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クマとインテリ再びという事で、エッジコミックス、bassoさんの「amato amaro」です。
英訳すると「beloved bitter」って事のようですが、なんて訳したらいいですか?苦いのはお好き?…ってちがうか(^^;)
帯には「ボディーガード X 経済学者」と言う風に書いてあります。
実際関係があるのはこの2人なのですが、だからと言って恋愛関係であるかと言うとまた話は別です、経済学者の方には本当に好きな人が別にいる様子。
それはずっとずっと古くからの顔見知りなのですが、秘めた想いを本人が口にしたいと考えているかと言うと、彼らに纏わる人々との関係や感情が複雑に交錯しているので難しい。
相手が自分の事を大切にしてくれているとわかってればいるほど告げられない想い、また告げないほうが良い想いと言うのは存在するものです。
親友と言うよりも、悪友という言葉がしっくり来るような関係の二人ですが、なんだかんだいいながら喧嘩してもいつかはまたもとのサヤに納まっているんですよね。口には出さないのだけれど双方ともあいての事を大切の思っている事は伝わってくるんです。このままずっとおじいちゃんになるまで長い付き合いを続けていくに違い無いとそんな可能性を持たせてくれる二人でした。
彼はきっと相手への想いはこのまま胸のうちに秘めたままでいるのでしょう、そしてそのままの方がきっと幸せに違いないとそんな風にも思わせてくれます。
それに、経済学者様はボディーガードの彼を思いのほか気に入っている様子ですね。この2人の関係にもまたニヤリとさせられました。
相変わらず無駄な台詞は省いて、絵だけで魅せる方ですね。そして余韻を持たせたラストもまたすごく良い。
可愛いのが「bandoliera(バンドリエラ)」と言う話。
元警察官のくたびれたオッサンが出てくるんですが、このオッサンがむちゃくちゃ可愛い~(≧∀≦)
本当は相手してほしいのね、素直じゃないんだから(笑)
私が今回一番印象強かったのは「differenza(ディフェレンツァ)」と言うタイトルの双子の兄弟の話。differenzaは日本語に訳すと「違い」と言う意味のようです。
一卵性双生児のマウロとパオロ……。
陽気な性格のマウロに落ち着いているパオロ。顔はそっくりだけれど雰囲気が全く違うため間違えられた事は無い二人。
そう、あの日を除いては……。
父親が自ら犯した過ちに気づく事はこの先一生無いのでしょうか?
そして彼は本当の自分を父の前でさらけ出す事はこの先無いのでしょうか?
ラストの一こまがぐっと来る。
bassoさんの2冊目の作品は、一冊目の「クマとインテリ」三冊目の「ガットスフォルトナート」の登場人物が出てきていて、それぞれの過去や現在や関係がわかります。
読む順番はどちらでもいけそうですが、自分的に1→3→2を選んでみました。
経済学者とボディガードの話は「アマートアマーロ」の3話目まで。
どちらにも属さない、どちらかというと左寄りの発言でテロリストに狙われているビットーリオに親友のジーノがつけたボディガードがアルマンド。
ビットーリオはジーノが好きだったから、でもいうことができなくてアルマンドを挑発したのかな?
という流れになっていますが、ジーノはゲイではなさそう。
アルマンドはビットーリオが好きになっていっているのですが・・・
"好きな奴ほど困らせたい"態度をとるのはジーノとアルマンドに対してということは、アルマンドはビットーリオの良い友達になったのか、それとも恋人になったのか?
まか不思議な、でもこの3人の関係に胸がキュンとしました。
メガネでタバコをくゆらす上目遣いのビットーリオも雰囲気があってしゃれているけど、ヒゲ面で半眼でけだるそうなアルマンドもイイ男だ。
彼らの表情を見ているだけでも飽きない。
「パンドリエラ」
憲兵とその恋人のおじさん、おじさんは構ってほしくて子供のようないたずらを。
「ディフェレンツァ」
双子の片われの結婚式に男の恋人を伴って帰省した弟。実は兄はバイセクシャル!?
「タトゥアッジオ」
ガッドの店に刺青を入れに来た男の恋人は日本に取られてしまったのだ。
「パルティータ」
超短編。向こうの部屋の人の親切。
「ジェラテーリアディマルチェッロ」
マルチェッロのジェラテーリアは疲れた男達の憩いと安らぎの場。
「カッラーロの秘書」
本当、いつも苦労しますよ、この人。
素敵な男達の物語集です。
毎回書いてしまうが絵を見るだけで物語が進んでいくようです。
「クマとインテリ」の続編です。tatuaggioは「Gad Sfortunato」に続きます。イタリアのシリーズは「アルとネーリ〜」に続きます。
続編といっても未読でも楽しめる内容ではありますが、ブルーノ(カメラマン)とファースト(議員 前首相)の関係性が続いているところを見られたり、萌が増幅するので既読をお勧め。
ジーノ(ファーストの弟 メディア王)とヴィットーリオ(表紙 教授)の関係性がいいですね。恋愛を描くばかりではなく、友情も描く。友情の描き方が絶妙。たっぷりとページを使って目線で会話する二人がセクシーで、たまらなく可愛い。覗くファーストももちろん可愛いし、それを写真に撮るブルーノも可愛い。可愛くて愛しい。人と関わり合うことって悪くないな〜と思う。
この一冊は恋愛以外の関係も深く描いていますね。友情、兄弟、親子…上司と部下。第一秘書くんもキュート
「クマとインテリ」の続編というか、登場人物が重なる「amato amaro」。
前作の政治家ファウストの弟メディア王ジーノにからんだ物語が3編、
ファウストの秘書が主役の話が1編。
さらにジェラート店の息子や常連客3人の話と、読み切り短編が4編。
なんで久しぶりにこのシリーズを読んだかというと、表紙のヴットーリオ氏の絵が
おや?私の好きな某小説の某H.S.氏のイメージと似てる?と思ったもので…
V氏は喫煙者だし結構違うけれど、年齢は40代でとんとんだし、どっちも魅力的な男。
「クマとインテリ」より更により抑制が利いた感じで、濡れ場は少ないですが、
心情が浮かび上がる描写が、とてもいい。
私はなんと言っても表紙のヴットーリオの面倒くさい性格が気に入っているのですが
ファウストお兄ちゃんが、出てくる度にはっちゃけて面白いキャラになってくのもいい。
双子の話「differenza」の痛みは、いかにもbasso(=オノナツメ)さんらしい味わい。
ところでこのタイトル、「苦い恋人」くらいの意味だと思うんですが
舞台を考えると、Giuliano Amatoとなんか関係があるのかな?モデルとか(笑)?
「クマとインテリ」のレビューに書いたんですが、bassoさんは見るからにオサレ系なので、ちと食わず嫌いをしてたんですねー、勿体無い事をしましたです、はい。
「amato amaro」のタイトルの意味って何だろ?と翻訳サイトで調べてみたら「ビター好き」と翻訳されました。
成程~~、確かに読み終えてみるとこのタイトルがぴったり。
甘過ぎもせず、ビターな大人の味わいの小粋なイタリアーンって感じで。
表題作連作+短編集。
過去作品のキャラも出てきていて、知らなくても楽しめるけど知っていると更に面白い。
表題作はテロに狙われている教授をボディガードする男との話。
教授の趣味は深夜に映画を見に行く事。
この教授に限らずこの作品に出てくる眼鏡が実にいいです。
眼鏡男子とはまた違った大人の眼鏡の味わいというか、ともかく萌え!なのですよー。
眼鏡をかける仕草は確かに萌える、うん萌えるよー!
そしてまた大の男達がジェラート談義してるし!オヤジに結婚を申し込みしたくなる位に美味しいジェラートってどんな味なんだろう……食べてみたい~~!
他にも小粋という表現がぴったりな話が沢山入ってて面白かった。
カフェを片手に読んでみたくなる一冊。