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この呪いは、とけますか。
『深潭回廊』の2巻目。
永井先生の代表作の一つと言って良いでしょう、『スメルズ ライク グリーン スピリット』のスピンオフ作品。『スメルズ~』の主人公の三島を襲った、高校教師の柳田先生のお話です。続きものなので前作が未読だと理解できません。未読の方はそちらを読まれてから今作品を読まれることをお勧めします。
三島から、そして自身の性癖から逃げ続けた柳田が行き着いた、小さな島。
名を隠し、山田と名乗りひっそりと生きる彼は、その島で一人の少年に出会う。中学3年生の渚に。
人と深く付き合うことを避けてきた山田だったが、渚はグイグイと山田の懐に入り込んでくる。そしてついに二人は一線を越えるが―。
というところまでが1巻で描かれていたストーリー。
2巻はそんな二人が少しずつ距離を近づけていくシーンからスタートします。
誰からも。
親からも、そして自分自身でさえ受け入れてあげることのなかった「ゲイ」そして「ペド」という性癖。
そんな性癖を抱え、葛藤し、苦しんできた山田にとって、渚という少年の存在がどれほど彼の支えになったのか。渚は中学生で男の子。山田の性癖にドンピシャな存在なんですね。
けれど、山田にとって、渚という少年はただ自身の性癖を潤す存在ではなくなっていく。「渚」という、一人の人間としての存在を、山田は欲していく。そんな山田の姿に安心するけれど。
んー。
今作品は柳田先生の救済のストーリーだと思ってたんですよね。『スメルズ~』で幸せになれなかった柳田先生が、幸せを手に入れるストーリー。
でも、違う。
今作品は、渚救済のストーリーなのだと、そう思いました。
ネタバレになってしまうので詳細は書きませんが、渚の現在置かれている状況はかなり劣悪です。胸糞です。胸が痛いです。
なぜ、そうなってしまったのか、そこはまだ描かれていませんが、けれど彼の状況は許しがたい状況です。
山田の闇を渚が受け入れた、のだと、1巻を読んだときには思いました。けれど、渚もまた、救助を待っている。山田の存在が、渚にとっての救済の場になってる。渚が、山田の前だけで見せる、心からの笑顔に思わず落涙しました。
今作品は読み手を選びます。
子どもが大人たちの食い物になっているストーリーが苦手な方にはお勧めできません。
で。
2巻に入り、柳田先生の根っこであろう南条くんの存在が少しずつ大きくなってきました。びっくりする形で、柳田先生は南条くんと再会します。再会するけれど…、うん。切ない。
人を、そのあるがまま受け入れることの難しさと大切さ。
その表裏一体の事項が、これでもかと描かれています。
読んでいて、心が温かくなるお話ではありません。
読み手を選ぶ、かなりハードなお話です。
けれど、ここまで深く、「人を愛すること」「自分と違うものを受け入れることの難しさと大切さ」「普通って何?」を問うたストーリーが他にあっただろうか。
タイトルの「深潭回廊」。
このタイトルがまた意味深っていうのかな。
渚、そして山田。
彼らが囚われたままの深潭。
抜け出せない回廊。
それらが端的に漫画の中でも描写されていてどこまでも胸に迫ってくるお話でした。
先述しましたがBLという萌えはほぼありません。
けれど一つの作品として素晴らしい。
神×10くらい付けたい。
次巻が今から待ち遠しい、そんな神作品です。
『深譚回廊』の2巻ですが、人間の本質を遠慮なしに描き出し、残酷で救われない世界をありありと映し出しています。
1巻の〝モっさん〟のような怪物は出て来ませんが、私には大人たちが本物の怪物に見えました。
渚によって救われた柳。
そして、渚も柳に必要とされることで救われているのだと思う。
村の男たちに性の対象として見られ、身体を貪られ続ける渚。
どこの世界に汚いおっさんにヤられてなんとも思わない子どもがいるよ!そんなのいるわけない‼︎
自分勝手で利己主義な男たちに憤りました。
何度も渚を犯す男たちは、きっと何度も渚の心を殺してるんだと思う。
そして、それが親友の父親だなんて信じられない!
「おじさんはセックスなしでも俺といれる?」
「俺をここから連れ出して」
散りばめられている渚の心の吐露に、胸が鷲掴みにされる思いでした。
渚は、村や父親に縛られて苦しんでいます。
その唯一の救いが、村の外から来た柳田だったのでしょう。
しかし、一冊の本が柳田から渚への関心を奪っていきます。
かつて柳田が本気で恋をした少年・南條。
その南條が書いた、少年2人の冒険譚。
描かれている少年は、柳田と南條なのか?
だとしたら、南條は柳田に恋していたのか?
南條へ想いを馳せる柳田は、もう渚の声も聞こえないし、渚のことも見えてない。
大人って、なんて自分勝手なんだろう。
すぐそばで助けを求めている少年に気付いてよ……そう思わずにはいられなくて、切なくて涙が止まりませんでした。
渚の目や感情がどんどん死んでいくみたいで、心配で堪らない。
また悪い男たちに利用されそうな渚と、それを分かっていて受け入れる渚。
一体どうなって行くんだろう……と、想像がつかない展開に、先が気になって仕方がありません。
数奇な縁で引き寄せられた柳田と渚を通して見せられる、大人たちの露悪的な表現に震撼させられる作品です。
文字にしない心理描写が半端なく、漫画ならではの表現力には唸るしかない。
これは、きっと柳田の救済の物語じゃない。
かつて子どもを恐怖に陥れた柳田が、子どもである渚を救済するお話なんだと思う。(そうあって欲しい)
今回はページ数が少なすぎて悲しかったので、3巻はボリューミーにお願いします!
少しずつでも穏やかにハッピーエンドに向かうかと思ったら、やっぱりそんなわけありませんでした。全ページほぼ、闇。搾取され続ける渚の死んだ目が読んだ後もずっと突き刺さって離れません。
狭い地域で、小さな世界で、まだ非力で逃げることができない子供が弱い大人に蹂躙される様は、この作品だけでなく現実にあることを改めて考えさせられます。
柳田との共依存気味の関係もあるきっかけから少しずつ変化して、渚の場所がどんどんとなくなっていくのが辛かった。
柳田が渚を救えるのか、救うことで自分を救えるのか。たとえハッピーエンドにならなくても完結まで見届けたいと思います。
歪んでます
登場人物8割は歪んでます。いや、病んでるのか
少年のはずの渚は大人びすぎてる
無慈悲に当てられる性欲を受け入れ恐らく身体共に病んでる、というより死んでる?
海に飛び込む行為は死んで(フリ)清めてるつもりなのではないだろうか
その行為でリセットして自我を保ってるのではないかな
今まで受け入れてきた性欲とは違う求められ方をした渚は柳田からの求められ方を愛情かなにかと勘違いしていそうな…
渚は大人びているがまだ子供なので愛とかの考えはまだ幼そうだし
今の段階だと謎が多すぎるのでなんとも言えないが闇が深すぎてやばそう
もちろん渚が自分と同等の闇がありそうなおっさんを渚側に引き込もうとしている気もする
そしてなにかありそうな渚の父親
智の父親が言っていたが「蛙の子は蛙」
渚の父親もソッチだったのだろうか…
渚を探したり、タバコの吸い殻の量が多くあったシーンでも待っていたかのような描写だった
なぜ待っていたのか、なぜ探したりしていたのか
売り物だから?それとも心配して?
わからない。伏線が多くて面白い
もっさんこと柳田も南條君の真実を知ってしまい渚の存在価値が薄くなり、さあどうなるってところで次巻へ
あー続きが楽しみ
スメルズライクグリーンスピリットのスピンオフ作品。
1巻の最後の方でお花畑を見た柳田だったが、花の色が黒くなって2巻へ続き…。
もしかして、これから2人に明るい未来が待っている…のかも…とほんの少しだけ期待していたけれど、あ、そうだ、柳田は沈んでた。花は黒くなっていた。
と、思い出した2巻だった。
始まりから渚の闇…というか、周りの大人達が酷過ぎてどうにかして渚が救われないかと願うことばかり。
後半に南條くんが登場したが、これも救いようがない形での登場…。
そんな…と、柳田と共に号泣してしまった。
スメルズライクグリーンスピリットも最後に切なくなって泣いたけど…。
今回は、ただひたすら悲しくて。
それでも、私は何度も読み返すだろう…重くても悲しくても大好きな作品。