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表題作深潭回廊 3

山田(柳田先生)
尾崎渚
中学3年生

その他の収録作品

  • おまけの漫画
  • あとがき

あらすじ

【アイツは根っからの娼婦だからな。】幸せな恋にふわふわしていたはずが、そこは真っ暗な闇の中。
渚(なぎさ)と一緒にいることで初めて満たされた柳田(やなぎだ)。
しかし2人の蜜月はすぐに終わりを告げる――渚は島の男達を相手に売春行為を繰り返していた。
渚を取り巻く異様な状況を知った柳田は、自分が渚を全く知らないことに気が付く。
都合の良い夢から覚め、ようやく現実を直視する柳田。
花畑だと思っていた現実は終わりのない暗闇だった。

作品情報

作品名
深潭回廊 3
著者
永井三郎 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ふゅーじょんぷろだくと
レーベル
POEBACKS Be comic【非BL】
シリーズ
スメルズライクグリーンスピリット
発売日
電子発売日
ISBN
9784865896848
4.6

(57)

(42)

萌々

(9)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
262
評価数
57
平均
4.6 / 5
神率
73.7%

レビュー投稿数8

アイツ、マヂ許せぬ

ふわふわハッピーモードから現実に戻った柳田が渚くんに向かい合おうとするお話でした。

バケモノから人に戻ってくるキッカケを作ってくれた渚くんにちゃんとお返しというか気持ちで返してあげて。

渚くんが不憫すぎるよ。
母親が元娼婦だから、美少年だから、人の気持ちを察してしまう子だから、自分を犠牲にしてしまってるし、閉鎖的な田舎町だからと諦めてしまってる。
本当は勉強できるし高校進学できる学力あるのに、中卒で働く気でいてるし、父親からは逃れられないと思わされてる。

柳田繊細過ぎて現実を受け止め切れずにすぐ吐いちゃうけど、自分の事しか考えてなかったのが渚くんを救済したい気持ちが芽生えて成長してるやん。
このまま2人で幸せに向かって欲しい。

しかし、井上くんの父最低な男や。
同い年の息子がいてるにも関わらず、渚を性の対象にする。でも、家ではいい父親なんだよと井上は言ってんのよ。性欲で相手の気持ち考えられなくて頭バカになる奴は、お前が犯されてみろ!と思ってしまう。それか、ちょん切ってやろうかって。
今後私の溜飲が下がるような事井上父に起こらんやろうか?でも、そんな都合いい事はないよな。

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修正の必要な描き方ではない

1

バケモノから人間へ

他の方もおっしゃってますが、このお話、とても重いです。重厚なストーリーをお求めの方にはいいでしょうが、かなり読み手を選ぶお話だと思います。

私は重めの話も大好きなので、スメルズライクグリーンスピリットからここに来たクチです。

本人の弁でもありますが、「自分が一番不幸で可愛そう」だった柳田がやっと周りの人間に目を向けられるようになり、渚の苦しみに目を向けられるようになった、展開としてはとても大きな巻だったと思います。いや、いい大人やろ!って突っ込むところではあるんですが、柳田も壮絶な人生送ってきてるんですよね…(とは言え、スメルズ〜での彼の行いを肯定するわけでは決してありませんが)。

そして渚。小学生の子供が大人から守られることもなく性的な搾取をされて育つこの島の環境はかなり異常でムナクソ案件なのですが、大人を信じて生きていくことができなかった渚が柳田を信じられるのか、そしてようやく人間になった柳田がどこまで渚を守ることができるのか…。まだまだ問題は山積みなように思いますが、終盤に差し掛かっているのかな〜というところだと思います。最後まで彼らを見届けたいという気持ちです。どうか、柳田と渚に少しでも明るい未来がありますように。

4

子供と身体だけ成長した子供

 この作品は過去守られるべき時に大人に守られず、その苦痛を抱えたまま生徒を襲った山田がどのように救済されていくかがテーマだと思っていたけれど。単純に、渚という中学生に救われるわけもなく、渚もまた狭い島の中で雁字搦めになった未熟で大人への反感を持った子供であり、2人だけが病んでいるように見えても、彼らが病むきっかけを作ったのは周りの思慮の浅い大人達なのだということを、この3巻ではっきりと突きつけられたように思います。

 娼婦、という言葉。旦那と子供のいる女が別の男と共にどこかへ行った、という言葉。これらを聞いて、果たしてどれくらいの人が、彼女の実体を正しく思い浮かべられるでしょうか。渚も母親の血を継いだ淫乱だというのはさすがに信じなかったし、彼が大人の男を余裕の笑みで誘ったのも当然本心からではないだろうと思いましたが、そもそもそんな事実すらなかったのです。一方の話だけ聞くことの危うさ、恐ろしさを改めて感じました。人は自分の信じたい話、受け入れやすい話を信じ、よく分からない話や不都合な話には聞く耳を持たない。その浅はかな考えが、誰かを山田や渚のように泥沼に沈めてしまうかもしれない。そのことを痛感しました。渚には彼を本心から思いやる同級生もいるので、どうにかこの狭い世界でも救済されて欲しいですね。

2

どんな決着を見せるのか…

とてもしんどいお話ですが、まだ続いていました。
永井三郎先生があとがきで「濁った水の中のような話」と書いてましたが、その通りのようなお話でした。

島という閉塞感の中で大人の男たちに搾取され続ける渚、自死を思いとどまって渚を知ろうと動き出す山田…でもその事が山田自身の罪を否応無しに突き付けて来るのです。

これだけ人間の暗部を見せつけておいて、最後はどういった決着を付けるのか想像も出来ません。

渚の同級生の真理と井上少年の良心に賭けるしか無い気がして来ました。
それと渚の母親が居なくなった真相が父親だったとしたら、渚の逃げ場は何処にも無いことにゾッとしました。

願わくば山田にも渚にも救いのある展開になって欲しいです。

7

闇深い

スメルズライクグリーンスピリットのスピンオフとして始まったこちらのシリーズも3作目。
今回は今までもかなり仄暗いお話でしたが、閉鎖的な場所で逃げ場のない中学生の渚にスポットが当たっていて、この渚はもしかしたら罪を犯した山田の救いになるんじゃないかと思って期待していたのですが、渚自身がいろんなことにがんじがらめになっていて逆に山田に救いを求めているんじゃないかと思えてきました。
そろそろ色んな事に決着がつくんじゃないかと期待して読んだのですがもう少し二人のお話が続きそうです。
スメルズライクグリーンスピリットも色んな読み方ができると思うのですが、こちらの方はまだ救済が描かれていないので、二人の未来を見届けるまで追いかけようと思います。

4

この作品が収納されている本棚

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