描き下ろしおまけ付き特装版
既婚者とかバツイチってほんとは、苦手分野なのですが
本の厚さと、攻めさんの優しそうな笑顔と、裏表紙で面白そうなので手にとってみました。
まず1番言いたいのが、健斗のヘタレさに泣けました。若くて男前なのに残念!幸奪われちゃったね
心を後回しにしてセフレなんかに甘んじてるから~
なんで先輩紹介したり、次の恋応援したりするかなぁ
多分早くに、手を打ってたら、相思相愛になれてたかもなのに~
そもそも幸のタイプではなかったかもね
優しさといい人とお人好しと純粋さの固まりみたいな笹川さんのほうがお似合いだった
確かに笹川さんのやさしさには癒されるけど、なぜ離婚したのとか、なぜ男の子である幸をすきになったのかとか説明がなかったので、なんかモヤモヤが残るのです
でもまあそんなの抜きにしても、笹川さんの愛は深くて重そう
来栖先生の学園ものも良いけど、こんな大人っぽいお話も面白かったです。
健斗いいやつなので幸せになってほしいです。
人材派遣会社に勤める真面目なサラリーマンの笹川と、キャバクラボーイをしている幸のお話です。
幸は、酔っている笹川に一夜の関係があったかのような偽装をして、笹川に責任を取らせようとします。
笹川は、怒るでも無視するわけでもなく、幸の言うとおり、誠実に謝罪の準備を始めるのです。
笹川は、幸が忘れたピアスを届けたり、無断で来なくなった派遣社員を心配したり、お人好しを通り越したいい人です。
後日、酔った幸を幸の家まで連れて行ったとき、幸が「重いから…俺」といったとき、「重くていいんだよ。好きがいっぱい詰まってる証拠だからね」と言うのですが、この時代にこんなことが言える人がいるなんて、本当に純粋で、30代かと疑ってしまいました。
笹川のかわいい顔を見ることや、笹川のふとしたときに見せる天然な姿も楽しかったです。
単話で途中まで読んでいて紙媒体での刊行はないのかなぁと
諦めかけていたのでこの度の書籍化には即座に飛びつきました。
だけど、いざ書籍を手にしてみると予想以上の分厚さにびっくり!
なかなかのボリュームではあったものの、長年待ち望んだ物語の
結末に期待をしながらページをめくりました♪
キャバクラのボーイの幸はある日、お店を訪れたサラリーマンの
笹川と出会います。
そして、どこか元カレの面影を彷彿とさせる笹川を嵌めようとするが…。
まずはじめに、タイトルの「わるいひと」はどこにも登場しません。
笹川はもちろん、幸のセフレで当て馬の健斗ですら悪人ではない。
あえていうなら、幸を裏切って家庭を選んだ元カレくらいなもの。
幸が過去のトラウマから勝手に悪い人に仕立て上げていただけで
当の笹川は穏やかで温かくて、例え嘘を吐かれたとしてもそれを
責めることもなく、相手が真実を話すまで信じて待ち続けてくれる
ような善意の塊のような人なのでした。
幸に対しても嘘を吐かれて脅されるようなことをされても、
誠実に向き合い、自分よりも幸の身を心配してくれるばかり。
そんな笹川に頑なだった幸の心も次第に解されてゆくのでした。
最初のうちは笹川に酷い当たり方をする幸ですが、これだって
笹川には何の咎もなく、ただの八つ当たりに過ぎないんですよね。
それなのに、いつだって優しく笑って包み込んでくれる笹川に
惚れない方が無理!
ヘタレだけど、健気で献身的で、これぞ最上級の包容力攻め!
絆され始めると意外にチョロい幸ですが、それでも呪いのように
こびりついた過去のトラウマが幾度となくぶり返し、その度に
不安になって、笹川を突き放してしまう幸がじれったい…!
だけど、すれ違いから離れようとする幸を連れ戻しに来てくれた
珍しく強引な笹川にキュンとしてしまいました。
ラストの笹川が言葉を尽くして幸に想いを告げるプロポーズシーンも
とてもロマンチックで素敵でした♡
殺伐とした始まりからは想像もつかなくらい温かくて甘いエンディングで
心地良い読後感に浸ることができました。
ただ、二人が心から結ばれる結末はとても良かったけれど、幸の心に
消えない傷をつけやがった元カレに天罰が下るところも見たかったな…。
あと最後まで詳しく触れられることのなかった笹川の離婚理由も
気になってしまいました。
いじっぱりで過去のトラウマから恋愛なんてと思っている受けの心を解くのはとんでもない包容力を持った攻めしかいない、と思ってしまいました。
良い人すぎて心配なくらいですが、このくらいのどでかい優しさがないとダメだったと思いますしめっちゃ良い話。あたたかくて読んでるこっちまで優しさにつつまれるようでした。切なさもありのあたたかいBL。
こんなに愛おしそうに幸を撫でている笹川が既婚者…?かなり訳ありな関係…??
と、表紙と帯だけで想像が膨らんでしまったこちらの作品。
購入してから帯の既婚のルビが"バツイチ"となっているのに気付き、アレ…?という気持ちになりながらも、久々の来栖先生作品ということでワクワクで読んだお話でした。
過去に既婚者に裏切られた幸は、別れてから2年経った今もまだその傷は癒えていなくて。
特定の人を作らず適当に遊ぶという日々を過ごしていた時に、幸がボーイをしているキャバクラに客としてやってきた笹川と出会うところから始まります。
笹川は優しくて良い人で、天然な可愛いところもあるけれど。なんとなく自信がない部分がにじみ出ちゃっているというか、彼自身の弱さが見えているというか…言いなりになることは優しさではないと思うので、キャバで上司にイジられている場面ですでにモヤっとしてしまいました。
そもそもなぜ離婚していたのに笹川は指輪をしたままだったのかというと、「離婚したら自分の存在価値がなくなってしまうのでは?」という考えを持っていたからなのですが…
その発想ってどうなの?って思ってしまったし、彼の中での「結婚」がすごく重要なモノなのにすぐ男の恋人作れる?という疑問も。
離婚した理由が描かれていないので笹川の苦しみも悲しさも伝わらず、どうやって彼の気持ちに寄り添えばいいのかわかりませんでした。
元カレとその他の既婚者を重ねて復讐してやる、みたいな幸のやり方もちょっと理解できなかったけれど、それ以上に笹川の言動が気になってしまいました。
最後にはふたりがお互いを求め合う結末になったので救われましたが…
幸せなところに落ちいて良かったなーと、心からは思えなかったかな…という感じでした。