会話の絶えない日々が待っていると確信しています。
アラリック、リンツェットに出会ってくれて、心からありがとう!

1

変な歌を即興で作る優男攻めに笑えるオメガバ

スピンオフ作品とは知らずに読んでしまいましたが、スピン元未読でも十分楽しめました。

でも皆様のレビューを見ていると、知っていた方がより楽しめそうな感じなので順番逆になりますが、スピン元もこれから読んでみようと思います。

あらすじなどは他の方が丁寧に書いてくださっているので、感想のみを。

すごく面白かったんですが、前半にかなりページを割かれて書かれている(という印象の)義弟ゲルハルトが個人的に好きでして…

ヒート時に襲いかかるのは許されないことですけど(BL界ではままあることとはいえ)、彼が8歳の時に初めて義兄に会い、一瞬で恋に落ちたことが分かる描写やその後の恋慕の様子が印象的でとても好きでした。このまま進んでくれ、と思ってしまったほど。

…と、ゲルハルトに何故かすっかり萌えてしまい、結ばれないのが残念で主役の2人に入り込みきれなかったため、萌え2で。

不吉な「片青眼」のせいで第一王子でありながら幽閉生活を余儀なくされてきた不憫なアルツェットの境遇が痛々しく悲しく、ううう…とそれだけでちょっと前半泣きそうになってしまいました。

突発的にヒートを起こし義弟に襲われそうになっていたところを間一髪で助けてくれたのが、今回の攻め様、隣国の軍人アラリック。

特技は即興で歌う歌なのですが、その歌やエピソードがもう、面白くて面白くて!

従僕が起こしに行った際に「まだ起きたくない」という歌を八番まで歌い、”歌詞は馬鹿みたいなのに調べが美しく、つい聞き惚れてしまい腹立たしかった”と評されております笑

「二十六歳の誕生日が幸せすぎて死んだらどうしよう」だとか、「今すぐ全裸になって身ぐるみお捧げいたしますとも」だとか。タイトルだけで笑えます。

痛かったり苦しいオメガバではなく、作者様も後書きに書かれているように「安心して読めるオメガバ」でした◎

笠井先生のイラストは言うまでもなく「神✨」酔いしれました・:*+.

1

愉快な攻めとお花畑な貴族の会話が楽しい!!

すこし貴公とふたりだけで話がしたい。アラリックの口から聞いただけでは、頭に花が咲いたような内容ばかりで埒があかなかった。



小林典雅さん作品は初読なのですが、展開のバランスが新鮮で面白かったです。
オッドアイの所為で幽閉されている王子が更に孤独に追いやられ、第二王子(義弟)との交流、感情をぶつけられるまでが1冊の半分。その後、冒頭にチラリと出てきた男とのお話がやっと始まります。

人との交流を絶たざるをえなかった王子が第二王子との会話を心待ちにし、大人になってからは、手作りの菓子の半分は後で大切に食べるからと包に戻したり、香袋を大切に身につけたりとロマンティックさすら漂い、第二王子が攻めだったのか?と思っていたところに本命が登場。

他国の人質に向かうことになった王子が出会ったのはそこの王様の側近で、運命の番で即ベッドインだったのですが、その最中の会話も微笑ましいやら可笑しかったり、不慣れさと熱っぽさが淫靡だったりで、読めて良かったです!

私が予想した展開は、「次の発情期で頸を噛む…」と約束するも、戦争が悪化、攻めが窮地に陥り、同時刻に受けは発情期が訪れ…みたいなのを予想してたのですが、なんと一冊の後半はひたすら二人のお花畑な会話と痴話喧嘩が繰り広げられてて笑いました。最高。

王様の側近で近衛兵のアラリックはただのスパダリではなく。周囲の人間にも気安く接し接され、愛の言葉を熱っぽく時にヘンテコに語り、王子にメロメロ溺愛。王様や従者が語る彼の作った歌がとにかく笑えて、なんて愉快な男なんでしょう。

不憫健気を読んでいて幸せになってほしいと強く思う事はよくありますが、この笑わせてくれるアラリックもずっと愉快なまま幸せが続いてほしいと願わずにはいられない、とっても魅力的なキャラクターでした!

王子リンツェットも気高く純粋で、アラリックにメロメロで二人が愛をどこまでも語るお花畑な会話が本当に楽しい。
またここまで気持ちを言葉にして相手に伝えることが凄いし、言葉に熱量を感じます。

コメディのような雰囲気も漂わせつつ、「この方に出会えたから死を選ばなくて良かったと思える」とサラッと言葉にするリンツェット、不憫な彼をアラリックはいくらでも笑かし甘やかし愛してほしい。いくらでも読みたいです。
(とは言っても、男同士や妊娠に対して抵抗がなくて、もう少し男らしい部分も欲しかったですが…)

出会えて良かったなあ〜と、何度も読み返したくなる2022年の一冊でした!

3

いわゆる「トチ狂った攻め」が最高!

前作の「深窓のオメガ王子と奴隷の王」で、脇役ながら濃ゆいバカップルぶりを見せつけてくれていたお二人の馴れ初め話ということで楽しみにしていました。

私はいわゆる「トチ狂ってる攻め(受けを好きすぎておかしなことになってる・なってしまった攻め)」っていうのが大好物で、小林典雅さんの作品はその出現率が高いと思っているのですが、今回も期待を裏切りませんでした!

アラリック、あんたは相当おかしい!(褒めてる)

タイトル通り「恋の奴隷」なんだけど、前作のロランが恋の苦しみに囚われた奴隷なら、アラリックは尻尾振りながら自ら奴隷志願して嬉々としてるみたいな。
で、奴隷になった喜びを延々と歌う、みたいな。

歌のセンスが珍妙すぎて笑えます。
「26歳の誕生日が幸せすぎて死んだらどうしよう」
「いますぐ全裸になって身ぐるみお捧げいたしますとも」
とか、なんなの、それ!私も聴きたい。(でもせいぜい三番までで結構です)
お付きのジェレマイアから鬱陶しい歌だと呆れられている一方で、リンツェットはリンツェットで永遠に聴いていたいとか、あんたらやっぱりバカップルだー!
まだキリルに出会う前のロランからは「これほどおかしくなるというのなら、運命の番になど出会えなくて結構だ」と言われてる始末。

前半は、目の色のせいで不吉な子とされて疎まれるリンツェットが可哀想でしたが、でも「深窓のオメガ王子〜」で既に幸せになってる姿を知っているので安心して読めました。

そして「恋の奴隷がまたひとり」は、これを読んでから前作を読み返すと、さらに萌える仕様になっていてありがたい〜!!
表情に乏しく何を考えているかわかりにくかったロランの不器用さ、弱気だったあの頃を知る事ができるんですよね。
なんて美味しいSSなんだ!!

シリーズ化してほしいなぁと思います。
ロランカプとアラリックカプに子供が産まれて、子育てする様子も読みたいし、義弟も悪い子じゃないので幸せになってほしいです。

9

健気な不憫受け

片青眼は不吉という言い伝えだけで虐げられてきたリンツェットが不憫。全面的に守ってくれた母が亡くなり、2人の側仕えも不当に外され、扱いの酷さに腹が立つ。やっと父王が会いに来たと思ったら、人質になれってふざけてる。けど、ここが転換期でした。優遇されてきた弟に襲われそうな所を助けてくれたのが運命の番。小さないざこざはあっても、溺愛してくれるアラリックと上手くいって良かった。これもリンツェットを賢く育てた母のおかげかな。リンツェットも孤独にめげず、困難を乗り越えて頑張った!アラリックと幸せになってほしい。スピンオフだけど単独でも面白かった。

5

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