電子限定おまけ付き
(上下巻合わせてのレビューです)
BL Award 2023 Deep部門ノミネート作品です。
「シティ・ライツ・バースデイ」がもんんんのすごく良くて、「世田谷シンクロニシティ」も目の付け所がすごいし、「メトロ」も度肝を抜かれたので本作もずっと気になってました。
でもいろんなサイトのレビューで「元気な時じゃないと読めない」などとあったため、ずっと手を出してなかったんですが、1年半前、期間限定半額に抗えずポチリ。
皆さんのレビューで知ったのですが(感謝!)、タイトルは米海軍の俗語で「深夜12時までの外出許可」を意味するそうです。
兄弟と兄の友人、計3人のお話。
(何を書いてもネタバレになるので最小限にとどめますね)
人形劇で表現すれば読み手のダメージが軽減される、と思いつく地下さんのセンスもすごい。
本郷さん作品はクライマックスで「あーーー!!!」って度肝を手づかみで引っこ抜かれる展開が待ってるのが多いんですが、本作もそうでした。
度肝指数は歴代MAXだった。
まるで良質なサスペンス映画のようで、見事な伏線回収。
何度も読み返して他の伏線も確認したくなる、でも読むのにエネルギー(「労力」ではなく、精神的な「元気」という意味)が要るという、なんというジレンマよ…。
下巻の評価が上巻の評価を超えてるとこにもご注目を。
友情も良かった~。
それに相変わらずあとがきのセンスがー!(イイ!
唯一の難点は、メイン3人の顔も髪型もほぼ同じなので、髪色でしか判断できないこと。
でもその点を補っても膨大に余りあるほど満足度が高かったので、ものすごくオススメです。
ぜひクライマックスなど、要所のネタバレは無しでお楽しみください。
内容を書いた方がこの作品が刺さる人には届くかもしれないが、内容を書いてしまわない方が面白いという如何ともし難い作品。
兄弟モノとか、救済モノとか、オカルトとか色々書けるんだろうけど、幽霊だの書いちゃうと折角工夫した構成にしてあるのに勿体ないからな〜。書いちゃったけど。
本郷先生ってこんなに病み或いは闇な作品だったっけ?って思いましたが、そうだ『メトロ』の方だった。最近読み返したのが『世田谷〜』だったから忘れてたよ。
本郷地下先生の作品はこれまでも読んでいたのに「なんか不穏そう」という印象だけで読んでなかったこちら…めちゃくちゃ面白かった…BL以前に物語としての完成度が高すぎる!お兄ちゃんのサイコパス性を描くの、上手すぎ〜!上巻はお兄ちゃんの支配がとにかく苦しくて、敦也と過ごす時間が唯一の救いという感じだった。洋二よ、早く目を覚ましなさい…と思いながら読んでました。とにかくす、すげ〜…の一言。メリバだったらやだなあと思いましたがハピエンでよかった、本当に…ハピエンだよね?笑 ハピエンです!苦しいけど最後まで読むと救いが待っています。今後は2人が平穏に暮らしていけますように。
下巻。
実は最初読んだ時、episode8から意味がわからなくなって混乱したんです。
ナニコレ?って。
下巻の冒頭は、敦也が遼一から受けた迫害の過去、洋二がやっと遼一の洗脳から抜け出て敦也を選ぶ展開。
そして、時計が場面切り替えの合図なのかな、現在地の洋二と敦也の会話シーンに移るわけだけど。
ここ、2回読んでやっと理解しました。ついでに上巻の冒頭の意味も。
↓↓↓↓ネタバレ注意
オカルトじゃん‼︎
遼一が敦也に対して起こした事件。
その後、本格的に壊れた遼一の起こしたナニカ。(←おそらく殺人?)
洋二が対決を決意すること。
そして起きる奇跡…
は〜…
こういう状況だったのか…思いもよらなかったです。
でもサイコを止めるには超常現象、なの?
ちょっと戸惑いました。
また、時系列の違いを出すためなのかまたは意図的にか、髪色が変わるから人物が混乱してしまった。
個人的には…正直オカルト対決シーンがクライマックスだったかな…
あとのラブシーンはさら〜っと。
涙腺がおかしくなっちゃってる洋二が愛おしいです。幸せになってほしい。
先生の作品は、メトロから入り世田谷シンクロニシティを経て今作に辿り着いています。
未読作品がある身ですのでまだまだ、、、な赤ちゃんなりのレビューですみません。。。(上下巻まとめてレビューします)
先生の作品を読み終わると何故かニーチェの「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という言葉が浮かびます。
人間の内面に対峙し、深掘り、抉り、、、そして解放・・・
端正で軽やかなタッチの絵からは想像出来ない程重厚な、人が孕む「闇」や「渇き」そして比例するように求める「救い」と「愛」といった根幹に訴えかけるテーマが流れているように感じるからなのでしょうか。。。
はたまた、作品を読む事で自分自身の心の中を覗かれている、、、否、覗かざるを得ない、という感覚になるからなのでしょうか。。。
普段BLはやはり「物語」として捉えている事が多い分、この感覚は結構自身の気力と体力を奪われる気がしてしまいます。。。
そして今作はそんな人間の性(さが)に翻弄されていく3人を通して救済と愛の意味を知る物語。
上下巻なだけあってしっかり「人間」に焦点を充て切り、華麗なテクニックで私達を物語の中に誘い、そして読後に「人間」の温度感=温かみと畏怖と共に現実へ引き戻して来ます。。。
正直、凄すぎて、、、
私には萌える、という感覚よりしんどかった、という感覚の方が強く残りました・・・。
ただ、確信しているのは読み返す状況でまた絶対に違う感覚を得るであろう、という期待。
しんどかったな、、、と思ったのに、絶対読み返すだろうな、って思う位気になる作品である事は間違いなかったです。
今の自分の環境と状況にはフィットしなかっただけで作品としての存在感としてはやはり商業ベースの中では一線を画す作品ではあると思います。
神評価が多いのも納得です!
「読む覚悟」が要らないくらいのメンタルの時に読んだら、私も素直に終盤の2人の蜜月に萌える事があるのかもな・・・♪という事で現時点では萌より圧倒された感でのしんどさが残っている為の評価とさせて頂きました。