【特典付き】【イラスト入り】
ねっとり、しっとり、淫靡で、せつない。
鬼と人間の恋模様。
愛しているからこそ最期はきみの手で殺してほしい、それが前提にある嘉槻と青柳。
幼き嘉槻が無意識に名を与えて契約を結んでいたことが発覚したときの喜び…!
嘉槻が今際の際で望み、青柳が受け入れて。
鬼の溺愛と執着、終わり方も大満足です!
高月先生の文章が好きで
一言一句逃したくない、と一文一文を繰り返して
読みました。
おかげで充実した読後感です。
話の展開重視で濡れ場が続くと読みとばしがちなのですが、高月先生のシーンは絶対きっちり読んでしまいます。
笠井あゆみ先生の挿絵も世界観にぴったりだし
紙で買って本当に良かったです!
やっとKindle配信されました。ダリアさん、ありがとうございます!
鬼と術師の、命をかけたラブストーリーです。
現代っぽいけれど時代背景は不詳。メインの二人は世俗から切り離された生活をしています。主人公の嘉槻が術師として仕事に向かう時と、彼の保護者的な青柳が買い物に出かけるシーンに娑婆?が登場するくらいで、舞台はほぼ青柳の結界内にある日本家屋内といってもいいかもしれません。それゆえに、ファンタジー感マシマシです。青柳に仕える管狐たちのふさふさしたしっぽが可愛いかったな。
青柳が「高等鬼種」になった経緯がぼやかされているため、個人的に本作を楽しむ上で致命傷となってしまいました。なぜ青柳が嘉槻の両親との友人関係にあったのかや、彼が嘉槻に執着し始めた転機がいつだったのかを敷衍する重要なポイントになってくると思ったからです。タイトルにある「忘れ形見」が何かをにおわせているのでしょうか…。
どうも、ここが読みたいなーっていうところが作者様とは一致しないんだな笑。ちなみに自分は修行期間のドSな青柳が見たかった…
本作は鬼エロなので、濡れ場が読みどころの一つ。最後は迫力の濃厚エロ!気力が漲っているか、めちゃくちゃ疲れている時に読んだら、キャーってなると思いますたぶん笑。青柳と嘉槻の恋情はしっかりと汲み取れたので、最初のうちこそすれ違いが切なかったけれど、残念ながらわたしは最後まで集中して乗りきれませんでした。
このお話の「高等」な鬼は、スーパー攻め様級のスパダリ寄りですよね。受けのためなら鬼をやめるのも厭わない。その自己犠牲に愛の重さを感じます。でも受けは両親が命を落とした真相も淫呪の主も、攻めがなぜ自分を食わずに自らの死を望むのかも、わからないことだらけ。ある意味無垢な状態から、攻めに甘えてしまう姿に艶っぽい媚が増していく様にご注目!
管狐の雪白&影月コンビは重要な狂言回しです。雪白が優しくて健気で癒されます。和もので鬼と人間だけが対峙する世界観だと喉が詰まるような息苦しさを感じてしまうので、頼久くんの清々しく爽やかな王子キャラにも癒されました。管狐にキャッキャしてる頼久くん、可愛い…。
印象に残っているのは、青柳が嘉槻のご機嫌をとるためにざる豆腐を買いに出掛けるシーン。情緒があって素敵です。あの薬味だとお酒が進みそうで、一杯呑みたくなりました。
サブタイトルの「溺愛鬼」とあらすじ、そして読み進めて行くうちに青柳の穏やかな性質から、青柳は本当に嘉槻の両親を殺したのか?嘉槻に淫呪かけたのは青柳なのかと疑問を持ってしまうと思います。
そして少ない登場人物と文章のそこかしこに散りばめられたヒントに、事の真相が薄っすらと見えて来て読者のこうであって欲しいと思う望みが同じであるのかと、答え合わせをする気持ちでページをめくる手が止まらなくなりました。
「淫呪の疼き」とあるくらいなので、青柳と嘉槻のセックスシーンは多いです。
でもその度に身体を繋げる理由が必ずあるので、エロが少ない方が好みの私でも大丈夫でした。
青柳がどのくらい長い間生きているのか、何故鬼になったのかは本編にはハッキリとした記述はありません。
でもどのくらい生きているかは、コミコミさんの小冊子の中に書いてありました。(手に入るうちに購入をお勧めします。)
青柳が鬼になった理由は嘉槻が青柳に質問していた、「高等鬼種」の成り立ちにヒントがあると思いました。
でも長く生きるうちに「なるんじゃなかった」と後悔するようになり、嘉槻と暮らした6年間のうちに嘉槻に執着して情が湧きそれが恋慕へと変わったのだから、やはり青柳にとって嘉槻だけが特別だったのだと思うのです。
封印師としてはまだまだだと思うので、青柳と一緒に活躍する姿が読みたいのと、本家の頼久が青柳の管狐を愛でていたのにホッコリしたので、彼のスピンオフを書いて頂いてその後の青柳と嘉槻の様子も読めたらと思ってしまいました。
これ一冊で終わるのはもったいないと思います。
笠井先生おっかけで購入。紅葉先生、好きだった作品もあるのですが今作はなぜか入り込めなかったので中立にしました。本編270P弱+後日談3P+あとがき+笠井先生のあとがき。和風ファンタジーがお好きな方だったらいいのかも。
この春、封印師として看板をかかげた嘉槻(かつき)。6年間山奥で、高等鬼種である青柳と共に修行をし、今も共に暮らしています。というのも青柳から「淫呪」を刻まれていて性的な行為などにより精気を吸われていて・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
雪白、影月(管狐、青柳に仕える妖魔、みかけは可愛いオコジョ、しゃべる)、頼久(本家嫡男)、邦明(頼久の叔父)、受け両親(故人)ぐらいかな。
++ 攻め受けについて
攻めさんは鬼さん。鬼だからといって激しい気性なのではなく、穏やかな印象なんですよね・・・優しいんです。受けを思いやってしみじみする方なんです。なんでこの方が鬼になったのか全く分からない。受けをしみじみ愛していて、でも鬼だからと一線を引いている、そんな方です。もちろんイケメン。
受けさんは呪いをかけたのは攻めさんだと聞かされていて、でも好きになってぐるぐるしている感じの方。やんちゃとか気が強いとかはなくて健気よりかなあ。
攻め受けとも優しい気質に感じてアピールしてくるものが無かった印象です。ぐるぐるする二人の恋話を楽しめる方ならいいのかも。最後の二人の時間の長さの違いを克服するところが好きな方はいるかもなあ。個人的には今一つぴんとこなかった一冊でした。ちょっと残念。
本のタイトルで「淫」の字があるので身構えてしまうかもですが、この話は純愛です。確かにエロくはあるんですが、下品じゃないです。
良いなと思ったところ
・鬼の青柳がスパダリなところ。受けの嘉槻が大事で大事でたまらないのが常に伝わってきます。大切に扱われているからこそ親の仇かもしれない相手に恋心を抱く嘉槻の葛藤がこちらとしては大変美味しゅうございます。
・表紙にはありませんが、モフモフしたキャラ2匹が可愛い。魔法少女についている妖精みたいな感じで和みます。
・ラストの切なくもある愛の呪いが甘美。
個人的な不満点
・和服の描写に慣れていないと「?」になる(都度調べないといけない)
・(私が見落としているかもですが)青柳が鬼になった理由がいまいちはっきりしなくてモヤっとしました。
設定がすごく好きだっただけに、一冊で終わってしまうのが勿体無いなと思いました。その点でも萌2にさせていただきました。