• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作深潭回廊 3

山田(柳田先生)
尾崎渚,中学3年生

その他の収録作品

  • おまけの漫画
  • あとがき

あらすじ

【アイツは根っからの娼婦だからな。】幸せな恋にふわふわしていたはずが、そこは真っ暗な闇の中。
渚(なぎさ)と一緒にいることで初めて満たされた柳田(やなぎだ)。
しかし2人の蜜月はすぐに終わりを告げる――渚は島の男達を相手に売春行為を繰り返していた。
渚を取り巻く異様な状況を知った柳田は、自分が渚を全く知らないことに気が付く。
都合の良い夢から覚め、ようやく現実を直視する柳田。
花畑だと思っていた現実は終わりのない暗闇だった。

作品情報

作品名
深潭回廊 3
著者
永井三郎 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ふゅーじょんぷろだくと
レーベル
POEBACKS Be comic【非BL】
シリーズ
スメルズライクグリーンスピリット
発売日
電子発売日
ISBN
9784865896848
4.5

(53)

(38)

萌々

(9)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
242
評価数
53
平均
4.5 / 5
神率
71.7%

レビュー投稿数8

読んでいてしんどい。だが。

『深潭回廊』の3巻目。

永井作品の中でも人気の高い『スメルズ ライク グリーン スピリット』のスピンオフ作品。『スメルズ~』を未読の方には、まず『スメルズ~』を読んでからこちらを手に取られることをお勧めしたい。

ペドの性癖を持つ山田。
山田と身体の関係を持つ中学生の渚。

1、2巻を読んでシリアスな話だと分かってはいましたが、3巻はさらにそのシリアス度を上げてきました。子どもが性的な搾取に遭う作品なので、苦手な方は回れ右。痛く、しんどい話を読みたくない時にもお勧めしません。けれど読んでいてこんなにもしんどく、けれど読むことを止められない作品はそうそうない気がします。

渚が貸してくれた本を読み、そしてかつて恋焦がれた南條くんの死を知った山田。
そして、その事実を介して、彼はかつての己の自己中心さにやっと目を向け、そして自身を恥じ自らの死を選ぼうとするが―。

というところで終わっていた2巻。
3巻はその続きからスタートします。

自死を望んだ山田にストップをかけたのは渚。
時に辛辣な言葉で、けれど山田の心に深く問いかけてきてくれたのは渚だった。
常に「自分」の内に籠ってきた山田は、やっと「渚」という少年と向き合うがー。

3巻に入り、少しずつ渚の置かれている状況が見えてきます。
彼が、大人たちにウリをしていることが。

「渚」という、その男の子の中身ではなく、周囲のゲスな男たちは「娼婦の息子」という虚像を彼に見ているんですね。「娼婦の息子だから」、渚は淫乱で男を欲しているのだ、と。

ゲスな男①が、渚とはじめて身体の関係を持った時の状況を山田に話すシーンがあります。あれはゲス男①の嘘なのではなく、彼はそれが真実だと信じているんじゃないのかなと思いました。

それはゲスな奴らの望みであり、都合の良い願望でしかないのに。

その虚像を破って初めて「渚」を見てくれたのが、山田だったのだと。
そう、読んでいて思いました。

けれど、渚は渚で、男たちの欲求のはけ口にならざるを得ない「何か」がまだある。ように見える。ラスボスはあいつなのか…?と思う人物も登場していて、続きが気になって仕方がない。

山田が、いや、柳田先生が渚と出会い、やっと己と向き合い救われたように。
渚もまた、柳田先生との出会いによって救われて欲しい。
渚には良き友人もいます。彼らの動向にも注目したい。

まだまだ完結ではなく一波乱も二波乱もありそうな流れではあります。早く二人に幸せになって欲しいな。

と思いつつ、次巻を楽しみに待っていようと思います。

17

どんな決着を見せるのか…

とてもしんどいお話ですが、まだ続いていました。
永井三郎先生があとがきで「濁った水の中のような話」と書いてましたが、その通りのようなお話でした。

島という閉塞感の中で大人の男たちに搾取され続ける渚、自死を思いとどまって渚を知ろうと動き出す山田…でもその事が山田自身の罪を否応無しに突き付けて来るのです。

これだけ人間の暗部を見せつけておいて、最後はどういった決着を付けるのか想像も出来ません。

渚の同級生の真理と井上少年の良心に賭けるしか無い気がして来ました。
それと渚の母親が居なくなった真相が父親だったとしたら、渚の逃げ場は何処にも無いことにゾッとしました。

願わくば山田にも渚にも救いのある展開になって欲しいです。

6

バケモノから人間へ

他の方もおっしゃってますが、このお話、とても重いです。重厚なストーリーをお求めの方にはいいでしょうが、かなり読み手を選ぶお話だと思います。

私は重めの話も大好きなので、スメルズライクグリーンスピリットからここに来たクチです。

本人の弁でもありますが、「自分が一番不幸で可愛そう」だった柳田がやっと周りの人間に目を向けられるようになり、渚の苦しみに目を向けられるようになった、展開としてはとても大きな巻だったと思います。いや、いい大人やろ!って突っ込むところではあるんですが、柳田も壮絶な人生送ってきてるんですよね…(とは言え、スメルズ〜での彼の行いを肯定するわけでは決してありませんが)。

そして渚。小学生の子供が大人から守られることもなく性的な搾取をされて育つこの島の環境はかなり異常でムナクソ案件なのですが、大人を信じて生きていくことができなかった渚が柳田を信じられるのか、そしてようやく人間になった柳田がどこまで渚を守ることができるのか…。まだまだ問題は山積みなように思いますが、終盤に差し掛かっているのかな〜というところだと思います。最後まで彼らを見届けたいという気持ちです。どうか、柳田と渚に少しでも明るい未来がありますように。

3

アイツ、マヂ許せぬ

ふわふわハッピーモードから現実に戻った柳田が渚くんに向かい合おうとするお話でした。

バケモノから人に戻ってくるキッカケを作ってくれた渚くんにちゃんとお返しというか気持ちで返してあげて。

渚くんが不憫すぎるよ。
母親が元娼婦だから、美少年だから、人の気持ちを察してしまう子だから、自分を犠牲にしてしまってるし、閉鎖的な田舎町だからと諦めてしまってる。
本当は勉強できるし高校進学できる学力あるのに、中卒で働く気でいてるし、父親からは逃れられないと思わされてる。

柳田繊細過ぎて現実を受け止め切れずにすぐ吐いちゃうけど、自分の事しか考えてなかったのが渚くんを救済したい気持ちが芽生えて成長してるやん。
このまま2人で幸せに向かって欲しい。

しかし、井上くんの父最低な男や。
同い年の息子がいてるにも関わらず、渚を性の対象にする。でも、家ではいい父親なんだよと井上は言ってんのよ。性欲で相手の気持ち考えられなくて頭バカになる奴は、お前が犯されてみろ!と思ってしまう。それか、ちょん切ってやろうかって。
今後私の溜飲が下がるような事井上父に起こらんやろうか?でも、そんな都合いい事はないよな。

紙本で購入
修正の必要な描き方ではない

0

blind themselves

あらすじのセリフで嫌な予感がした人は回れ右を。
正直脱落ポイントが多い巻かもしれません。
私は最後まで読むと決めています。って人はどうぞ

かなり暗いエピソードが続きます。
まさにタイトル通り、暗い深潭の淵を巡るよう。
読む時は元気な時じゃないと永井先生の胆力に引き摺られるかも。

伏線回収があって、そこで初めて山田は渚と向き合おうとします。ここまで一切気づいていなかったんだなぁと納得できました。
プチストーキングする山田の不器用さは可愛いかったです

智のお父ちゃんも渚のお父ちゃんも残念な親です。

スメルズライクグリーンスピリット
センコウガール
などと同じく親との関係性がしっかり書かれるのかな?

上記の両作品で最後は光を見せてくれた永井先生だからきっと救いはあると思います。

3

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP